
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。
こんな人におすすめ
- 実家の片付け中、数十年前の古いピアノの扱いに頭を抱えている人
- 「どうせゴミだろう」と思っているが、もし売れるなら現金化したい人
- 遺品整理業者についでに頼むか、ピアノ専門業者を呼ぶかで迷っている人
- 2階にある、道が狭いなど、「これ本当に出せるの?」と搬出に不安がある人
- 故人が大切にしていたものだから、ただ捨てることへの罪悪感を消したい人
この記事でわかること
- 電話一本で「10万円以上の価値」か「有料処分」かを見分ける全手順
- 【ケース別】あなたにとって「一番お金と手間が浮く」依頼先の正解
- 想定外の追加料金を防ぐ!階段・クレーン作業のリアルな費用相場
- 売れないピアノをゴミにしない、「寄付」と「供養」という優しい逃げ道
- 悪質な「押し買い」や「高額請求」を撃退する、プロ直伝の魔法の質問
1. まずは現状把握から:「資産」になるか「費用」がかかるか

実家のリビングに鎮座する、黒くて重いピアノ。「昔は姉が弾いていたけれど、もう何十年も誰も触っていない」というケースが遺品整理では後を絶ちません。
あなたは今、「これは高く売れるお宝なのか、それとも処分代が高くつく巨大な粗大ゴミなのか」という不安を抱えているはずです。
結論から申し上げます。ピアノは「メーカー」と「型番」さえわかれば、電話一本でその価値が判明します。まずは、専門家に連絡する前に、自分で確認すべきポイントを整理しましょう。
「売れるピアノ」と「お金がかかるピアノ」の明確な境界線
遺品整理の現場において、ピアノの運命を分けるのは「ブランド」と「需要」です。
まず、圧倒的に値段がつきやすいのはヤマハ(YAMAHA)とカワイ(KAWAI)の2大メーカーです。この2社は日本国内だけでなく、中国や東南アジアなど海外での再販ルートが確立されているため、30年〜40年前の古いモデルでも買取価格がつくケースが多々あります。
一方で、それ以外のメーカー(いわゆる「その他ブランド」)や、電子ピアノ(エレクトーン含む)は、残念ながら「無料引き取り」か「有料処分」になる可能性が高まります。特に電子ピアノは「家電」扱いとなるため、製造から5年以上経過していると資産価値はほぼゼロになります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「古いからどうせゴミだ」と決めつけるのは時期尚早です。特に「YAMAHA」のロゴがあれば、塗装が曇っていても数万円〜十数万円の現金に化ける可能性があります。まずはメーカー名だけでも確認してください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女400名に「実家のピアノを処分する際、事前の予想と実際の結果にどのようなギャップがあったか」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- ゴミだと思って処分依頼したら、実は値段がついて現金化できた(42%)
- 売れると思っていたが、値段がつかず有料処分になった(35%)
- 予想通り値段がつかず、無料で引き取ってもらえた(15%)
- その他(8%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

このアンケート結果が示す通り、約4割の人が「ゴミだと思っていたものが現金になった」という経験をしています。自己判断で廃棄業者に依頼してしまうと、本来手に入るはずだった数万円をドブに捨てることになりかねません。
問い合わせ前にここを見ろ!「型番」と「製造番号」
業者が査定をする際、必ず聞かれるのが「品番(モデル名)」と「製造番号」です。これらは、ピアノの「戸籍」のようなものです。
どこを見ればいいかわからない場合は、以下をチェックしてください。
- アップライトピアノ(縦型): 天屋根(一番上の蓋)を開けて、中を覗き込んでください。金色のフレームの右側か中央に、黒い文字で刻印されています。(例:U3H 1234567)
- グランドピアノ(平型): 大屋根を開け、譜面台の手前にある金色のフレームを確認してください。
この2つの情報をメモしてから電話をするだけで、見積もりの精度は「概算」から「確定」に変わります。
「調律していない」「音が出ない」は気にしなくていい
「もう20年も調律していないし、ネズミがかじっているかもしれない…」と不安になる必要はありません。
買取業者が最も重視するのは「外装の致命的な割れ」や「水没歴」です。長期間調律をしていないことによる音の狂いは、プロが再生作業を行う前提で査定するため、買取不可の直接的な原因にはなりません。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
- ネズミや虫害による内部の激しい損傷
- 火災や水害によるダメージ
これらがある場合は、正直に申告しましょう。隠して査定に出すと、搬出当日にキャンセルや減額トラブルの原因になります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

