
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな方におすすめ
- 「片付けなきゃ」と焦る気持ちはあるのに、実家に行くと体が動かなくなってしまう方
- 親が大切にしていたモノを捨てることに、「親不孝だ」「薄情だ」と強い罪悪感を感じている方
- 週末ごとの作業で心身ともに限界を迎え、どこから手を付けていいか分からなくなっている方
- 業者に頼みたいけれど、「手抜きだと思われないか」「悪徳業者じゃないか」と不安な方
この記事でわかること
- なぜ遺品整理がこれほど「つらい」のか、その心理的な原因と「今はできなくてもいい」理由
- 「捨てる」という感覚を捨て、罪悪感を感謝に変えて手放すための心の持ち方
- 思考停止状態でも作業が少しずつ進む、「1日15分・場所限定」の具体的な整理術
- 「逃げ」ではなく「戦略」としてプロ(業者)を活用する際の、失敗しない選び方
第1章 なぜ、これほどまでに遺品整理は「つらい」のか

遺品整理を始めようと決意して部屋に入ったものの、ゴミ袋を握りしめたまま、気づけば数時間が過ぎていた……。そんな経験はありませんか?
あるいは、実家の独特な匂いを嗅いだ瞬間、懐かしさよりも先に胸が締め付けられるような苦しさを感じ、玄関から一歩も動けなくなってしまったことはないでしょうか。
もし今、あなたがそのような状態にあるのなら、まず最初にお伝えしたいことがあります。 それは、「作業が進まないのは、あなたが故人を深く愛していた証拠であり、決してあなたが怠け者だからではない」ということです。
私自身も数年前、祖母の遺品整理を経験しました。 生前、祖母が鏡台の前で毎日使っていた、半分ほど減った口紅。
それを手にした時、私は3時間悩み続け、結局その日は何も捨てられずに帰宅しました。 「これを捨ててしまったら、祖母が生きていたという『色彩』までもが消えてしまうのではないか」 そんな恐怖に襲われたからです。
この「つらさ」の正体は、単なる片付けの面倒くささではありません。あなたの心が必死に自分を守ろうとしている、正常な防衛反応なのです。
「決断疲れ」が脳をショートさせる
遺品整理が通常の掃除と決定的に違うのは、「過去との対話」を強制される点です。
目の前にあるボールペン一本にも、「これは父が仕事で使っていたものか?」「ただの粗品か?」という判断が求められます。
人は1日に最大で3万5000回の決断をすると言われていますが、遺品整理の現場では、その数倍もの「重い決断」を短時間で繰り返すことになります。
これにより脳は「決断疲れ(Decision Fatigue)」という状態に陥ります。 思考が停止し、体は鉛のように重くなり、猛烈な眠気や倦怠感に襲われる。これはあなたの意志が弱いのではなく、脳のバッテリー切れです。
実際に、遺品整理の現場で多くの人がどのような瞬間に「限界」を感じているのか、弊社の独自データを見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女500名に「整理中に最も精神的な限界(つらさ)を感じて作業を中断した瞬間」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 故人の筆跡(日記・手帳・メモ書き)を読んだ時(48%)
- アルバムや現像されていないフィルムが出てきた時(28%)
- 生前の匂いが残る衣類や寝具を手に取った時(15%)
- その他(9%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約半数の人が、モノそのものではなく、そこに宿る「生々しい痕跡(筆跡)」に触れた瞬間に手を止めています。 文字や匂いは、記憶をダイレクトに呼び覚まします。その瞬間に動けなくなるのは、あなたが人間として正常な心を持っているからです。
ですから、どうか「全然進まない自分はダメだ」と自分を責めないでください。
グリーフ(悲嘆)ケアの視点を持つ
大切な人を亡くした後に心身に現れる反応を「グリーフ(悲嘆)」と呼びます。 これは病気ではありませんが、適切なケアが必要です。
厚生労働省や専門機関の情報でも、死別直後は集中力の低下、無気力、睡眠障害などが起こることが一般的であるとされています。この時期に無理やり体を動かそうとすることは、かえって心の回復を遅らせる原因にもなりかねません。
参考リンク:厚生労働省 こころの耳 – 大切な人を亡くしたとき
「つらい」と感じたら、それは心が「休憩が必要だ」とサインを出しているのです。 遺品整理には、四十九日や退去期限などの「期限」がある場合もありますが、あなたの心の健康を害してまで優先すべき期限など、本来はありません。
第2章 「捨てる=薄情」ではない。罪悪感を消す心の持ち方
「母が大切にしていた着物を捨てるなんて、私にはできない」
「まだ使える綺麗な食器をゴミにするなんて、バチが当たりそう」
遺品整理の現場に立つと、私たちの心には強烈なブレーキがかかります。 日本人の心に根付く「もったいない」という美徳、そして「モノには魂が宿る」という考え方が、遺品を処分すること=「故人を粗末にすること」という罪悪感に変換されてしまうからです。
しかし、この罪悪感こそが、遺品整理を最も困難にしている壁です。 ここでは、その壁を乗り越えるための「心の視点転換」についてお話しします。
故人が望んでいるのは「モノの維持」ではありません
少し想像してみてください。 もしあなたが旅立った後、遺された家族があなたの残した服や本の山に囲まれ、生活スペースを圧迫され、見るたびに涙を流して苦しんでいたらどう思うでしょうか?
