
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな人におすすめ
- 親族が1K・ワンルームで亡くなり、これから片付けを始める方
- 「部屋が狭いから自分たちでできるかも」と迷っているが、体力や時間に不安がある方
- 賃貸の退去期限が迫っており、無駄な家賃を1円も払いたくない方
- 業者に頼みたいが、「高額請求」や「悪徳業者」のトラブルが怖くて踏み出せない方
この記事でわかること
- 「プロに頼むべきか」「自力でできるか」の失敗しない判断基準
- 1K遺品整理のリアルな費用相場と、「積み放題プラン」の裏側
- 退去費用と家賃を最小限に抑えるための「逆算スケジュール」
- 逃げ場のない狭い部屋でも効率よく進める「捜索・仕分けのコツ」
- 【独自データ公開】本当に信頼できる優良業者の選び方と見極めポイント
1. 1Kの遺品整理は「自分たちで」できるか「業者」に頼むか?

「1Kやワンルームなら部屋も狭いし、週末に家族で集まれば片付くだろう」
正直に申し上げます。この考えが一番危険です。 実は私自身、以前に伯父の1Kマンションの片付けを甘く見て、痛い目を見た経験があります。「たった6畳一間」だと思って踏み込んだら、そこは天井近くまで本と趣味の道具が積み上がった、まさに「テトリス」のような空間でした。
動かそうにも、まず「物を置く場所」がない。 廊下に出そうとすれば、トイレに行けなくなる。 この「逃げ場のない狭さ」こそが、1K遺品整理の最大の落とし穴なのです。
ここでは、精神論ではなく、物理的なリソースとコストの面から「自分でやるべきか、プロに頼むべきか」の冷静な判断基準をお伝えします。
あなたのケースは「軽トラ1台」で収まるか?
まず、部屋の状況を冷静に見てください。プロに頼むかどうかの分岐点は、驚くほどシンプルです。「床が見えている面積」と「ゴミの分別難易度」で決まります。
自分でできる可能性が高いのは、以下の条件が揃っている場合のみです。
- 床の面積の8割以上が見えており、スムーズに歩ける
- 冷蔵庫の中身や生ゴミが放置されていない
- エレベーターがある、または1階である
- 協力してくれる親族が、自分を含めて「男手ありで3名以上」確保できる
逆に、もし部屋に入った瞬間、膝より高い位置まで物が積み上がっていたり、異臭(生ゴミやカビの臭い)がする場合は、迷わず業者を検討してください。これを無理に自分でやろうとすると、心身ともに崩壊します。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

1Kの片付けで最も過酷なのは、実は「搬出」ではありません。「仕分け」です。狭い部屋では、要るものと要らないものを分けるスペースすら確保できません。もし足の踏み場がないなら、それは「片付け」ではなく「移動」作業から始めなければならず、倍の時間がかかりますよ。
【独自データ】無理なセルフ整理が招く「見えない損失」
「業者に頼むとお金がかかる」というのは事実ですが、「自分でやる=タダ」ではありません。 レンタカー代、ガソリン代、自治体のゴミ処理券、そして手伝ってくれた親族へのお礼や食事代。これらを合計すると、意外な高額になります。
さらに深刻なのが、慣れない重労働による身体へのダメージです。
ここで、弊社が独自に行った調査結果をご覧ください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を「自分たちだけで行った」経験者200名に「作業中に最も辛かった・後悔したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 1位:終わりの見えない疲労感と腰痛などの身体的負担(45%)
- 2位:自治体の分別ルールが複雑すぎてゴミが出せなかった(28%)
- 3位:親族間で処分方針が合わず喧嘩になった(15%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた、一度は自力整理を試みた経験者