査定の際、わざわざ掃除をしてピカピカにする必要はありません。埃を被っていても、プロは「磨けば光るか」を瞬時に判断できます。無理に拭いて新たな傷をつけるリスクの方が怖いです。そのままの状態で見てもらいましょう。
関連情報リンク
環境省では、廃棄物の適正処理やリユース(再使用)を推進しています。悪質な不用品回収業者とのトラブル事例なども掲載されていますので、参考にしてください。
2. 依頼先の最適解:「遺品整理業者」vs「ピアノ専門業者」

ピアノの型番を確認し、「もしかしたら売れるかもしれない」という期待、あるいは「処分費がかかるなら安く抑えたい」という現実的な思考が見えてきたことでしょう。
次にあなたが直面する悩みは、「誰に頼むのが一番賢いのか?」という選択です。
遺品整理の現場では、主に「遺品整理業者に一括で任せる」か「ピアノだけ専門業者を呼ぶ」かの二択になります。この選択を間違えると、「手間は省けたが10万円損した」あるいは「高く売れたが、スケジュールの調整で心身ともに疲弊した」という結果になりかねません。
それぞれのメリットとデメリットを比較し、あなたの状況に最適なルートを選びましょう。
遺品整理業者に「まるごと」頼むメリット・デメリット
家の中にあるタンスや衣類、食器などと一緒に、ピアノもまとめて片付けてもらう方法です。
- メリット:圧倒的な「時短」と「手軽さ」
- 最大の利点は、窓口が一つで済むことです。退去日が迫っている場合や、遠方の実家に何度も通えない場合、一度の立ち会いで家の中を空っぽにできるのは大きな魅力です。
- デメリット:査定額が低くなる(あるいは処分費がかかる)
- 多くの遺品整理業者は、ピアノの専門家ではありません。提携しているピアノ業者に流すため「仲介手数料」が発生し、買取額が下がることがあります。また、価値あるピアノでも知識がないために「重量物の処分」として費用を請求されるリスクもゼロではありません。
ピアノ専門買取業者に「ピンポイント」で頼むメリット・デメリット
「ピアノ買取」で検索して出てくるような、楽器専門の業者に依頼する方法です。
- メリット:適正な「高価買取」と「技術力」
- 独自の販売ルート(海外輸出など)を持っているため、相場に基づいた適正価格、あるいはそれ以上の価格で買い取ってくれます。また、搬出のプロフェッショナルなので、壁や床を傷つけるリスクも最小限です。
- デメリット:手間と時間が倍になる
- 遺品整理業者とは別に日程調整をし、立ち会う必要があります。また、彼らは「ピアノと付属品(椅子など)」しか持って行きません。ピアノの上に積まれた贈答品の箱や、部屋の隅にある古い家具などはそのまま残されます。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理の際、ピアノの処分方法で「業者選び」に迷った男女320名に「その選択をして、最終的にどう感じたか」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 遺品整理業者に一括で頼み、安かったが楽だったので満足(45%)
- 専門業者を別に呼んだため手間はかかったが、買取金で整理費用が賄えた(30%)
- 遺品整理業者に頼んだら高額な処分費を取られ、後で売れると知って後悔した(18%)
- その他(7%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

アンケートからは、「金額よりも楽さを取った人が半数近い」という現実が見えます。しかし、約2割の人が「知識不足による金銭的損失」で後悔している点も見逃せません。
【ケース別診断】あなたはどちらを選ぶべき?
状況によって「正解」は異なります。以下のチェックリストで判断してください。
A. 「ピアノ専門業者」に依頼すべき人
- YAMAHA・KAWAI製のピアノがある(特に製造30年以内のもの)
- 遺品整理の期限まで2週間以上の余裕がある
- 少しでも現金化して、遺品整理の費用(数十万円)の足しにしたい
- 実家が近く、複数回の立ち会いが苦にならない
B. 「遺品整理業者」に一括依頼すべき人
- 無名メーカーあるいは非常に古い(50年以上前)ピアノである
- 賃貸の解約日や売却日が迫っており、今すぐ家を空けたい
- 遠方に住んでおり、実家に行けるチャンスが「今週末の1回」しかない
- 電子ピアノ(エレクトーン)である ※家電扱いのため専門買取がつかないことが多い
【編集長からのワンポイントアドバイス】

