
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
こんな方におすすめ
- 突然の孤独死や自殺などでご家族を亡くされ、パニック状態にある方
- 部屋から異臭がし、害虫が発生しているなど、中に入るのが怖い方
- 「特殊清掃は高額請求される」と聞いて不安を感じている方
- 事故物件になってしまった実家を、今後どう売却・賃貸すればいいか悩んでいる方
この記事でわかること
- 発見直後、警察の検証が終わるまでに「絶対にやってはいけないこと」
- 数十万〜数百万? 特殊清掃と遺品整理の「リアルな費用相場」
- 自己負担を最小限に抑えるための「保険活用テクニック」
- 資産価値を下げないための「最低限のリフォーム範囲」と「告知義務」
- 故人の魂と遺族の心を救う「現場供養」と「お焚き上げ」の手順
第1章 発見直後、まず「やってはいけない」こと・やるべきこと

携帯電話が鳴り、警察から告げられた信じがたい事実。頭が真っ白になり、現実感が湧かないまま、それでも「なんとかしなきゃ」と現場へ向かおうとしていませんか?
ちょっと待ってください。
年間数多くの特殊清掃現場に立ち会ってきた私から、最初にお伝えしたい最も重要なことがあります。それは、「今は、絶対に部屋に入らないでください」ということです。
これは、あなた自身の心と体を守るため、そして最終的に資産を守るための鉄則です。
警察の現場検証が終わるまでは「立ち入り禁止」です
孤独死や自殺など、自宅で亡くなった場合、それが病死であっても、まずは警察による「現場検証」が行われます。事件性がないかを確認するためです。
この段階でご遺族が部屋に入り、うっかり物を動かしたり、窓を開けて換気をしてしまったりすると、現場の状況が変わってしまい、警察の捜査が長引く原因になります。
実際に私が担当したケースでも、焦って入室し、遺品に触れてしまったために、警察から厳しく注意され、部屋の明け渡しが数日遅れてしまったご遺族がいらっしゃいました。
警察から「入室許可」が出るまでは、玄関の前で待機するのが正解です。決してご自身を責めず、今は警察にお任せしましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
孤独死や突然死に直面したご遺族300名に「発見当日の行動で最も後悔していること」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 無理に入室し、ご遺体の痕跡を見てトラウマになった(48%)
- 慌てて大家さんに連絡し、不利な条件で退去を迫られた(25%)
- 近隣住民に事情を話しすぎて噂が広まった(15%)
- その他(12%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた特殊清掃依頼者

目に見えない「感染症」のリスクを甘く見てはいけません
「臭いなんて我慢すればいい」そう思っていませんか? しかし、私たちが防護服を着て現場に入るのには理由があります。
ご遺体の発見が遅れた現場には、目に見えないウイルスや細菌が充満しています。体液や血液には、B型肝炎やC型肝炎、あるいは未知の感染症のリスクが含まれている可能性があるのです。また、死臭に誘われて集まったハエやウジは、病原菌を媒介します。
一般的なマスクや服装で入室することは、汚染された区域に無防備で飛び込むのと同じです。あなたの健康被害を防ぐためにも、専用の機材と薬剤を持ったプロが「一次処理(消毒・殺菌)」を行うまでは、決して中に入らないでください。
厚生労働省も、感染症予防の観点から適切な処理を推奨しており、専門知識のない一般の方が処理を行うことは極めて危険とされています。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

ご遺族の中には「家族なんだから、汚いなんて思っちゃいけない」と無理をして入室しようとする方がいらっしゃいます。ですが、腐敗臭というのは人間の防衛本能を刺激する強烈なものです。一度嗅いでしまうと、食事のたびにその臭いがフラッシュバックし、何年も苦しむことになりかねません。「見ない勇気」を持つことは、薄情などではなく、これからの手続きを進めるための賢明な判断ですよ。
「自分でなんとかできる」という思い込みが被害を拡大させる
過去に、こんなお客様がいらっしゃいました。 「業者に頼むとお金がかかるから」と、ホームセンターで業務用の漂白剤と消臭剤を買い込み、ご自身で床の清掃を試みたのです。
結果はどうなったと思いますか?
表面の汚れは取れたように見えましたが、体液はフローリングの継ぎ目から床下、さらにその下のコンクリートにまで浸透していました。数日後、強烈な死臭が下の階の住人からクレームとなり、結局、床をすべて剥がしての大掛かりな工事が必要になりました。
最初にご相談いただければ、部分的な特殊清掃とオゾン脱臭で済んだものが、ご自身で水を流して掃除したことで汚染範囲を広げてしまい、リフォーム費用が3倍に膨れ上がってしまったのです。
特殊清掃は「掃除」ではありません。「工事」に近い専門技術です。
市販の洗剤では、死臭の原因となるタンパク質や脂肪酸を完全に分解することは不可能です。また、体液が染み込んだ布団や畳を一般ゴミとして出すことは法律で禁止されています。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