驚くべきことに、金銭的なことよりも「身体的・精神的な限界」を挙げた人が圧倒的多数でした。 特に1位の「身体的負担」は切実です。普段運動していない人が、エレベーターのないアパートの3階からタンスを降ろそうとして腰をやり、結局治療費がかかったという話は、笑い話ではなく本当によくある事例です。
賃貸の「退去期限」という時限爆弾
持ち家であれば、半年かけてゆっくり片付けても問題ありません。しかし、1Kの多くは賃貸物件です。 ここには「家賃」という、待ったなしのコストが発生し続けています。
例えば、家賃7万円の部屋だとしましょう。 週末しか作業ができず、片付けに2ヶ月かかってしまった場合、14万円の家賃が余分にかかります。 さらに、退去の立ち合い日までに部屋を空っぽにできなければ、違約金や翌月分の家賃も発生します。
もし、業者の見積もりが「10万円」だったとしたらどうでしょう? 1日で作業が終わり、翌月分の家賃も浮くのであれば、結果的に業者に頼んだ方が「安くて、早くて、安全」というケースが往々にしてあるのです。
自治体のルールは「1K」に優しくない
自分で片付ける場合、最大の壁となるのがゴミ出しのルールです。 一般家庭のゴミとして出す場合、一度に大量のゴミ(引越しゴミ)を集積所に出すことは、多くの自治体で禁止されています。
環境省や各自治体のHPを確認するとわかりますが、大量のゴミは「クリーンセンターへの自己搬入」が原則です。 慣れない土地で、レンタカーの軽トラにゴミを満載し、平日の昼間に処分場へ往復する。これを何回繰り返せば部屋が空になるか、想像してみてください。
参考:環境省|廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物処理の現状
【編集長からのワンポイントアドバイス】

自治体によっては、家電リサイクル法対象(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)の処分フローが非常に複雑です。「あとは捨てるだけ」の状態まで持っていっても、回収日が2週間後と言われて退去日に間に合わなかった…という失敗談は後を絶ちません。スケジュール管理能力も問われるのが、セルフ整理の難しさです。
第1章のまとめ:プロに任せるべきケースと自分でできるケースの境界線
ここまで読んでいただき、今の状況と照らし合わせていかがでしょうか。 以下のチェックリストで、ご自身の進むべき道を決めてください。
【自分でやってもOKなケース】
- 時間に余裕がある(退去期限まで1ヶ月以上ある)
- 荷物が軽トラ1台分程度と明らかに少ない
- 体力のある協力者が確保でき、2階以上でも搬出可能
- 費用を極限まで抑えることが最優先事項である
【業者に依頼すべきケース】
- 退去期限が今月末に迫っている
- 部屋に入ると「どこから手をつけよう」と途方に暮れる
- 遠方に住んでいて、何度も通うことができない
- 故人が高齢で、腐敗した食品や汚れが目立つ
- 「もう、これ以上疲れたくない」と心身が悲鳴を上げている
無理をして体を壊したり、親族と揉めたりしては、故人も浮かばれません。 「業者に頼むこと」は手抜きではなく、「遺族が日常を取り戻すための賢い選択」なのです。
では、実際に業者に頼むとしたら、1Kの場合はいくらかかるのでしょうか? 次の章では、皆さんが最も気になる「リアルな費用相場」と「追加料金の落とし穴」について、包み隠さず公開します。
2. 1K・ワンルームの遺品整理にかかる費用相場

