
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな人におすすめ
- 実家へ行っても、母の匂いがついた服や使いかけの化粧品を見ると涙が出て、手が止まってしまう人
- 「高かったのよ」と聞いていた着物や嫁入り道具を、二束三文でゴミのように扱われるのだけは避けたい人
- 父が存命で実家の片付けを嫌がったり、兄弟間で「形見分け」の意見が食い違っている人
- 自分たちだけでは限界を感じているが、男性スタッフに母の下着や寝室を見られることに抵抗がある人
この記事でわかること
- 「捨てると母を忘れてしまう気がする」という罪悪感を消し去る、心の持ち方と言い換えのテクニック
- 【判断チャート】着物・貴金属・手芸作品など、母特有の遺品の「残す・売る・寄付する」の正解ルート
- 放置すると数十万円の損? 賃貸解約のタイミングと、家族と揉めないための「実家の守り方」
- 悪徳業者を回避し、女性ならではの視点で丁寧に扱ってくれる「女性スタッフ対応業者」の探し方
1. なぜ「母親」の片付けはこれほど手が進まないのか

実家の玄関を開けた瞬間、鼻をかすめる「母の匂い」。 それだけで、足がすくんでしまう。 そんな経験をしているのは、あなただけではありません。
私自身、母を亡くした直後の整理では、鏡台に残された使いかけの口紅一本を捨てるのに、3時間も泣き崩れて動けなくなった経験があります。「これを捨てたら、母が生きていた証拠がまた一つ消えてしまう」という恐怖。それが、母親の遺品整理を特別なものにしています。
父親の遺品整理は、書類やコレクションなど「モノ」としての判断が比較的つきやすいのに対し、母親の遺品は衣類、手芸品、料理道具など「生活の痕跡」や「家族への愛情」が直接染み込んでいるため、脳が「処理」を拒絶してしまうのです。
捨てたら母を忘れてしまう気がする「罪悪感」の正体
整理を阻む最大の壁は、「捨てること=母を排除すること」という誤った等式です。 しかし、冷静に考えてみてください。母が大切にしていたのは「モノ」そのものでしょうか?それとも、そのモノを使って家族と過ごした「時間」でしょうか。
ボロボロになるまで使ったエプロンは、私たちにおいしいご飯を作ってくれた愛情の抜け殻です。その愛情はすでに私たちの記憶と血肉になっています。 「役目を終えたモノ」に感謝して手放すことは、決して「母を忘れること」ではありません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「捨てる」という言葉を使うのをやめてみましょう。「手放す」「卒業させる」と言い換えるだけで、脳への負担は驚くほど軽くなります。ゴミ袋ではなく、綺麗な紙袋や段ボールに入れるだけでも、罪悪感は軽減されますよ。
みんなはいつから始めた?焦らなくていい「心の時計」
「四十九日までにやらなければ」「一周忌までには空にしないと」 周囲の声や常識に焦らされることもあるでしょう。しかし、心の整理がつかないまま無理やり業者を入れてすべて処分し、後から深い後悔に襲われるケースが後を絶ちません。
法的な手続き(相続放棄など)には期限がありますが、心の整理に期限はありません。
ここで、実際に遺品整理を経験した方々のリアルな声を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
母親の遺品整理を経験した男女400名に「整理に着手するまでに実際にかかった期間(心の整理がついた時期)」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 半年〜1年未満(38%)
- 1年〜3年未満(29%)
- 四十九日後すぐ(18%)
- 3年以上経過してから(10%)
- その他・着手できていない(5%)
※調査期間:2023年5月〜9月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

このように、半数以上の方が半年以上時間をかけています。 特に持ち家の場合は、急ぐ必要はありません。まずは「今日は引き出し一つだけ」と決めて、小さな一歩から始めることが重要です。
また、相続に関する法的な期限については、法務省のガイドラインを必ず確認しておきましょう。心の整理とは別に、事務的な手続きには期限があります。
[参照:法務省|相続の放棄の申述]
2. 【アイテム別】母特有の遺品の「残す・手放す」判断基準

