
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。
こんな人におすすめ
- 実家の家財が多すぎて、どこから手をつければいいか途方に暮れている方
- 「価値あるもの」をうっかり捨ててしまい、金銭的に損をすることだけは避けたい方
- 業者への依頼を検討しているが、「高額請求」や「悪徳業者」が怖くて踏み出せない方
- 兄弟や親族と揉めずに、円満かつ安全に実家の片付けを終わらせたい方
この記事でわかること
- プロ直伝!「お金になる家財」と「有料処分になる家財」の境界線リスト
- 【最新版】間取り・物量別のリアルな費用相場と、見積もりを安くする「買取相殺」テクニック
- 電話一本で悪質業者を見抜くための「魔法の質問」とチェックリスト
- 借金を相続しないために知っておくべき「法的な落とし穴」と正しい進め方
はじめに

実家のドアを開けた瞬間、目の前に広がる大量の家財。 タンス、冷蔵庫、着物、そして大量の書類や小物たち。
これらを前にして、多くの人が立ち尽くしてしまいます。なぜなら、これらは単なるゴミではなく、親が生きてきた証であり、「もしかしたら価値があるかもしれない資産」だからです。
「うっかり捨ててしまって、後で数十万円の損をしたらどうしよう」 「業者に依頼して、ゴミ同然の扱いをされたら申し訳ない」
そう思うのは当然のことです。 しかし、ここで断言します。家財整理において最もリスクが高いのは、「迷ったまま放置し、空き家の維持費や固定資産税を払い続けること」です。
この記事では、遺品整理のプロの視点から、家財を「資産」と「不用品」に明確に分ける基準と、最も手残りが多くなる進め方を包み隠さず公開します。
読み終える頃には、あなたの目の前にある家財が「どう扱うべきものか」ハッキリと見えているはずです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理は、故人様のためであると同時に、残されたご遺族様の「これからの生活」を守るための決断の場でもあります。無理にすべてを一人で抱え込まず、まずは「知ること」から始めていきましょう。これだけで、精神的な負担は半分以下になりますよ。
第1章 【分別・価値】その家財、捨てればゴミ・売れば資産
家財整理で失敗する最大の原因は、「自分の物差し」で価値を判断してしまうことです。
「高かったと聞いていた婚礼タンス」が処分費用のかかる負債になり、「ボロボロの鉄瓶」が数万円の資産に化けることは、この業界では日常茶飯事です。
まずは、市場価値の有無を見極める「プロの選別眼」をインストールしましょう。
1. 「値段がつくもの」と「処分費がかかるもの」の決定的な境界線
家財には明確なトレンドがあります。親世代が「財産」だと思っていたものが、現代では「粗大ゴミ」として扱われるケースが多々あります。
以下のリストを参考に、まずは家財をざっくりと2つに分類してください。
【意外と高値がつく隠れた資産】
- オーディオ機器・カメラ(壊れていても部品取り需要があるため売れる)
- 昭和レトロな玩具・ゲーム(ブリキのおもちゃ、初期のファミコンソフトなど)
- 趣味のコレクション(鉄道模型、釣り具、囲碁将棋盤)
- 未開封の贈答品(箱に入ったままのタオル、食器、石鹸)
- 貴金属・古銭(金歯や壊れたアクセサリーも地金としての価値がある)
【残念ながら処分費がかかる代表格】
- 大型の婚礼タンス・鏡台(現代の住宅事情に合わず、中古市場では需要がほぼゼロ)
- ガラスケース入りの日本人形(寄付は可能だが、買い取りは極めて困難)
- 製造から5年以上経過した白物家電(冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象)
- ノーブランドの古着・大量の布団
- 座椅子・マッサージチェア(重量があり、搬出コストが高くつく)
特に注意が必要なのが、大型家具です。「良い木を使っているから」といっても、運搬コストが販売価格を上回るため、お金を払って処分するケースが9割以上です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

