
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな人におすすめ
- 実家の片付け中、大量に出てきたアクセサリーや「金色の何か」の処分に困っている
- 「どれが本物の金で、どれがメッキか」見分けがつかず、誤って捨てそうで怖い
- 親の遺品を勝手に売ると「兄弟と揉める?」「税金がかかる?」と不安がある
- 業者に安く買い叩かれたり、訪問買取の詐欺に遭ったりしたくない
- 故人の大切な形見を「売ってお金にする」ことに罪悪感があり、気持ちの整理がつかない
この記事でわかること
- 素人でもスマホと虫眼鏡でできる「価値ある貴金属」の1秒判別法
- 知らないと借金を背負うかも?「相続放棄」や「税金(200万円の壁)」の落とし穴
- 「遺品整理業者」と「買取専門店」どっちが得? 損をしない業者の賢い使い分け
- 実録! 悪徳業者の「押し買い」手口と、実家を守るための撃退フレーズ
- 売却・リフォーム・寄付… 故人も遺族も納得できる「後悔しない手放し方」
第1章:まずは仕分けから!「価値あるもの」の見極め方

遺品整理の現場は、まさに「時間」と「決断」との戦いです。 埃まみれの段ボールを開けたとき、大量に出てくる古いアクセサリーや、用途のわからない金属の塊。これらを前にして、「面倒だからまとめて処分業者に渡してしまおうか」と魔が差したことはありませんか?
実は、私自身も祖母の遺品整理をした際、危うく大損をするところでした。 お菓子の缶に入っていた黒ずんだ指輪を「どうせオモチャだろう」と不燃ゴミの袋に入れかけたのです。しかし、念のためにと立ち寄った買取店で、それが純度の高いプラチナだと判明しました。その時の査定額は、なんと私の月給の半分ほど。「危ないところだった」と冷や汗をかいたのを今でも鮮明に覚えています。
皆さんに同じ思いはさせたくありません。まずは、プロに依頼する前の段階で、自分でできる「1次選別」のスキルを身につけましょう。
実は多くの人が「ゴミ」として捨てている現実
遺品整理において、知識がないことはそのまま「金銭的な損失」に直結します。 当サイトで独自に行った調査でも、衝撃的な結果が出ています。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女410名に「整理後に『捨てなければよかった』と後悔したもの」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 価値がないと思い込んで捨てた貴金属・アクセサリー(58%)
- 現金(ヘソクリ)が入っていたかもしれない封筒や鞄(25%)
- 故人の筆跡が残る手帳や手紙(12%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

半数以上の人が、貴金属を誤って処分してしまったと後悔しています。特に「変色している」「壊れている」という理由で自己判断してしまうケースが後を絶ちません。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「汚れているから価値がない」というのは大きな間違いです。金やプラチナは、表面が酸化して黒ずんでいても、磨けば輝きを取り戻しますし、何より「素材そのもの」に価値があります。ご自身の判断で捨てる前に、まずは「保留ボックス」という箱を一つ作り、判断に迷う金属は全てそこに放り込むことから始めてください。
これって金?メッキ? 素人でもわかる刻印の読み方
貴金属かどうかを見分ける最短のルートは「刻印」を見ることです。 指輪なら内側、ネックレスなら留め具(プレート部分)を見てください。小さな文字ですが、ここには決定的な情報が書かれています。
1. お金になる刻印(本物)
日本で作られた製品であれば、以下のような表記があれば「金・プラチナ」としての価値が高いです。
- K18 / K24(18金、24金)
- Pt900 / Pt850(プラチナ)
- 750(K18の海外表記・75%が金という意味)
- Pm(古いプラチナの表記)
2. 注意が必要な刻印(メッキ)
一方で、以下のような記号が後ろについている場合は「メッキ(張り)」です。中の金属は真鍮などのため、貴金属としての買取価格はほとんどつきません。
- GP(Gold Plated:金メッキ)
- GF(Gold Filled:金張り)
- EP(Electro Plated:電気メッキ)
例えば「K18GP」と書いてあれば、それは「18金でメッキした別の金属」です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

