
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな方におすすめです
- 故人の部屋に入ると涙が溢れ、片付けの手が止まってしまう方
- 「遺品を捨てること」が、故人を裏切る行為のように感じて辛い方
- 周囲から「早く整理したほうがいい」と言われ、焦りやプレッシャーを感じている方
- 悲しみで判断力が低下し、何から手をつけていいか分からなくなっている方
この記事でわかること
- 心のケアを最優先に: 遺品整理を「無理に進めなくていい理由」と、悲しみとの向き合い方
- 捨てない選択肢: 罪悪感を感じずに一時的に解決する「保留ボックス」や「デジタル保存」の技術
- 美しい手放し方: ゴミとして扱わず、感謝を込めて送り出す「供養」や「寄付」の具体的な方法
- 頼る勇気: 心に寄り添ってくれる「遺品整理士」の選び方と、周囲への相談の仕方
はじめに

「遺品整理 悲しい」
あなたが震える指でこの言葉を検索窓に打ち込んだ時、求めていたのは「効率的な片付け方」や「ゴミの分別ルール」ではなかったはずです。
部屋の片隅に積み上げられた段ボール。ふとした拍子に漂ってくる、懐かしいあの人の匂い。 片付けなければいけないと頭では分かっているのに、どうしても体が動かない。一着の洋服を手にするだけで、思い出が走馬灯のように駆け巡り、気づけば数時間が過ぎている。
そんな自分を「なんてダメな人間なんだろう」「早く終わらせて楽になりたいのに」と責めてしまっていませんか?
どうか、深呼吸を一つしてください。 そして、この言葉を受け取ってください。
「あなたは今、何もできなくて当たり前なのです」
この記事は、プロの整理収納アドバイザーとして数多くの現場を見てきた私たちが、ノウハウだけではなく、あなたの「痛み」に寄り添い、少しずつ前へ進むための手引きとして書きました。
その悲しみは、大切な人を深く愛していた証拠です
遺品整理が進まないのは、あなたが怠惰だからではありません。 それは、あなたが故人を心の底から愛し、その喪失という現実を受け入れるのに、心が必死で抵抗している証拠なのです。
愛の深さと、悲しみの深さは比例します。 物が捨てられないのは、物を通してあの人との絆をまだ繋ぎ止めておきたいという、切実な願いの表れでもあります。
私たちは、そんなあなたの気持ちを置いてけぼりにして「こうすれば早く片付きます」といった事務的な提案はしません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「整理を始めるにあたって、最も大きな壁となった感情」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 故人との思い出が蘇り、喪失感に襲われる(58%)
- 物を捨てることへの罪悪感(25%)
- 何から手をつけていいか分からない不安(12%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年4月〜6月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

ご覧の通り、半数以上の方が物理的な手間よりも「心の問題」で立ち止まっています。あなたと同じように、多くの人が涙を流しながら、悩みながら、この壁と向き合っているのです。
このガイドブックの使い方
この記事では、無理に「捨てる」ことを強要しません。 今のあなたの心のフェーズに合わせて、以下の順序でお話を進めていきます。
- 心のケア: まずは悲しみを受け入れ、自分を許すこと。
- 保留の技術: 捨てずに「一旦置いておく」という選択肢。
- 手放しの儀式: 罪悪感なく、感謝して送り出す方法。
- 頼る勇気: どうしても辛い時に、誰かの手を借りること。
読み進める中で「今はまだ無理だ」と感じたら、そこで画面を閉じていただいて構いません。 それは逃げではなく、「今はまだその時期ではない」という大切な判断だからです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

このページに辿り着いた時点で、あなたはもう十分に「遺品整理」に向き合おうと努力されています。「検索した」というその小さな一歩が、実は大きな前進なのです。 今日ですべてを解決しようとしないでください。私たちと一緒に、まずは絡まった心の糸を一本ずつほどくことから始めていきましょう。
それでは、少し肩の力を抜いて。 まずは、焦る気持ちを鎮め、あなたの心を守るための考え方からお話しします。
第1章:無理に始めなくていい。「心の整理」を優先する時間