一見ガラクタに見える「鉄瓶」や「茶器」を、汚れているからといって洗ったり磨いたりするのはNGです。骨董の世界では、その「経年による味」が価値になります。ピカピカに磨いてしまった結果、査定額が0円になった事例もございますので、そのままの状態で査定に出してくださいね。
2. 独自データで見る「捨てて後悔したもの」ランキング
「とりあえず邪魔だから」と勢いで捨ててしまい、後から激しく後悔するケースが後を絶ちません。 弊社の独自調査の結果をご覧ください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女400名に「作業中にうっかり捨ててしまい、後で激しく後悔したもの」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 故人の直筆の手紙・日記・レシピノート(45%)
- 現金(本の間やタンスの奥に隠されていたヘソクリ)(30%)
- 古い写真やアルバムのネガ(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

金銭的な価値だけでなく、「二度と取り戻せない思い出」を喪失するダメージは計り知れません。 特に現金は、本のページの間、タンスに敷いた新聞紙の下、着物の袂から出てくることが非常に多いです。
3. メルカリ・買取業者・リサイクルショップの使い分け
家財を現金化する方法はいくつかありますが、「時間」と「金額」のトレードオフを理解して選ぶ必要があります。
- メルカリ・ヤフオク(手間:大 / 金額:高)
- 向いているもの: 軽くて送料が安いもの、マニアックな趣味の品。
- 注意点: 出品、梱包、発送の手間がかかるため、家財が大量にある場合は数ヶ月かかることも。「いつまでも片付かない」というストレスになりがちです。
- 出張買取業者(手間:小 / 金額:中)
- 向いているもの: ブランド家具、骨董品、着物、家電。
- 注意点: 専門性が重要です。「古本専門」「着物専門」など、そのジャンルに特化した業者を呼ぶのが高値売却のコツです。何でも買うリサイクルショップよりも査定精度が高い傾向にあります。
- 遺品整理業者の買取サービス(手間:極小 / 金額:低〜中)
- 向いているもの: 家財一式。
- メリット: 「買取」と「処分」を同時に行うため、作業費から買取額を差し引いて(相殺して)清算できます。最も手間がかかりません。
「一円でも高く売りたいならメルカリ、一日でも早く終わらせたいなら業者」 この基準で割り切ることが、精神衛生上もっとも重要です。
参照リンク:環境省|いらなくなった家電製品は正しくリサイクル!
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「メルカリで売れるかも」と思って取っておいたダンボールの山が、結局3年そのまま…というお宅を数多く拝見してきました。期限を決めましょう。「1ヶ月売れなかったら処分する」という自分ルールを作ることが、家財整理を停滞させない秘訣です。
第2章では、誰もが一番気になる「お金」の話に切り込みます。 家の広さや家財の量によって、具体的にいくらかかるのか? そして、悪徳業者に騙されず、適正価格で依頼するための「見積もりの見方」を完全解説します。
第2章 【費用・相場】家財処分のリアルな金額と「安くする」仕組み

「業者に見積もりを頼んだら、足元を見られて100万円と言われるのではないか…」
遺品整理や家財整理において、多くの方がこのような「不透明な価格」への恐怖を抱えています。 スーパーの野菜と違い、家財整理には定価がありません。だからこそ、業者の言いなりにならないためには、「費用の相場」と「金額が決まるロジック」を知っておくことが最強の自衛策になります。
ここでは、きれいごと抜きのリアルな金額と、費用を最小限に抑えるためのカラクリを解説します。
1. 【間取り・物量別】家財処分の費用相場一覧表
まず、業界の平均的な相場観を掴んでください。 「部屋の広さ」はあくまで目安であり、実際は「家財の量(高さ×幅×奥行き)」で決まります。
以下は、作業員の人件費と車両費、処分費を含んだ一般的な目安です。
| 間取り | 家財量:少なめ(生活感のみ) | 家財量:多め(物が溢れている) | 作業人数目安 |
| 1R・1K | 30,000円 〜 50,000円 | 60,000円 〜 100,000円 | 1〜2名 |
| 1DK・2DK | 60,000円 〜 100,000円 | 120,000円 〜 200,000円 | 2〜3名 |
| 2LDK・3DK | 120,000円 〜 180,000円 | 200,000円 〜 350,000円 | 3〜5名 |
| 4LDK以上 | 220,000円 〜 | 450,000円 〜 | 4〜6名 |
※注意点: これはあくまで「整理・搬出・処分」の基本料金です。 孤独死などの特殊清掃が必要な場合や、消臭作業が必要な場合は、別途料金が加算されます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

