
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな人におすすめ
- 実家が「賃貸」で、1日でも早く解約して無駄な家賃を払いたくない方
- 「49日前に片付けるのは薄情?」と迷いや罪悪感があり、一歩踏み出せない方
- 法要の当日に親族と「形見分け」で揉めず、円満に全てを終わらせたい方
この記事でわかること
- 家賃の発生を最小限に抑える、49日法要からの「逆算スケジュール」
- 捨てると解約手続きがストップしてしまう「重要書類・アイテム」の完全リスト
- 「勝手に捨てた」と親族に言わせないための、写真を使った根回し術
第1章 49日前に片付けを始める「実務的なメリット」と判断基準
「49日が過ぎるまでは、何も動かしてはいけない気がする」
正直にお話しします。私も数年前、父を見送った時に全く同じことを思っていました。まだ父のパジャマがそこにあるのに、ゴミ袋に入れるなんて薄情なんじゃないかと。
しかし、現実は待ってくれませんでした。実家が賃貸だった私は、この「躊躇」のせいで、払う必要のなかった家賃と管理費、合わせて約18万円をドブに捨てることになったのです。
ここでは、感情論はいったん横に置き、49日前に動き出すことが「現実生活」においてどれだけあなたを助けるか、実務的なメリットだけを洗いざらいお伝えします。
1. 賃貸の「家賃」は、あなたの悲しみに関係なく発生する
もし実家が持ち家なら、この項目は飛ばしても構いません。しかし、賃貸にお住まいの方が49日(約1ヶ月半)を待つということは、最低でも2ヶ月分の家賃が余計にかかることを意味します。
多くの賃貸契約には「解約予告期間」というものがあります。「今日解約します」と言っても、そこから1ヶ月後(あるいは2ヶ月後)まで家賃を払い続けなければならないという契約です。
私が失敗したのはここです。49日法要が終わってから管理会社に電話をしたところ、「解約予告は1ヶ月前までですので、来月の末分までお支払いいただきます」と事務的に告げられました。部屋はもう空っぽなのに、です。
お片づけの窓口 独自アンケート
遺品整理を経験した男女350名に「整理のタイミングで最も金銭的に損をしたと感じたこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 解約予告が遅れて余分な家賃が発生した(62%)
- 急いで業者を手配したため割高な料金になった(21%)
- 解約した後に必要な書類が見つかり再発行手数料がかかった(10%)
- その他(7%)
※調査期間:2024年1月〜3月 対象:自社へご相談いただいた遺品整理経験者

実に6割以上の人が、私と同じようにお金の問題で後悔しています。49日を待つという選択は、「数万〜数十万円の追加料金を払って、部屋をキープする」という贅沢な契約更新と同じことなのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

まずは今すぐ、実家の「賃貸借契約書」を探してください。そこに「解約予告は〇ヶ月前まで」と書いてあるはずです。もし「2ヶ月前」とあれば、今すぐ電話しないと傷口が広がります。管理会社への連絡は「退去の意思表示」だけでOK。部屋の片付けが終わっていなくても連絡は可能です。
2. 親族が集まる日は「最強の引越し日」になる
49日法要には、普段会わない親族が集まります。「法要の日に片付けなんて不謹慎だ」と思われるかもしれませんが、実は逆です。これほど「力仕事の人手」と「形見分けの配送便」が揃う日はありません。
私が担当したあるご家族の例ですが、49日法要を実家の近くの会館で行い、その足で親族全員に実家に寄ってもらっていました。そこで何をしたかというと:
- 大物の搬出: 男手が4人いたので、タンスや冷蔵庫をその場で指定場所まで動かせた。
- 形見の持ち帰り: 叔母や従兄弟が、車で来ていたので「欲しかった座卓」や「着物」をその場で積んで帰ってくれた。
これを一人でやろうとすると、業者に依頼して「配送料」がかかります。親族が自分の車で持ち帰ってくれれば、送料は0円です。
49日法要を「単なる儀式」にするか、「実家じまいの総仕上げ」にするかで、その後のあなたの負担は天と地ほど変わります。
3. 誰もいない家は、あっという間に「リスク」になる
「49日までそのままにしておく」というのは、約1ヶ月半、家を無防備な状態にするということです。
- 郵便受け: チラシが溢れ、「ここは空き家です」と泥棒に宣伝している状態になる。
- 冷蔵庫: 中身が入ったままだと、腐敗して強烈な異臭を放ち、害虫(ゴキブリ等)の温床になる。
- 水回り: 長期間水を使わないと、排水管の「封水(ふうすい)」が蒸発し、下水の臭いが部屋中に充満する。
これらは「オカルト的な恐怖」ではなく、「物理的な汚染」です。
特に夏場の場合、冷蔵庫の中身だけでも49日前に処分しておかないと、法要の日に玄関を開けた瞬間、親族が鼻をつまむことになります。そんな状態で故人を偲ぶことはできません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

