
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな人におすすめ
- オフィスの引っ越し(移転)担当者に任命された
- 「不用品処分」と「引っ越し準備」を同時に進めろと言われ、軽くパニック
- 「産業廃棄物?」「マニフェスト?」…何それ、美味しいの?という状態
- とにかく「安く」「楽に」「安全に」このミッションを終わらせたい
- 業者選びで絶対に失敗したくない
この記事でわかること
- オフィスの「引っ越し」不用品処分が、なぜ「通常」と全く違うのか
- 「引っ越し業者」と「不用品業者」…結局、どっちに頼むのが正解か
- 知らないと会社が罰せられる「産業廃棄物(産廃)」の超基本ルール
- PCや機密書類を安全に葬り去る方法(データ消去証明書とは?)
- 引っ越し費用を「不用品の買取」で相殺する賢いテクニック
- 担当者が最後にハマる「原状回復」という最大の罠
はじめに:オフィスの「引っ越し」不用品回収が「通常」と全く違うワケ

…あれは、忘れもしません。オフィス移転の2週間前。引っ越し業者の手配は終わったものの、旧オフィスには「持っていかないモノ」
——つまり大量の不用品がまだ手付かずでした。
私(当時、総務兼任)は思ってました。「まあ、最後は粗大ゴミで出せばいいか」と。 そして市役所に電話し、絶望しました。
「事業所から出るものは、一切受け付けられません」
これが全てです。 「オフィスの不用品処分」と、オフィスの「引っ越し」に伴う不用品処分は、似ているようで全くの別物です。
なぜなら、以下の2つの「壁」が立ちはだかるからです。
オフィスから出るごみの処理については、こちらも併せて読むと知識が深まります
タイムリミットという名の壁(「いつか」ではなく「Xデーまで」に全て処理)
普通の不用品処分は、「あの棚、邪魔だな。いつか捨てよう」です。 しかし、引っ越しは違います。
「X月X日の退去日までに、1ミリも残さず、完璧に空(から)にする」 これが絶対のミッションです。
「間に合いませんでした」は通用しません。 その日を過ぎれば、1日ごとに高額な延滞料(違約金)が発生する契約だってあります。このプレッシャーが、担当者の判断を鈍らせるんです。
あなたの会社のゴミは「粗大ゴミ」ではなく「産業廃棄物(産廃)」です
そして、これが最大の罠です。 私が電話口で固まったように、「会社のゴミは、家庭ゴミとは法律が違う」という事実を知らない担当者は意外と多い。
家庭ゴミ(一般廃棄物)は、自治体(市など)のルールで捨てられます。 しかし、会社や商店から出るゴミは「産業廃棄物(さんぱい)」、または「事業系一般廃棄物」です。
スチールデスク、椅子、パーテーション、PC、複合機……。 これらは全て「産業廃棄物」です。
どう違うの?
「産業廃棄物」は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づき、特別な許可を持った業者しか収集・運搬・処分ができないと定められています。
知らずに「無料で回収します」という軽トラの業者に頼んだりすると、不法投棄された場合、依頼したあなたの会社(排出事業者)も罰せられます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「産廃」と聞くと、なんだか汚泥や廃油をイメージしますよね。でも法律上は、オフィスから出る「金属くず(スチールデスクなど)」や「廃プラスチック類(椅子など)」も立派な産廃です。この認識のズレが、引っ越し間際のトラブルの元凶なんです。
参照リンク:
- 環境局:産業廃棄物の種類 (ここで「事業活動に伴って生じた廃棄物」が何たるかを確認してください)
- e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (法律の原文です。罰則規定などもここにあります)
時間がない。でも、法律も守らないといけない。 この記事は、そんな八方ふさがりの状況にいる担当者さん(かつての私)に向けて書いています。
どうすれば「安く」「楽に」「安全に」このミッションをクリアできるのか? その答えを、順を追って解説します。
2. 【最重要】業者の選択肢は3つ。結局、どれが正解?