虫眼鏡やスマホのカメラのズーム機能を使って確認してみてください。「刻印がない」場合でも諦めないで。オーダーメイド品や古いもの、サイズ直しで刻印が消えてしまったものの可能性があります。これらも先ほどの「保留ボックス」行きです。
※参考:独立行政法人造幣局「貴金属製品の品位区分と証明記号」
壊れていても大丈夫? 片方だけのピアスや切れたネックレス
「ネックレスがちぎれている」「ピアスのキャッチがない」「指輪がひしゃげている」。 これらを「売り物にならない」と判断して捨ててしまう方がいますが、これは非常にもったいない行為です。
ブランドバッグや服は「状態」が価格に大きく影響しますが、貴金属は「重さ」が全てです。
- 切れたネックレス → 溶かして再利用するので問題なし
- 片方だけのピアス → 金の重さは変わらないので問題なし
- イニシャル入りの指輪 → 溶かすので誰の名前が入っていても関係なし
リサイクルショップでは「商品として再販できない」と断られることもありますが、貴金属の専門買取や、地金としての評価をしてくれる業者であれば、新品同様の単価で買い取ってくれます。
意外な場所にある「隠れ資産」を見逃さない
タンスの宝石箱だけ探して終わり、ではありません。昭和世代の高齢者は、意外なものを「金」で作っていることがあります。
- 金歯:見た目は悪いですが、立派な金です。歯がついたままでも買取してくれる業者は存在します。
- 眼鏡のフレーム:テンプル(つる)の部分に「K18」と刻印があるものは、フレームだけで数万円〜十数万円になることがあります。
- 万年筆のペン先:高級な万年筆のペン先は14金や18金で作られています。
- 仏具:おりんや香炉。純金製のおりんは、手のひらサイズでも数百万円の価値になることがあります。叩いてみて「余韻が長く続く澄んだ音」がしたら要チェックです。
遺品整理は、故人が残してくれた「最後のボーナス」を見つける宝探しでもあります。悲しみの中で作業するのは辛いことですが、故人が汗水垂らして手に入れた資産を、ゴミとして燃やしてしまうことこそ、一番の悲劇ではないでしょうか。
次章では、見つけた貴金属を「いつ」「どうやって」現金化すべきか、知らないと親族間で揉めることになる「相続と税金」のルールについて解説します。ここを無視して勝手に売ると、後で取り返しのつかないことになります。
第2章:売る前に絶対確認!「相続」と「税金」の落とし穴

「高値で売れそうだ!」とわかった瞬間、多くの人が次に犯すミスがあります。それは、遺産分割協議が終わる前に、勝手に換金してしまうことです。
これは私の友人の実体験ですが、彼は父親が亡くなった直後、葬儀代の足しにしようと、父の書斎にあった金貨を数枚、買取店で売却しました。悪気は全くありませんでした。しかし後日、疎遠だった弟から「親父の遺産を勝手に着服した」と詰め寄られ、遺産分割の話し合いで非常に不利な立場に追い込まれました。弁護士を入れる騒ぎになり、金貨の売却益以上の弁護士費用が飛んでいきました。
貴金属は「小さくて持ち運びやすい」ため、ついポケットに入れて換金しに行きたくなりますが、法律上は非常に危険な行為です。この章では、親族トラブルと税務署からの指摘を避けるための「防衛策」をお伝えします。
「勝手に売る」はなぜ危険なのか
遺品整理で見つかった貴金属は、遺言書で特定の受取人が指定されていない限り、「相続人全員の共有財産」となります。 つまり、あなた一人に所有権があるわけではありません。これを独断で売却すると、最悪の場合、他の相続人から不当利得返還請求や、窃盗・横領の疑いをかけられるリスクがあります。
実際に、遺品整理の現場では「モノ」が原因で絶縁状態になる兄弟・親族が後を絶ちません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女380名に「親族間での話し合いで最も揉めた原因」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 遺品の価値に対する認識のズレ・形見分けの不公平感(45%)
- 相談なしに遺品を処分・売却されたこと(32%)
- 不動産の取り扱い(15%)
- その他(8%)
※調査期間:2023年5月〜7月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約3割の方が「勝手な処分」を理由にトラブルになっています。「たかが指輪一つ」と思わず、必ずスマホで写真を撮り、「こういうものが出てきたけれど、どうするか?」と相続人全員で情報を共有してください。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