賢い立ち回りとして、「二刀流」をおすすめします。まずピアノ専門業者に電話査定だけ依頼し(型番を言えば即答してくれます)、「買取不可」あるいは「処分費〇万円」と言われたら、その時点で遺品整理業者に一括依頼するのです。これなら「売れるはずだったのに」という後悔をゼロにできます。
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業者との契約トラブルを避けるため、見積もりの見方やクーリング・オフの知識を持っておくことは自己防衛につながります。
3. 実際の費用と搬出の悩み:階段・2階・狭い道

「2階の子供部屋にあるピアノ、どうやって降ろすの?」「家の前の道が狭くてトラックが入れるか心配」。
買取価格がついたとしても、あるいは処分するとしても、次に立ちはだかるのは「物理的な搬出」の壁です。 特に古い日本家屋や、エレベーターのない団地などでは、搬出費用が高額になり、結果として手元に残るお金が減ったり、逆に持ち出し(支払い)が増えたりするケースがあります。
ここでは、プロしか知らない搬出ロジックと、リアルな費用相場を解説します。
処分(引き取り)にかかる費用の相場
買取がつかず「有料処分」となった場合、覚悟すべき金額は「運搬費」+「処分費」の合計です。
一般的なアップライトピアノの場合、総額で3万円〜5万円程度が相場です。 (内訳:基本運搬費1.5万〜2万 + 処分リサイクル費1万〜2万 + 特殊作業費)
もし遺品整理業者に一括で依頼する場合も、このくらいの金額が見積もりに上乗せされていると考えてください。「無料回収」を謳う業者が、後から「搬出作業費」として高額請求してくるトラブルもあるため、内訳の確認は必須です。
「うちは出せる?」搬出困難なケースと追加料金の真実
ピアノは冷蔵庫とはわけが違います。重量は200kg〜250kg。以下の条件に当てはまる場合、「特殊作業費」という追加料金が発生します。
- 2階以上でエレベーターなし(階段作業): 作業員が増員されるため、1階層ごとに+5,000円〜1万円程度。
- クレーン吊り下げ(窓からの搬出): 階段や廊下が狭く、窓から出す場合。ユニック車(クレーン付きトラック)を使用するため、+1万円〜2万円程度。
- 解体搬出: どうしても出せない場合、部屋の中でピアノを解体します。これは最終手段であり、処分前提の場合にのみ行われます。費用は+2万円〜。
【お片づけの窓口独自アンケート】
ピアノの搬出作業を依頼した際、「見積もり時より料金が上がった」「作業が難航した」と回答した男女280名に、その原因を聞きました。
- 家の前の道が狭く、トラックが横付けできずに「横持ち(手運び)」料金が発生した(45%)
- 当日、階段を通らないことが判明し、急遽クレーンを手配することになった(28%)
- 庭の植木やフェンスが邪魔で、撤去作業が必要になった(15%)
- その他(雨天延期など)(12%)
※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

アンケート結果で意外と多いのが、「家の前の道幅」問題です。トラックが玄関前に停められない場合、作業員が長い距離を担いで運ぶことになり、その分の人件費が加算されるのです。
搬出後の「床の凹み」や「跡」の補修について
長年ピアノが置かれていた場所には、キャスター(車輪)による深い凹みや、畳の色褪せ、壁紙のカビなどが残りがちです。
- 持ち家(売却予定)の場合: 多少の凹みは気にしなくてOKです。家の査定額に大きく響くことは稀です。リフォーム前提で買われることが多いためです。
- 賃貸の場合: ここが問題です。通常の家具設置による凹み(通常損耗)は借主負担ではありませんが、ピアノのような重量物は「適切な措置(保護皿など)を講じていたか」が問われることがあります。 退去時のトラブルを避けるため、搬出作業時に業者に頼んで「簡易清掃」(埃の除去など)だけでもしてもらうと、管理会社の心証が良くなります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