当時、私も「引っ越し業者」と「不用品回収業者」の両方から見積もりを取りました。そして、同じスチールデスクの群れを見て、こう言われたんです。
- 引っ越し業者A:「あ、これ全部? 処分費で5万円ですね」
- 不用品業者B:「これはウチで買い取れます。1万円ですね」
同じモノが、片や「マイナス5万円」、片や「プラス1万円」。 その差、6万円。 「じゃあB社で!」と即答したいところですが、B社はこう続けました。 「ただ、搬出は引っ越しの日とは別日でお願いしたいんですが…」
…ダメだ。引っ越しと退去は同日。そんな時間はない。 これが、オフィス引っ越しにおける「業者選びの沼」です。
選択肢は、突き詰めると以下の3つしかありません。
選択肢1:引っ越し業者に「全部おまかせ」(ワンストップ)
これは、担当者が最も夢見る「楽ちんコース」です。 引っ越し業者に「これは新オフィスへ」「これは処分」と指示するだけ。
引っ越し当日に、新オフィスへ向かうトラックと、廃棄物処理場へ向かうトラックが同時に出発し、旧オフィスは空っぽになります。 窓口が一本なのは、精神的に本当に、本当に楽です。
ただし、落とし穴があります。
彼らの本業は「運ぶ」こと。「捨てる」ことや「買う」ことは専門外です。
(私が経験したように)彼らにとって不用品は「処分すべき障害物」。 そのため、まだ価値があるモノでも「処分費」として見積もられるか、買い取られてもタダ同然のことが多い。
こんな人向け
予算に余裕があり、1円でも安くするより「担当者の手間」と「スケジュール」を最優先したい会社。
選択肢2:不用品回収業者に「別途依頼」
これは「安さ」と「専門性」を追求するコースです。
彼らは「産廃処理」と「中古オフィス家具の買取」のプロフェッショナル。 スチールデスクは「鉄くず」として、オカムラの椅子は「中古品」として、適正な価格で買い取ってくれる可能性が一番高いです。 もちろん、前述した「産廃許可」や「マニフェスト発行」も慣れたもの。
最大のデメリットは「手間」です。
引っ越し業者(A社)と不用品回収業者(B社)の2社とやり取りし、見積もりを取り、スケジュールを調整する必要があります。
最悪のパターンは、引っ越し当日に「あれ、この棚はA社が持っていくの? B社が持っていくの?」という混乱が現場で発生することです。(想像しただけで胃が痛い…)
こんな人向け
手間を惜しまず、1円でも高く売りたい。廃棄の法律関係をきっちりクリアしたい会社。
選択肢3:引っ越し+不用品回収の「ハイブリッド業者」
これが、私たちがたどり着いた「最適解」に限りなく近い選択肢です。
最初から「オフィスの引っ越し」と「不用品買取・処分」の両方を本業として看板に掲げている業者です。
- 引っ越しのプロ(荷造り・運搬)
- 産廃処理のプロ(法律・マニフェスト)
- 買取のプロ(中古市場の相場)
これら全てを自社(または強力な連携)で持っています。 窓口は一つ。「選択肢1」の楽さがありながら、「選択肢2」の専門性と買取価格も期待できる。「いいとこ取り」です。
ただし、見極めが重要です。
単なる引っ越し業者が「不用品もやれますよ(=下請けに丸投げ)」と言っているだけなのか、本当に自社で「産廃許可」を持ち、買取までやっているのか。
「オフィスの移転・原状回復・不用品買取」を全て自社でやっている業者は、このミッションにおいて最強のパートナーになります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

業者の実力を見抜くには、見積もり依頼の時に「御社の『産業廃棄物収集運搬業許可』の許可番号を教えてください」と「データ消去証明書は発行できますか?」の2つを必ず聞いてください。ここで即答できる業者は、オフィス案件に慣れている「プロ」です。逆に言葉を濁す業者は、実態は「選択肢1(丸投げ業者)」かもしれません。
3. 【法律】知らないと罰せられる!?「産廃」と「マニフェスト」の常識

「法律」と聞いただけで、拒否反応が出ますよね。わかります。当時の私もそうでした。 しかし、これを知らないと、引っ越しが終わった数ヶ月後に「警察から電話がかかってくる」という最悪の事態になりかねません。
これは脅しではありません。事実です。
なぜ、あんなに口酸っぱく「業者を選べ」と言うのか。 それは、あなたの会社を守るためです。
なぜオフィスのゴミは「産業廃棄物」なのか
ここは「そういうルールだから」と丸暗記してください。 法律(廃棄物処理法)で、「事業活動に伴って生じた廃棄物」のうち、定められた20種類のものが「産業廃棄物(産廃)」と決まっています。
- スチールデスク、ロッカー
→ 金属くず - オフィスチェア、パーテーション
→ 廃プラスチック類 - PC、複合機
→ 金属くず、廃プラスチック類などの混合物 - 木製の棚
→ 木くず
これらは全て「産廃」です。
ポイントは、モノが同じでも「家庭から」出れば一般廃棄物、「会社から」出れば産業廃棄物になる、ということです。
無許可業者に頼むと、排出した「自社」も罰せられるリスク
これが、担当者が背負う最大のリスクです。
「安いから」と、街を巡回している軽トラや、ホームページの許可番号があやふやな業者に依頼したとします。 もし、その業者があなたの会社のデスクを山奥に不法投棄したら?