部屋のドアを開けると、そこにはまだあの人の匂いが残っている気がする。 段ボールを手に取ろうとすると、急に鉛のように身体が重くなり、気づけばその場に座り込んで数時間が経っていた。
あなたは今、そんな自分を「なんてダメなんだろう」「早く片付けなきゃいけないのに」と責めていませんか?
どうか、自分を責めないでください。 それは怠惰でも、甘えでもありません。あなたが故人を深く愛し、その喪失という巨大なストレスと懸命に戦っている証拠なのです。
この章では、遺品整理という物理的な作業の前に、まずあなたが自分自身の心を守るために知っておいてほしいことをお話しします。
遺品整理が進まないのは「甘え」ではありません
愛する人を亡くした後、心と身体が動かなくなるのは、人間として正常な防衛反応です。
私自身の話を少しさせてください。 私が父を亡くした時、父が愛用していた眼鏡一つをどうしても捨てられず、引き出しに入れては出し、入れては出しを半年以上繰り返しました。その眼鏡をゴミ袋に入れることは、まるで父の存在そのものを否定し、二度目の死を与えるような感覚に陥ったからです。
「遺品」はただの「物」ではありません。そこには、あなたと故人が共有した時間、言葉、温もりが張り付いています。 それを分別し、処分するという行為は、脳にとって凄まじい負荷がかかる作業です。
進まなくて当たり前なのです。まずは「今はできなくて当然だ」と、今の動けない自分を許してあげてください。
悲しみと向き合う「グリーフワーク」という期間
専門的な言葉になりますが、死別による悲しみを乗り越えようとする心理的プロセスを「グリーフワーク(悲嘆の作業)」と呼びます。これには時間がかかりますし、一直線に回復するものでもありません。
- ショック期: 感覚が麻痺し、涙も出ない、あるいは現実味が湧かない。
- 喪失期: 激しい悲しみ、怒り、罪悪感が波のように押し寄せる。
- 閉じこもり期: 何もやる気が起きず、誰とも会いたくない。
- 再生期: 少しずつ、新しい生活に目を向けられるようになる。
多くの人は、遺品整理を「喪失期」や「閉じこもり期」に無理やり行おうとして、心がパンクしてしまいます。 涙が出て止まらない時は、無理に止めようとせず、枯れるまで泣いてください。涙にはストレスホルモンを排出し、副交感神経を優位にする作用があります。泣くことは、弱いことではなく、回復のための生理現象です。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「整理中に起きた心身の不調」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 1位:遺品を見ると涙が止まらず作業が中断した(54%)
- 2位:ひどい倦怠感で朝起き上がれなくなった(28%)
- 3位:食欲不振や不眠などの体調不良(12%)
- その他(6%)
※調査期間:2023年8月〜10月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者
このように、半数以上の方が「作業が進まないほどの悲しみ」を経験しています。あなただけが弱いわけではないのです。
「今日は何もしない」と決める勇気
遺品整理において最もエネルギーを使うのは、重い家具を運ぶことではなく、「捨てるか、残すか」を決断することです。 人は1日にできる決断の回数に限界があると言われています。ましてや、精神的なダメージを負っている今は、普段よりもその容量が極端に減っています。
判断に迷って手が止まったら、その日はもう「店じまい」にしましょう。 「今日は片付けられなかった」と落ち込むのではなく、「今日は自分の心を休める日」と決めてしまうのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