まだ電気を止めていないなら、冷蔵庫の中身を捨てた後も、コンセントは抜かないでください。掃除をして乾燥させてから抜かないと、庫内にカビが大発生します。「中身だけ捨てて、電気は通しておく」。これが49日まで部屋を維持するコツです。
参照リンク
第2章 49日法要から逆算する「整理スケジュール」の組み方

「49日法要まであと1ヶ月あるから、週末に少しずつやれば終わるだろう」
かつて私もそう思ってカレンダーを眺めていました。しかし、これは大きな間違いです。なぜなら、一般の家庭ごみの回収日は週に2回しかなく、1ヶ月あっても実質「8回」しか捨てるチャンスがないからです。
この章では、精神論ではなく、物理的に「間に合わせる」ための逆算スケジュールを、私の失敗談を交えて解説します。
1. 「法要当日」をどこでやるか?これでゴールが変わる
スケジュールを組む前に、まず決めなければならないのが「法要の会場」です。これで片付けのゴール(完成形)が180度変わるからです。
- パターンA:実家(アパート・家)で法要を行う場合
- ゴール: 生活感(ガラクタ)は消すが、家具と座布団、湯呑みは残す。
- 注意点: 全部捨ててしまうと、お坊さんや親族を地べたに座らせることになります。私はこれをやりかけました。業者のトラックが来る直前に母に「お坊さんの座布団まで捨てる気!?」と怒鳴られてハッとしたのです。
- パターンB:お寺やセレモニーホールで行う場合
- ゴール: 完全撤去(空っぽ)を目指す。
- 注意点: 法要が終わった後、親族が「ちょっと実家に寄って懐かしみたい」と言い出すことがあります。その時、部屋が空っぽだと寂しい空気が流れますが、「退去のため」と割り切る強さが必要です。
賃貸の解約を急ぐなら、迷わず「パターンB(外部会場)」を選んでください。実家でやると、必ず「法要が終わってから片付けよう」という甘えが出て、退去が1ヶ月遅れます。
お片づけの窓口 独自アンケート
遺品整理経験者(賃貸物件の整理を行った男女200名)に「スケジュール管理で最も失敗したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 自治体の「粗大ごみ回収日」が予約一杯で間に合わなかった(55%)
- 法要の準備(案内状・手配)で週末が潰れ、作業できなかった(25%)
- 親族と日程が合わず、一人で作業することになった(15%)
- その他(5%)
※調査期間:2024年4月〜6月 対象:自社へご相談いただいた遺品整理経験者

この結果が示す通り、「捨てたくても捨てられない(回収日が来ない)」というのが最大の罠です。
2. 退去立ち会いを「法要の翌日」にする黄金パターン
遠方に住んでいる場合、何度も実家に帰るのは交通費の無駄です。私が推奨するスケジュール「法要と退去立ち会いのセット化」が、最も効率的です。
- 49日の2週間前: 業者によるメインの片付け・搬出完了(部屋を空にする)。
- 49日の1週間前: 掃除と、忘れ物がないかの最終チェック(日帰り可)。
- 49日法要当日: 外部会場で法要。その後、親族と食事。
- 法要の翌日: 管理会社との「退去立ち会い」を行い、鍵を返却して終了。
このスケジュールの肝は、法要当日にはもう部屋が空っぽであることです。 多くの人が「法要のついでに片付けよう」としますが、喪服を着てホコリまみれの作業はできません。法要はあくまで「お別れの儀式」に集中し、物理的な作業はその前に終わらせておくのが鉄則です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