「1Kの片付けなら、チラシで見た『軽トラ積み放題1万5千円』で済むんじゃない?」
そう思っているとしたら、少し立ち止まってください。
私たちが日々ご相談を受ける中で、最もトラブルが多いのが、この「費用の誤解」です。
以前、あるお客様からこんなSOSをいただきました。「ネットで一番安い業者を呼んだら、当日になって『リサイクル料は別』『階段料金がかかる』と言われ、結局10万円近く請求された。怖くて断れなかった」と。
1Kという狭い空間だからこそ、「安く済むはずだ」という思い込みを利用する悪質な業者が存在します。ここでは、騙されないための防具として、「適正な相場」と「業界のカラクリ」を包み隠さずお伝えします。
【料金表】荷物の量だけじゃない!リアルな相場の幅
一口に「1K」と言っても、その費用は3万円〜15万円と大きな幅があります。
この差は、単に業者の値段設定の違いだけではなく、「部屋の状況」と「荷物の密度」によって決まります。
以下は、まっとうな業者が提示する、現実的な相場の目安です。
| パターン | 費用の目安 | 部屋の状況 | 作業内容 |
| ミニマム | 3万〜5万円 | 荷物が少ない単身者、床が完全に見えている | 搬出メイン、分別はある程度済んでいる |
| スタンダード | 6万〜10万円 | 生活感があり、タンスや本棚など家具が多い | 仕分け・梱包・搬出・簡易清掃すべてお任せ |
| 物量多め | 12万〜18万円 | 床に物が散乱、収納にもぎっしり、ゴミ屋敷手前 | 踏み場を作る作業から開始、人員3名以上 |
もし、あなたの状況が「スタンダード」に近いのに、見積もりが3万円を切っている場合は、何か裏がある疑ってください。人件費と処分費を正しく計算すれば、その金額では赤字になるはずだからです。
「トラック積み放題パック」の甘い罠と真実
街中で「不用品回収 積み放題 19,800円!」という看板を見かけることがありますね。
これ、実は遺品整理においては最も注意が必要なプランです。
なぜなら、この「積み放題」には、多くの場合「積んではいけないもの」や「別料金になるもの」が設定されているからです。
特に注意すべきなのが、家電リサイクル法の対象となる4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)です。これらは法律で処分方法が厳格に決まっており、通常のゴミ処理施設には持ち込めません。まともな業者であれば、必ず所定のリサイクル料金を徴収し、メーカーへ引き渡す義務があります。
参考:経済産業省|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
「全部コミコミ」と言いながら、当日になって「冷蔵庫は別料金でプラス8,000円ですね」と言われるケースは、残念ながら業界の常套手段となってしまっています。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「積み放題」という言葉は魅力的ですが、契約前に必ず「追加料金がかかる品目リスト」を書面やメールで送ってもらいましょう。「当日見ないとわからない」と言って濁す業者は、その時点でお断りするのが賢明です。
【独自データ】「想定外の出費」はどこで発生する?
では、実際に業者を利用した人たちは、どんな理由で追加費用を支払うことになったのでしょうか。
ここで、弊社の独自調査の結果をご覧ください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理業者を利用した際に「見積もり時よりも支払額が高くなった」経験がある180名に、その理由を聞きました。
- リサイクル家電やスプリング入りマットレスの処分費が別枠だった(48%)
- トラックが建物の前に停められず、横持ち(運搬)料金が加算された(26%)
- 想定以上にゴミの量が多く、トラックを追加することになった(15%)
- その他(11%)
※調査期間:2023年5月〜2024年2月(不定期実施) 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

アンケート結果からもわかるように、半数近くの人が「特定の品目の処分費」で見積もりが甘かったと感じています。
また、意外と見落としがちなのが2位の「駐車位置」の問題です。
なぜ高くなる?見積もりが跳ね上がる3つのポイント
1Kの遺品整理費用を左右するのは、荷物の量だけではありません。建物の環境が大きく影響します。
- 階数とエレベーターの有無
- エレベーターなしの3階から手運びする場合、「階段作業費」として数千円〜数万円が加算されるのが一般的です。
- トラックまでの距離
- アパートの前の道が狭く、トラックを100メートル離れた場所にしか停められない場合。スタッフが何度も往復する必要があるため、「横持ち料金」や人員追加による費用が発生します。
- 作業時間帯
- 「管理会社への引き渡しが明日の朝だから、今夜中にやってほしい」といった緊急対応や深夜作業は、割増料金の対象になります。
まとめ:適正価格を知ることは、身を守ること
1Kの遺品整理において、「安すぎる見積もり」はリスクそのものです。
逆に言えば、「なぜこの金額になるのか」を論理的に説明してくれる業者こそが、信頼できるパートナーと言えます。
- 3万円〜15万円の相場感を頭に入れる
- 「積み放題」の除外品目を事前に確認する
- 建物の立地条件(階数・駐車位置)を正確に伝えて見積もりを取る
これらを意識するだけで、不当な高額請求をされるリスクは劇的に下がります。
さて、費用感が掴めてきたところで、次に立ちはだかるのが「時間」の問題です。特に賃貸物件の場合、退去日が1日でも遅れれば、余計な家賃が発生してしまいます。
次の章では、無駄なコストを1円も払わないための、「鉄壁の解約・片付けスケジュール」について解説します。
3. 賃貸退去をスムーズに進めるためのスケジュールと手続き