真面目な方ほど、毎日少しずつでも進めなければと焦ってしまいます。ですが、心が疲弊している時の判断力は鈍っています。そんな時に無理に捨ててしまい、「あれを残しておけばよかった」と後悔するケースが後を絶ちません。 もし賃貸の退去日が迫っているなどのっぴきならない事情がない限り、整理の手が止まったら「今はまだ、この物とお別れするタイミングではないんだな」と捉え、そっと箱に戻してください。保留にすることは、逃げではなく立派な「判断」の一つです。
いつから始めればいい?社会的な期限と「あなたの時計」
そうは言っても、いつまでもそのままにしておけないという焦りもあるでしょう。整理を始めるタイミングには、大きく分けて「社会的な期限」と「心理的なタイミング」の2つがあります。
1. 社会的な期限(手続き上の期限)
これらは法律や契約に関わるため、優先順位を整理する必要があります。
- 賃貸物件の退去: 家賃が発生し続けるため、最も急ぐ理由になります。
- 相続税の申告: 相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。資産価値のある遺品(骨董品や貴金属など)がある場合は注意が必要です。
[参照リンク] 国税庁:相続税の申告と納税
2. 心理的なタイミング(あなたの時計)
持ち家であったり、急いで退去する必要がない場合は、以下のタイミングが目安になりますが、これに合わせる必要はありません。
- 四十九日: 親族が集まるタイミングで形見分けを行うことが多いです。
- 一周忌: 季節が一巡し、少し心が落ち着いてきた頃。
- 3年後: 意外かもしれませんが、数年経ってからようやく手がつけられたという方も珍しくありません。
大切なのは、「世間一般ではこうだから」という基準ではなく、「今日なら、あの引き出しを開けても大丈夫かもしれない」という、あなたの心の小さな変化を見逃さないことです。
第1章では、まず心のケアを最優先にするお話をしました。 「今は無理をしなくていい」と分かっていても、現実的に部屋を圧迫する荷物や、どうしても捨てられない物への執着に悩むこともあるでしょう。
続く第2章では、そんなあなたの罪悪感を少しでも減らし、心を痛めずに進めるための具体的な「捨てない整理術」についてお伝えします。
第2章:罪悪感を減らす「捨てない整理術」と「保留」のすすめ

「これを捨てたら、母との思い出まで消えてしまう気がする」
遺品整理の現場で、ご遺族が最も苦しまれるのがこの瞬間です。 特に、故人が大切にしていた趣味のコレクションや、肌身離さず身につけていた衣類などをゴミ袋に入れる行為は、精神的な拷問に近いものがあります。
私自身、祖母の遺品整理をした際、祖母が着ていた少しシミのついたカーディガンをどうしても捨てられませんでした。その匂いを嗅ぐと、祖母の膝の上の温かさを思い出したからです。結局、私はそれを3年間、自分のクローゼットの奥にしまい込みました。
結論から申し上げます。迷ったら、捨てなくていいのです。 罪悪感を感じながら捨てた物は、後々まで「やっぱり残しておけばよかった」という強烈な後悔に変わります。
ここでは、心を痛めずに空間を確保する具体的なテクニックをご紹介します。
判断に迷うものは無理に決めない。「一旦保留ボックス」の活用法
遺品整理には「捨てる」「残す」の他に、「保留」という第3の選択肢があります。
段ボール箱を用意し、判断に迷う物をすべてそこに入れてください。そして箱に大きく「保留」と書き、日付を入れて封をします。 この箱は、クローゼットの奥や納戸など、普段目につかない場所に保管します。
- 期限を決める: 「半年後」「一周忌が終わったら」など、見直す日を決めます。
- 心の変化を待つ: 時間が経つと、不思議と執着が薄れ、「もう手放してもいいかな」と思える瞬間が来ます。
- 開封せずに処分も: 期限が来ても開けるのが辛ければ、中身を見ずにそのままお焚き上げ等に出すのも一つの方法です。
「今すぐ決めなくていい」という安心感が、あなたの心を圧倒的に軽くします。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「整理後に『捨てなければよかった』と後悔した物」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 1位:故人の直筆の手紙や日記・メモ書き(42%)
- 2位:普段使いしていた眼鏡や時計などの小物(28%)
- 3位:趣味のコレクション・蔵書(18%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年11月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

