
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。
こんな人におすすめ
- 兄弟姉妹から「長男(長女)だからお前がやれ」と一方的に押し付けられている
- 「遠方に住んでいる」「仕事が忙しい」と言い訳ばかりで、誰も手伝いに来ない
- 業者に頼みたいが、「誰が費用を払うか」で揉めて話が進まない
- 借金があるかもしれないので、一切関わらずに逃げる方法(相続放棄)を知りたい
この記事でわかること
- 【法律の正解】「長男がやるべき」は嘘? 法的に誰に義務があるかの最終結論
- 【費用の正解】遺品整理代を「遺産」から勝手に出していい条件と、立替金の精算方法
- 【交渉術】口だけ出して手は動かさない親族を黙らせる「2つの選択肢」
- 【リスク回避】うかつに捨てると借金を全額背負う!? 「単純承認」の落とし穴
- 【逃げ道】相続放棄をしても残ってしまう「管理責任」の真実と対策
第1章 【原則】法律上、誰に「遺品整理をする権利と義務」があるのか

「なぜ、私がやらなければならないの?」 「長男だから、お前がやれと親戚に言われた」
遺品整理の現場では、このような不公平感や押し付け合いが頻繁に起こります。しかし、感情論で話し合うと泥沼化するだけです。まずは日本の法律(民法)が定めている「本来、誰がやるべきなのか」というルールを明確にしましょう。
ここを知っておくだけで、あなたは親族に対して「感情」ではなく「理屈」で交渉できるようになります。
「長男だから」は昔の話。法律上の義務者は「相続人全員」
結論から言えば、現在の民法において「長男が家を継ぐ(から片付けもやる)」という考え方は存在しません。
遺品整理の法的義務を負うのは、法定相続人全員です。
亡くなった方の持ち物(遺品)は、不動産や預貯金と同じく「相続財産」とみなされます。遺産分割協議が終わるまでは、遺品は「相続人全員の共有財産」という扱いになります。
つまり、例えあなたが実家の近くに住んでいたとしても、あるいは長男・長女であったとしても、あなた一人だけが片付けの責任を負う法的根拠はどこにもないのです。
- 共有財産であるという意味: 勝手に一人で処分すると、「他の相続人の持ち物を捨てた」ことになり、後で損害賠償を請求されるリスクすらあります。
- 全員の義務という意味: 遠方に住む兄弟姉妹も、本来は「自分の持ち物」の整理に関与しなければなりません。「遠いから」「忙しいから」は、法的な免罪符にはなりません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理・実家の片付けにおいて「役割分担で揉めた原因・言われて納得がいかなかった理由」を経験者412名に聞いたところ、以下の結果となりました。
- 「実家の近くに住んでいる人がやるべき」と押し付けられた(48%)
- 「長男・長女(跡取り)がやるのが筋だ」と言われた(25%)
- 「働いていない(時間がある)人がやるべき」と言われた(15%)
- 「同居していたのだから責任を持て」と言われた(12%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた、遺品整理で親族トラブルを経験された方

【編集長からのワンポイントアドバイス】

このアンケート結果からも分かる通り、多くの親族が「法律」ではなく「自分に都合の良い理屈」で責任を回避しようとします。 もしあなたが押し付けられそうになったら、「遺品は全員の共有財産だから、私が勝手に判断して捨てると法律上問題になる。みんなで費用を出すか、私の労力に対して遺産配分を考慮してほしい」と、あくまで事務的に伝えてみてください。空気が変わりますよ。
うかつに捨てると借金を背負う?「単純承認」という罠
遺品整理を「誰がやるか」決める前に、絶対に知っておかなければならない最大の法的リスクがあります。それが「単純承認」です。
遺品(相続財産)の一部でも処分・売却・消費してしまうと、民法上「私は遺産をすべて相続します」という意思表示をしたとみなされます。これを単純承認と言います。
もし、亡くなった親に知られざる多額の借金があった場合、遺品整理で高価な時計を売ったり、家財を大量に処分したりしたせいで「相続放棄」ができなくなり、借金まで全て背負うことになる可能性があります。
遺品整理に着手してはいけないケース
- 親の借金状況が不明確な場合
- 明らかに資産より負債が多い場合
- 他の相続人と連絡が取れていない場合
これらがはっきりするまでは、「誰も手をつけてはいけない(現状維持)」が正解です。
参考リンク:相続の承認又は放棄の期間の伸長 | 裁判所
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「明らかなゴミ(生ごみや古新聞など)」を捨てる程度であれば「保存行為」とみなされ、単純承認には当たらないというのが一般的な解釈です。 しかし、判断に迷うもの(少しでも価値がありそうな家電や着物など)には絶対に手を触れないでください。 賃貸物件などで大家さんに急かされても、「相続放棄の可能性があるため、法的な判断が出るまで動かせません」と伝えるのが、あなたの身を守る盾になります。
遺言書があるなら「遺言執行者」が絶対的な権限を持つ
もし、亡くなった方が遺言書を残しており、そこで「遺言執行者」が指定されていた場合、話はシンプルになります。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持っています(民法1012条)。 この場合、相続人たちは遺言執行者の遺品整理(財産の管理・処分)を妨害することはできません。
- 誰がやるか: 指定された遺言執行者(弁護士や特定の親族など)。
- あなたの立場: 執行者に任せる、あるいは執行者の指示に従う。
遺言書があるかどうかの確認は、遺品整理の「実行部隊」を決める最優先事項です。これを無視して勝手に片付けを始めると、後で法的なトラブルに発展します。
第1章のまとめ
遺品整理は「掃除」ではなく「財産管理」です。 「誰がやるか」の答えは、原則として「相続人全員に権利と義務がある」です。
しかし、現実問題として全員で集まって片付けるのは不可能です。 次章では、この原則を踏まえた上で、「実際には誰が手を動かすのが損をしないのか?」「プロに頼むべきか自分たちでやるべきか」の具体的な判断基準を解説します。
第2章 【実行】実際には誰が動くべきか? 3つのパターンと損をしない判断基準

