遺品の処分どうする?自分でやるか業者に頼むか決める5つの基準

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お片づけの窓口
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私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!

この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。

こんな人におすすめ

  • 大量の遺品を前に、「何から手を付ければいいか」分からず途方に暮れている方
  • 費用を抑えるために自分でやりたいが、「どこまで自分たちでできるか」の限界を知りたい方
  • 仏壇、人形、写真など、「そのまま捨てるとバチが当たりそうなモノ」の扱いに困っている方
  • 間違って貴重品や重要書類を捨ててしまい、「取り返しのつかない失敗」をするのが怖い方

この記事でわかること

  • 【判断基準】 「自分でやる」vs「業者に頼む」の損益分岐点がわかるチェックリスト
  • 【警告】 知らずに捨てると数百万の損? 絶対に捨ててはいけない「3つの重要品」
  • 【解決策】 仏壇の供養から着物の売却、スプレー缶の廃棄まで。モノ別の「最適処分ルート」
  • 【防衛術】 「無料回収」には裏がある。悪徳業者に騙されないためのプロの視点
目次

1. はじめに:遺品整理は「ゴミ捨て」ではありません。「心の整理」をつける第一歩です

部屋中に溢れる段ボール、タンスに詰まった大量の着物、そして使いかけの生活用品。これらを目の前にして、「どこから手を付ければいいのか」と途方に暮れていませんか?

多くの人が、遺品の処分を単なる「不用品の廃棄」と考えてしまいがちですが、それは大きな間違いです。

遺品には、故人が生きてきた証と、あなたの思い出が詰まっています。だからこそ、普通のゴミのようにゴミ袋に入れることに「罪悪感」を感じ、手が止まってしまうのです。

まずは、この「捨てられない」という感情が、あなた一人の弱さではないことを知ってください。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女380名に「整理作業の手が止まってしまった最大の理由」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 思い出の品をゴミとして扱うことに罪悪感を感じた(55%)
  • 物が多すぎて、何から手をつけるべきか判断できなかった(25%)
  • 親族間で処分の方針(残す・捨てる)が合わなかった(12%)
  • その他(8%)

※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

「捨てる」ではなく「選ぶ」と考え方を変える

遺品整理を前に進めるための唯一のコツは、思考の転換です。 「何を捨てるか」を探すと、全てのモノが捨てられない理由を持って語りかけてきます。

そうではなく、「何を残したいか(天国へ持っていってもらいたいか)」を選んでください。

  • 残すもの: これから自分が大切に使いたいもの、形見分けするもの。
  • 手放すもの: 役目を終え、感謝して送り出すもの。

「処分」という冷たい言葉ではなく、「感謝して手放す」という儀式だと捉え直すことで、驚くほど判断がスムーズになります。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

最初から「完璧」を目指さないでください。まずは、明らかなゴミ(賞味期限切れの食品や空き箱)を捨てるだけで十分です。床が見えてくると、不思議と心に余裕が生まれ、「次はこれをどうしようか」と前向きな判断ができるようになりますよ。


2. 【最初に決断】「自分でやる」か「業者に頼む」か?損益分岐点と判断チャート

感情の整理がついたとしても、次に立ちはだかるのは物理的な「量」の問題です。

「業者に頼むとお金がかかるから、自分たちでやろう」 そう考えて始めたものの、途中で挫折して結局業者に依頼し、かえって高くついたケースは後を絶ちません。

ここでは、感情論ではなく「コスト」と「労力」の損益分岐点を冷静に判断しましょう。

費用だけじゃない。「見えないコスト」を計算していますか?