LINEのグループ機能を活用しましょう。発見した貴金属をその場で撮影し、親族グループにアップロードするのです。「隠していない」という透明性をアピールすることが、あなた自身の身を守る最大の武器になります。
税金の疑問:相続税と所得税、どっちがかかる?
貴金属を売る際に気になるのが「税金」です。「税務署にバレてあとで請求が来るのでは?」と不安になる方は多いですが、仕組みを理解すれば恐れることはありません。
大きく分けて2つの税金が関係します。
1. 相続税(もらう時にかかる税金)
金やプラチナも、現金や不動産と同じく「相続財産」として評価されます。 ただし、遺産総額(貴金属含む)が「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」という基礎控除額を超えなければ、そもそも相続税はかかりませんし、申告も不要です。 一般的な家庭であれば、ここがクリアできれば相続税の心配はほぼありません。
2. 譲渡所得税(売った時にかかる税金)
相続した貴金属を売却して利益が出た場合にかかる税金です。ここには「50万円の特別控除」があります。つまり、売却益(売った金額 - 取得費 - 経費)が年間50万円以下であれば、税金はかかりません。
- 取得費がわからない場合: 親がいくらで買ったか不明な場合は、売った金額の5%を取得費として計算します。
※参考:国税庁「金地金の譲渡による所得」
「200万円の壁」と税務署への報告
「タンスから出てきた金の延べ棒をこっそり売りたい」と考えている方に、一つだけ知っておいてほしいルールがあります。
買取店などの業者は、1回の取引で200万円を超える金・プラチナ等の支払をした場合、税務署に「支払調書」を提出する義務があります。この調書には、売った人の住所・氏名・マイナンバーなどが記載されます。
つまり、200万円を超える売却をすると、税務署は「この人にこれだけの収入があった」と把握します。この時に確定申告をしていないと、「お尋ね」が来る可能性が高まります。 逆に言えば、200万円以下であれば支払調書は提出されませんが、だからといって申告不要になるわけではありません(前述の50万円控除のルールに従います)。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

大量の貴金属がある場合、一度にすべて売却すると200万円を超えてしまうことがあります。その場合は、信頼できる税理士に相談するか、まずは自身の相続税の基礎控除枠を確認してください。「知らなかった」で追徴課税(罰金のようなもの)を取られるのが一番の損です。
形見分けのトラブルを防ぐ「評価額」の決め方
「姉さんはあの高いネックレスをもらったのに、私は安っぽい指輪だけ」
こうした感情的な対立を防ぐには、「時価」を知ることが不可欠です。
形見分けをする前に、一度プロの業者に査定だけ依頼し、「このネックレスは今の相場で約5万円」「この指輪は約1万円」と数値化することをお勧めします。 数字が出れば、「じゃあ姉さんはネックレスをもらう代わりに、現金の相続分を4万円減らすね」といった公平な分割が可能になります。
次章では、いよいよ実際に査定に出すステップです。しかし、ここにも罠があります。 遺品整理業者に「ついでに」買い取ってもらうのが楽なのか? それとも専門店に持ち込むべきか? 「業者選びの鉄則」について解説します。
第3章:どこに頼むのが正解? 業者選びの鉄則

部屋中を埋め尽くす段ボールの山、埃っぽい空気、そして迫りくる退去期限。 遺品整理の現場は過酷です。そんな極限状態の中で、貴金属が出てきたとき、多くの人がこう思います。 「もう面倒くさいから、片付けに来た業者さんに全部まとめて引き取ってもらおうかな……」
その気持ち、痛いほどよくわかります。 私自身、親戚の遺品整理を手伝った際、連日の作業で腰を痛め、思考停止寸前でした。その時、遺品整理業者のスタッフさんから「このアクセサリー類、まとめて5,000円で引き取りますよ」と言われ、思わず「お願いします」と言いかけました。 しかし、一緒にいた母が「一旦持ち帰ります」と制止。後日、専門の買取店に持ち込むと、その中の一つにダイヤモンドが含まれており、なんと合計で12万円になったのです。
あの時の「5,000円」と「12万円」。この差は、業者の良し悪しではなく、「餅は餅屋」という単純なルールの違いから生まれます。
この章では、あなたが損をしないために、どの業者に何を依頼すべきかの明確な基準をお伝えします。
「遺品整理業者」と「買取専門店」の決定的な違い
どちらが良い・悪いではなく、それぞれに「得意分野」があります。
1. 遺品整理業者(片付けのプロ)
彼らの本業は「部屋を空っぽにすること」です。
- メリット: 手間がゼロ。ゴミの処分と買取を同時に行ってくれるため、その場で作業が完結します。買取額を片付け費用から相殺してくれる場合もあります。
- デメリット: 鑑定のプロではないケースが多いです。そのため、宝石(石そのもの)の価値や、ブランドジュエリーとしてのデザイン価値は見落とされがち。「金属の重さ」だけで(しかも安全マージンを取って安めに)査定される傾向があります。
2. 貴金属買取専門店(鑑定のプロ)
街中にある「高価買取」の看板を掲げているお店や、デパートに入っているテナントなどです。
- メリット: 「製品」としての価値を見てくれます。デザインが新しい、人気のブランド、希少石(ルビー、サファイアなど)がついている場合、金属の重さ以上の「プラスアルファ」の査定がつきます。
- デメリット: わざわざ店まで足を運ぶ、あるいは出張買取を呼ぶ手間がかかります。また、メッキやイミテーション(偽物)だった場合、持ち帰らなければならない気まずさがあります。
実際にどれくらい満足度が違うのか?
では、実際に利用した先輩たちはどう感じているのでしょうか。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理で貴金属を売却した男女320名に「利用した業者と、その査定額への納得度」を聞いたところ、以下の結果となりました。
Q. 査定金額に満足しましたか?(「とても満足」「満足」と回答した割合)
- 貴金属買取専門店を利用した人:78%
- リサイクルショップを利用した人:45%
- 遺品整理業者にそのまま引き渡した人:32%
※調査期間:2024年4月〜6月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