広告でよく見る「1R 19,800円〜」という表記には注意が必要です。これは「作業員1名で、軽トラック1台分(積みきれる分だけ)」という最低ラインの価格であることがほとんどです。家財整理では、タンス一つで軽トラックが埋まることもありますので、「〜(から)」という表記の安さだけで飛びつかないようにしてくださいね。
2. 見積もりの内訳を完全公開!料金が決まる「3つの要素」
なぜ、業者によって見積もりに10万円以上の差が出るのでしょうか。 それは、業者が以下の3つの要素をどう計算しているかが違うからです。これを知っておけば、見積もりの明細を見たときに「不当な上乗せ」を見抜けます。
① 物量(立米数・トラックの台数)
最も大きなウェイトを占めるのが「ゴミと家財の総量」です。 業界では「立米(りゅうべい/㎥)」という単位を使います。
- 2トン・ショートトラック(箱車)= 約5〜7立米
- 2トン・ロングトラック = 約10〜12立米
「トラック何台分になるか」で基本ベースが決まります。
② 作業環境(搬出の難易度)
同じ荷物の量でも、以下の条件だと料金が跳ね上がります。
- 階数とエレベーターの有無: エレベーターなしの団地4階などは、作業員増員のため数万円単位で高くなります。
- 駐車位置までの距離: 玄関の目の前にトラックを停められない場合(路地が狭い、旗竿地など)、横持ち(手運び)の時間が増えるため追加料金がかかります。
③ 特殊な処分品(別料金アイテム)
家電リサイクル法対象品目(冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン)や、処理困難物(金庫、ピアノ、消火器、コンクリートブロック)は、基本料金とは別に「オプション料金」として計上されるのが一般的です。
ここで、実際にユーザーが思わぬ出費に驚いたケースを見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
家財整理を業者に依頼した際、「見積もり時よりも費用が高くなった、または追加料金が発生しそうでヒヤリとした原因」を調査しました。
- エアコンの取り外し工賃や室外機の撤去費が含まれていなかった(42%)
- 庭の植木鉢や物置の中身が別料金と言われた(28%)
- エレベーターが小さく、家具が入らず階段作業になった(18%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた家財整理依頼者350名

エアコンや物置は「建物の一部」と認識して見落としがちです。「家の中にあるもの全て」の定義を、業者とすり合わせておくことが重要です。
3. 「買取相殺」で費用はどこまで下がる?
家財整理の費用を抑える唯一にして最大の必殺技、それが「買取相殺」です。 これは、整理費用から「買い取れる家財の金額」を差し引いて請求するシステムです。
【シミュレーション例:3LDKの実家整理】
- 基本作業費(処分・人件費): 280,000円
- 買取査定額(合計): ▲ 65,000円
- 製造3年の大型冷蔵庫:15,000円
- 趣味のオーディオセット:30,000円
- 贈答品の食器セット・タオル等:5,000円
- 貴金属(壊れたネックレス等):15,000円
- 【最終支払額】: 215,000円
このように、ゴミとして捨てれば「処分費」がかかるものが、買取に回ることで「値引き」として機能します。 結果として、数万円〜十数万円のコストダウンにつながります。
だからこそ、業者選びでは「処分だけを行う業者」ではなく、「古物商許可を持ち、買取に強い業者」を選ぶことが、経済的合理性の観点から正解となります。
参照リンク:経済産業省|特定商取引法ガイド(訪問購入について)
【編集長からのワンポイントアドバイス】