「悪いのは業者だ。こっちは金も払った被害者だ」
――この理屈は、法律上1ミリも通用しません。
廃棄物処理法では、ゴミを出した側(=あなたの会社)にも、それが適正に処理されるまで監督する「排出事業者責任」が課せられています。
無許可業者に依頼した時点で「法律違反(委託基準違反)」となり、最悪の場合、あなたの会社が罰金刑(または懲役刑)の対象となります。 引っ越し費用をケチったばかりに、会社の信用とカネを失う。これほど馬鹿げた話はありません。
「マニフェスト(管理票)」は必ず発行してもらう
「許可証OK!じゃあ安心」…ではありません。もう一つあります。
それが「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」です。
これは「ゴミの追跡伝票」のようなものです。
- あなたの会社(排出者)が「こんなゴミを、この業者に預けた」と記入。
- 運搬業者が「確かに預かった」と記入。
- 最終処分場が「確かに処分した」と記入。
- 最後に、処分完了の報告書(E票など)があなたの会社に戻ってくる。
この一連の流れが完了して、初めてあなたの会社の「排出事業者責任」は果たされます。
「マニフェスト?よくわからないんで、ウチはやってません」 こんな業者は、無免許運転のタクシーと同じです。絶対に依頼してはいけません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

マニフェストは、面倒な「手続き」ではありません。あなたの会社を守る「アリバイ(証明書)」です。万が一、不法投棄事件が起きた時、このマニフェストが「ウチは法律通り、適正な業者に、適正な処理を委託した」と証明する唯一の盾になります。引っ越しが終わった後、5年間は絶対に保管してください。
参照リンク:
- 環境省:排出事業者責任の概要 (あなたの会社にどんな責任があるのか、環境省の公式ページで確認を)
- 環境省:マニフェスト制度 (マニフェストがどのような仕組みか、図解されています)
4. 【セキュリティ】「データ」と「紙」を安全に葬り去る方法

引っ越し当日、旧オフィスはカオスでした。PCは床に積まれ、キャビネットからは古いファイルが溢れ、誰でも触り放題。その時、ゾッとしました。
「……情報漏洩って、こういう瞬間に起こるんだな」と。
「産廃」が法律(会社の外)の問題なら、「セキュリティ」は会社の信用(顧客)に関わる問題です。 引っ越しで捨てるモノは、すべて「元・会社の機密情報」だと思ってください。
これを安全に葬り去る方法は、たった2つです。
PC・HDD・サーバー:「データ消去証明書」は必須
「PCなんて、初期化(フォーマット)すればいいんでしょ?」
甘いです。 フォーマットしたデータなんて、専門ソフトで簡単に復元できます。
「じゃあ、ドリルで穴を開ければいい?」 それもいいですが、引っ越し担当者が何十台ものHDDにドリルで穴を開けますか? できませんよね。
当時、私も「物理的に壊せば安心」と信じていました。しかし、業者は「それより大事なものがありますよ」と言いました。
それが「データ消去証明書」です。
これは「いつ、誰が、どのPC(シリアル番号)のデータを、どんな方法(例:NIST方式など)で、確実に消去したか」を業者が公式に証明する書類です。
- 物理的に破壊しようが、
- 強力なソフトでデータを上書き(ゼロ書き)しようが、
最終的にあなたの会社(担当者)を守ってくれるのは、「やった」という自己満足ではなく、この「証明書」という紙切れ一枚です。 この証明書発行に対応できる業者かどうか、必ず確認してください。
【盲点】リース複合機のデータ消去も忘れずに
引っ越しで一番見落としがちなのが、これです。
リース会社に返却する、あの複合機(コピー機)。
あれは「HDDの塊」です。 中には、過去のスキャンデータ、FAXの送受信履歴、そして全社員のメールアドレス帳(宛先表)がギッシリ詰まっています。
私もうっかり「リース会社がやってくれるだろう」と思っていました。しかし、契約書を読んだら「データ消去の責任は賃借人(ウチの会社)にある」と書いてあり、血の気が引きました。
返却前に「管理者モード」に入ってデータを消去する必要がありますが、素人には困難です。 不用品回収業者や引っ越し業者に、「リース複合機のデータ消去(またはそのサポート)」も可能か、必ず確認してください。