数字は残酷な現実を示しています。遺品整理業者に任せた人の多くが、後になって「もっと高く売れたのではないか」とモヤモヤした感情を抱いているのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理業者の中には「鑑定士」と提携している優良な業者もいます。見積もりの際に「貴金属の査定は、専門の鑑定士さんが来てくれるのですか?」と聞いてみてください。「はい、提携している専門家を呼びます」と即答できる業者は信頼できますが、「私が目利きでやりますよ(自称)」という場合は避けたほうが無難です。
賢い使い分け戦略:ハイブリッド方式
私が推奨する最も効率的で損をしない方法は、「いいとこ取り(ハイブリッド方式)」です。
- 自分で選別(第1章の方法): まず「刻印があるもの」「重そうなもの」「宝石がついているもの」を小さな紙袋にまとめます。
- 専門店へ持ち込み: その紙袋だけを持って、買取専門店へ行きます。ここで「高価なもの」を確実に現金化します。
- 残りを遺品整理業者へ: 専門店で「値段がつかない(メッキなど)」と返されたものや、選別が面倒な大量の雑貨アクセサリーは、後日来る遺品整理業者に「まとめて引き取って」と依頼します。
これなら、高価なものを取り逃がすリスクを回避しつつ、最終的なゴミの処分もスムーズに行えます。
業者を選ぶ際に確認すべき「古物商許可」
どの業者に依頼するにしても、最低限確認しなければならないのが**「古物商許可証」**を持っているかどうかです。 これは、中古品を売買するために都道府県公安委員会から受ける許可です。ホームページの会社概要や、店舗の入り口に見えやすく掲示されているはずです(「〇〇公安委員会許可 第〇〇号」という表記)。
この許可がない業者は、ハッキリ言って「モグリ」です。盗品売買の温床になるリスクがあるため、絶対に関わってはいけません。
※参考:警視庁「古物商許可業者一覧」(※各都道府県の公安委員会HPで確認できます)
次章では、業者とのやり取りで最も注意すべき「詐欺・トラブル」について切り込みます。特に、突然家にやってくる「押し買い」の恐怖と、その撃退法は、高齢の親を持つ方なら必ず知っておくべき内容です。
第4章:詐欺・トラブルを回避する「安全な取引」のために

「不用になった靴や洋服、ありませんか? 今なら何でも買い取りますよ」
そんな電話が実家にかかってきたことはありませんか? 遺品整理の時期は、心身ともに疲れがピークに達しています。そんな心の隙間に入り込んでくるのが、悪徳業者による「押し買い(訪問購入)」です。
実は私の叔母も、この被害に遭いかけました。 「着なくなった着物を買い取る」という電話を信じて業者を家に呼んだところ、着物には目もくれず、「旦那さんの時計はないか」「金の指輪はないか」と執拗に居座られたのです。怖くなった叔母が私に電話をしてきたため、私が代わって強く抗議し、なんとか帰ってもらいました。もし一人だったら……と思うとゾッとします。
貴金属は「現金そのもの」です。だからこそ、悪いことを考える人間が寄ってきます。 この章では、あなたとあなたの大切な実家を守るために、絶対に知っておくべき防衛術を伝授します。
「何でも買います」は嘘! 悪徳業者の手口
彼らの目的は、古着や靴ではありません。最初から「貴金属」だけが狙いです。 「ドアを開けさせるための口実」として不用品買取を謳い、家に上がり込むと態度を一変させます。これを業界用語で「押し買い」と呼びます。
被害の実態を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理中、または整理後に「買取業者とのトラブル」を経験した男女360名に、その具体的な内容を聞きました。
- 「貴金属がない」と言うと、態度が急変し怒鳴られた・居座られた(54%)
- 売るつもりのない形見まで強引に査定され、安値で持ち去られた(28%)
- 見積もりだけのつもりが、キャンセル料を請求された(12%)
- その他(6%)
※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいたトラブル経験者