「そんなに大事にしてくれてありがとう」と思うでしょうか。 それとも、「もういいから、捨てて楽になってほしい。元気で笑って暮らしてほしい」と思うでしょうか。
多くの場合、答えは後者のはずです。 故人にとっての一番の供養は、遺品を守り続けることではなく、遺されたあなたが前を向いて幸せに生きることです。
モノが溢れてカビが生えたり、あなたがストレスで体調を崩したりすることは、故人の本意ではありません。住環境を整え、あなたが快適に暮らすためにモノを減らすことは、決して薄情なことではないのです。それは、あなたが自立して生きていくための「前向きな儀式」です。
ここで、実際に遺品整理を経験した方々が、どのような理由で「捨てられない」と感じていたのか、アンケート結果を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女420名に「遺品を処分することに対して、最も罪悪感を感じた理由」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- モノを捨てることが、故人の思い出そのものを消すように感じた(52%)
- まだ使える綺麗な状態だったため「もったいない」と感じた(28%)
- 故人からプレゼントされたものだったから(12%)
- その他(8%)
※調査期間:2023年10月〜12月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

半数以上の方が、「モノ=思い出(故人そのもの)」と捉えていることがわかります。 ですが、モノはあくまで「物質」であり、思い出はあなたの「心」の中にあります。物質を手放しても、あなたの中にある記憶や絆が消えることはありません。
物理的に捨てられない時の「逃げ道」を作る
理屈では分かっていても、どうしても感情が追いつかないモノは必ずあります。 そんな時は、真正面から「捨てる」のではなく、別のルート(逃げ道)を用意しましょう。
1. 写真に撮って「デジタル化」する
場所を取る大きな家具、大量の蔵書、着物、子供時代の作品などは、写真を撮ってデータとして残します。 「実物」はなくなっても、「画像」としていつでも見返せる状態を作るのです。これだけで、「完全に失ってしまった」という喪失感は劇的に軽減されます。
2. 「寄付」や「リユース」で命をつなぐ
「ゴミ袋に入れる」という行為が、心理的な痛みを伴います。 しかし、「誰かに使ってもらう」のであれば、それは廃棄ではなく「譲渡」になります。
海外への寄付団体や、地域のバザー、リサイクルショップなどを活用してみてください。あなたが手放した遺品が、世界のどこかで誰かの役に立つ。そう考えることができれば、手放す勇気が湧いてきます。
環境省も、循環型社会の形成のためにリユース(再使用)を強く推奨しています。あなたの遺品整理は、社会貢献にもつながる立派な行為なのです。
「お焚き上げ」という最終手段
人形、写真、仏壇、あるいは故人が肌身離さず持っていたお守りなど。 これらは、どうしてもゴミ収集車に乗せる気になれないものです。
そういった品物は、「お焚き上げ」を利用しましょう。 神社やお寺に依頼して供養してもらうことで、「捨てた」ではなく「天に還した」という区切りがつきます。 最近では、郵送で受け付けてくれる「お焚き上げサービス」も増えています。論理で解決できない感情は、こうした儀式の力を借りて昇華させることが大切です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

罪悪感を感じて手が止まってしまった時は、こう自分に問いかけてみてください。 「もし自分が明日死ぬとしたら、棺桶にこれを入れてほしいか?」
「イエス」と即答できるものだけが、本当に残すべき遺品です。「ノー」であれば、それは今のあなたの人生にとって、実はもう役割を終えているモノなのかもしれません。 「冷たい」のではなく「選ぶ」こと。それが遺品整理の極意です。
第3章 気力・体力に限界を感じている時の「頑張らない」整理術
「週末のたびに実家に通っているけれど、一向にモノが減った気がしない」 「『手伝うよ』と言っていた親族が、口出しだけで実際に動いてくれない」
遺品整理は、長距離マラソンのようなものです。 最初は「よし、やるぞ」と気合を入れても、終わりの見えない作業量と、積み重なる肉体的な疲労で、やがて心が折れそうになる瞬間が必ず訪れます。
私自身、父の遺品整理をしていた当時は、平日は仕事、週末は片道2時間かけて実家へ通い、日曜の夜にクタクタになって帰宅するという生活を3ヶ月続けました。 ある月曜日の朝、どうしても布団から起き上がれなくなり、「もう誰か助けてくれ」と天井に向かって呟いたことを覚えています。