焦る気持ちは痛いほどわかりますが、まずは「特殊清掃」に対応している業者に電話を一本入れてみてください。優良な業者であれば、電話口で「今は何もしないでください」「警察の許可が出たら、私たちが最初に入ります」と言ってくれるはずです。その言葉を聞くだけでも、肩の荷が少し降りるはずですよ。
この章では、発見直後の混乱の中で「あえて立ち止まること」の重要性をお伝えしました。 次章では、実際にプロの業者が行う「特殊清掃」と「遺品整理」の具体的な作業内容と、普通の清掃とは決定的に違う「臭いを消すメカニズム」について解説します。
第2章 「特殊清掃」と「遺品整理」の違いと連携

「とりあえず、近所の掃除屋さんに頼めば綺麗になるだろう」 もしそう考えているなら、一度立ち止まってください。
一般的なハウスクリーニングは、ホコリや油汚れを落とすのが仕事です。しかし、孤独死や自殺の現場にあるのは「汚れ」ではなく、生物的な「汚染」です。
私が過去に担当した現場で、ご遺族が最初に便利屋さんに依頼してしまったケースがありました。表面の汚れは拭き取られていましたが、部屋に入った瞬間、鼻を突くあの独特な腐敗臭は全く消えていませんでした。
なぜなら、臭いの元は床の表面ではなく、その奥深くに潜り込んでいるからです。
「普通の掃除」では死臭や体液が落ちない物理的な理由
液体は重力に従って下へ下へと流れます。 発見まで時間が経過したご遺体から流出した体液や脂分は、フローリングの継ぎ目を通り抜け、床下の断熱材、さらにはコンクリートの基礎部分にまで浸透します。
これを完全に除去するには、単なる「拭き掃除」では不可能です。 汚染された床材を剥がし、コンクリートに染み込んだ脂分を特殊な薬剤で浮き上がらせて削り取る、あるいはコーティング剤で封じ込めるという、解体工事に近い処置が必要になります。
この判断ができるのは、建物の構造を熟知し、解体工事業の登録や知識を持つ特殊清掃業者だけです。
【お片づけの窓口独自アンケート】
特殊清掃が必要な現場で「業者選びに失敗した」と感じた経験者280名にその理由を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 通常の不用品回収業者に頼み、臭いが取れずやり直しになった(55%)
- 遺品整理と特殊清掃が別々の業者で、連携が取れず工期が伸びた(28%)
- 見積もり時に「完全消臭は無理」と断られた(12%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へ再依頼(リカバリー)をいただいたお客様