管理会社への「退去立ち会い予約」は、引っ越しシーズン(2月〜4月)だと2週間前でも取れないことがあります。片付けの業者を探す前に、まずは管理会社に電話して「〇月〇日(法要の翌日)に立ち会いをお願いできますか?」と枠を押さえてしまいましょう。これが決まれば、あとはやるしかなくなります。
3. 間に合わせるための「ゴミの日」カレンダー攻略
業者を使わず自分たちで片付ける場合、敵は「行政のルール」です。
私が実家を片付けた際、可燃ごみは出せましたが、「不燃ごみ(陶器・ガラス類)」が月に1回しか回収日がなく、その日を逃してしまいました。結局、大量の食器を自分の車に積んで、自宅まで持ち帰る羽目になりました。
49日前に完遂するための手順は以下の通りです。
- クリーンセンター(清掃工場)の持ち込みルールを調べる
- 回収日を待つのではなく、レンタカーのトラックを借りて「自分で持ち込む」のが最短です。ただし、最近は「2週間前までの事前予約制」の自治体が増えています。
- スプレー缶・ライター・電池を最初に探す
- これらは捨て方が特殊で、まとめて捨てられません。作業終盤に出てくると処理に困り、結局持ち帰ることになります。最初に見つけ出して、それぞれの回収日に確実に出してください。
行政の回収を待っていると、49日には絶対に間に合いません。「持ち込み(自己搬入)」ができるかどうか、今すぐ自治体のホームページを確認してください。
参照リンク
第3章 うっかり捨てると詰む「法要・手続き」必須アイテムリスト

「あれ? お父さんの位牌、どこに置いたっけ?」
これは、私が片付けの最中に血の気が引いた瞬間の一言です。大量のゴミ袋の山の中に、黒塗りの小さな箱が紛れ込んでしまっていたのです。もしあのままゴミ収集車に出していたらと思うと、今でもゾッとします。
片付けの勢いがつくと、人は「判断力」が麻痺し、大事なものまで「ただのモノ」に見えてきます。
この章では、49日法要と、その後の解約手続きにおいて「物理的にないと詰む(手続きがストップする)」アイテムをリスト化しました。これだけは、作業を始める前に「救出」してください。
1. 当日の法要・納骨で「物理的に必要になるもの」
49日法要は、故人が家からお墓へ移る重要な日です。ここで忘れ物をすると、親族全員を待たせることになります。
特に危険なのが「埋葬許可証(火葬許可証)」です。
これは骨壷が入っている木箱の中に一緒に入っていることが多いのですが、箱を捨てようとして誤って中身ごと処分してしまうケースがあります。これがないと、当日お墓に行っても納骨させてもらえません。再発行には役所での手続きが必要で、当日はアウトです。
法要当日の絶対確保リスト
- 位牌(本位牌・白木位牌): 仏壇の引き出しや、祭壇の裏に隠れていないか確認。
- 遺影写真: 額縁が古くて捨てようとした際、中の写真を抜き忘れないように。
- 埋葬許可証: 骨箱の中、もしくは骨壷の覆いの中に挟まっていることが多い。
- 数珠: 喪服のポケットに入れたままクリーニングに出したり、箪笥の奥に忘れたりしがちです。
2. 解約手続き完了まで「絶対に手元に残すべき」書類
「通帳と印鑑は確保したから大丈夫」と思っていませんか?
実は、本当に解約手続きで困るのは「ただの紙切れ」に見える書類です。
私が一番苦労したのは、公共料金(電気・ガス・水道)の解約です。電話口で必ず「お客様番号」を聞かれます。 「検針票(レシート)」をすべてゴミとして捨ててしまっていたため、契約の特定に時間がかかり、解約手続きが数日遅れました。その間も基本料金は発生し続けます。
お片づけの窓口 独自アンケート
遺品整理を終えた男女300名に「捨ててしまって後悔した、手続きに関する書類・モノ」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 公共料金の検針票・領収書(45%)
- 理由:お客様番号がわからず、解約の電話がスムーズに進まなかった。
- スマートフォンのパスコードメモ(25%)
- 理由:ロックが開けられず、サブスク契約の解約や写真データの取り出しが不能になった。
- 家のスペアキー(20%)
- 理由:退去時に「鍵は3本あったはず」と言われ、紛失代金を請求された。
- その他(10%)
※調査期間:2024年2月〜4月 対象:自社へご相談いただいた遺品整理経験者