この章では、そんな限界を感じているあなたに、「頑張らずに少しずつ進める」ための具体的な戦略をお伝えします。
親族との「温度差」に疲れてしまったら
遺品整理のつらさを倍増させるのが、周囲との人間関係です。 特に、実際に手を動かしている人と、そうでない人との間には、大きな「温度差」が生まれます。
「まだ終わらないの?」という何気ない一言や、「あれは取っておいて」という遠方からの指示に、殺意に近い苛立ちを覚えたことはありませんか?
ここで、遺品整理における人間関係のリアルな実態を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を親族と行った経験のある男女380名に「親族間での作業中に最もストレスを感じたこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 作業に対する熱量や当事者意識の違い(48%)
- 形見分けでの取り合いや、不要なモノの押し付け合い(25%)
- 手は動かさないのに、遠方から口だけ出してくる(18%)
- その他(9%)
※調査期間:2023年6月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約半数の方が、自分と周囲との「熱量の差」に苦しんでいます。 あなたが責任感が強く、優しい人であればあるほど、「私がやらなきゃ」と一人で抱え込みがちです。
もし親族に疲れてしまったら、「期待すること」をやめましょう。 「手伝ってくれるはず」「分かってくれるはず」という期待が、裏切られた時の怒りを生みます。 「彼らは彼らの生活で精一杯なのだ」と割り切り、精神的な距離を置くこと。そして、どうしても手が足りない時は、親族ではなく「プロ(業者)」という第三者を頼る選択肢を持つことが、あなたの心を守る盾になります。
思考停止していてもできる「1日15分」のルール
疲労で頭が回らない時、部屋全体を見渡すと「どこから手をつけていいか分からない」という絶望感に襲われます。 そんな時は、視野を極端に狭くしてください。
おすすめは「1日15分、場所限定ルール」です。
- 今日は「洗面台の下の段」だけやる
- 今日は「玄関の靴」を3足だけ捨てる
- 今日は「期限切れの調味料」だけを袋に入れる
タイマーを15分にセットし、鳴ったらどんなに中途半端でも終了します。 人間の脳は、大きな課題(家一軒の片付け)は先送りにしようとしますが、小さな課題(靴を3足捨てる)なら実行に移しやすい性質があります。
この時、絶対にやってはいけないのが「思い出の品(アルバム・手紙)」から手をつけることです。これは「片付けのラスボス」です。 気力のない時にこれを開くと、100%作業が止まります。まずは感情の入らない「明らかなゴミ(空き缶、期限切れ食品)」から淡々と処理し、リズムを作ることが重要です。
「四十九日」や「退去期限」に追われている場合
賃貸物件の退去や、家の売却期限が迫っていると、焦りからパニックになりがちです。 ですが、ここでも完璧を目指す必要はありません。
まずは「お金に関わること」と「代えが効かないもの」だけを最優先に救出してください。
- 貴重品(通帳・印鑑・権利書)
- 現金・貴金属
- どうしても手元に残したい形見(位牌・写真数枚)
これらさえ確保できれば、残りの家具や日用品は、極端な話、全て業者に任せて処分してもらうことができます。 「退去日までに空っぽにしなければ」と焦るあまり、不眠不休で作業をする必要はありません。
また、賃貸物件の退去時には「原状回復」のトラブルもつきものです。「どこまで綺麗に掃除すべきか」で迷ったら、国土交通省のガイドラインが参考になります。借り主が負担すべき範囲を知っておくことで、無駄な掃除の手間を省ける場合もあります。
参考リンク:国土交通省 – 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理において、100点満点を目指すのはやめましょう。 あなたが倒れてしまっては元も子もありません。 「とりあえず貴重品は見つけた」「今日はゴミ袋を2つ出した」 それだけで今日は60点の合格です。自分に「よくやった」と言ってあげて、温かいお茶でも飲んで休んでくださいね。
第4章 プロに頼むことは「逃げ」でも「親不孝」でもない
「親の片付けを他人任せにするなんて、自分はなんて冷たい人間なんだろう」 「お金で解決するなんて、故人に申し訳ない」
遺品整理業者への依頼を検討し始めた時、多くの人の心に最後に立ちはだかるのが、この「謎の罪悪感」です。 汗水垂らして苦労することこそが供養であり、楽をすることは「手抜き」である――。そんな真面目すぎる思い込みが、あなたを追い詰めてはいませんか?