科学の力で空気を洗う「オゾンショックトリートメント」
物理的に汚染箇所を除去しても、まだ壁紙や天井、カーテンなどの繊維に臭いの粒子が吸着しています。これを取り除くのが、私たちプロが使う「オゾン脱臭機」です。
家庭用の空気清浄機とはわけが違います。 高濃度のオゾン(O3)を密閉した室内に充満させ、臭いの原因物質(菌やウイルス)を酸化分解します。オゾンは反応が終わると酸素(O2)に戻るため、薬剤の残留リスクもありません。
この工程を経ることで初めて、防護服なしで人が呼吸できるレベルの空気に戻るのです。これを「空間除菌」と呼びます。
環境省も脱臭・除菌に関するガイドラインを出していますが、悪臭防止法などの基準に基づいた適切な処理こそが、賃貸物件を「貸せる状態」に戻す唯一の道です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「オゾン脱臭機を使います」という業者は多いですが、実は「オゾンを発生させる時間」と「濃度の管理」に職人の腕が出ます。ただ機械を置いておけば消えるわけではありません。部屋の広さや湿度、臭いの強さに応じて、最適な稼働時間を計算できる業者こそが、真のプロフェッショナルです。見積もりの際は「脱臭機を何時間くらい稼働させる予定ですか?」と聞いてみるのも、良い業者を見分けるコツですよ。
作業の連携プレー:遺品整理は「安全確保」の後で
「父の大事な時計を探したいんです」 ご遺族のその想い、私たちは痛いほど理解しています。しかし、感染症のリスクがある状態で遺品を探すのは危険すぎます。
正しい手順は以下の通りです。
- 汚染物の除去(特殊清掃)
- まず、感染源となっている布団や畳、汚染された家財を密封梱包して搬出します。
- 一次消臭・除菌
- 薬剤とオゾンを使い、部屋全体の菌を死滅させます。
- 遺品整理・貴重品探索
- ここまできて初めて、安全に遺品の仕分けが可能になります。ご遺族が立ち会う場合も、この段階からなら安心です。
- 完全消臭・原状回復
- 空になった部屋を再度消臭し、リフォーム等の原状回復を行います。
この一連の流れをワンストップ(一社)で行える業者に頼むことが、費用の節約にも、そして何より「大事な遺品を汚染から守る」ことにつながります。特殊清掃と遺品整理は、切っても切り離せないセットの作業なのです。
第2章では、技術的な側面からプロの必要性を解説しました。 しかし、これだけ大掛かりな作業となると、次に気になるのはやはり「お金」のことではないでしょうか。
「数百万円かかるのではないか?」
「保険は使えるのか?」
次章では、誰もが不安に感じる「費用相場」と、賢く費用を抑えるための知識について、包み隠さずお話しします。
第3章 気になる「費用相場」と負担を減らす方法

まず、はっきり申し上げます。インターネット上で見かける「特殊清掃 3万円〜」という広告を鵜呑みにしないでください。
これは単なる「薬剤の散布費」だけの価格であり、汚染物の撤去や消臭作業を含んだ総額ではありません。これを信じて依頼し、後から「人件費は別です」「機材費は別です」と追加請求され、トラブルになるケースが後を絶ちません。
事故物件の「リアルな」費用相場
私が過去に数百件担当してきた経験から、「これくらいは覚悟しておいてほしい」という現実的なライン(特殊清掃+遺品整理の総額)を提示します。
| 間取り | 状況(発見までの期間・汚染度) | 費用の目安 |
| 1R・1K | 死後数日・床上の清掃のみ | 15万 〜 30万円 |
| 1R・1K | 死後2週間以上・床下浸透あり | 30万 〜 60万円 |
| 2LDK以上 | 荷物多量・広範囲の汚染 | 60万 〜 100万円超 |
「高い」と感じられたかもしれません。
しかし、これには明確な理由があります。
- 危険手当(感染リスク): 作業員は未知のウイルス感染リスクと常に隣り合わせです。
- 廃棄物の処理費用: 体液が付着した布団や畳は、通常のゴミとして捨てられません。「感染性廃棄物」等として特殊なルートで処理する必要があります。
- 機材償却費: 一台数十万円する高性能オゾン脱臭機を数日間稼働させるコストです。
安すぎる業者には、この「適切な処理」の工程を省いている(=不法投棄や、臭いの取り残し)リスクがあることを知ってください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
特殊清掃および遺品整理を業者に依頼した際、「最終的な支払い金額」についてどう感じたか、経験者320名にアンケートを行いました。
- 見積もり通りで納得した(45%)
- 追加料金が発生し、想定より高くなった(30%)
- 保険が適用され、自己負担はほぼなかった(15%)
- 安さで選んだが、リフォーム代が別途かかり逆に高くついた(10%)
※調査期間:2024年2月〜4月 対象:弊社へご相談・ご依頼いただいたお客様