自分たちでやる場合、業者への支払い(現金)は発生しません。しかし、以下のような「見えないコスト」が確実に発生します。

  • 時間コスト: 毎週末をつぶして実家に通う時間(数ヶ月〜半年)。
  • 物理コスト: ガソリン代、高速代、レンタカー代(トラック)、ゴミ処理券代。
  • 身体コスト: 重い家具を運ぶ際の怪我、腰痛、疲労による免疫低下。

【お片づけの窓口独自アンケート】

「自分たちだけでやる」と決めて遺品整理を始めた男女320名に「作業中に最も後悔したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 予想以上にゴミの分別が細かく、地域の回収日に合わせるのが困難だった(48%)
  • タンスや冷蔵庫などの大型家具を搬出できず、壁や床を傷つけてしまった(30%)
  • 半年以上かかってしまい、その間の交通費や家賃が負担になった(15%)
  • その他(7%)

※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

あなたはどっち?判断フローチャート

以下の条件に当てはまる数が多いほど、その方法が適しています。

【A:自分たちでやるべき人】(DIY適合者)

  • 部屋の間取りが2DK以下である。
  • 整理に参加できる親族が大人3人以上おり、全員が協力的。
  • 実家まで車で1時間圏内に住んでいる。
  • 半年以上、家賃や維持費を払い続ける余裕(時間的猶予)がある。
  • トラック(軽トラ以上)を運転できる人がいる。

【B:業者に頼むべき人】(プロ依頼推奨)

  • 部屋の間取りが3DK以上、または一軒家丸ごと。
  • 実家が遠方で、宿泊しないと作業ができない。
  • エレベーターのない団地やマンションの3階以上に住んでいる。
  • 賃貸の退去期限や、売却の予定が決まっている(時間がない)。
  • 自分が高齢、または腰痛などの持病がある。

賢い人は使い分けている。「ハイブリッド整理」のススメ

「0か100か」で考える必要はありません。最もコストパフォーマンスが良いのは、「おいしいとこ取り」のハイブリッド方式です。

  1. 自分でやる部分: 貴重品の捜索、思い出の品の仕分け、軽い不用品のゴミ出し。
  2. 業者に頼む部分: 大型家具の搬出、リサイクル家電の処分、エアコンの取り外し。

これなら、費用を抑えつつ、身体的な負担も最小限に抑えることができます。

参考リンク: 自分で処分する場合、自治体のゴミ分別ルールやクリーンセンターへの持ち込み方法を必ず確認してください。不適切な廃棄は法律違反になります。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の概要 | 環境省


【編集長からのワンポイントアドバイス】

特に注意していただきたいのが「エレベーターなしの団地」や「階段が狭い一戸建て」です。慣れていない方がタンスを階段で降ろそうとすると、高確率で壁を破損するか、ご自身が大怪我をします。治療費や家の修繕費を払うくらいなら、最初から力仕事だけでもプロに任せた方が、結果的に「安く」済みますよ。

3. 【絶対厳守】処分する前に確認!捨てると取り返しがつかない「3つの重要品」

ゴミ袋の口を縛り、収集車に積み込まれた瞬間、そのモノは二度と戻ってきません。

遺品整理の現場で最も悲惨なトラブルは、「ゴミだと思って捨てたものが、実は数百万円の価値があるものだった」、あるいは「手続きに必須の書類だった」というケースです。

業者任せにする場合でも、自分たちで行う場合でも、以下の3つのカテゴリーだけは、必ずご自身の目で確認してください。

法的トラブルに直結する書類・印鑑・鍵

紙切れ一枚に見えても、法的効力を持つ書類があります。これらを失うと、再発行に膨大な手間(数ヶ月単位)がかかるか、最悪の場合、権利そのものを失う可能性があります。

  • 権利書(登記識別情報通知): 不動産の売却や名義変更に必須です。再発行はできません(代替手段はありますが費用がかかります)。
  • 遺言書: 封筒に入った状態で見つかった場合、絶対に開封せず、家庭裁判所に持参して検認を受ける必要があります。誤って捨てると相続争いの原因になります。
  • 保険証券・通帳・実印: 解約や名義変更に必要です。
  • スペアキー: 車や実家の鍵、貸金庫の鍵など。

意外な場所から出てくる「現金・貴金属」の捜索ポイント

高齢の方ほど、銀行を信用せず自宅に現金を保管する「タンス預金」をしている傾向があります。 「うちはお金なんてないから」という思い込みが一番危険です。プロの現場では、ボロボロの封筒から大金が出てくることが日常茶飯事だからです。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女400名に「整理中に『危うく捨てるところだった』現金や貴重品の発見場所」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • タンスや引き出しの裏側・底に貼り付けられていた(45%)
  • 本や雑誌、手帳のページの間、古新聞の束の中(30%)
  • キッチン用品(茶筒、密閉容器、冷蔵庫)の中(15%)
  • その他(靴の中、仏壇の隠し引き出し、衣服のポケットなど)(10%)