このように、価値のある貴金属よりも、何気ない「直筆のメモ」や「日用品」に後悔が集中しています。これらは一度捨てると二度と戻りません。だからこそ、「保留」が重要なのです。
場所を取らずに思い出を残す「デジタル化」
大量の写真アルバム、年賀状の束、あるいは場所を取る絵画や置物。これらは物理的なスペースを圧迫しますが、思い出としての価値は計り知れません。
そこで有効なのが「デジタル遺品整理」です。
- 写真・手紙: スキャナーで取り込むか、スマホで綺麗に撮影してクラウドやHDDに保存します。原本は数枚だけ残して処分しても、画像データとしていつでも見返すことができます。
- 立体の作品: 故人が作った陶芸作品や、大きな家具などは、様々な角度から写真を撮り、フォトブックにして残します。「物」そのものは手放しても、「記憶」は鮮明に残ります。
形あるものはいつか劣化しますが、データは色褪せません。
着物をバッグに、宝石をアクセサリに。形を変えてそばに置く「リメイク」
「タンス一竿分の着物があるけれど、私は着ないし、捨てるには忍びない」 このような悩みは非常に多いです。そのまま持っていると「管理できない重荷」になりますが、形を変えれば「日常的に使える宝物」になります。
- 着物: トートバッグ、日傘、クッションカバー、テディベアなどにリメイク。
- 宝石: デザインが古い指輪を、シンプルなペンダントトップやピアスに加工。
- ネクタイ: パッチワークにして、ひざ掛けやポーチに。
環境省も「リユース(再使用)」や「リペア(修理)」を推奨しています。単に捨てるのではなく、新しい命を吹き込むことは、故人の想いを継承する立派なSDGs活動でもあります。
[参照リンク] 環境省:サステナブルファッション
トランクルームを使って、物理的な距離と時間の猶予を作る
賃貸の退去期限が迫っているけれど、どうしても実家に持ち帰れない量がある。そんな時は、「お金で時間を買う」と考えて、トランクルーム(レンタル倉庫)を利用するのも賢い選択です。
毎月の保管料はかかりますが、それは「心の整理がつくまでの家賃」と割り切りましょう。 物理的に距離を置くことで、冷静さを取り戻せることもあります。手元にあるとどうしても「片付けなきゃ」というプレッシャーになりますが、預けてしまえば、自分のペースで少しずつ向き合えます。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「お金をかけてまでゴミかもしれない物を保管するなんて」と、ご家族から反対されることがあるかもしれません。ですが、遺品整理で最も大切なのは効率ではなく、残された方の心の納得感です。 数ヶ月保管料を払ってでも、あなたが「これでよし」と思えるタイミングを待つことには、十分な価値があります。無理に急いで心を壊してしまうより、ずっと経済的で健康的ですよ。
第2章では、あえて「捨てない」という選択肢についてお話ししました。しかし、現実的にはすべての物を残すことはできません。いつかは、いくつかの物とお別れをする時が来ます。
そんな時、ただの「ゴミ」として捨てるのではなく、感謝を込めて送り出す方法があれば、罪悪感は驚くほど軽くなります。 続く第3章では、あなたの優しい気持ちを裏切らない、美しい手放し方と供養について詳しくお伝えします。
第3章:ゴミとして扱わない。感謝を込めた「美しい手放し方」

指定のゴミ袋に遺品を入れ、口を縛る時の「キュッ」という音。 私はあの音がどうしても苦手でした。まるで、故人との思い出まで一緒に封印して、社会から抹消してしまうような冷たさを感じたからです。
もしあなたが、ゴミ集積所に遺品を置くことに抵抗を感じているなら、それは決して変なことではありません。 日本では古来より「物には魂が宿る」と考えられてきました。 ここでは、単なる「廃棄」ではなく、心を込めて「送り出す」ための儀式や方法をご紹介します。
「捨てる」ではなく「送り出す」。お焚き上げと神社での供養
最も心が軽くなる方法は、神社やお寺にお願いして「お焚き上げ(供養)」をしてもらうことです。 火の力で浄化し、天に還すという宗教的な儀式を経ることで、「ゴミとして捨てた」という罪悪感は「無事に天国へ送り届けた」という安堵感に変わります。
- 対象になるもの: 人形、写真、愛用していた筆記具、お守り、仏壇など。
- 依頼方法: 近くの神社や寺院に持ち込むか、最近では「郵送での供養」を受け付けているサービスも増えています。段ボールに詰めて送るだけで、後日、供養完了の証明書や動画を送ってくれるところもあります。
手間と費用はかかりますが、心のつかえを取るための「必要経費」と考えてみてはいかがでしょうか。
自宅でできる「感謝の儀式」
すべての物を神社に持っていくのは現実的に難しい場合もあります。そんな時は、自宅で簡易的な儀式を行うだけでも、気持ちの切り替えができます。
- 白い紙か布を用意する: 遺品をそのままゴミ袋に入れず、白い紙(半紙やコピー用紙で構いません)や布で包みます。「白」は清浄を表す色です。
- 塩で清める: ひとつまみの塩をパラリとかけます。
- 言葉をかける: 「長い間、お父さんを守ってくれてありがとう」「お疲れ様でした」と声に出して感謝を伝えます。
このひと手間を加えるだけで、それは「廃棄物」ではなく、役目を終えて旅立つ「送り物」へと変わります。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「一般ゴミとして捨てることに最も抵抗があった物」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 1位:人形・ぬいぐるみ・日本人形(45%)
- 2位:故人が写っている写真・アルバム(30%)
- 3位:布団・寝具・肌着(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