気持ちの整理が少しついたら、次は具体的な「モノ」との対話です。 特に母親の遺品には、昭和世代特有の「溜め込み癖」や「高価な和装品」が含まれており、判断に迷う筆頭です。
ここでは、多くの人がつまづく4大アイテムの攻略法を伝授します。
衣類・洋服:匂いと温もりが残る「最大の難関」
母親のクローゼットは、量も想いも膨大です。
「いつか着るかも」「高かったのに」という母の言葉が呪いのように思い出されるかもしれません。
ここでの鉄則は、「自分が今、お金を出してでも買いたいか?」という基準です。デザイン、サイズ、素材。冷静に見れば、現代のあなたの生活スタイルに合うものはごくわずかはずです。
- リメイク: お気に入りの着物や生地を、ポーチやクッションカバーに作り変える。
- 寄付: 途上国支援などの古着回収に出す(母の服が誰かの役に立つなら、母も喜ぶはずです)。
- 保留ボックス: どうしても決められない服は、段ボール1箱分だけ「保留」として残し、期限を決めて見直す。
環境省も「リユース(再使用)」を推奨しています。ゴミにするのではなく、資源として循環させることは、次世代への貢献にもなります。
[参照:環境省|リユースの取組]
着物・和装小物:二束三文で売らないための防衛策
「この着物は100万円したのよ」 生前、母がそう自慢していた着物。しかし、現代の中古市場での需要は非常にシビアです。 何も知らずにリサイクルショップに持ち込み、段ボール一杯で数百円という査定額を見てショックを受ける人が続出しています。
ここで重要なのは、「価値のわかる専門家」に見せること、そして「値段がつかなくても、大切に使ってくれる人に譲る」という選択肢を持つことです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

着物の出張買取を依頼する際は、必ず「押し買い」に注意してください。着物の査定と称して家に上がり込み、本来売りたくない貴金属を強引に安く買い取るトラブルが増えています。必ず「遺品整理士」の資格を持つ業者や、実店舗を持つ信頼できる業者を選びましょう。
消費者庁も、こうした訪問購入トラブルへの注意喚起を行っています。業者を呼ぶ前に一読しておくことを強くお勧めします。
[参照:消費者庁|訪問購入(押し買い)のトラブル]
宝石・貴金属:リフォームか、地金か
デザインの古い立て爪のダイヤの指輪や、太い金のネックレス。 これらは、「母の形見として身につける」か「資産として活用するか」を明確に分けましょう。
- リフォーム: 宝石(石)部分だけを外し、現代風のシンプルなネックレスやリングに作り変える。これなら毎日身につけられ、最高のお守りになります。
- 地金として売却: 金やプラチナは相場が高騰しています。デザインが古くても素材としての価値は変わりません。売却して得たお金で、家族で美味しいご飯を食べたり、旅行に行ったりすることも、立派な供養です。
趣味の作品・コレクション:捨てにくい手作り品
パッチワーク、絵画、陶芸、大量の食器。 母が時間をかけて作った作品は、家族にとっては捨てにくいものの、他人から見れば価値がつかないことがほとんどです。
これらを処分する際は、「デジタルアーカイブ」を活用しましょう。 作品を一点ずつ写真に撮り、フォトブックにするのです。 「モノ」としての作品は処分しても、「母が頑張った証」は写真集として美しく手元に残ります。場所も取らず、いつでも見返すことができます。
次章では、実家の片付けで必ずと言っていいほど直面する「家族間のトラブル」と、父が存命の場合の「実家の守り方」について解説します。
3. トラブルを避ける「実家」と「家族」の連携