はっきり申し上げます。 プロの手を借りることは「逃げ」でも「親不孝」でもありません。 それは、あなたが壊れてしまわないための、賢明な「自己防衛」であり、故人の尊厳を守るための「プロの技術」の活用なのです。
「掃除屋」ではなく「遺品整理士」というパートナー
実は私も、最初は「知らない人に実家を触られたくない」という抵抗感がありました。 しかし、いよいよ期限が迫り、わらをもつかむ思いで依頼した業者さんの対応に、その偏見は覆されました。
彼らは、私がゴミだと思ってまとめていた紙束の中から、一枚の古い家族写真を救い出してくれました。 「これは、取っておかなくて大丈夫ですか?」 その一言を聞いた時、彼らが単なる「不用品回収」ではなく、遺族の心に寄り添う「遺品整理」のプロであることを痛感しました。
優れた業者は、事務的にモノを捨てるのではなく、遺族が前に進むための背中を押してくれます。彼らは、あなたが泣き崩れている間、黙って手を動かし続けてくれる、頼もしいパートナーになり得るのです。
「安さ」だけで選ぶと後悔する理由
ただし、残念ながらすべての業者が優良であるとは限りません。 遺品整理業界は参入障壁が低いため、中には心ない業者も存在します。
ここで、実際に業者選びで後悔した方の声を見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理業者を利用した経験のある男女300名に「業者選びで最も失敗した、後悔したと感じた点」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 見積もり時よりも高額な追加料金を請求された(45%)
- 遺品を乱雑に扱われ、見ていてつらかった(30%)
- 約束していた日時や作業内容が守られなかった(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2024年4月〜6月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

最も多いトラブルはやはり金銭面ですが、次に多いのが「遺品の扱い」です。 「とにかく安く済ませたい」という一心で、格安の不用品回収業者に依頼した結果、トラックに荷物を放り投げられるのを見て、深い心の傷を負ってしまったというケースも少なくありません。
国民生活センターにも、遺品整理サービスに関する相談が多く寄せられています。契約前にトラブル事例を知っておくことも、自分を守るためには必要です。
参考リンク:独立行政法人 国民生活センター – 遺品整理サービスでの契約トラブル
信頼できる業者を見極める「3つの質問」
では、どうすれば良い業者に出会えるのでしょうか。 ホームページの綺麗さや口コミだけでなく、「見積もりに来た担当者」をよく観察してください。そして、以下の3つの質問をぶつけてみてください。
- 「追加料金が発生する可能性はありますか?あるとしたらどんな場合ですか?」
- まともな業者は、「よほどのことがない限りありません」と答えるか、具体的な条件(エアコン取り外しなど)を明確に説明します。「絶対ないです」と安請け合いしすぎるのも要注意です。
- 「権利書や貴重品が出てきたらどうしますか?」
- 「すぐに作業を止めて、ご遺族に確認します」と即答できる業者は、教育が行き届いています。
- 「まだ使える家具はどうなりますか?」
- 「海外輸出やリサイクル市場に回します」と、処分の出口を説明できる業者は、不法投棄のリスクが低く信頼できます。
この質問をした時の、相手の目を見てください。 面倒くさそうな顔をするか、真摯(しんし)に答えてくれるか。その直感は、意外なほど当たります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

業者選びで一番大切なのは、「相性」です。どんなに大手で評判が良くても、担当者と話していて「なんか合わないな」「威圧的だな」と感じたら、その違和感は無視しないでください。遺品整理は、あなたのプライベートな空間と心の中に踏み込む作業です。 「この人なら、お父さんの部屋を任せてもいいかな」 そう思える人に頼むことが、結果として一番の心のケアになります。相見積もりは3社ほど取り、金額だけでなく「人」で選んでくださいね。
第5章 整理を終えた先にあるもの
空っぽになった部屋に立ち、窓を開けて風を通したとき。 そこにあるのは、恐れていた「寂しさ」だけではありません。不思議なほどの「静寂」と、肩の荷がふっと軽くなるような「安堵感」です。