見積もりの電話をする際は、ピアノの型番だけでなく、「設置階数」と「家の前の道路状況(2トントラックが通れるか)」を必ず伝えてください。Googleマップのストリートビューを業者に見てもらいながら話すと、当日の「追加料金トラブル」をほぼ100%防げます。
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国土交通省のガイドラインも参照し、原状回復のルールを把握しておくと安心です。
4. 心の整理:「捨てるのは忍びない」あなたへ
「お金の問題ではない。母が大切にしていたピアノを、ゴミとして処分するのが辛い」。
遺品整理で最も手が止まる瞬間です。経済合理性だけで割り切れないのが、遺品整理の難しさです。特にピアノは、幼い頃の練習風景や、故人が奏でていた背中といった「記憶の依代)」になりやすい家財です。
もしあなたが「売れなくてもいい、誰かに弾き継いでほしい」と願うなら、そのためのルートは存在します。しかし、そこには厳しい現実も待ち受けています。
ゴミにせず「つなぐ」選択:寄付・譲渡の現実
「近所の保育園や、施設に寄付すれば喜ばれるのでは?」と考える方は多いですが、現実はそれほど甘くありません。
- 施設への寄付: ほとんどの保育園や老人ホームでは、すでに電子ピアノが普及しており、場所を取り、定期的な調律費用(維持費)がかかる生ピアノの寄付は「謹んで辞退」*されるケースが大半です。
- 海外途上国への支援: 一部のNPOや支援団体では、ピアノの寄付を受け付けています。しかし、この場合、ピアノ本体は無料でも、「指定倉庫までの高額な運搬費」は寄付者(あなた)持ちになることがほとんどです。数万円を支払ってでも「誰かの役に立てたい」という強い意志が必要です。
【お片づけの窓口独自アンケート】
「処分するのは忍びない」と考え、ピアノの寄付や個人譲渡(親戚・知人含む)を検討した男女300名に、最終的な結末を聞きました。
- 譲渡先が見つからず、結局業者に引き取ってもらった(58%)
- 「運送料を負担してくれるなら貰う」と言われ、逆にお金がかかった(22%)
- 無償で引き取ってくれる相手が見つかり、譲渡できた(15%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年10月〜12月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約6割の方が、「善意での譲渡を断念」しています。現代の住宅事情では、ピアノをもらう側にも相当な覚悟(防音・スペース)が必要だからです。
どうしても手放せない時の「維持」と「保管」
「今は決められないから、とりあえず実家に置いておこう」。これも一つの選択ですが、ピアノは「生き物」です。
誰も住まなくなった実家は、温度・湿度の管理ができず、急激に劣化が進みます。特に湿気は天敵で、弦が錆び、ハンマーがカビてしまえば、数年後にいざ弾こうとしても再生不能になっている可能性があります。
もし残すなら、「定期的な換気と調律(年1回・1.5万円〜)」を続ける覚悟が必要です。それができないのであれば、「ピアノが元気なうちに、次の持ち主へ送り出す」ことこそが、最大の愛情表現かもしれません。
最後のお別れ:ピアノの「供養」
日本では、人形や針と同じように、長年連れ添った道具に感謝して別れを告げる「供養」の文化があります。
一部の寺社や、遺品整理業者の中には、「ピアノ供養」に対応しているところがあります。お経をあげ、お焚き上げ(ピアノの場合は物理的に燃やすのは難しいため、魂抜きの儀式のみ)を行うことで、「捨てる罪悪感」を「感謝の儀式」へと昇華させることができます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「売る」という行為に抵抗があるなら、買取業者に「このピアノは次はどこに行くんですか?」と聞いてみてください。「中国の子供たちの音楽教室に行きます」「国内でリペアされて再販されます」といった具体的な未来を聞くことで、それが「お別れ」ではなく「旅立ち」だと再認識でき、心がスッと軽くなりますよ。
付属品(椅子・大量の楽譜・メトロノーム)の処分方法
ピアノ本体と違い、付属品は一般ゴミとして出せるものが多いです。
- 椅子: 粗大ゴミとして自治体に回収してもらうか、木製なら解体して燃えるゴミへ。ただし、ピアノ買取業者が「椅子もセットなら査定アップ」とする場合もあるので、勝手に捨てずにまずは査定に出しましょう。
- 楽譜: 古本屋では値段がつかないことがほとんどです。資源ゴミ(古紙回収)に出すのが一般的です。思い入れのある数冊だけを手元に残し、残りは処分するのが賢明です。
- メトロノーム: ゼンマイ式の古いメトロノームは、アンティーク雑貨としてフリマアプリ等で意外な値段(数千円)がつくことがあります。捨てる前に一度検索してみる価値はあります。
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寄付や譲渡を検討する際は、内閣府のNPOポータルサイトなどで、活動実態のある信頼できる団体かどうかを確認することをお勧めします。
5. 失敗しないために:トラブル回避と業者選び