まだ諦めないで。「保険」が使える可能性があります
「こんな大金、急には用意できない」
そう絶望する前に、必ず確認してほしい書類があります。それは「保険証券」です。
実は、特殊清掃費用が保険でカバーできるケースは少なくありません。
- 賃貸の場合(大家さん向けの保険)
- 最近の賃貸契約では、入居時に「少額短期保険(通称:孤独死保険)」への加入が必須になっているケースが増えています。これにより、原状回復費用や家賃保証が最大数百万円まで降りる可能性があります。まずは管理会社に確認しましょう。
- 持ち家の場合(火災保険)
- ご加入の火災保険に「特約」が付いていないか確認してください。一般的な火災保険では「汚損・破損」として清掃費用の一部が認められる場合や、「建物管理賠償責任特約」が使える場合があります。
実際に、私の担当したお客様で、火災保険の特約を申請した結果、清掃費用の8割が保険金で賄えた事例があります。申請には「現場の被害状況写真」や「詳細な見積書」が必要です。これらを作成するのも、私たちプロの仕事です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

保険会社への連絡は、必ず「業者に見積もりを取った後」ではなく「取る前、あるいは同時」に行うのがベストです。「先に片付けてしまったので、現場の写真がありません」となると、被害の証明ができず、保険金が降りないことがあります。まずは「保険を使いたい可能性がある」と業者に伝え、保険会社提出用の写真をしっかり撮ってもらうように依頼してくださいね。
相続放棄をするなら「遺品」に触れてはいけません
もし、故人に多額の借金がある場合や、疎遠で関わりたくない場合、「相続放棄」という選択肢があります。
家庭裁判所で相続放棄の手続きをすれば、プラスの財産もマイナスの財産(借金や、今回の清掃費用の支払い義務)もすべて引き継がずに済みます。
しかし、ここで最大の落とし穴があります。
法律には「単純承認」というルールがあり、「遺品を整理したり、持ち帰ったり、売却したりすると、相続する意思があるとみなされる」のです。
- 形見分けとして時計を持ち帰った
- 部屋の家具をリサイクルショップに売った
- アパートの解約手続きを勝手に行った
これらを行った時点で、相続放棄ができなくなる可能性があります。
「費用を払いたくないから相続放棄したい」と考えているなら、ご自身で遺品整理を始める前に、必ず弁護士や司法書士、あるいは法的な知識のある遺品整理業者に相談してください。
第3章では、費用の現実と、保険や法的手続きによる自己防衛策について解説しました。
お金の問題がクリアになったとしても、まだ問題は残っています。
「綺麗になった部屋を、今後どうするのか?」
「事故物件として貸せるのか? 売れるのか?」
次章では、不動産としての価値を守るための「リフォーム」と「告知義務」について、大家さんや家主の方が知っておくべき重要事項を解説します。
第4章 清掃後の実家はどうなる?「資産価値」と「告知義務」

特殊清掃が終わった直後の現場は、正直に申し上げますと、見るに堪えない状態であることが多いです。汚染された床板は切り取られ、壁紙は剥がされ、コンクリートがむき出しになっています。
ここからが、不動産としての価値を取り戻すための「原状回復(リフォーム)」のフェーズです。
「過剰なリフォーム」は損をするだけかもしれません
私が担当したお客様で、焦るあまり「とにかく全部新品にしてください!」と、フルリフォームを依頼されようとした方がいました。キッチンも風呂もトイレも全て入れ替えて、数百万円かけるつもりだったのです。
しかし、私はあえて「待ちましょう」と止めました。
なぜなら、売却する場合、買い手が自分の好きなようにリフォームしたいと考えるケースが多いからです。また、賃貸に出すにしても、事故物件である以上、家賃を下げざるを得ないことが多く、高額なリフォーム費用を回収できないリスクがあります。
必要なのは、「見た目を良くする工事」ではなく、「臭いと汚染を完全に封じ込める工事」です。
具体的には以下の処理が最優先です。
- 消臭コーティング: コンクリートや柱に薬剤を塗布し、臭いの染み出しを防ぐ。
- 下地処理: 剥がした床や壁の穴を塞ぎ、安全に歩ける状態にする。
まずはここまでの「最低限の復旧」に留め、その後の内装をどうするかは、売却か賃貸かの方針が決まってから動くのが、最も経済的損失を抑える賢い方法です。
【お片づけの窓口独自アンケート】
事故物件となった不動産を所有・管理した経験のある大家およびご遺族260名に「不動産処理で最も苦労した・後悔したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 告知義務により、なかなか買い手・借り手がつかなかった(45%)
- リフォーム費用をかけすぎたが、家賃を下げざるを得ず赤字になった(30%)
- 近隣住民への説明や風評被害への対応に追われた(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社提携不動産会社より紹介のあったオーナー様