「片付けが終わったら、管理会社に電話しよう」
もし今、あなたがそう考えているのなら、今すぐその受話器を取ってください。 賃貸物件の遺品整理において、順番を間違えることは、そのまま「現金の損失」に直結します。
私自身の苦い経験をお話ししましょう。祖母が亡くなった際、悲しみに暮れながらも「まずは四十九日が終わってから片付けよう」と親族で決めました。そして2ヶ月後、ようやく片付けを終えて管理会社に連絡したところ、「解約予告は1ヶ月前なので、来月分まで家賃がかかります」と事務的に告げられたのです。
誰も住んでいない空っぽの部屋に、さらに1ヶ月分の家賃を払う。あの時の「無駄ガネを払ってしまった」という悔しさは、今でも忘れられません。
ここでは、1K賃貸ならではの「退去レース」を、無駄なく最短で走り抜けるためのスケジュールと手続きについて解説します。
家賃を1円も無駄にしない「逆算スケジュール」
賃貸契約には、必ず「解約予告期間」というものが設定されています。 多くの物件では「退去の1ヶ月前」ですが、物件によっては「2ヶ月前」というケースも少なくありません。
つまり、今日連絡しても、最短で契約が切れるのは1ヶ月後。 もし連絡が1週間遅れれば、その分だけ日割り、あるいは月割りで家賃が発生し続けます。
【理想的な最短ステップ】
- 契約書の確認・即連絡:まずは管理会社へ「契約者(故人)が亡くなったこと」と「退去の意思」を伝えます。退去日が確定していなくても、「解約の申し入れ」を先に行うことで、家賃発生のゴールテープ(契約終了日)を固定できます。
- 遺品整理作業日の決定:退去立会い日(鍵を返す日)の前日または数日前に作業が終わるよう業者を手配します。ギリギリすぎると、予期せぬトラブル(荷物が運びきれない等)に対応できません。
- ライフラインの手続き:ここにも落とし穴があります(後述します)。
【独自データ】退去時の「まさか」はここで起きる
手続きの遅れや認識違いが、どれほどの損失を生むのか。 実際に1K・ワンルームなどの賃貸物件で遺品整理を行った方々のリアルな声を集めました。
【お片づけの窓口独自アンケート】
賃貸物件の遺品整理・退去手続きにおいて「もっと早く確認・実行しておけばよかった」と後悔したことを聞きました。
- 1位:解約予告の期間を知らず、住んでいない期間の家賃を払うことになった(58%)
- 2位:備え付けのエアコンや照明を誤って撤去・処分してしまった(24%)
- 3位:作業当日に電気・水道を止めてしまい、掃除や確認作業ができなかった(12%)
- その他(6%)
※調査期間:2024年4月〜6月 対象:弊社へご相談いただいた賃貸物件の遺品整理経験者(160名)

半数以上の方が、私と同じように「家賃の空払い」を経験しています。また、2位の「設備を捨ててしまった」というミスも、1Kなどの単身物件では頻発します。「古いエアコンだから自分でつけたものだと思った」という思い込みが、退去時に弁償請求へと変わるのです。
「立つ鳥跡を濁さず」の境界線。原状回復はどこまで?
1K賃貸の退去で一番揉めるのが、「どこまで空っぽにすればいいのか」問題です。 基本的には「入居時の状態に戻す」のがルールですが、判断に迷うグレーゾーンが存在します。
- エアコン・照明・ガスコンロ
- これらは「入居時からあった設備」なのか、「前の住人(故人)が設置したもの(残置物)」なのかを確認する必要があります。契約書を見るか、管理会社に電話一本入れるだけで済みます。ここを間違えて、備え付けのエアコンを業者が取り外してしまうと、高額な賠償になります。
- 床の傷・タバコのヤニ
- 「敷金が返ってこないかも」と心配して、自分で壁紙を張り替えようとする方がいますが、それは逆効果です。国土交通省のガイドラインでは、経年劣化(普通に住んでいて古くなった分)はオーナー負担、故意や過失(タバコのヤニやペットの傷)は借主負担とされています。 素人が下手に修繕すると、「不適切な補修」として逆に追加請求されることがあります。掃除は掃き掃除・拭き掃除レベルに留め、修繕はプロ(管理会社指定の業者)に任せるのが正解です。
参考:国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
【編集長からのワンポイントアドバイス】