大量の機密書類は「溶解処理証明書」付きで処分
引っ越しは「大掃除」です。 普段は鍵付きキャビネットに眠っている、古い契約書、人事ファイル、会計書類がダンボール何十箱分も出てきます。
私もやりました。総務3人で、業務用のデカいシュレッダーを3日間フル稼働。結果、シュレッダーが熱で止まり、作業は終わらず、途方に暮れました。
シュレッダーは不可能です。諦めてください。
正解は「溶解処理」です。
業者が「開かずのダンボール」ごとトラックに積み込み、そのまま製紙工場の溶解炉(ドロドロに溶かす釜)に放り込むサービスです。 これなら、途中で誰かに見られる心配はゼロです。
そして、ここでも「データ消去証明書」と同じく、「溶解処理証明書」を必ず発行してもらいます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

セキュリティ対策は、「やった(つもり)」が一番危険です。「データ消去証明書」と「溶解処理証明書」。これらは、万が一、情報漏洩を疑われた時に「当社は、やるべきことを完璧にやりました」と証明する、最強の「盾」です。マニフェストと一緒に、法務・総務の重要書類として保管しましょう。
5. 【コスト戦略】引っ越し費用を「買取」で相殺する賢いテクニック
引っ越し業者の見積もりを見て、私は目玉が飛び出ました。高い。想像の1.5倍は高い。 途方に暮れた私は、旧オフィスに残す「不用品」の山に目を向けました。
「そうだ。これを売れば、費用の足しになるんじゃないか?」
淡い期待を胸に、買取業者を呼んだあの日。 「ああ、そのメーカー椅子(オカムラ)は買い取れますね、5,000円です」 「よっしゃ!」 「でも、そっちのスチールデスク20台。これは重いし古いから…廃棄費で6万円ですね」 「……え?」
「捨てる」行為が「お金を払う(マイナス)」行為だと、この時やっと腹落ちしました。 オフィス引っ越しのコスト戦略は、単純な「売却」ではありません。 いかに「マイナス(廃棄費)」を「プラス(買取額)」で相殺(そうさい)するか。
この「トータルでの損益計算」が全てです。
高く売れるモノ(ヒーロー)と、お金がかかるモノ(ヴィラン)
まず、あなたのオフィスにあるモノを「ヒーロー(金になる)」と「ヴィラン(金を取られる)」に仕分けする目を持ってください。
ヒーロー(高く売れるモノ)
- 有名メーカーの椅子
- オカムラ、コクヨ、イトーキ、ハーマンミラー、スチールケースなど。
- これらは鉄板です。多少古くても値がつきます。
- 購入5年以内の新しい什器
- デスク、書庫、ロッカーなど。新しければメーカー問わず売れます。
- まだ使えるOA機器
- PC(特にノート)、液晶モニター、プロジェクター、ビジネスフォンなど。
ヴィラン(逆にお金がかかるモノ)
- 古いスチールデスク・書庫
- (私が愕然としたように)これらは「中古品」ではなく「鉄くず」扱いです。重い分、搬出・処分費がかさみます。
- パーテーション
- 最大の敵です。「解体費」+「搬出費」+「廃棄費」のトリプルパンチを食らいます。
- ボロボロの椅子、メーカー不明の什器
- 再販価値がないため、純粋な「産業廃棄物」として処理されます。
見積もりで確認:「廃棄コスト」と「買取金額」を相殺できるか
ここが業者選びの最重要ポイントです。
ダメな業者:「買取は3万円です。(ニコッ) あと廃棄費は別途10万円ですね(真顔)」これでは、担当者は2つの財布(売上と経費)を管理せねばならず、面倒です。
良い業者:「買取総額が3万円、廃棄コストが10万円。ですので、差し引き7万円を処分費としてご請求します」
この「相殺(そうさい)処理」に対応してくれる業者を探してください。
窓口が一つになり、会計処理も「(引っ越し関連)雑損失 7万円」と一本化できます。
※私が最終的に選んだ業者は、まさにこれでした。廃棄費が買取額を上回りましたが、その明瞭会計だけで信頼できました。
相見積もりで見るべきは「総額」より「内訳」
引っ越しで焦っている担当者は「総額」だけで判断しがちです。
- A社:「全部まとめて、処分費5万円です!」
- B社:「買取が3万円、処分費が10万円。差し引き7万円の処分費です」
A社が安く見えますよね? しかし、ここでA社の見積書に「一式 5万円」としか書かれていなかったら?
私は疑いました。なぜ安い? まさか、あのオカムラの椅子も「ゴミ扱い」で計算されてるんじゃ…?