※調査期間:2023年10月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

「触ってみて、違和感がないか確かめる」ことが重要です。封筒、箱、衣類のポケット、ページの間。これらはパラパラとめくるだけでなく、手で厚みを確認してください。

後から高額請求?契約中のレンタル品・リース品の罠

現代の遺品整理で見落としがちなのが、「借りているモノ」の誤廃棄です。これらは故人の所有物ではなく、レンタル会社からの借用品です。勝手に捨てると、後日、高額な弁償金を請求されることになります。

  • 介護用品: 電動ベッド、車椅子、手すりなどは、介護保険を利用したレンタル品である場合が多いです。ケアマネジャーに確認するまで捨ててはいけません。
  • 通信機器: Wi-Fiルーター、モデム、ケーブルテレビのチューナー。解約時に返却が必要です。
  • ウォーターサーバー: 本体がレンタルの場合があります。

参考リンク: 重要な契約書類が見つからない場合や、故人の契約状況が不明な場合の相談先として、国民生活センターの情報を活用してください。 独立行政法人 国民生活センター


【編集長からのワンポイントアドバイス】

特に注意してほしいのが「着物の帯の間」と「背広の内ポケット」です。ここにお守りと一緒に現金やメモ書きを入れている方が非常に多いです。衣類をリサイクルに出す前には、必ず一度すべてのポケットを裏返して確認するクセをつけてくださいね。「まさかこんなところに」が現実になるのが遺品整理です。

4. 【モノ別①】捨てにくい「仏壇・人形・思い出の品」の供養と処分

事務的な書類や明らかなゴミは捨てられても、故人の魂が宿っているように感じるモノの前では、誰しも手が止まってしまいます。

「そのままゴミ袋に入れていいの?」「バチが当たらないか?」 そんな不安を持つあなたへ。ここでは、心情的に捨てにくいモノを、感謝とともに手放す(供養する)ための具体的な方法を解説します。

仏壇・位牌・神棚:「魂抜き」が必須の儀式

仏教の考え方では、仏壇や位牌には故人の魂が入っているとされています。そのため、処分する前に「閉眼供養(魂抜き)」という儀式を行い、ただの「木の箱」に戻す必要があります。

  • 手順:
    • 菩提寺(付き合いのあるお寺)に連絡し、お経をあげてもらう。
    • 魂が抜けた仏壇は、お寺でお焚き上げしてもらうか、仏具店や遺品整理業者に引き取りを依頼する。
  • 費用の目安:
    • お布施(魂抜き): 1万円〜5万円程度
    • 処分費用(引き取り): 2万円〜8万円程度(大きさによる)
  • 注意:
    • 菩提寺がない場合や、宗派がわからない場合は、遺品整理業者が提携している僧侶を手配してくれるサービス(合同供養など)を利用するのがスムーズです。

人形・ぬいぐるみ:ゴミ袋に入れていい?

日本人形、フランス人形、長年愛用したぬいぐるみ。これらは法的には「燃えるゴミ」ですが、そのまま捨てることに抵抗がある代表格です。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女350名に「人形やぬいぐるみの処分方法」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 寺社や専門業者のお焚き上げ(供養)サービスを利用した(45%)
  • 顔が見えないように紙や布で包み、清めの塩を振って家庭ゴミとして出した(35%)
  • 親族や知人に譲った、寄付した(15%)
  • そのまま家庭ゴミとして出した(5%)

※調査期間:2024年1月〜3月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

おすすめの処分法
  1. お焚き上げ(郵送可): 近年では、段ボールに詰めて神社やお寺に送るだけで、供養とお焚き上げをしてくれる「郵送供養サービス」が増えています(1箱3,000円〜1万円程度)。
  2. 家庭ゴミとして出す場合: どうしても費用をかけられない場合は、人形の目元を白い和紙や布で隠し、感謝の言葉とともに「塩」を振って、他のゴミとは別の袋に入れて出しましょう。これだけでも心の負担は大きく減ります。