やはり、人の形をしたものや、故人の姿が写っているものには強い抵抗を感じる方が多いようです。これらだけでも供養に出すことで、心の負担は大幅に軽減されます。
誰かの役に立つことが供養になる。「寄付・譲渡」
故人が大切にしていた本、まだ着られる服、使いかけの介護用品など。「捨てるのはもったいないけれど、自分は使わない」という物は、次の誰かに託すことこそが最高の供養になります。
- 図書館や施設への寄付: 本やタオルなどは、地域の図書館や介護施設、動物愛護団体で喜ばれることがあります。
- 海外支援: 日本の古着や食器、文房具を開発途上国へ送る活動を行っている団体があります。
- フリマアプリ: 手間はかかりますが、本当にその価値を分かってくれる人に直接譲ることができます。「父が大切にしていたカメラです」と一言添えて出品し、大切に使ってくれる人の手に渡った時、とても温かい気持ちになれたというご遺族も多いです。
環境省も循環型社会の形成に向け、リユース(再使用)を強く推進しています。あなたの手放す行為が、地球の裏側の誰かの笑顔に繋がっている。そう思えば、手放すことへの躊躇も薄らぐはずです。
[参照リンク] 環境省:リユースの推進
故人が喜ぶ「手放し方」の基準とは?
最後に、判断に迷った時の究極の基準をお伝えします。 それは、「これを残して私が悲しい顔をしているのと、手放して私が笑顔で生きるのと、故人はどちらを望むだろうか?」と問いかけることです。
故人は、あなたに悲しんでほしくてその物を残したわけではありません。あなたがそれを見るたびに辛い思いをしているなら、それは故人の本意ではないはずです。
「今までありがとう。あなたの分まで、私は幸せに生きますね」 そう心の中で誓って手放すことが、何よりの供養になるのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

どうしてもゴミ袋に入れるのが辛い時、私はよく「他のゴミとは混ぜない」という方法をお勧めしています。 生ゴミや日常のゴミと一緒にするのではなく、遺品だけを入れる専用の袋を用意してください。そして、収集日の朝、一番最後に「いってらっしゃい」と心の中で声をかけて出してください。 ほんの少しの区別ですが、それだけで「粗末に扱わなかった」という自分自身への納得感が生まれます。
第3章では、物への感謝と別れの儀式についてお伝えしました。 しかし、物の量が膨大であったり、重い家具が多かったり、あるいは悲しみが深すぎて体がどうしても動かない場合もあるでしょう。
一人で抱え込む必要はありません。 続く第4章では、プロの手や周囲の助けを借りる時の「心のハードル」の下げ方と、信頼できるパートナーの選び方についてお話しします。
第4章:どうしても辛い時は。誰かの力を借りる勇気

「母の部屋を片付けようとすると、過呼吸気味になって手が震えるんです」
かつて、そう泣きながら私に電話をくださった依頼者様がいらっしゃいました。彼女は「娘である自分がやらなきゃいけないのに」と、半年間も一人で苦しんでいたのです。
遺品整理は、物理的な労働と精神的な負担が同時に襲ってくる、人生で最も過酷な作業の一つです。 骨折している時に重い荷物を持とうとする人がいないように、心が怪我をしている時に、無理に一人で遺品と向き合う必要はありません。
ここでは、後悔しない「パートナー(協力者)」の選び方と、周囲との関わり方について解説します。
家族や親族と「捨てる・残す」の温度差がある時の対処法
遺品整理で意外と大きな壁になるのが、残された家族間での意見の食い違いです。 「早く片付けて家を売却したい兄」と「まだそのまにしておきたい妹」。悲しみの深さや表現方法は人それぞれですが、この温度差がトラブルの元になります。
重要なのは、「最も悲しんでいる人のペースに合わせる」という原則です。 効率を優先して、悲しんでいる人の意向を無視して捨ててしまうと、一生消えないわだかまりが残ります。
もしあなたが「捨てたくない」側なら、素直に「まだ心が追いつかないから、もう少しだけ待ってほしい」と伝えてください。 逆にあなたが「片付けたい」側なら、急かすのではなく「大変だろうから、分別だけ手伝うよ」と、相手の負担を減らす方向で声をかけてあげてください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した男女350名に「親族間でのトラブルや意見の不一致」について聞いたところ、以下の結果となりました。
- 1位:『捨てる』か『残す』かの判断基準の違い(48%)
- 2位:形見分けの品物や金銭的価値のある物の分配(25%)
- 3位:作業負担の偏り(自分ばかりがやっている)(18%)
- その他(9%)
※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