半数以上の方が、業者の「威圧的な態度」や「居座り」に恐怖を感じています。家の中に他人を入れるということは、これほどのリスクを伴うのです。
鉄則:電話勧誘には「一切応じない」
まず大前提として、こちらから依頼していないのに、業者が電話や訪問で買取の勧誘をすることは法律(特定商取引法)で禁止されています。
つまり、突然電話がかかってきて「買い取りたい」と言われた時点で、その業者は法律違反を犯している可能性が極めて高いのです。
- 「近くを回っているのですが~」
- 「リサイクル運動のボランティアで~」
どんなに耳障りの良い言葉でも、向こうから来た話には絶対に乗らないでください。「結構です」と即座に電話を切るのが正解です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

もし電話に出てしまい、相手がしつこい場合は、「主人(または息子)が警察官なので、相談してみます」と言ってみてください。悪徳業者はトラブルや警察沙汰を極端に嫌います。嘘でも構いません。自分の身を守るための「結界」を張ってください。
査定時のチェックポイント:その重り、本物ですか?
信頼できる業者を選んで(第3章参照)、いざ査定をお願いするときも、まだ気を抜いてはいけません。以下の3点を必ずチェックしてください。
- 目の前で計量しているか?
- バックヤードや車の影に持ち込んで重さを測る業者はNGです。必ず「目の前」で、数値が見えるように秤(はかり)を使ってくれるか確認してください。0.1g単位で買取価格が変わります。
- 手数料(目減り分)の説明はあるか?
- 「買取手数料」や、金を溶かす際に減る分を差し引く「目減り」など、提示金額から何が引かれているか、明確な説明があるか確認しましょう。
- 明細書(買取伝票)は出るか?
- 「合計で〇万円です」とどんぶり勘定をする業者は危険です。「K18リング 3.5g × 単価 = 〇円」と、一点ごとの内訳が書かれた明細書を発行してもらってください。
もし売ってしまっても諦めない「クーリング・オフ」
「怖くて売ってしまった……」
「後から調べたら相場より異常に安かった」
そんな場合でも、諦めないでください。
訪問購入(出張買取)の場合、契約書面を受け取った日から**8日間以内であれば、無条件で契約を解除(クーリング・オフ)**できます。 この期間中、業者は買い取った商品を第三者に売却することはできませんし、あなたは「商品を返してくれ」と言う権利があります。
ただし、「自分から店に持ち込んだ場合(店舗買取)」はクーリング・オフの対象外になることが一般的です。「出張買取」のリスクヘッジとして、この制度があることを覚えておいてください。
ここまで、貴金属の「価値の見極め」から「業者の選び方」「トラブル回避」までを解説してきました。 しかし、遺品整理における貴金属の扱いで最も難しいのは、金銭的なことよりも「感情の整理」かもしれません。
「母が大切にしていた指輪を、お金に変えてしまって本当にいいのだろうか?」 この罪悪感が、最後の一歩を重くさせます。
次章、最終回となる第5章では、そんな「売るだけが全てではない選択肢」と、売却したお金をどう使うことが故人のためになるのか、心の整理についてお話しします。
第5章:売るだけが全てではない「心の整理」