「一式」という見積もりは、絶対に信用してはいけません。
B社のように、「何がいくらで売れて(プラス)」「何がいくらで廃棄になる(マイナス)」なのか、その「内訳(計算式)」を明確に出させるべきです。
内訳が不透明なA社は、価値あるモノをタダ同然で引き取り、廃棄費に上乗せしているだけの「どんぶり勘定」かもしれません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

買取価格を少しでも上げたいなら、「単品」ではなく「セット」で交渉することです。「椅子1脚」より「椅子20脚セット」の方が、業者は「次のオフィスにまとめて再販できる」と判断し、高く買い取ってくれます。見積もり時には「このデスクと椅子のセットで使ってました」とアピールしましょう。
6. 【最後の罠】「原状回復」も見えていますか? それも「不用品」です
あれは、引っ越し当日。最後のダンボールが運び出され、オフィスは空っぽになりました。私は「終わった…」と、ガランとしたフロアで息をつきました。
その時、ビル管理会社の担当者が、壁を指差して言ったんです。
「では、このパーテーションの撤去は、いつ入りますか?」
「……え?」
私、凍りつきました。すっかり忘れていたんです。この会議室を仕切るパーテーションも、自分たちで敷いた安っぽいタイルカーペットも、すべて「撤去」しなければならないことを。
これが、オフィス引っ越しの「最後の罠」です。
不用品がなくなっても、終わりじゃない。
自社で設置したモノは、すべて「超大型の不用品」
賃貸契約の基本は「原状回復」です。借りた時の状態に戻して返す、というルール。 つまり、あなたの会社が設置したこれらは、すべて「撤去すべき不用品」です。
- パーテーション(間仕切り)
- 造作棚(壁に作り付けた棚)
- 後から敷いたタイルカーペット
- エントランスの看板や社名プレート
- 追加で引いたLANケーブルや電源コンセント
これらは、もはや「ゴミ」ですらありません。 「解体」と「撤去」が必要な、「建設・内装工事」の領域です。
あの時の私の絶望、わかりますか?不用品回収業者は「産廃」のプロですが、「内装解体」のプロではないんです。「それはウチの仕事じゃないですよ」と、あっさり断られました。
「原状回復工事」まで一括で頼めると担当者は泣いて喜ぶ
退去日まであと数日。 そこから慌てて「内装解体業者」を探し、見積もりを取り、ビルに工事申請を出す…
無理です。絶対に間に合わない。私は本気でそう思いました。
ここで、第2章の「業者の選択肢」に戻ります。 最強のパートナーは「ハイブリッド業者」だと書きました。 その「真のハイブリッド業者」とは、これらすべてを「一括」で請け負う会社です。
- 引っ越し(新オフィスへの運搬)
- 不用品買取・処分(産廃処理・マニフェスト)
- 原状回復工事(パーテーション解体・撤去・内装工事)
引っ越しチームがモノを運び出し、 不用品チームがゴミを撤去し、 その直後に、解体チームがパーテーションをバラし始める。
このシームレスな連携。 担当者がやることは、最初の指示と最後の確認だけ。 これを一社にまとめて頼めた時の安心感と手間の削減は、経験した者でないとわからないレベルです。(私が泣いて喜んだのは、言うまでもありません)
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「原状回復」の範囲は、あなたの会社とビルオーナーとの「賃貸借契約書」に全て書かれています。「スケルトン返し(コンクリート打ちっ放しまで戻す)」「標準仕様返し(入居時のカーペットまで貼り直す)」など、契約によって天と地ほどの差があります。不用品業者に連絡する前に、まず契約書を引っ張り出して「ゴール(あるべき姿)」を確認してください。それが全ての始まりです。
この記事終わりに
オフィスの引っ越し担当者なんて、誰もやりたがりません。 本業の合間に、訳のわからない「産廃」だの「原状回復」だのを調べ、何社も見積もりを取り、上司には「まだ高い」と言われ、現場からは「あれがない」と文句を言われる。
はっきり言って、割に合わない仕事です。
ですが、この記事を読んだあなたは、もう大丈夫。 少なくとも、どんな危険(法律・セキュリティ)があり、どんな選択肢(業者)があり、何を確認すべき(チェックリスト)か、その「武器」はすべて手に入れたはずです。
あの日の私のように、たった一人で抱え込まないでください。 あなたの仕事は、スチールデスクを運ぶことではありません。 あなたのミッションは、この記事で得た知識を使って、信頼できるプロの業者を見つけ出し、彼らを使いこなすことです。
あなたの会社の、そしてあなた自身の「新しいスタート」が、トラブルなく最高のものになることを、心から祈っています。 (健闘を祈ります!)