退去の立ち合い(鍵の返却)は、「遺品整理業者の作業直後」に設定するのが裏技です。もし管理会社の担当者から「あれ、この棚は備え付けでしたよ?」などと指摘されても、業者がまだいればトラックから戻したり、逆に「あ、これも持って行って」と言われた際に即座に対応できるからです。
ライフライン解約の落とし穴
「もう誰も住まないから」と、電気・ガス・水道をすぐに解約してしまうのはNGです。
- 電気:片付け作業や最後の掃除で、掃除機や照明を使います。また、薄暗い部屋での作業は貴重品の見落としに繋がります。
- 水道:トイレの使用や、拭き掃除、手の洗浄に不可欠です。
- ガス:これは閉栓しても大丈夫なケースが多いですが、給湯器を使ってお湯で掃除したい場合は残します。
解約日は、「退去立ち合い日」もしくは「その翌日」に設定しましょう。 作業当日に電気がつかず、スマートフォンのライト片手に必死で片付けをした…なんていう悲劇は避けてください。
ここまでの段取りができれば、あとは実際の「片付け作業」を残すのみです。
しかし、狭い1Kでの作業は、想像以上に頭を使います。次の章では、限られたスペースでも効率よく、そして大切なものを間違って捨てないための「1K専用の捜索・仕分けテクニック」を伝授します。
4. 狭い部屋だからこそ重要!効率的な仕分け・捜索のコツ

「玄関を開けたら、すぐそこに生活のすべてが詰まっていた」
1Kやワンルームの部屋に入った瞬間、多くのご遺族が立ち尽くしてしまいます。 広い家なら「とりあえず隣の部屋に荷物を移動しよう」ができますが、1Kにはそれがありません。足元にある雑誌一冊を動かすのにも、置き場所がないのです。
実は私、この「逃げ場のないプレッシャー」に負けて、一度失敗したことがあります。 手当たり次第にタンスの中身を床にぶちまけた結果、自分が立つスペースすらなくなり、トイレに行くためにゴミの山をまたぐ羽目になりました。あの時の閉塞感と徒労感は、言葉では言い表せません。
ここでは、そんな失敗をしないための、狭い部屋特有の「パズルを解くような片付け手順」と、大切なものを絶対に見落とさないための「捜索のコツ」を伝授します。
まず作るべきは「逃げ場」です
1Kの整理における鉄則。それは「捨てる」ことではなく、「空間を作る」ことから始めることです。
いきなり思い出の品を手に取ってはいけません。以下の手順で、作業の司令塔となるスペース(ベースキャンプ)を確保してください。
- 玄関・廊下を空にする
- まず、玄関から部屋に続く廊下にある靴や傘、段ボールをすべて外(または浴室)に出します。ここを「搬出ルート」兼「一時置き場」にします。
- ベッドの上を更地にする
- 布団をたたみ、マットレスの上を何もない状態にします。ここが「仕分け台」になります。床で作業すると腰を痛めますし、足の踏み場がない部屋ではベッドだけが唯一の広い平面だからです。
- 明らかなゴミだけを間引く
- ペットボトル、コンビニ弁当の空き箱、明らかな紙クズだけを45リットルの袋に詰めて、ベランダか玄関に出します。これだけで、部屋の空気が少し軽くなります。
この3ステップが終わって初めて、引き出しの中身などの「仕分け」がスタートできるのです。
【独自データ】1Kの「隠し場所」はここだ!
狭い部屋には収納が少ないため、故人も工夫して貴重品を隠しています。「こんなところにあるわけがない」という先入観が、権利書や現金の誤廃棄(ごはいき)を招きます。
では、実際にどこから貴重品が出てくることが多いのでしょうか? 弊社独自のデータが、驚きの結果を示しています。
【お片づけの窓口独自アンケート】
1K・ワンルームの遺品整理経験者300名に「現金や権利書などの貴重品を、予想外のどこで見つけたか」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 本棚の雑誌や書籍の間・裏側(35%)
- ベッドのマットレスの下、または布団カバーの中(28%)
- 冷蔵庫の中、またはキッチン用品の奥(18%)
- その他(衣装ケースの底、靴の中など)(19%)
※調査期間:2023年8月〜10月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