ここまで、価値の判断から物理的な搬出、そして心の整理までを見てきました。 いよいよ最後は、「実際に業者と契約し、作業を完了させる」フェーズです。
遺品整理業界は、残念ながら優良業者ばかりではありません。人の「死」や「焦り」につけ込む悪質な業者も存在します。 あなたが大切な実家や遺品を守り、気持ちよく作業を終えるために、最後にこれだけは知っておいてほしい「自己防衛の知識」をお伝えします。
注意すべき悪徳業者の手口(押し買い・高額請求)
「無料で回収します」「高価買取します」という甘い言葉には裏があることがあります。特に注意すべきは以下の2つのパターンです。
- 押し買い(訪問購入)の恐怖
- 「ピアノの査定」という名目で家に上がり込み、ピアノそっちのけで「貴金属はないか」「着物はないか」と執拗に迫る手口です。彼らの狙いはピアノではなく、隠された現金や宝石です。一度家に上げると、売るまで帰らないような威圧的な態度を取る業者もいます。
- 積み込み後の高額請求
- 「見積もりは無料」と言っておきながら、ピアノをトラックに積み込んだ後に「特殊作業費が発生した」「処分料は別だ」と言って、数十万円を請求する手口です。「払わないならここで降ろす(家の前に放置する)」と脅され、泣く泣く払ってしまう被害が後を絶ちません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理やピアノ処分で業者とトラブルになった経験がある男女350名に「具体的にどのような被害・不満があったか」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 作業当日に「想定外の作業」を理由に追加料金を請求された(52%)
- ピアノ以外の売るつもりのない貴金属やブランド品をしつこく勧誘された(28%)
- 搬出時に壁や床を傷つけられたが、補償してもらえなかった(12%)
- その他(8%)
※調査期間:2023年6月〜8月 対象:弊社へご相談いただいたトラブル経験者

アンケート結果の半数以上が「追加料金」に関するトラブルです。これは、事前の見積もりが「書面」でなく「口約束」だった場合に起こりやすい悲劇です。
見積もり時にこれだけは聞こう!必須確認リスト
電話やメールで問い合わせる際、以下の質問を投げかけてください。まともな業者であれば即答できますが、悪徳業者は言葉を濁します。
- 「見積もり金額は、搬出費、交通費、消費税などすべて込みの総額ですか?」
- (「基本料金」としか言わない業者は危険です)
- 「当日、いかなる理由があっても追加料金が発生しないと約束できますか?」
- (「状況による」と逃げる業者は避けるべきです)
- 「万が一、壁や床に傷がついた場合の損害賠償保険に入っていますか?」
- (プロなら必ず加入しています)
- 「キャンセル料はいつから発生しますか?」
- (前日まで無料か、契約直後からかかるかを確認しましょう)
【編集長からのワンポイントアドバイス】

絶対にやってはいけないのは、「電話口だけで契約を決めること」です。必ず「見積書(メールやLINEでも可)」という形で、金額と作業内容が文字に残る証拠をもらってください。「言った・言わない」の泥沼を防ぐ最強の盾になります。
遺品整理完了までのスケジュールと当日の流れ
最後に、全体の見通しを立てておきましょう。
- 問い合わせ・査定依頼(作業希望日の2週間前)
- メーカー、型番、設置階数を伝える。
- 訪問見積もり(または写真査定)
- 正確な金額の提示。買取なら現金化、処分なら費用の支払い方法を確認。
- 契約・日程調整
- 土日は混み合うため、早めの予約を。
- 作業当日(所要時間:30分〜1時間)
- 立ち会いのもと、養生(保護材)をして搬出。
- 最後に「搬出経路の傷チェック」を業者と一緒に行う。
- 完了・支払い(または受取)
この流れを頭に入れておけば、焦ることなく、淡々と、しかし確実に遺品整理を進めることができます。
さいごに:あなたが踏み出す一歩が、最大の供養になる
ここまで読んでくださったあなたは、もう「どうすればいいかわからない」という不安からは解放されているはずです。
ピアノは、ただの「モノ」ではありません。そこには家族の歴史が刻まれています。だからこそ、放置して朽ちさせてしまうのではなく、「売る」「譲る」「処分する」のいずれであっても、あなたが意思を持って決断し、動かしてあげること。それこそが、故人への何よりの供養であり、あなた自身の心の整理への第一歩です。
まずは、ピアノの蓋を開け、型番をメモすることから始めてみませんか?
関連情報リンク
特定商取引法により、訪問購入(押し買い)にはクーリング・オフ制度が適用されます。万が一、不本意な売却をしてしまった場合でも、契約を取り消せる権利があることを知っておいてください。
6. よくある質問(Q&A):迷った時の道しるべ