写真・アルバム・手紙:デジタル化か、お焚き上げか

写真は「場所を取る」うえに「捨てにくい」厄介な遺品です。全てを残すことは物理的に不可能です。

  • ステップ1:選別
    • ピントが合っているもの、故人が良い表情で写っているものだけを厳選します。風景だけの写真や、知らない人が写っている写真は処分の対象です。
  • ステップ2:デジタル化(スキャン)
    • かさばるアルバムは、スキャンしてデータ化(DVDやクラウド保存)すれば、物理的なスペースはゼロになります。
  • ステップ3:処分
    • 残った写真は、シュレッダーにかけるか、見えないように紙袋に入れ、粘着テープで封をしてから捨てます。
    • 抵抗がある場合は、人形と同様に「お焚き上げ」に出すのが最も罪悪感のない方法です。

参考リンク: 粗大ゴミの出し方や、宗教的な道具の扱いについては自治体によってルールが異なります。必ずお住まいの自治体HPを確認してください。 環境省|一般廃棄物の排出と処理の状況等について


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「供養」とは、モノのためではなく、実は「あなたの心を納得させるため」に行うものです。お金をかけてお焚き上げをすることで「ちゃんとやった」という安堵感が得られるなら、それは決して無駄な出費ではありません。逆に、白い布で包んで「ありがとう」と言うだけでも、心が軽くなるならそれで十分。正解はあなたの心が決めていいんですよ。

5. 【モノ別②】価値があるかも?「着物・骨董・コレクション」の査定と売却

「ゴミだと思って捨てたら、実は宝の山だった」 逆に、「高値で売れると期待して査定に出したら、引き取り料を取られた」

遺品の査定において、この両パターンは頻繁に起こります。 大切なのは、「そのモノの価値を正しく評価してくれる相手(販路)」を選ぶことです。近所のリサイクルショップに全て持ち込むのが、最も損をするパターンです。

そのリサイクルショップで大丈夫?専門査定が必要な理由

総合リサイクルショップは「なんでも買い取る」のが強みですが、専門的な知識を持ったスタッフがいるとは限りません。 人間国宝の茶碗も、量産品の食器も、同じ「中古の皿」として重さで買い取られてしまうリスクがあります。

  • 専門店に依頼すべきもの: 骨董品、絵画、切手、古銭、着物、専門書、楽器。
  • 総合店でOKなもの: 製造5年以内の家電、一般的な家具、ノーブランドの衣類、日用品。

着物・ブランド品・貴金属:形見分けの基準と「相場」の現実

特にトラブルになりやすいのが、バブル期に購入された高価な品々です。

着物

「母が100万円で買った着物だから高く売れるはず」という期待は、残念ながら裏切られることが多いです。 現代では着物を着る人口が減り、供給過多の状態です。有名作家の作品や保存状態が極めて良いもの以外は、一着数百円、あるいは買取不可となるのが現実です。

  • アドバイス: 金額に期待せず、リメイク素材として活用するか、寄付を検討するのも一つの手です。

貴金属・時計

逆に、金(ゴールド)やプラチナ、ロレックスなどの高級時計は、購入時より相場が上がっている可能性が高いです。 これらは絶対に捨てず、また「訪問買取」の押し買い(強引な買取)に注意し、信頼できる専門店で査定を受けてください。 錆びていても、壊れていても、素材自体に価値があります。

本・趣味のコレクション:価値がわかる人に譲るルート

故人が熱心に集めていたコレクション(鉄道模型、フィギュア、専門書など)は、素人目にはガラクタに見えるかもしれません。しかし、マニアの間では高値で取引されるものも混ざっています。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女350名に「売却して予想外の高値がついたモノ」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 壊れたアクセサリー、片方だけのピアスなどの貴金属(42%)
  • 昭和レトロな玩具、ブリキのおもちゃ、古いソフビ人形(25%)
  • 専門書、学術書、絶版になった古い雑誌(18%)
  • 未開封の洋酒、ウイスキー(10%)
  • その他(5%)

※調査期間:2023年7月〜10月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

捨てる前のワンアクション: 大手古本屋チェーンに持ち込むと「値段がつきません」と言われる本でも、「古書組合」に加盟している古書店や、特定のジャンルに特化した宅配買取サービスなら、適正な価格で買い取ってくれる場合があります。「バーコードがない本」こそ、専門家の目利きが必要です。