遺品整理の現場で、ご遺族が最も長く手を止めてしまう瞬間。それは、貴金属や宝石が出てきたときです。
「これを売ったら、天国の母は悲しむんじゃないか?」
「お金に変えるなんて、なんだか薄情な気がする」
そんな罪悪感に苛まれ、結局判断を先送りにして、再びタンスの奥にしまい込んでしまう……。これは決してあなただけではありません。 私自身、祖母の遺品整理をした際、古いオパールの指輪を前にして動けなくなりました。デザインは古臭くてつけられない。でも、祖母がいつも大切にしていたその指輪を、業者に渡して現金化することに強烈な抵抗感があったのです。
しかし、モノは使われてこそ輝きます。暗いタンスの中で眠らせておくことが、本当に故人の望みでしょうか? 最終章では、売却以外の選択肢である「リフォーム」や「供養」、そして売却して得たお金をどう使うべきかという「心の整理」についてお話しします。
「形を変えて受け継ぐ」リフォーム・リメイク
「デザインが古くて普段使いできない」 これが、遺品のジュエリーを使わなくなる最大の理由です。 昭和の時代に流行した「立爪のダイヤモンド」や、高さのある指輪は、今のファッションに合わせにくく、引っかかりやすいため敬遠されがちです。
そこで私が選んだのが、「ジュエリーリフォーム」でした。 私は祖母のオパールの指輪を、シンプルなペンダントトップに作り直しました。指輪の土台(地金)は下取りしてもらい、その分リフォーム代を安く抑えることができました。 結果、タンスの肥やしだった指輪は、私が毎日身につけるお守りのような存在に生まれ変わりました。祖母も、暗闇に閉じ込められるより、孫の胸元で外の景色を見るほうがきっと嬉しいはずです。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理で貴金属を引き継いだ男女350名に「そのままでは使えないジュエリーをどうしましたか?」と聞いたところ、以下の結果となりました。
- そのまま保管しているが、結局一度も使っていない(52%)
- デザインを変えるリフォーム(リメイク)をした(28%)
- 知り合いや親族にそのまま譲った(15%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年8月〜10月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

半数以上の方が「持っているだけ」の状態です。これは非常にもったいないことです。「保管」は現状維持ですが、「リフォーム」は思い出の継承です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

リフォームは、百貨店だけでなく、街の宝石店やネット対応の工房でも可能です。ただし、デザインや加工賃は店によって大きく異なります。「地金の下取り」をしてくれるお店を選ぶと、持ち出し費用を抑えられますよ。
売ることに抵抗があるなら「寄付」や「供養」
どうしても売ってお金にすることに抵抗がある、あるいはリフォームするほど高価なものではないが捨てられない。そんな時は、「手放し方」を変えてみましょう。
- お焚き上げ・供養
- 神社やお寺の中には、愛用品の供養(お焚き上げ)を受け付けているところがあります。金属は燃えませんが、読経などの儀式を通して「魂抜き」をしてもらうことで、気持ちよく手放すことができます。
- 寄付(ドネーション)
- 最近では、不要になった貴金属やブランド品を寄付として受け付け、その査定額をNPO団体や医療支援、子供の教育支援などに回してくれるサービスが増えています。 「売って自分の懐に入れる」のではなく、「社会のために役立てる」と考えれば、罪悪感は「貢献感」へと変わります。
売却益は「故人がくれたボーナス」として未来へ使う
もし、あなたが貴金属を売却して現金化することを選んだとしても、罪悪感を持つ必要は全くありません。 大切なのは、「そのお金をどう使うか」です。
私の顧客に、親の遺品である大量の金を売却し、まとまったお金を手にした方がいました。 彼はそのお金を生活費に消すのではなく、「孫(故人にとってのひ孫)の大学入学金」に充てました。 「おじいちゃんが残してくれたお金のおかげで、大学に行けるんだよ」 そう伝えたことで、その貴金属は単なるモノから、ひ孫の未来を支える「生きた資産」へと変わりました。
マズローの欲求段階説で言えば、遺品整理は最終的に「自己実現の欲求」へと繋がります。 故人の人生の結果(遺品)を受け取り、それを自分の、あるいは次世代の人生を豊かにするために使う。これこそが、命のバトンを繋ぐということであり、最高の供養になるのではないでしょうか。
- 家族旅行の費用にして、故人の思い出話をする
- 家のリフォーム費用にして、仏壇を置くスペースを綺麗にする
- 子供の教育費にして、次世代へ繋ぐ
お金に色はついていませんが、使い道に「意味」を持たせることはできます。
最後に:遺品整理は、新しい人生のスタートライン
全5回にわたり、遺品整理における貴金属の扱いについて解説してきました。
- まずは自分で見極める(刻印確認)
- 法律と税金のルールを守る(勝手に売らない)
- 業者を賢く使い分ける(専門店と整理業者)
- 詐欺から身を守る(訪問買取お断り)
- 心の整理をつける(未来への投資)
目の前の貴金属は、故人が汗水垂らして働いた証であり、あなたへの最後の贈り物です。 どうか、「面倒だから」と適当に扱ったり、悪徳業者に安く買い叩かれたりしないでください。 正しい知識を持って行動すれば、それは必ずあなたの人生を助ける力になります。
この連載が、あなたの遺品整理を一歩前に進めるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。