私自身、祖母の遺品整理を終えた日のことを今でも鮮明に覚えています。 モノで溢れかえっていた部屋が綺麗になった瞬間、私は「祖母を消してしまった」のではなく、「祖母を苦しみや執着から解放してあげられた」と感じました。
遺品整理は、単なる「お片付け」ではありません。 それは、あなたが過去の悲しみに区切りをつけ、再び自分自身の人生を歩み始めるための、大切な通過儀礼なのです。
部屋の余白は、心の余白
「部屋は心の写し鏡」と言われますが、遺品整理ほどそれを実感する瞬間はありません。 いつまでも片付かない部屋を見るたびに、あなたの心の奥底には「まだ終わっていない」「自分はダメだ」という小さなストレスが蓄積され続けていました。
それが解消されたとき、心には驚くほどの「余白」が生まれます。 その余白ができて初めて、人は「さて、これからの自分の人生をどう楽しもうか」という未来の思考ができるようになるのです。
実際に、遺品整理という大仕事を終えた先輩たちが、どのような心境の変化を感じているのか、データを見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理をすべて完了した経験のある男女350名に「整理を終えた後、心境にどのような変化があったか」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 肩の荷が下りて、気持ちが前向きになった(58%)
- 悲しみが癒え、穏やかに故人を思い出せるようになった(24%)
- 家族や親族との関係が以前より良くなった(10%)
- その他(8%)
※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

6割近い方が「前向きになれた」と回答しています。また、「穏やかに思い出せるようになった」という声も重要です。モノに埋もれていた時は、見るたびに「つらい」という感情がセットになっていましたが、整理され、選ばれた遺品だけが手元に残ることで、純粋で温かい思い出だけにアクセスできるようになるのです。
遺品整理は「別れ」ではなく「新しい関係」の始まり
多くの人が、遺品整理を「故人との永遠の別れ」だと思って怖がります。 ですが、そうではありません。これは「故人との関係性の再構築」です。
「介護する側・される側」あるいは「心配する親・心配される子」という、生前の少し重苦しかった関係性が終わり、心の中で対等に、静かに対話できる新しい関係が始まります。
物理的なモノがなくなったからといって、あなたの中にある愛情は1ミリも減りません。 むしろ、物質的なしがらみがなくなることで、絆はより純粋で、透明なものへと変わっていくのです。
あなたの人生を取り戻すために
最後に、これからの「あなた」の話をしましょう。
空き家になった実家を売却して老後の資金に充てることも、賃貸に出して誰かに住んでもらうことも、あるいは更地にして新しい土地として活用することも。 そのすべてが、あなたが自分の人生を豊かに生きるための正当な権利です。
国土交通省も、空き家の発生を抑制し、有効活用することを推進しています。あなたが実家を整理し、次の活用へ繋げることは、地域社会にとっても大きな貢献となります。
故人のために使い続けてきた時間と労力を、これからは「自分のため」に使ってください。 美味しいものを食べたり、旅行に行ったり、趣味に没頭したり。 あなたが笑顔で人生を謳歌している姿を見せることこそが、天国の故人に対する最大のご報告になるはずです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。 この記事を読んでいるあなたは、きっと今、逃げ出したいほどつらい渦中にいるのかもしれません。でも、「明けない夜はない」のと同じで、「終わらない遺品整理」も絶対にありません。 今日、ゴミ袋を一つ縛った。それだけでも素晴らしい前進です。 焦らず、あなたのペースで、ゆっくりと進んでいってください。その先には、必ず穏やかな日々が待っていますから。
よくある質問(FAQ):遺品整理の「迷い」を断ち切るQ&A
本文では触れきれなかった、しかし多くの方が直面する現実的な悩みについて、Q&A形式でお答えします。 「こんなことを気にしているのは自分だけ?」と思わず、疑問を解消して心を軽くしてください。
Q1. 遺品整理に「法的な期限」はあるのでしょうか?