物の整理以上にエネルギーを削られるのが、実は「人間関係」です。 特に、実家に父親が一人で残っている場合や、兄弟姉妹と意見が合わない場合、遺品整理は一気に「争族」の火種となります。
私自身、実家の片付けを始めた初日、父に怒鳴られた経験があります。 「俺はまだ生きているんだぞ! 家の中をひっかき回すな!」 母の古いタッパーをゴミ袋に入れただけのことが、父のプライドを深く傷つけてしまったのです。
父が存命の場合:「片付け」ではなく「安全確保」と言う
父親にとって、妻(母)の遺品は「自分たちの歴史そのもの」です。それを娘や息子が次々と処分していく様は、自分の居場所を奪われるような感覚に陥ります。
ここで「汚いから捨ててよ」は禁句です。
アプローチを「お父さんが転んだら大変だから、床の物だけ退かそう」という「安全確保」に切り替えてください。
- 生活動線の確保: 廊下や寝室までの道のりにある物だけを片付ける。
- 聖域を作る: 「お母さんの部屋」や「仏壇周り」は、父の許可なく絶対に触らない。
- 役割を与える: 「この小銭、分類してくれる?」など、父にも簡単な作業を頼み、整理の当事者になってもらう。
内閣府の高齢社会白書でも、高齢者の家庭内事故(転倒など)のリスクが指摘されています。父の健康を守るため、という大義名分があれば、父も納得しやすくなります。
[参照:内閣府|高齢社会白書]
兄弟姉妹がいる場合:「形見」と「現金」の境界線
「母さんの指輪、私がもらうね」 姉のこの一言に、妹がモヤッとする。よくある話です。 感情的なトラブルを避けるために、以下のルールを事前に決めておきましょう。
- 金銭価値のあるものは一度査定に出す: 貴金属や着物はプロに査定してもらい、その金額を提示した上で「その分のお金を遺産から引くか」「現物をもらうか」を話し合う。
- 作業の労力を数値化する: 実家に通って片付けをする人と、何もしない人では不公平感が生まれます。「片付けをする人の交通費と時給」を遺産から捻出することを事前に合意しておきましょう。
実家が遠方の場合:交通費と時間の天秤
週末ごとに新幹線で実家に通い、日曜の夜にヘトヘトになって帰宅する。これを半年続ければ、あなたの体が壊れてしまいます。遠距離介護ならぬ「遠距離整理」は、自分たちだけでやろうとせず、初期段階からプロの手を借りることを強くお勧めします。
4. 自分たちで無理な場合の「業者選び」最重要ポイント

「母の下着や日記を、見知らぬ男性スタッフに見られるのは耐えられない」 「悪徳業者に高額請求されたらどうしよう」
業者への依頼を躊躇する理由は、この2点に集約されます。しかし、プロに頼むことは「冷たいこと」ではありません。あなた自身が母を偲ぶ時間を作るための「時間の購入」なのです。
ここで、実際に業者選びで失敗し、損をしてしまった人たちのデータを見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「整理のタイミングで最も金銭的に損をしたと感じたこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 解約予告が遅れて余分な家賃が発生した(62%)
- 急いで業者を手配したため割高な料金になった(21%)
- 解約した後に必要な書類が見つかり再発行手数料がかかった(10%)
- その他(7%)
※調査期間:2024年1月〜3月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

この結果からわかる通り、「賃貸」の場合は特に、迷っている間に家賃という「損」が膨らんでいきます。 6割以上の人が、気持ちの整理がつかずに退去手続きが遅れ、数十万円単位の無駄な出費をしています。このお金があれば、もっと手厚い供養ができたはずです。
「女性スタッフ」指定ができるか確認する
母親の部屋、特にタンスの中や寝室の整理には、「女性スタッフ対応(レディースプラン)」がある業者を選びましょう。 同性ならではの配慮で、下着類は見えないように梱包し、化粧品や手芸用品など、男性では価値がわかりにくい「母の宝物」を丁寧に取り分けてくれます。 問い合わせの段階で「母の部屋なので、女性の方に来ていただけますか?」と必ず聞いてください。
見積もり時の「追加請求」を防ぐチェックリスト
残念ながら、荷物をトラックに積んだ後で「予想以上に重かった」などと言い、高額な追加料金を請求する悪質な業者が存在します。
国民生活センターにも多くの相談が寄せられていますが、被害を防ぐには「見積書」の確認が全てです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

見積もりの際は、総額だけでなく「追加料金が発生する条件」を必ず書面で確認してください。「当日、荷物が増えない限り追加料金は一切いただきません」と明言し、見積書に記載してくれる業者は信頼できます。逆に、「一式」とだけ書いて内訳が不明瞭な業者は避けましょう。
また、遺品整理には「一般廃棄物収集運搬業」の許可(または提携)が必要です。 「産業廃棄物」の許可しか持っていない業者が家庭のゴミを運ぶことは違法(無許可営業)にあたります。ホームページの会社概要で、許可番号を必ずチェックしてください。
[参照:環境省|廃棄物の適正処理について]
次の最終章では、物理的な整理を超えた先にある、心のゴールについてお話しします。「片付け」が終わった時、あなたと母の関係は新しい形に生まれ変わります。
5. 整理のゴールは「捨てること」ではない