なんと、金庫やタンスの引き出しではなく、「本の間」や「寝具周り」が上位を占めました。 特に単身者の場合、手を伸ばせば届くベッド周りに大切なものを置く習性があります。 また、泥棒対策として「冷蔵庫」や「米びつ」の中に現金を隠す高齢者も非常に多いです。
キッチン周りの容器や、積み上がった古雑誌を「ただのゴミ」と判断して中身を見ずに捨ててしまうのは、現金をドブに捨てるようなものです。必ずパラパラとめくって確認してください。
親族に見られたくない「デジタル遺品」と「趣味の品」
1Kは、故人のプライベートが凝縮された空間です。そこには、家族に見られたくない「秘密」も必ずあります。
- デジタル機器(スマホ・PC)
- パスワードがわからない場合、無理に開こうとせず、初期化するか、物理破壊して処分するかを親族間で事前に決めておきましょう。ネット銀行の口座や株取引がないかだけは、郵便物(通知ハガキ)で確認が必要です。
- 趣味の品(アダルトグッズ等)
- 特に男性の単身部屋では、ベッド下やクローゼットの奥からこれらが出てくる確率が非常に高いです。 もし異性の親族(娘さんや姪御さん)が片付けに参加する場合は、同性の親族が先にざっとチェックするか、業者に「見つけたら黙って処分してほしい」と依頼するのが、故人の尊厳を守るための優しさです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】 アルバムや手紙が出てきたら、その場で見入ってしまうのをグッとこらえてください。これを「思い出迷子」と呼びます。写真や手紙は一旦「保留ボックス」という箱にすべて投げ込み、家に持ち帰ってからゆっくり見てください。狭い部屋での作業中に感情に浸ると、日は暮れ、作業は一歩も進みません。
壁の薄い1Kだからこそ。「音」への配慮
最後に、物理的な作業の話ではありませんが、非常に重要なのが「近隣への配慮」です。
単身者向けアパートは、ファミリータイプよりも壁が薄い構造が多いため、作業音は想像以上に響きます。 段ボールを組み立てる音、家具を引きずる音、スタッフの話し声。これらが原因で隣人からクレームが入ると、作業が中断してしまいます。
- ゴールデンタイムは「平日の10時〜16時」
- 多くの住人が出勤している時間帯を狙いましょう。休日の早朝や夜間は厳禁です。
- 共用部を占拠しない
- 狭い廊下に荷物を並べると、他の住人の通行妨害になります。搬出は「溜めてから一気に出す」のではなく、「少しずつこまめにトラックへ運ぶ」のがトラブル回避のコツです。
参考リンク:環境省|近隣騒音防止について
ここまでの内容で、 「自分たちでやるか、業者に頼むか」 「いくらかかるのか」 「いつまでにやるべきか」 「どう作業するか」 のすべてが見えてきたはずです。
しかし、最後の最後に残る不安があります。
「で、結局どこの業者に頼めばいいの?」
世の中には星の数ほどの業者が存在し、残念ながらその中には悪質な業者も紛れ込んでいます。 最終章では、あなたが絶対に後悔しないための「優良業者の見極め方」と「相見積もりの極意」をお伝えし、このガイドを締めくくりたいと思います。
5. 費用を安く、かつ安全に済ませるための業者選び