必ず知っておくべき「告知義務」のルール
「事故物件であることを隠して貸したり売ったりしたらどうなるのか?」 これは絶対にやってはいけません。契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を問われ、多額の損害賠償を請求される可能性があります。
しかし、「いつまで」「どこまで」言えばいいのかについては、長らく曖昧でした。それが2021年、国土交通省により「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定され、明確なルールができました。
ポイントは以下の通りです。
- 告知が必要なケース
- 自殺、殺人、火災による死亡、および「特殊清掃が必要なほどの孤独死(発見が遅れた場合)」。
- 告知が不要なケース
- 病死、老衰、家庭内事故死(転倒や誤嚥など)で、かつ「すぐに発見された(特殊清掃が不要な)」場合。
- 期間の目安(賃貸)
- 賃貸の場合、発生から概ね3年間は告知が必要。 (※売却の場合は、期間の定めなく告知すべきとされています)
つまり、発見が早く、特殊清掃を行わずに済んだ自然死であれば、法的には「事故物件」として扱わなくて良い場合があるのです。 逆に言えば、発見が遅れれば遅れるほど、不動産としてのダメージは深刻になります。これが、第1章で「早期発見・早期対応」の重要性を説いた理由でもあります。
参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
【編集長からのワンポイントアドバイス】

ガイドラインで「3年経てば告知しなくていい」とされていても、ご近所さんの記憶までは消せません。新しい入居者が近所の人から「あそこ、昔亡くなった人がいてね…」と聞かされ、トラブルになるケースは未だに多いです。法律は最低ライン。トラブルを避けるためには、期間に関わらず正直に事情を話し、その分家賃を割り引くなどの誠意を見せる方が、結果的に長く住んでもらえる良い入居者さんと巡り会えることが多いですよ。
「事故物件」でも売却は可能です
「もうこんな家、持っていたくない」 そう思われるなら、売却も有力な選択肢です。
一昔前までは、事故物件は「負動産」と呼ばれ、二束三文でしか売れませんでした。しかし現在は、「事故物件専門」の買取業者(いわゆる成仏不動産など)が増えています。
彼らは、特殊清掃や供養を行い、リノベーションでイメージを一新してから再販するノウハウを持っています。一般の不動産市場では敬遠される物件でも、こうした専門ルートを使えば、適正価格に近い金額で売却できるチャンスがあります。
私たち遺品整理業者も、こうした専門不動産会社と提携しています。「清掃から売却までワンストップで相談したい」と言っていただければ、信頼できる売却先をご紹介することも可能です。一人で不動産屋を回り、断られ続けて傷つく必要はありません。
第5章 故人と遺族の心を救う「供養」と「グリーフケア」

特殊清掃の現場は、単なる作業場ではありません。そこは、ひとりの人間が最期を迎えた厳粛な場所です。 部屋が綺麗になっても、「なんだか空気が重い」「怖くて入れない」と感じるご遺族は非常に多いです。それはオカルト的な話ではなく、やりきれない悲しみや後悔が、その場所に記憶として張り付いているからかもしれません。
だからこそ、私たちは技術(清掃)だけでなく、儀式(供養)を大切にしています。
「現場供養」で空間と心の澱(おり)を払う
「部屋にお坊さんを呼んで、お経をあげてもらうことはできますか?」 これは、私たちが最も多くいただくご相談の一つです。
特に孤独死や自死の現場では、ご遺族は「故人が苦しんで亡くなったのではないか」「成仏できていないのではないか」という不安を強く抱いています。
私が忘れられない現場があります。 あるお母様を亡くされた息子さんでした。部屋の清掃は終わっているのに、玄関の前で足がすくんでどうしても入れない。「母に合わせる顔がない」と震えていらっしゃいました。 そこで、提携している寺院のご住職に来ていただき、その場で「現場供養」を執り行いました。
お線香の香りが立ち込め、読経の声が部屋に響き渡ると、不思議なことに、張り詰めていた「張り」のようなものがふっと緩む瞬間があるのです。 読経の後、息子さんは涙を流しながら、ようやく部屋に入り、お母様の写真に手を合わせることができました。
「供養」とは、故人のためであると同時に、残された遺族が「これでやるべきことはやった」と自分を許すための儀式でもあります。 多くの特殊清掃業者が寺院と提携しているのは、この「心の区切り」こそが、真の解決には不可欠だと知っているからです。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を経験した際、「精神的に最も辛かった・捨てられずに困った物」について、350名にアンケートを行いました。
- 故人の文字が残るもの(日記・手帳・手紙)(42%)
- 故人が写っている写真・アルバム(28%)
- 大切にしていた趣味のコレクション(人形・フィギュア等)(18%)
- 衣類・寝具(12%)
※調査期間:2023年6月〜9月 対象:弊社へ遺品供養をご依頼いただいたお客様