トラックが荷物を積み終え、走り去っていく。 ガランとした実家の部屋に戻り、掃除機をかけた瞬間。 寂しさが襲ってくると思っていました。
けれど、実際に私の胸に広がったのは、意外なことに「安堵(あんど)」と、母に対して「お母さん、今までありがとう。これでお母さんも身軽になれたね」という、清々しい感謝の気持ちでした。
遺品整理は、単なる不用品の処分ではありません。 それは、モノに付着した「執着」や「後悔」を洗い流し、あなたと亡き母との関係を「過去の依存」から「未来への支え」へとアップデートする儀式なのです。
部屋の余白は「心の余白」になる
物が溢れかえった部屋は、無意識のうちに私たちの視覚と脳を圧迫し続けます。 「片付けなきゃ」という焦りは、常に心のどこかでストレスとなってくすぶり続けます。
部屋が綺麗になるということは、そのストレスから解放され、母との楽しかった思い出だけを純粋に反芻(はんすう)できるスペースが心に生まれることを意味します。
ここで、整理を終えた方々の「心境の変化」についてのデータをご紹介します。
【お片づけの窓口独自アンケート】
母親の遺品整理をすべて終えた男女300名に「整理後の心境として最も近かったもの」を聞いたところ、圧倒的な結果が出ました。
- 肩の荷が下りて、前向きな気持ちになれた(72%)
- もっと早くやればよかったと感じた(15%)
- 寂しさが募って後悔した(8%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年10月〜12月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理完了者

7割以上の方が、寂しさよりも「前向きな気持ち」を手に入れています。 片付けは、母を消すことではなく、あなたが前を向くためのステップなのです。
整理を終えることが、母への最大の供養になる
もし、あなたが逆の立場だったらどう思うでしょうか? 自分が残したモノのせいで、子供が悩み、夫婦喧嘩をし、高い家賃を払い続け、暗い顔をしている。 そんな姿を、天国の母が見て喜ぶでしょうか?
きっと、お母様が一番願っているのは、「あなたが笑顔で、自分の人生を幸せに生きていくこと」はずです。 遺品を整理し、実家を綺麗に「閉じる」ことは、母の心配の種を取り除き、安心して天国へ行ってもらうための、子供ができる最後の親孝行と言えます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

どうしても辛い時は、作業の最後に「お清めの塩」を撒いたり、お花を飾ったりして、儀式的に締めくくってみてください。「これで終わり」という区切りをつけることで、脳が「喪失」を受け入れやすくなります。これは「グリーフケア(悲嘆のケア)」の観点からも有効とされています。
厚生労働省も、遺族の心のケア(グリーフケア)の重要性について情報を発信しています。辛い時は専門の相談窓口を利用するのも一つの勇気ある選択です。 [参照:厚生労働省|こころの耳(遺族のケアについて)]
手元に残すべき「心のよりどころ」となる厳選された品々
全てを捨てる必要はありません。 しかし、全てを残すこともできません。
最終的に手元に残すべきなのは、「それを見ると、母の笑顔が鮮明に浮かび、自分が元気になれるモノ」だけです。
- 母がいつも座っていた鏡台の、小さな手鏡一つ。
- 家族全員で撮った、色あせたアルバム一冊。
- 母の字で書かれた、味噌汁のレシピのメモ一枚。
段ボール何箱分もの服よりも、この「厳選された小さな宝物」の方が、よほど雄弁に母の愛を語りかけてくれます。 それをあなたの家の、一番いい場所に飾ってください。 それが、新しい形での「母との同居」の始まりです。
最後に
ここまで読んでくださったあなたは、きっと「母のために何かしてあげたい」という深い愛情をお持ちの方です。 その優しさがあれば、どんな形で整理を進めても、きっとお母様には届きます。
焦らず、無理せず、あなたのペースで。 まずは引き出し一つから、お母様との「思い出話」を始めてみませんか?