特にスマホのパスコードは致命的です。手帳やカレンダーの裏などにメモが残っていないか、ゴミ袋に入れる前に必ず紙類は一枚ずつ確認してください。
3. 「重要物ボックス」は透明なケースで作る
これらを確保しても、その辺に置いておくと、手伝いに来た親族や業者が「これゴミ?」と捨ててしまうリスクがあります。
私は、「中身が見える透明な衣装ケース」を1つ用意し、そこに「絶対捨てないもの」と書いたテープを貼り、確保したものをすべて投げ込みました。
不透明なダンボールだと、作業中に誤って搬出されてしまう恐れがあるからです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

確保した重要書類や位牌は、絶対に「床」に置かないでください。遺品整理の現場では、床にあるものはすべて「ゴミ」と認識されるリスクがあります。確保したボックスは、必ず「テーブルの上」や「玄関の下駄箱の上」など、腰より高い位置に隔離してください。これが誤廃棄を防ぐ唯一の物理的対策です。
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第4章 親族トラブルを防ぐ「モノ」の事前確認と根回し

「おばあちゃんの着物、私が欲しかったのに、もう捨てちゃったの?」
49日の法要が終わったあとの会食で、従姉妹からこう言われた時、背筋が凍りました。私は良かれと思って、カビ臭い古い着物を全て処分してしまっていたのです。「もっと早く言ってよ」と喉まで出かかりましたが、後の祭りでした。
遺品整理で最も恐ろしいのは、幽霊でもゴミの量でもなく、「後からやってくる親族のクレーム」です。
この章では、善意で動いたあなたが悪者にならないための、鉄壁の防衛策(根回し)を伝授します。
1. 「勝手に捨てた」と言わせないための「期限付きLINE」
遠方の親族といちいち電話で確認するのは不可能です。しかし、確認なしで捨てるとトラブルになります。 私が実践して効果的だったのは、親族グループLINEを使った「公開処刑ならぬ、公開確認」です。
やり方は簡単です。 迷うモノ(着物、アルバム、コレクション棚など)の写真を撮り、LINEに投稿します。そして、必ずこう付け加えてください。
「〇月〇日までに連絡がなければ、業者に引き渡します」
この「期限」を切ることが重要です。
「どうしようか?」と相談してはいけません。「いつか取りに行く」と言われ、永遠に片付かないからです。「捨てる」という決定事項を前提に、救済措置の期間を設けるというスタンスを崩さないでください。
お片づけの窓口 独自アンケート
遺品整理で親族トラブルを経験した男女250名に「トラブルの引き金になった具体的な行動」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 相談なしに趣味の品や衣類を処分した(58%)
- 金目のもの(貴金属)を独断で換金した(22%)
- 形見分けの配分が不公平だと不満が出た(15%)
- その他(5%)
※調査期間:2024年3月〜5月 対象:自社へご相談いただいたトラブル経験者

約6割が「相談なしの処分」で揉めています。逆に言えば、LINE一本で証拠を残しておけば、後で何を言われても「あの時、写真は送ったよね?」と、あなたの身を守る盾になります。
2. 欲しい形見は「49日当日」に強制的に持ち帰らせる
「これ欲しいから、今度取りに行くね」 これは絶対に信じてはいけません。その「今度」は永遠に来ず、あなたがその荷物を管理し続けることになります。
私は心を鬼にして、こう伝えました。
「退去日が決まっているから、49日の法要の時に持って帰れないなら、その翌日に処分します」
実家が賃貸の場合、これは脅しではなく事実です。 大きな家具や家電を欲しがる親族がいる場合は、法要の当日に車で来てもらうか、その場であなたがクロネコヤマト等の集荷予約を入れて、送料着払いで伝票を書いてもらいましょう。
「モノの移動」は、親族が集まっているその瞬間に完結させる。これを徹底しないと、実家じまいは終わりません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