参考リンク: 悪質な訪問購入(押し買い)トラブルが急増しています。突然の訪問には応じず、クーリング・オフ制度があることを知っておいてください。訪問購入(押し買い)のトラブル | 消費者庁


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「メルカリやヤフオクで売れば高く売れる」と考える方もいますが、遺品整理においてはあまりお勧めしません。出品、梱包、発送、クレーム対応の手間が膨大で、数百点の遺品をさばくには数年かかってしまうからです。「時は金なり」。一点一点の利益を追うより、専門業者にまとめて買い取ってもらい、空いた時間でゆっくり供養する方が、結果的に豊かな時間の使い方ができますよ。

6. 【モノ別③】どう捨てる?「大型家具・処理困難物・デジタル遺品」

「タンスが重すぎて動かせない」 「中身が入ったままの農薬やペンキ、どうすればいいの?」 「故人のスマホ、ロックが開かないけれど捨てていい?」

遺品整理の終盤で必ず立ちはだかるのが、自治体の普通のゴミ回収では持って行ってくれない「厄介なモノたち」です。これらを放置すると、いつまでも家が片付きません。

大型家具・家電:粗大ゴミ vs 家電リサイクル法

大きなモノの処分方法は、その「種類」によって法律で決められたルートが異なります。

  • 家電リサイクル法対象品目(4品目):
    • 対象: テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン。
    • 処分法: 粗大ゴミとしては出せません。郵便局でリサイクル券を購入し、指定引取場所に持ち込むか、電気屋や回収業者に依頼する必要があります。
    • 注意: 無許可の業者に渡すと不法投棄の原因になります。
  • その他の大型家具(タンス、ベッド、ソファー):
    • 処分法: 自治体の「粗大ゴミ」として回収を依頼します(事前予約・処理券購入が必要)。
    • 難点: 指定場所(家の前や集積所)まで自分たちで運び出す必要があります。高齢の方や女性だけでは危険です。

処理困難物:スプレー缶、ペンキ、農薬、土、ブロック

自治体が「回収不可」としているモノが多いため、多くの遺族が頭を抱えるジャンルです。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女380名に「自治体のゴミ回収で断られ、処分に最も困ったモノ」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 中身の入ったスプレー缶、塗料、ペンキ(35%)
  • 庭の土、石、コンクリートブロック、レンガ(28%)
  • 消火器、バッテリー、タイヤ(20%)
  • 中身不明の液体、農薬(12%)
  • その他(5%)

※調査期間:2024年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

正しい対処法
  • 中身入りスプレー・液体: 原則、中身を出し切る必要があります。大量にある場合は、特殊清掃に対応した不用品回収業者へ依頼するのが安全です(※スプレー缶の穴あけは火災事故のリスクがあるため、最新の自治体ルールを確認してください)。
  • 土・ブロック・消火器: これらは「ゴミ」ではなく「廃棄物」扱いになることが多く、販売店や専門の処理業者に依頼する必要があります。ホームセンターで引き取ってくれる場合もあります。

デジタル遺品:スマホ・PCのパスワード解除は必要?

スマホやパソコンは、個人情報の塊です。初期化せずに捨てたり売ったりするのは大変危険です。

  • パスワードがわかる場合:
    • 必要なデータをバックアップし、端末の設定から「工場出荷状態にリセット(初期化)」して処分・売却します。
  • パスワードがわからない場合(ロック解除不可):
    • 無理に解除しようとせず、「物理破壊」を選ぶのが確実です。
    • 専門業者が行う「物理破壊サービス(HDDに穴を開けるなど)」を利用すれば、データ漏洩のリスクをゼロにできます。遺品整理業者の中には、目の前で破壊してくれるところもあります。

参考リンク: 家電リサイクル法の正しい出し方や、対象品目の確認は経済産業省の特設ページが便利です。 家電リサイクル法 特設サイト | 経済産業省


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「中身の入った洗剤や漂白剤」をトイレや洗面所に流して捨てようとする方がいますが、絶対にやめてください! 種類の違う洗剤が排水管の中で混ざり、「有毒ガス」が発生する事故が実際に起きています。液体類の処分が大量にある場合は、迷わずプロに頼むこと。それがあなたと近隣住民の命を守ります。