第1章では「法律上は相続人全員に義務がある」とお伝えしました。しかし、現実的に相続人全員がゴム手袋をして、何日もかけてホコリまみれになって作業をするのは困難なケースがほとんどです。
では、「誰が」実働部隊となるべきか。 状況に応じた3つの選択肢(パターン)と、それぞれのメリット・デメリット、そして「後悔しないための判断基準」を解説します。
パターンA:親族・相続人だけで行う
時間と体力に余裕があり、親族間の仲が良い場合に適した方法です。
メリット
- 費用が最小限: かかるのはゴミ袋代、粗大ゴミ処理券、交通費程度です。
- 心理的納得感: ひとつひとつ思い出を手に取りながら心の整理ができます。誤って大切なものを捨てられるリスクも低いです。
デメリットとリスク
- 肉体的・精神的疲労: 想像を絶する重労働です。特に「親の家」は物が驚くほど多いため、途中で挫折するケースが後を絶ちません。
- スケジュールの長期化: 週末しか集まれない場合、完了まで数ヶ月〜1年かかることもザラです。賃貸物件の場合は家賃が発生し続けるため、逆に高くつくこともあります。
【重要】遠方・高齢の親族がいる場合の「役割分担」
ここが揉めるポイントです。「近くに住む若い人」に労働力が偏りがちです。これを防ぐには、以下のような明確な分担を提案しましょう。
- 実働部隊(近くの親族): 現地での仕分け、ゴミ出し作業を担当。
- 支援部隊(遠方・高齢の親族): 資金援助(ゴミ処理代、実働部隊の交通費・食事代、場合によっては「手間賃」)を担当。
「労働」と「お金」でバランスを取ることが、不公平感を解消する唯一の方法です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

自分たちでやると決めた場合、絶対にやってはいけないのが「判断基準なしに始めること」です。 兄弟間で「アルバムはどうする?」「着物は?」という基準がズレていると、作業中にいちいち手が止まり、喧嘩になります。 事前にLINEなどで「現金と重要書類以外は、基本的に処分する方向で」といった大枠の合意をとっておくだけで、作業スピードが3倍変わります。
パターンB:遺品整理業者(プロ)に依頼する
賃貸物件で退去期限が迫っている場合や、ゴミ屋敷状態、あるいは遺族が高齢で作業ができない場合に最適です。最近はこのパターンを選ぶ人が急増しています。
メリット
- 圧倒的なスピード: 自分たちなら半年かかる作業が、プロなら1日〜数日で終わります。
- 精神的負担の軽減: 汚れた部屋や大量の不用品と向き合うストレスから解放されます。
注意点:「依頼主」は誰になるべきか 業者への依頼は、通常「代表者1名」が契約します。ここで注意が必要なのは、「契約した人が支払い義務を負う」ということです。
他の親族に相談なく勝手に契約して、「かかった費用を割り勘にしよう」と後から言っても、「そんな高い業者、頼んでいない」と拒否されるトラブルがあります。 必ず相見積もり(複数の業者の見積もり)を取り、その金額を親族全員に見せ、「この金額なら業者に頼みたいが、費用は遺産から出しても良いか(または分担できるか)」という事前の合意(証拠)をメール等で残してください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を「自分たち」で行った後に「業者に頼めばよかった」と後悔した男女380名にその理由を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 予想以上に物が多すぎて、心身ともに疲弊し体調を崩した(55%)
- 片付けに数ヶ月かかり、その間の家賃や交通費で結局高くついた(22%)
- 重い家具の運び出しで怪我をしたり、壁を傷つけてしまった(15%)
- 価値の分からないものを捨ててしまった可能性がある(8%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた、セルフ遺品整理で挫折された方