複数の業者に見積もりを取る際、「買取できるものはありますか?」と必ず聞いてみてください。この質問に対して「うちは全部ゴミとして処分しますね」と即答する業者は、資産価値を見抜く目がないか、手間を惜しんでいる可能性があります。丁寧な業者は「これとこれは値段がつきますよ」と教えてくれるはずです。
第3章では、いよいよ「業者選び」の核心へ。 世間を騒がせる「悪徳業者」の手口とは? そして、誠実な優良業者を見極めるために、電話や見積もりの現場で**「絶対に聞くべき魔法の質問」**を伝授します。
第3章 【業者選び】「ぼったくり」を回避し、信頼できるプロを見つける方法

家財整理業界は、残念ながら参入障壁が低いため、「優良業者」と「悪質業者」が玉石混淆の状態です。
「安ければどこでもいい」という考えは非常に危険です。不法投棄に関与して警察から事情聴取を受けたり、作業中に金品を盗まれたりするリスクが実在するからです。
ここでは、プロの視点から「絶対に契約してはいけない業者」の特徴と、信頼できるパートナーを見抜くための具体的なテクニックを公開します。
1. 「格安」の罠に注意!悪徳業者が使う手口と見抜き方
まず、絶対に避けるべき業者のパターンを知っておきましょう。彼らは**「入り口は甘く、出口で刺す」**という手口を使います。
- 「無料回収」や「トラック積み放題」のアナウンス
- 街中をスピーカーで巡回しているトラックや、ポストに入っている「無料回収」のチラシ。これらは絶対に利用してはいけません。 荷物を積んだ後に「回収は無料だが、積み込み手数料は別だ」と数万円を請求されるケースが多発しています。
- 「一式」だらけのどんぶり勘定
- 見積書の明細が「作業費一式 30万円」としか書かれていない場合は危険信号です。内訳がブラックボックス化されており、当日に「予定よりゴミが多かった」と追加請求する余地を残しているからです。
実際の被害や不満の実態を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
業者を利用した際に「失敗した」「選ばなければよかった」と感じた最大の理由を調査しました。
- 見積もり時は安かったのに、作業終了後に「追加料金」を請求された(48%)
- 故人の遺品を「ゴミ」と呼び、雑に放り投げられた(25%)
- 貴重品(現金や指輪)が見当たらないが、証拠がなく泣き寝入りした(15%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年10月〜12月 対象:過去に他社含め業者利用経験がある相談者350名

最も多いのはやはり金銭トラブルですが、「スタッフの質(マナー)」への不満も看過できません。家の中に他人を入れる以上、生理的に信頼できる相手かどうかも重要な判断基準です。
参照リンク:国民生活センター|廃品回収業者とのトラブルに注意!
2. 優良業者を見極めるための「魔法の質問」とチェックリスト
では、どうやって良心的な業者を見分ければよいのでしょうか。 電話問い合わせや現地見積もりの際に、以下の質問を投げかけてみてください。 その反応で、相手の誠実さが一発で分かります。
【魔法の質問リスト】
- 「追加料金が発生する『具体的なケース』を教えてください」
- ◯ 良い回答: 「当日にお客様から追加の処分品をお願いされた場合のみです。今の見積もりの範囲内であれば、絶対にいただきません」
- × 悪い回答: 「やってみないと分からないですね」「まぁ、大丈夫だと思いますよ」と曖昧に濁す。
- 「買い取れる家財はありますか? 古物商の許可証を見せていただけますか?」
- ◯ 良い回答: 「はい、許可証はこちらです。この家具と家電は買取対象になります」
- × 悪い回答: 「うちは処分専門なんで」「全部ゴミですね」と切り捨てる。(許可を持っていない可能性大)
- 「不用品の処分はどのように行いますか?」
- ◯ 良い回答: 「一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ提携業者が回収に来ます」または「自治体の処理施設へ持ち込みます」
- × 悪い回答: 「自社の処分場で処理します」「リサイクルに回すので大丈夫です」(違法な無許可営業や不法投棄のリスクあり)
【編集長からのワンポイントアドバイス】