もし、すでに捨ててしまった後に「あれが欲しかった」と言われたら、正直に「捨てた」と言うと角が立ちます。嘘も方便ですが、「確認したら虫食いがひどくて、衛生的に残せる状態じゃなかったから、泣く泣く処分したよ」と伝えてください。相手も「それなら仕方ない」と納得しやすく、あなたの「捨てた罪悪感」も攻撃されずに済みます。
3. 換金したモノは「レシート」が身の潔白を証明する
貴金属や骨董品が出てきた場合、リサイクルショップや買取業者に売ることもあるでしょう。ここで注意すべきは、親族の「過大評価」です。
あなたが5,000円で売った指輪を、親族は「あれは50万円したはずだ」と思い込んでいることがあります。後になって「遺産を勝手にポケットに入れた」と疑われないために、買取明細(レシート)は1円単位まで全て保管し、スマホで撮影して共有してください。
「これだけ売って、合計で12,000円にしかならなかった。これは法要の食事代の足しにします」 と明朗会計にしておけば、誰も文句は言えません。お金の問題は、金額の多寡ではなく「不透明さ」が疑心暗鬼を生みます。
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第5章 時間がない中で業者に依頼する場合の選び方

「申し訳ありません、今の時期は繁忙期でして、作業に入れるのは来月中旬になります」
49日法要まであと10日。焦って電話した3社連続でこう断られた時、私は目の前が真っ暗になりました。ネットで「即日対応」と書いてあっても、実際はそうではないことがほとんどだったのです。
時間が迫っている時、私たちはつい「どこでもいいからやってくれ」と判断能力を失いがちです。しかし、そこにつけ込む悪徳業者も存在します。
この章では、タイムリミットが迫る中で、「確実に期限内に終わらせる」かつ「ボッタクリに遭わない」ための、プロの見極め方を実体験からお話しします。
1. HPの「即日対応」を信じるな。「トラックの台数」を聞け
ホームページの「最短即日!」という言葉は、単なる広告文句だと思ってください。 本当にスピード対応ができる業者かどうかを見抜くには、電話口でたった一つの質問をするだけで分かります。
「自社でトラックを何台持っていますか?」
私が断られ続けた後、救ってくれた業者はこう答えました。「自社で8台稼働させているので、明後日の午後ならチームを回せます」。 逆に、対応が遅い業者は「確認して折り返します」と言います。これは、提携している別の運送会社や、レンタカーの空き状況を確認しているからです。
自社トラックと自社スタッフ(アルバイトではなく社員)がいない業者は、急なトラブルや変更に対応できません。「自前で動ける足」を持っているかどうかが、締め切りを守れるかの分かれ道です。
お片づけの窓口 独自アンケート
「急ぎ(問い合わせから2週間以内)」で業者に依頼した男女200名に「業者選びで失敗したと感じたポイント」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 作業当日に「予定より荷物が多い」と追加料金を請求された(48%)
- 作業員が少なすぎて、予定時刻に終わらなかった(25%)
- 近隣から「作業音がうるさい・トラックが邪魔」と苦情が来た(15%)
- その他(12%)
※調査期間:2024年5月〜7月 対象:自社へご相談いただいた遺品整理経験者