7. 業者に依頼する場合の「失敗しない選び方」と「悪徳業者の手口」

「遺品整理を業者に頼む」と決めたとしても、次に待っているのは「どの業者を選べばいいのか?」という難問です。

残念ながら、遺品整理業界には、人の弱みにつけ込む悪質な業者が存在します。 大切な故人の思い出を土足で踏み荒らされたり、不当な高額請求をされたりしないよう、ここでは「自分の身を守るための知識」を身につけてください。

「無料回収」には裏がある?不法投棄リスクと悪徳業者の手口

街中を大音量で巡回するトラックや、「不用品を無料で回収します」というチラシには最大限の警戒が必要です。

なぜ「無料」で回収できるのでしょうか?

人件費、ガソリン代、処分費がかかるビジネスにおいて、無料はあり得ません。彼らの手口の多くは以下の通りです。

  1. 積み込んだ後に豹変する: 「回収は無料だが、積み込み手数料は別だ」と言って、荷物をトラックに載せた後に数万円を請求する。
  2. 不法投棄: 回収した金目のものだけを転売し、残りのゴミを山林に不法投棄する。
    • 最大のリスク: 投棄されたゴミから個人情報(郵便物など)が見つかった場合、元の持ち主である「あなた」が警察から連絡を受け、責任を問われる可能性があります。

相見積もりは必須!チェックすべき「料金」以外のポイント

優良業者を見つけるための鉄則は、必ず3社以上の業者から「訪問見積もり」をとること(相見積もり)です。電話やメールだけの見積もりは、当日追加料金の温床になるため避けてください。

見積もりの際は、金額の安さだけでなく、以下のポイントをチェックします。

  • 見積書の内訳は明確か?
    • ×「遺品整理一式 20万円」
    • ○「分別作業費、搬出費、車両費、廃棄物処分費、リサイクル家電運搬費…」と細かく書かれているか。
  • スタッフの対応は丁寧か?
    • 家に入るときに靴下を履き替えるか、故人の仏壇に手を合わせる配慮があるか。これだけで、作業の質が見えます。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理業者を利用した経験がある男女350名に「業者選びで失敗した、または後悔したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 見積もり金額と実際の請求額が違い、当日に追加料金を要求された(42%)
  • 作業員の態度が悪く、遺品を雑に扱われたり、言葉遣いが乱暴だった(28%)
  • 必要なもの(形見や契約書類)まで勝手に処分されてしまった(18%)
  • その他(12%)

※調査期間:2023年11月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

遺品整理士の資格有無と「許可」の確認

信頼できる業者かを見分ける、わかりやすい指標が2つあります。

  1. 「遺品整理士」の在籍: 民間資格ですが、遺品の取り扱いや法規制に関する専門知識と、ご遺族への配慮(心構え)を持ったプロである証です。
  2. 「一般廃棄物収集運搬業」の許可(または提携): 家庭から出るゴミを運ぶには、自治体の許可が必要です。この許可を持っていない業者は、許可業者と提携している必要があります。ここが曖昧な業者は違法の可能性が高いです。

参考リンク: 廃品回収業者とのトラブルが急増しています。環境省や消費者庁の注意喚起にも一度目を通しておいてください。 環境省|不用品回収業者に関するトラブル


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「一番安い業者」を選ぶのが正解とは限りません。極端に安い業者は、必要な人員を削っていたり、不法投棄で処分費を浮かせていたりするリスクがあります。「他社より10万円も安い理由」を質問して、納得できる答えが返ってこない場合は、その業者は避けたほうが賢明です。安心をお金で買う意識も大切ですよ。