家庭から出るゴミ(家財)を運ぶには、市町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。多くの遺品整理業者はこの許可を持っていないため、許可を持つ業者と提携しているのが「適法」な形です。「産業廃棄物の許可があるから大丈夫」という業者は、家庭ゴミの扱いに関しては違法ですのでご注意ください。
3. 相見積もりは最低3社!比較検討の決定打
一社だけの見積もりで決めるのは、相場を知らないカモになるようなものです。 必ず3社に現地見積もりを依頼し、以下のポイントで比較してください。
- 価格の妥当性: 極端に高すぎず、安すぎないか。(最安値の業者が最善とは限りません。安さの理由が「不法投棄」や「雑な作業」かもしれないからです)
- スタッフの清潔感と態度: 靴下は綺麗か、挨拶はできるか、故人に手を合わせる配慮があるか。
- 連絡のスピード: 見積書が届くまでの早さや、質問へのレスポンス。
最終的には、金額が数千円高いとしても、「この人たちなら実家の鍵を預けても安心だ」と思える業者を選ぶことが、精神的な満足度(承認欲求・安全の欲求)を満たす最大の秘訣です。
第4章では、作業を始める前にクリアにしておくべき「法的な落とし穴」について解説します。 良かれと思って片付けたことが原因で「借金を相続」してしまう!? 知らないと恐ろしい「相続放棄」と「家財処分」の関係性を解き明かします。
第4章 【トラブル回避】相続・権利関係で失敗しないために
家財整理において最も怖いのは、実は「費用」でも「手間」でもありません。 「法律を知らずに行動した結果、借金を背負うことになる」という取り返しのつかない事態です。
また、現代ならではの「デジタル遺品」や、親族間での「費用負担の押し付け合い」も大きな火種になります。 ここでは、作業に着手する前に必ず確認すべき法的な落とし穴と、その回避方法を解説します。
1. 家の片付けを始める前に確認すべき「相続放棄」のリスク
もし、故人に多額の借金がある可能性がある場合、あるいはプラスの財産も含めて一切の相続に関わりたくない場合、「相続放棄」を検討することになります。
ここで絶対に守るべきルールがあります。 それは、「相続放棄をするなら、家財を一切処分してはいけない」ということです。
民法には「法定単純承認」という規定があります。 相続財産(家財を含む)の一部でも処分・売却・消費してしまうと、「相続する意思がある」とみなされ、借金も含めてすべてを相続しなければならなくなります。
【やってはいけないNG行動】
- 家財道具をリサイクルショップに売って換金した
- 価値がありそうな骨董品を自分の家に持ち帰った
- 家の解体や、大掛かりな遺品整理業者との契約を行った
ただし、明らかに経済的価値のない「明らかなゴミ(腐敗した食品など)」の処分や、ごく少額の形見分け(写真や愛用していた衣類)程度であれば、許容されるケースが多いです。 しかし、その境界線は非常に曖昧です。
結論: 相続放棄の可能性があるなら、家庭裁判所での手続きが完了するまで、家の中のものには一切手を触れないのが最も安全です。
参照リンク:裁判所|相続の放棄の申述
2. 親族トラブルの火種!家財処分費用は誰が払う?
遺品整理の費用は、誰が負担すべきか法的に明確な決まりはありません。だからこそ、親族間で揉める最大の原因になります。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した際、親族(兄弟姉妹・親戚)間でトラブルになった、または気まずくなった原因を調査しました。
- 費用の分担方法が決まらず、特定の人が全額被ることになった(55%)
- 「勝手に捨てた」「あれが欲しかった」と事後報告で文句を言われた(25%)
- 作業当日に手伝いに来ないのに、口だけ出してくる親族がいた(15%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年4月〜6月 対象:親族と協力して遺品整理を行った経験者350名