捨てられない遺品は「お焚き上げ」で天へ返す
アンケートの結果にもある通り、日記や写真、あるいは大切にしていた人形などを「ゴミ袋」に入れることには、強烈な抵抗感があります。 また、特殊清掃の現場では、体液が付着してしまい、形見として残したくても衛生的に残せない物も多くあります。
そうした「捨てられない、でも残せない」物は、「お焚き上げ」を利用してください。
私たち業者は、整理した遺品の中で「供養品」として指定されたものを専用のダンボールに詰め、提携寺院へ運びます。そこで合同供養を行い、魂抜きをしてから焼却(浄火)します。
「ゴミとして捨てたのではなく、天に送ったのだ」 そう思えるだけで、遺品整理の苦しみは随分と軽くなります。 もし、手放すことに迷いがあるなら、無理に捨てようとせず、業者に「これをお焚き上げしてほしい」と伝えてください。それが、故人への最後の手向けになります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「かわいそうで捨てられない」とすべての遺品を残してしまう方がいますが、実はそれが一番、あなたの心を蝕みます。見るたびに亡くなった時の辛い記憶が蘇ってしまうからです。 本当に残すべきは「物」ではなく、あなたの心の中にある「楽しかった時の記憶」です。 物理的な物は、写真に撮ってデジタルデータとして残し、現物は感謝を込めて手放す。これも現代の賢い供養の形ですよ。
あなたは現場を見なくていい。私たちが「代わり」になります
最後に、プロとしてあなたにお伝えしたいことがあります。 凄惨な現場を、無理して直視する必要はありません。
「家族なんだから、最後を見てあげなきゃいけない」 そう責任を感じる必要もありません。
人間は、一度ショッキングな映像を見てしまうと、それが脳に焼き付き、故人を思い出すたびにその映像がフラッシュバックするようになります。それは、これから生きていくあなたにとって、あまりに残酷なことです。
私たち特殊清掃員が存在するのは、まさにその「見なくていいもの」を、あなたの代わりに見届けて、綺麗にするためです。
あるお客様に言われた言葉が、私の宝物です。 「あなたが代わりに入ってくれたおかげで、私は父の元気だった頃の笑顔だけを覚えていられます」
私たちは、汚染物を除去するだけの掃除屋ではありません。 故人様が生きた証を丁重に扱い、ご遺族が前を向いて歩き出せるように背中を押す。それが私たちの仕事です。
まとめ:一人で抱え込まず、プロを頼って日常を取り戻してください
ここまで、全5章にわたり、事故物件の遺品整理と特殊清掃について解説してきました。
- 安全確保: まずは入室せず、警察と業者に任せる。
- プロの技術: 臭いと汚染は、特殊技術でなければ消えない。
- 費用と保険: 適正相場を知り、保険をフル活用して負担を減らす。
- 資産と責任: リフォームと告知義務を理解し、不動産価値を守る。
- 心のケア: 供養を通じて罪悪感を手放し、思い出を浄化する。
今、あなたは暗いトンネルの中にいるかもしれません。 ですが、出口は必ずあります。
どうか一人で悩まず、まずは電話をかけてみてください。 「助けてほしい」その一言だけで十分です。
私たちプロフェッショナルが、あなたの心と部屋の「お片づけ」を全力でサポートいたします。
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お急ぎの方は24時間365日対応いたします。まずは現状をお聞かせください。(秘密厳守)