8. まとめ:モノが片付けば、心も軽くなる。あなたに合った処分方法を選んでください

ここまで、遺品の処分に伴う「感情」「お金」「法律」のハードルについて解説してきました。

膨大な遺品を前にして、今はまだ「本当に終わる日が来るのだろうか」と不安に思っているかもしれません。しかし、一つだけ断言できることがあります。 **「遺品整理を終えた後、後悔している人はほとんどいない」**ということです。むしろ、多くの人が「肩の荷が下りた」と感じ、新しい日常を取り戻しています。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理をすべて完了させた男女350名に「整理を終えて、最も大きく変化したこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 故人のことを、悲しみではなく「良い思い出」として語れるようになった(52%)
  • 実家の維持費や管理の手間がなくなり、経済的・精神的な不安が消えた(28%)
  • 疎遠になりかけていた親族と、形見分けを機に交流が復活した(12%)
  • その他(8%)

※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理完了者

あなたが今日から踏み出す「最初の3歩」

最後に、何から手をつけるべきか迷っているあなたへ、具体的なアクションプランを提示します。

  1. 「絶対に残すもの箱」を作る
    • 捨てるものを探すのではなく、通帳、印鑑、思い出のアルバムなど「これだけは守りたい」というモノを確保してください。それ以外は、極論を言えば「手放してもなんとかなるモノ」です。
  2. 「期限」を確認する
    • 賃貸の退去日、相続放棄の期限(3ヶ月)。これを確認し、もし期限が1ヶ月以内に迫っているなら、迷わず業者に相談してください。時間をお金で買うべきタイミングです。
  3. 「自分」を責めない
    • 全てを自分でやる必要はありません。供養は業者に頼んでもいいし、搬出はプロに任せてもいい。「故人を想う気持ち」さえあれば、どんな方法を選んでも、それは立派な供養です。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理は、故人の人生の幕引きであると同時に、残されたあなたの人生の「再出発」でもあります。モノに埋もれて、あなた自身の生活や健康を犠牲にすることだけは避けてくださいね。困ったときは、私たちのようなプロを頼ってください。あなたの再出発を全力でサポートします。


9. 【Q&A】よくある質問と、プロが教える「損をしない」回答

本文では触れきれなかった、しかし現場でよく聞かれる「ニッチだが重要な悩み」についてお答えします。

Q1. 故人の家から「刀」や「猟銃」が出てきました。どうすればいい?

A. 絶対にそのまま捨てたり、持ち歩いたりしないでください。銃刀法違反になります。

  • 日本刀・模造刀: まずは「登録証」があるか探してください。ある場合は教育委員会へ名義変更の届け出が必要です。ない場合や処分の場合は、所轄の警察署(生活安全課)に相談し、発見届けを出して引き渡します。
  • 猟銃・空気銃: 警察署への届け出が必須です。許可を受けていない家族が勝手に運搬すると逮捕されるリスクがあるため、まずは警察へ電話で指示を仰いでください。

Q2. 遺品整理を業者に頼んだ後、「相続放棄」はできますか?

A. 原則、できなくなります。

遺品整理業者に依頼して家財を処分(売却・廃棄)する行為は、法的に「相続の単純承認(財産を引き継ぐ意思表示)」とみなされる可能性が極めて高いです。 もし借金などの理由で相続放棄を考えているなら、一切の遺品に手を付けず、まずは弁護士か司法書士に相談してください。業者が入るのは、放棄の手続きが完了し、管財人が選定された後などの特殊なケースに限られます。

Q3. 故人が飼っていた「ペット」はどうすればいい?

A. 親族で飼えない場合、里親探しを代行してくれる団体があります。

保健所に持ち込むのは最終手段です(殺処分の可能性があります)。 現在は、飼い主のいないペットのための「里親募集サイト」や、高齢ペットを引き取ってくれる「老犬・老猫ホーム(有料)」、遺品整理とセットでペットの相談に乗ってくれる業者も増えています。決して野山に放したりせず、命の引継ぎ先を探してください。

Q4. 庭の物置やガレージの中がゴミ屋敷状態です。ここだけ頼めますか?

A. もちろんです。「スポット依頼」は賢い使い方です。

「家の中は自分たちでやるけれど、害虫が出そうな外回りだけ頼みたい」という依頼は非常に多いです。 特に庭の残置物(腐った土、錆びた農機具、ブロック)は、自治体のゴミ回収では持って行ってくれないものが多いため、ここだけプロに任せることで、全体の作業スピードが一気に上がります。参考リンク: 銃砲刀剣類の発見時の手続きについては、警察庁のガイドラインを確認してください。

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