「相見積もりをとったら、A社は5万円、B社は15万円だった。なぜこんなに違うの?」
ここまで読み進めていただいたあなたが、最後にぶつかる壁がこれです。 安ければ安いに越したことはない。しかし、その「安さ」の裏にとんでもないリスクが潜んでいるとしたら?
実は私、過去に知人が「格安業者」に依頼して、警察沙汰に巻き込まれたのを見たことがあります。山林に不法投棄された遺品の中に、住所が書かれた封筒が混じっており、依頼主である知人のもとに警察から連絡が来たのです。 「安く済ませたい」という一心で選んだ業者が、結果として故人の顔に泥を塗り、遺族を犯罪の片棒を担ぐような立場に追い込んでしまった悲しい事件でした。
最終章では、そんな悪夢を避け、費用を抑えつつも安心して任せられる「優良業者の選び方」をお伝えします。
「買取」を制する者が、1K整理を制す
費用を安くする一番の近道。それは「値切り交渉」ではなく、「買取による相殺」です。
1Kやワンルームに住む単身者、特に若い方や、施設に入る直前まで生活していた高齢者の場合、家電製品が比較的新しいケースが多々あります。
- 製造5年以内の家電(冷蔵庫・洗濯機・テレビ)
- ゲーム機・オーディオ機器
- 未使用の贈答品・ブランド食器
これらを「ゴミ」として処分すれば、リサイクル料金がかかる「マイナス資産」です。 しかし、買取対応している業者なら「プラス資産」に変わります。
見積もり総額が10万円でも、買取額が3万円つけば、支払いは7万円。 業者を選ぶ際は、必ず「古物商許可」を持ち、買取査定ができる会社を選んでください。これだけで数万円の差が出ます。
【独自データ】「良い業者」の決定打は金額じゃなかった
では、実際に満足のいく遺品整理ができた人たちは、何を基準に業者を選んだのでしょうか? 安さだけではない「信頼の証」が見えてきました。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理業者を利用し「非常に満足した」と回答した250名に、「契約の決め手となった一番のポイント」を聞きました。
- 1位:見積書の内訳が明確で、「一式」という言葉がなかった(42%)
- 2位:電話対応や訪問スタッフの言葉遣い・身だしなみが丁寧だった(31%)
- 3位:金額が他社より安かった(15%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

意外にも、「金額の安さ」は3位です。 1位の「見積もりの明確さ」こそが、優良業者の証明です。「遺品整理一式 10万円」としか書かない業者は、当日になって「これは別料金です」と言う逃げ道を作っています。 「作業費」「車両費」「処分費」「リサイクル料」と、何にいくらかかるのかを明示できる業者は、仕事も誠実です。
相見積もりの必須チェックリスト
3社ほど相見積もりをとるのが業界のセオリーですが、ただ金額を見比べるだけでは不十分です。 訪問見積もりに来たスタッフに対し、以下の質問を投げかけてみてください。
- 「追加料金が発生するケースは具体的にどんな時ですか?」
- 「基本ありません」ではなく、「当日お客様の指示で処分品が増えた場合のみです」と明確に答えられるかが鍵です。
- 「廃棄物はどのように処理されますか?」
- まともな業者は「提携している一般廃棄物運搬業者が回収します」や「自治体の処理施設に持ち込みます」と即答できます。ここを濁す業者は、不法投棄予備軍です。
- 「作業後に、簡易清掃はしてもらえますか?」
- 1Kの退去では、荷物を出した後のホコリ掃除が必須です。これをサービスでやってくれる業者を選ぶと、その後の退去手続きが非常に楽になります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

訪問見積もりに来たスタッフの「靴」を見てください。かかとを踏んでいないか、汚れていないか。そして部屋に上がる際に、綺麗な靴下やスリッパを持参しているか。他人の家、しかも故人の部屋に上がるという「敬意」は、足元に表れます。靴が汚い業者は、作業も雑です。これは私の経験上、100%当たります。
最後に:遺品整理は、新しい一歩を踏み出すための儀式
ここまで、1K・ワンルームの遺品整理について、費用や手続き、業者選びまで詳しく解説してきました。
1Kという限られた空間には、故人の人生が濃縮されています。 だからこそ、片付ける側の遺族には、物理的な狭さと、精神的な密度の両方のプレッシャーがかかります。
「安く済ませたい」
「早く終わらせたい」
「トラブルになりたくない」
これらの感情は、決して不謹慎なものではありません。あなたが日常生活を守り、生きていくために必要な「防衛本能」です。
どうか、自分だけで抱え込まないでください。 物理的に無理ならプロの手を借りる。 精神的に辛いなら、思い出の品は一部だけ残して、あとは業者に託す。
遺品整理における「正解」とは、部屋が空になることだけではありません。 残されたあなたが、「これで故人も安心してくれるだろう」と納得し、明日からまた自分の人生を歩き出せる状態になること。それこそが、本当のゴールです。
この記事が、あなたの心の重荷を少しでも軽くし、納得のいく「お片づけ」の助けになることを、心より願っています。