A. 「整理」自体に期限はありませんが、「相続」に関する期限は厳守する必要があります。
故人の部屋を片付けること自体には、いつまでという決まりはありません。しかし、法律に関わる以下の2つの期限は、過ぎてしまうと大きな不利益を被る可能性があります。
- 相続放棄(3ヶ月以内):借金などの「マイナスの財産」が多い場合、相続を放棄する手続きが必要です。
- 相続税の申告(10ヶ月以内):遺産総額が基礎控除を超える場合、申告・納税が必要です。
この期間内に、少なくとも「何がどれくらいあるのか(通帳、権利書、借用書)」だけは把握しておく必要があります。モノの処分は後回しでも、「財産の全容把握」だけは早急に行うのが鉄則です。
Q2. 兄弟・親族と意見が合わず、喧嘩になりそうです。どうすればいいですか?
A. 「役割分担」ではなく「感情の共有」から始めてください。
遺品整理のトラブルで最も多いのが、実働部隊(実際に片付ける人)と、外野(口だけ出す人)の対立です。 ここで、実際にどのような原因で揉めているのか、データを見てみましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理において親族間トラブルを経験した男女350名に「揉め事の最大の原因」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 作業負担の偏り(誰が片付けるのか)への不満(45%)
- 「捨てる・捨てない」の価値観の違い(30%)
- 遺産分割や整理費用の負担割合(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年7月〜9月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約半数が「私ばかりやっている」という不公平感から喧嘩に発展しています。 これを防ぐには、作業を始める前に「遺品整理にかかった費用(交通費、ゴミ袋代、業者代)は、遺産から優先的に捻出する」というルールを明確に決めておくことです。
また、どうしても意見が合わない場合は、第三者である「遺品整理業者」を間に入れることで、感情的な対立を避けることができます。
Q3. スマホやPCのパスワードが分かりません。解除して中身を見るべきですか?
A. トラブルの元になる可能性があるなら、あえて「見ない」選択も重要です。
いわゆる「デジタル遺品」の問題です。 ネット銀行や証券口座の有無を確認するために開く必要がある場合を除き、個人的なメールや写真などは「見ないほうが幸せだった」というケースが後を絶ちません。故人の知られたくない秘密を知ってしまうことで、美しい思い出が傷つくことがあるからです。
どうしても解除が必要な場合は、自力で何度も間違えてロックさせてしまう前に、デジタル遺品専門の業者や、弁護士に相談することをお勧めします。
Q4. 遺品整理業者に頼むと、高額な費用がかかるイメージがあります。
A. 「分別」を自分でするだけで、費用は半額以下になることもあります。
業者の費用の大部分は「人件費」と「処分費」です。 すべての作業を丸投げすれば数十万円かかりますが、例えば「衣類と本は自分でゴミの日に出す」「リサイクルショップに売れるものは売っておく」など、モノの総量を減らしてから依頼すれば、費用は劇的に下がります。
見積もりを取る際は、「大きな家具の運び出しだけをお願いしたい」といった部分的な依頼が可能か聞いてみるのも賢い方法です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理において、最も大切なのは「スピード」でも「完璧さ」でもなく、「あなた自身の納得感」です。「今日はこれしかできなかった」と減点法で考えるのではなく、「今日は思い出のアルバムを1ページ整理できた」と加点法で考えてください。 故人は、あなたが眉間に皺を寄せて作業することよりも、懐かしい思い出話に花を咲かせながら、ゆっくりとお別れをしてくれることを望んでいるはずですよ。
まとめ:あなたのペースで、ゆっくりと
全5章とQ&Aを通して、遺品整理の「つらさ」と向き合い、乗り越えるためのヒントをお伝えしてきました。
- つらいのは、愛していた証拠(自分を責めない)
- 捨てるのではなく、役割を終わらせてあげる
- 1日15分、場所限定で小さく始める
- プロを頼ることは、自分を守る賢い選択
- 片付けた先には、新しい人生の余白が待っている
この情報が、あなたの背中を優しく支え、一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。