「故人の預金から支払っていいのか?」 これも非常にデリケートな問題です。 葬儀費用については「社会通念上必要な経費」として認められる判例が多いですが、遺品整理費用に関しては見解が分かれます。 もし故人の口座から引き出して支払う場合は、必ず領収書を保管し、他の相続人全員の合意を書面(同意書)で取っておくことが、将来の訴訟リスクを防ぐ唯一の手段です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「長男だから払うべき」「同居していたから払うべき」といった感情論はトラブルの元です。最もスムーズなのは、「相続財産(預貯金や不動産売却益)から経費として遺品整理代を差し引き、残った分を分割する」という方法を、遺産分割協議で最初に取り決めておくことです。
3. デジタル遺品(PC・スマホ)の中身はどうする?
パソコンやスマートフォンの中には、ネット銀行の口座情報や、株取引の履歴、そして「家族に見られたくないプライベートなデータ」が眠っています。
これらをどう処理すべきか、以下のフローチャートで判断してください。
- 資産性の確認(ネット銀行・証券・暗号資産)
- 通帳や郵便物(通知書)から金融機関の手がかりを探す。
- スマホのホーム画面にある「銀行アプリ」や「証券アプリ」の有無を確認する。
- パスワードが分からない場合
- 無理に解除しようとしてロックがかかると大変です。
- 携帯ショップやPCメーカーは、プライバシー保護の観点から、遺族であってもロック解除には応じてくれません。
- 「デジタル遺品専門業者」に依頼することで、パスワード解析やデータの取り出し(または完全消去)が可能になります。
- 見ないほうがいいデータへの対処
- 故人の尊厳を守るため、そして遺族が余計な心の傷を負わないために、「中身を見ずに物理破壊・データ消去する」という選択も立派な供養です。
- 遺品整理業者の中には、HDD(ハードディスク)の物理破壊サービスを行っているところもあります。
参照リンク:国民生活センター|デジタル遺品に関するトラブル
第5章では、いよいよ最終章。「よくある質問(Q&A)」と「まとめ」です。 「仏壇の魂抜きは必須?」「孤独死の現場はどうする?」など、本文では触れきれなかった細かいけれど重要な疑問に、一問一答形式でズバリ回答して記事を締めくくります。
第5章 よくある質問(Q&A)

ここまでお読みいただき、大まかな流れは掴めたかと思います。 しかし、現場では「こういう場合はどうなの?」という細かい疑問が必ず湧いてきます。
ここでは、実際にお客様から寄せられる質問の中から、特に相談件数の多い6つの疑問に、プロの視点でズバリ回答します。
Q1. 仏壇や神棚、位牌はどう処分すればいいですか?魂抜きは必要?
A. トラブル回避のため「閉眼供養(魂抜き)」を強く推奨します。
仏教の考え方では、仏壇や位牌には魂が宿っているとされます。そのまま捨てると「バチが当たるのでは」と心理的な負担になったり、親族から批判されたりする原因になります。
- お寺に依頼する: 菩提寺(付き合いのあるお寺)があれば、そこへ依頼して閉眼供養とお焚き上げをしてもらいます。
- 遺品整理業者に依頼する: 提携している僧侶を呼び、供養した上で処分(回収)してくれるサービスがあります。お寺との付き合いがない場合はこれが最もスムーズです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