約半数が「追加料金」トラブルに遭っています。これは、時間がないからと「電話だけの見積もり」で済ませようとした結果、当日現場を見た業者に足元を見られるパターンです。どんなに急いでいても、現地訪問見積もり(30分で終わります)だけは絶対に省略してはいけません。
2. 近隣への配慮:49日前の「罪悪感」を消すテクニック
49日も経っていないのに、実家からドカドカと荷物を運び出す様子は、近所の目が気になります。「薄情な子供たちだ」と噂されるのは避けたいものです。
私は契約前に、業者にこうリクエストしました。
「社名の入っていないトラックで、なるべく目立たずにやってくれませんか?」
まともな遺品整理業者であれば、このような事情には慣れっこです。
- 箱型トラック(中身が見えない)を使用する
- ダンボールに詰め込んでから運び出し、「引越し」のように見せる
- 早朝や夕方ではなく、住民が仕事に出ている平日の日中に集中させる
これらの配慮ができるかどうかも、優良業者の条件です。「とにかく早く終わらせればいいんでしょ」と、分別もせずゴミ袋を山積みにするような業者は、あなたの評判まで下げてしまいます。
3. 立会いなし・鍵預かりでの「完全丸投げ」も選択肢
仕事が休めず、立ち会う時間すらない場合、業者に「鍵」を預けて作業してもらうことも可能です。
私も最終日は仕事が抜けられず、鍵を預けて任せました。
ただし、これには条件があります。
事前に「残すものリスト(写真付き)」と「捨てるもの」の線引きを、書面でガチガチに固めておくことです。
「判断に迷ったら電話してください」と言っておくと、仕事中に電話が鳴り止まなくなります。 「この部屋にあるものは全て処分。ただし、仏壇の引き出しの中身だけは段ボールに入れて玄関に置いておく」といったように、誰が読んでも誤解しようがない指示書を渡せるなら、立ち会いなしでもトラブルは起きません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

見積もりに来たスタッフが、そのまま「作業当日のリーダー」になるか必ず確認してください。営業担当と現場担当が違う場合、急いでいる案件ほど「言った言わない」の伝達ミスが起きます。「見積もりした私が、責任を持って当日も指揮を執ります」と言ってくれる担当者なら、鍵を預けても安心です。
参照リンク
第6章 整理完了後の「実家」との最終確認

荷物が全てなくなり、ガランとした実家に一人で立つと、声が反響します。 「ああ、本当に終わったんだ」という安堵(あんど)と、急激な寂しさが押し寄せる瞬間です。
しかし、ここで感傷に浸って終わりにしてはいけません。 私が最後に直面したのは、「退去費用の請求」という現実的なトラブルでした。部屋が空になったからこそ、今まで隠れていた「傷」や「汚れ」があらわになり、管理会社との戦いが始まるのです。
この最終章では、あなたが最後まで損をしないための、退去時の防衛術と、心のクロージング(決着)についてお話しします。
1. 空になった部屋の「証拠写真」が敷金を守る
荷物を運び出した後、私はすぐに管理会社へ鍵を返そうとしました。しかし、知人の不動産業者に「絶対に写真を撮っておけ」と止められたのです。これが私の財布を救いました。
後日、管理会社から「床に大きな傷があるため、全面張り替え費用を敷金から引きます」と連絡がありました。 私は、退去直前に撮っておいた写真と、入居時(父が引っ越した当初)の古い写真を照らし合わせ、「これは家具を置く前からあった古い傷です」と証拠を提示できました。
もし写真がなければ、言われるがまま十数万円を引かれていたでしょう。
【お片づけの窓口 独自アンケート】
遺品整理後に賃貸物件を退去した男女200名に「退去精算(敷金返還)でトラブルになった経験」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 身に覚えのない傷や汚れの修繕費を請求された(42%)
- 「特約」を理由に、高額なクリーニング代を請求された(28%)
- 残置物(エアコンや照明)の撤去費用を請求された(15%)
- その他(15%)
※調査期間:2024年6月〜8月 対象:自社へご相談いただいた退去経験者