遺品整理の現場では、些細な疑問こそが大きな不安の種になります。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思うような質問にこそ、失敗を防ぐヒントが隠されています。
ここでは、実際に弊社「お片づけの窓口」に寄せられる相談の中から、特に多い質問を厳選して回答します。
Q1. 30年前のピアノで、傷だらけです。本当に売れるんですか?
A. 諦める前に必ず査定に出してください。
外装の傷(擦り傷や打痕)は、専門業者がリペア(修復)できるため、致命的なマイナスにはなりません。それよりも重要なのは「内部の状態(響板の割れや水濡れがないか)」と「ブランド(YAMAHAかKAWAIか)」です。 「どうせ粗大ゴミだ」と思ってお金を払って処分した後に、実は10万円以上の価値があったと知るケースは後を絶ちません。まずは型番を伝えてみましょう。
Q2. ピアノ椅子やメトロノームだけ残っても困ります。一緒に処分できますか?
A. ほとんどの業者で可能です。
ピアノ専門業者の場合、純正の椅子(背もたれがあるタイプなど)はセットで買い取ってくれることが多いです。また、遺品整理業者の場合は、ピアノ以外の不用品(楽譜、メトロノーム、ピアノカバー、乾燥剤など)も全てまとめて回収可能です。 ただし、専門業者によっては「ピアノ本体のみ」しか運ばない場合もあるため、見積もり時に「付属品も全て持って行ってほしい」と伝えるのが確実です。
Q3. 「サイレント機能」がついているピアノはどうですか?
A. 実は需要が高く、プラス査定になることがあります。
ヘッドフォンで音が聞ける「サイレント機能(消音機能)」がついたアコースティックピアノは、マンション住まいの現代人にとって非常に人気があります。 ただし、サイレント機能部分(電子機器)が故障している場合は、その部分の修理費が差し引かれる可能性がありますが、ピアノとしての価値がゼロになるわけではありません。
Q4. 思い出として実家に残す場合、維持費はいくらかかりますか?
A. 最低でも年間1.5万円〜2万円は見ておきましょう。
ピアノは木とフェルトでできたデリケートな楽器です。弾かなくても以下のメンテナンスが必要です。
- 調律代: 年1回、約1.5万円〜
- 乾燥剤・防虫剤: 年数千円
- 除湿機の電気代: 梅雨時期などは必須
これを怠ると、数年で内部がカビだらけになり、いざ弾こうとした時には修理代が数十万円かかる「ただの重い箱」になってしまいます。管理する人がいない空き家での保管は、基本的におすすめしません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「いつか孫が弾くかも」という言葉は、遺品整理でよく聞くフレーズです。しかし、今のピアノを運搬・修理して使うよりも、その時にお孫さんに新品の電子ピアノを買ってあげる方が安く済むケースも多いです。「モノ」を残すことだけが愛情ではありませんよ。
Q5. 遠方に住んでいて立ち会えません。鍵を預けて作業してもらえますか?
A. 遺品整理業者なら対応可能な場合が多いですが、注意が必要です。
多くの遺品整理業者では、鍵を預かっての作業(委任状が必要)に対応しています。しかし、トラブル(作業後の「あれがない、これがない」)を防ぐため、可能な限り「作業開始時」と「完了時」だけでも、親族の方か代理人の方が立ち会うことを強くおすすめします。 どうしても立ち会えない場合は、作業前後の写真を送ってくれる業者を選びましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理でピアノの処分を終えた男女300名に「もっと早く知っておけばよかった(後悔した)知識」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- メーカーと型番だけで、電話で即座に概算価格がわかると知らなかった(45%)
- 2階からの搬出にクレーン代などの追加料金がかかる基準を知らなかった(25%)
- 椅子やインシュレーター(足元のお皿)も一緒に引き取ってもらえたこと(20%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年11月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

アンケート結果の1位にある通り、「わざわざ家に来てもらわなくても、電話で値段がわかる」という事実は意外と知られていません。この知識があるだけで、業者選びのハードルはぐっと下がります。
関連情報リンク
消費者庁が運営する「消費者ホットライン」など、困った時の相談窓口を知っておくと安心です。