神棚についても同様に「祈祷」を行ってから、お焚き上げをするのが一般的です。もし業者に依頼する場合は、「供養証明書」を発行してくれる業者を選ぶと、後で親族に説明する際に証拠となり安心ですよ。
Q2. 孤独死の現場で臭いが残っていますが、通常の家財整理業者で対応できますか?
A. いいえ、「特殊清掃」に対応した専門業者でなければ不可能です。
ご遺体の発見が遅れた場合、体液や臭いが床や壁に染み付いています。これは一般的な清掃や消臭スプレーでは絶対に落ちません。 「特殊清掃士」の資格を持ち、専用の薬剤とオゾン脱臭機を持っている業者に依頼してください。通常の不用品回収業者を入れると、感染症のリスクがあるため断られるケースがほとんどです。
参照リンク:一般社団法人 日本除菌脱臭サービス協会
Q3. 見積もり後の当日に追加料金が発生することはありますか?
A. 優良業者であれば、見積もり内容に変更がない限り発生しません。
ただし、以下の場合は追加料金が発生する可能性があります。
- 見積もりの時には無かったゴミが、当日に大量に増えていた場合
- 「自分で処分する」と言っていた大型家具を、やっぱり持っていってほしいと依頼した場合
トラブルを防ぐため、見積書には「追加料金なし」の文言が入っているか必ず確認しましょう。
Q4. まだ使えるけれど値段がつかない家具、ボランティア等に寄付できますか?
A. 可能ですが、送料は自己負担になるケースがほとんどです。
NPO法人や支援団体を通じて、海外(東南アジアなど)へ寄付するルートがあります。ただし、「日本国内で輸送するコスト」や「海外へ送るコンテナ代」がかかるため、「無料で引き取ってもらえる」わけではなく、むしろ有料(寄付金としての負担)になることが多いと理解しておきましょう。 「捨てるよりは誰かに使ってほしい」という社会貢献の気持ちがある方にはおすすめです。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理・家財整理で「処分に最も精神的な苦痛を感じたもの」について調査しました。
- 仏壇・位牌・神棚(38%)
- 故人が大切にしていた人形・ぬいぐるみ(28%)
- 写真アルバム・手紙(22%)
- 着物・洋服(12%)
※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた家財整理依頼者350名

やはり、仏壇や人形など「顔があるもの」「魂を感じるもの」は、ゴミとして捨てることに強い抵抗感を持つ方が多いようです。供養サービスを賢く利用して、心の重荷を下ろしてください。
Q5. 権利書や通帳が見つかりません。整理作業中に探してもらえますか?
A. はい、可能です。「捜索依頼」として伝えてください。
プロの遺品整理業者は、ただ捨てるだけではありません。衣類のポケット、本のページの間、畳の下などをチェックしながら作業を進めます。 見積もりの段階で「土地の権利書と、◯◯銀行の通帳を探しています」と具体的に伝えておけば、作業員全員で共有し、発見に全力を尽くします。
Q6. 実家が遠方で立ち会えないのですが、鍵を預けて作業してもらうことは可能ですか?
A. 可能です。多くの業者が「立ち会い不要プラン」を用意しています。
鍵を郵送で預け、作業前・作業後の様子を写真やビデオ通話で報告してもらう流れが一般的です。 ただし、信頼関係が何より重要です。前章で紹介した「業者の選び方」を参考に、電話対応などで信頼できると判断した相手にのみ依頼してください。
まとめ:家財整理は「心の整理」。納得のいくお別れをするために
ここまで、家財整理における「価値判断」「費用」「業者選び」「法的リスク」について解説してきました。
膨大な家財を前にして、今はまだ途方に暮れているかもしれません。 しかし、家財整理は単なる「片付け作業」ではありません。 親御さんが生きた証(あかし)を見つめ直し、「感謝をして手放すもの」と「受け継いでいくもの」を選び取る、最後の大切な儀式です。
【この記事の要点まとめ】
- 分別: 自分の価値観で捨てない。一見ゴミに見えるものが「資産」かもしれない。
- 費用: 安さだけで選ばない。「買取相殺」を活用して賢くコストを下げる。
- 業者: 「追加料金なし」を明言し、古物商許可を持つ業者を3社比較する。
- 法務: 相続放棄の可能性があるなら、絶対に家財を捨ててはいけない。
どうか、一人で抱え込まず、プロの力や正しい知識を頼ってください。 あなたが後悔のない整理を行い、清々しい気持ちで次の生活へ踏み出せることを、心より願っています。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「いつかやろう」は、いつまでも来ません。まずは今週末、実家に帰って「通帳と印鑑を探す」、あるいは「業者に電話して見積もりの予約を入れる」。この小さなワンステップだけで、あなたの肩の荷は驚くほど軽くなりますよ。応援しています。