約半数の方が、物の処分基準で揉めています。物はまた買えても、家族の絆は一度壊れると修復が困難です。まずは「話し合い」の時間を持つことが、遠回りのようで一番の近道です。
事務的な業者は嫌だ……心に寄り添う「遺品整理士」の選び方
「業者に頼むと、思い出の品をゴミのように扱われるんじゃないか」 そんな不安をお持ちではないでしょうか。確かに、単なる不用品回収業者の中には、乱暴な作業を行うところも存在します。
そこで基準にしていただきたいのが、「遺品整理士」という資格の有無、そして「グリーフケア(悲嘆のケア)」への理解があるかどうかです。
心ある業者は、遺品を「物」ではなく「故人の生きた証」として扱います。 ポケットの中身を一つひとつ確認し、写真や手紙が出てくれば手を止めて依頼者に確認する。そんな当たり前の配慮ができる業者を選んでください。
国民生活センターでも、遺品整理サービスに関する相談が増加傾向にあるとして、契約前の十分な確認を呼びかけています。見積もり時の対応は、そのまま作業の質に直結します。
[参照リンク] 独立行政法人 国民生活センター:遺品整理サービスでのトラブル
「一緒に仕分け」をしてくれるプランを探す
業者に頼む=「鍵を渡して全部お任せ」だけではありません。 今、私たちが推奨しているのは、「依頼者参加型」のプランです。
スタッフが横について、「これはどうされますか?」「思い出の品ですね」と声をかけながら、一緒に仕分けを進めていくスタイルです。 重いものを運んだり、袋詰めしたりする作業はスタッフが行い、あなたは「判断」することだけに集中できます。
一人だと思い出に浸って止まってしまう手も、隣で優しくリードしてくれる人がいれば、驚くほどスムーズに進みます。それは孤独な作業ではなく、故人との思い出を語り合う温かい時間になります。
みんなはどう乗り越えた?同じ悲しみを経験した人の体験談
最後に、この辛い時期を乗り越えた方々が、どのくらいの時間をかけて整理を終えたのかを知ってください。
- Aさん(60代女性): 夫が亡くなってから3年間、書斎には入れませんでした。3回忌を機に、娘と一緒に少しずつ片付け始め、半年かけて整理しました。
- Bさん(40代男性): 親の実家が遠方だったため、プロの業者に依頼しました。「母が大切にしていた着物は供養してほしい」と伝えたところ、丁寧にお焚き上げの手配までしてくれ、肩の荷が下りました。
正解はありません。1ヶ月で終わる人もいれば、10年かかる人もいます。 「みんな違っていい」。その事実を知るだけで、少し気が楽になりませんか?
【編集長からのワンポイントアドバイス】

業者を選ぶ際、どうしても料金の安さに目が行きがちですが、電話対応の「間」を意識してみてください。 こちらの悲しみや迷いを無視して、早口で事務的にプランを説明する業者は要注意です。逆に、言葉に詰まるあなたの沈黙を待ち、「ゆっくりで大丈夫ですよ」と言ってくれる担当者なら、きっと大切な遺品を丁寧に扱ってくれます。 電話一本かけるだけでも勇気がいりますよね。その勇気を出したご自身を、まずは褒めてあげてください。
おわりに
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
第1章から第4章までを通して、私たちがあなたに伝えたかったことは、たった一つです。 それは、**「遺品整理に、あなたの心を壊してまで守るべきルールはない」**ということです。
部屋の整理は、いつか心の整理がついた後に、自然とついてきます。 今日できなくても、明日また涙が出ても、それはあなたが故人を愛している証。
いつかあなたが、遺品を手に取って、涙ではなく笑顔で「ありがとう」と言える日が来ることを、私たちは心から願っています。 その日が来るまで、どうかご自身の心を一番大切になさってください。