部屋が空っぽになったら、以下のポイントを必ずスマホで撮影してください(動画ならさらに良し)。
- 床の傷・へこみ(アップと引きの両方)
- 壁紙の変色(タバコのヤニや日焼け)
- 水回り(カビやカルキ汚れの状態)
これらは「思い出」のためではなく、「不当な請求から身を守るための武器」です。
2. 「鍵」の返却はスペアまで全て揃える
「鍵は1本返せばいい」と思っていませんか? 賃貸契約では、入居時に渡された「原本(マスターキー)」と「スペアキー」の全てを返却する義務があります。
私は父が合鍵をどこかに隠していないか、必死で探しました。もし1本でも足りないと、「シリンダー(鍵穴)ごとの交換費用」として数万円を請求されるからです。 業者が作業を終えた後、空っぽになった部屋の「カーテンレールの上」や「サッシの溝」などをもう一度見てください。高齢者は意外な場所に鍵を隠しています。
また、郵便物の転送届も忘れないでください。退去した後も、父宛ての重要な郵便物(役所関係や保険の控除証明書など)は届き続けます。郵便局で「転送届」を出せば、1年間はあなたの自宅へ転送してくれます。ネット(e転居)でも手続き可能です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遠方のため郵送で鍵を返す場合は、絶対に「簡易書留」や「レターパックプラス(赤色)」など、対面受け取りで記録が残る方法を使ってください。普通郵便で送って万が一紛失した場合、「鍵を返した・返していない」の水掛け論になり、家賃が発生し続けるという最悪の事態になります。
3. 最後に「5分だけ」部屋で過ごす儀式
これは実務の話ではありませんが、私がやって一番良かったことです。
全ての作業を終え、鍵をかける直前。コンビニで温かいお茶を買い、何もない部屋の真ん中に座って、5分だけボーッとしました。
「お父さん、全部片付けたよ。もう心配しないでね」 心の中でそう呟いて、お茶を飲み干しました。
49日前の慌ただしい整理は、どうしても「処理」になりがちです。だからこそ、最後に「空間とのお別れ」をする時間を意図的に作ってください。 この5分間があるだけで、その後の喪失感や、「本当に捨ててよかったのか」という罪悪感が、不思議とスッと消えていきます。
部屋を空にするのは、故人を忘れるためではありません。あなたが前を向いて生きていくために、必要な区切りなのです。
参照リンク
- 郵便局: 転居・転送サービス(e転居)
- 国土交通省: 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(退去費用のルール)
【補足】49日前の整理で「よくある疑問」Q&A
本文では触れきれなかった、細かいけれど気になる疑問に一問一答形式でお答えします。
Q1. 形見分けした品を、49日より前に使い始めてもいいですか?
A. 全く問題ありません。
故人の愛用していた時計を身につけたり、食器を使ったりすることは、最も手厚い供養になります。「49日までしまっておく」必要は実務上も宗教上もありません。むしろ、カビや劣化を防ぐためにも、早めに日常使いしてあげてください。
Q2. 遺影写真は処分してもいいのですか?
A. 処分可能です。
額縁は自治体のルールに従って不燃ごみや粗大ごみへ。中の写真は、白い紙に包んで可燃ごみとして出せます。どうしても心理的に抵抗がある場合は、遺品整理業者や神社での「お焚き上げ(供養)」を利用すると、気持ちよく手放せます。
Q3. 近所の人に「もう片付けるの?」と聞かれたら何と答えればいいですか?
A. 「賃貸の契約がありまして」が最強の回答です。
「手続きの関係で」「管理会社の決まりで」と、外部の強制力を理由にしてください。これなら「あなたの意思で急いでいる」のではなく「仕方なくやっている」という構図になり、相手も「ああ、それなら大変ね」と納得せざるを得ません。
記事のまとめ:あなたのその決断は、決して「薄情」ではありません
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「49日も経っていないのに、親の荷物を捨てるなんて……」 記事の冒頭で、そう葛藤していたあなたの心は、今少し軽くなっているでしょうか。
遺品整理の現場に立ち会ってきた私が、最後にお伝えしたい真実は一つです。
「故人は、あなたが家賃やトラブルで苦しむことを、絶対に望んでいない」
遺品整理は、亡くなった人のために行うものではありません。残されたあなたが、明日からの生活を笑顔で送るために行う「決着の儀式」です。
49日という数字に縛られて、無駄な家賃を払い、精神をすり減らす必要はありません。 あなたが一日も早く日常を取り戻すことこそが、最大の供養です。
どうぞ、自信を持って作業を進めてください。もし、荷物が多すぎて一人では背負いきれない時は、いつでも私たちプロを頼ってください。