参考リンク:遺品整理サービス-契約トラブルに注意して- | 国民生活センター
パターンC:後見人や行政が介入するケース
やや特殊ですが、以下のような場合は家族以外が関わる可能性があります。
1. 孤独死などで「相続人がいない」場合
誰も引き取り手がいない場合、最終的には利害関係者(大家さんなど)の申し立てにより、裁判所が選任した「相続財産清算人」が遺品整理(財産の清算)を行います。大家さんが勝手に処分することは法律上できません。
2. 生前に「成年後見人」がついていた場合
「親の後見人だった弁護士さんがやってくれるのでは?」と考える方がいますが、原則として成年後見人の任務は、本人が死亡した時点で終了します。 死後の遺品整理や葬儀の手配は、本来後見人の職務範囲外です。 ただし、法改正により、必要性が認められる範囲(火葬や最低限の保存行為)であれば、後見人が対応できるケースも増えていますが、家一軒丸ごとの遺品整理はやはり相続人の責任となります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「業者は高いから」と敬遠されがちですが、遠方への交通費や、何日も会社を休むことによる損失、そして何より身体的な負担を計算すると、実は業者に頼んだ方が「コスパが良い」ケースは多々あります。 感情論ではなく「コスト計算」として、親族に業者利用を提案するのも、賢い消費者の選択ですよ。
第2章のまとめ
- 親族でやるなら: 「労働」と「お金」の役割分担を明確にする。
- 業者に頼むなら: 代表者が勝手に決めず、見積もりを共有して「事前の合意」を得る。
さて、実行部隊が決まったとしても、次に必ず直面するのが「お金」の問題です。 「作業代は誰が出す?」「遺産から勝手に使っていいの?」 第3章では、最もデリケートな「費用負担と精算のルール」について深掘りします。
第3章 【費用】作業するのは誰で、お金を出すのは誰か

「片付けは私がやったんだから、費用は兄さんが負担してよ」 「勝手に業者を呼んだんだから、自分のお金で払え」
遺品整理の現場で、作業の押し付け合い以上に深刻なのが「お金」をめぐるトラブルです。 いくら親族でも、数十万円単位の出費となれば話は別です。
この章では、誰もが一番知りたい「遺品整理の費用は、誰の財布から出すのが正解なのか」について、法的な観点と実務的な慣習から解説します。
遺品整理費用は「遺産」から出していいのか?
ここを曖昧にしたまま進めると、後で「使い込み」を疑われたり、あなたが立て替えた大金が戻ってこなかったりするリスクがあります。
結論から言えば、相続人全員の合意があれば、故人の預貯金(遺産)から支払うのが最も公平でトラブルが少ない方法です。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
1. 勝手に引き出すと「単純承認」になるリスク
第1章でも触れましたが、遺産分割協議が終わる前に、あなたが故人の口座から勝手にお金を引き出して業者に支払うと、「遺産を自分のものとして処分した(単純承認)」とみなされる可能性があります。 これにより、もし借金があった場合に相続放棄ができなくなるリスクがあります。
2. 相続税の「債務控除」には原則ならない
葬儀費用は相続税の計算上、遺産総額から差し引く(債務控除)ことができますが、遺品整理費用は原則として控除の対象になりません。 あくまで「相続人が自分の都合で行う作業」にかかる費用とみなされるからです(※状況により例外もありますが、基本は対象外と考えておくのが無難です)。
参考リンク:No.4126 相続財産から控除できる債務 | 国税庁
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺産から支払いたい場合は、必ず「遺品整理費用の支払いに関する同意書」を一枚作り、相続人全員のサインをもらってください。 形式ばったものでなくても、「故〇〇の遺品整理にかかる費用(見積額〇〇円)は、故人の預貯金口座より充当することに、相続人全員が同意します」と一筆あるだけで、銀行手続きも親族間の精算も驚くほどスムーズになります。
立替払いをした場合の「鉄の掟」と領収書管理
遺産口座が凍結されていて引き出せない場合、相続人の誰か(多くの場合はあなた)が一時的に費用を立て替えることになります。
この時、後で確実に他の相続人に請求するために、以下の3点を徹底してください。
- 見積書・請求書・領収書の「3点セット」を保管する
- 「いくらかかったか」の証拠がないと、水増し請求を疑われます。
- 領収書の宛名は「故人の氏名」または「相続人代表」にする
- 単なる「上様」はNGです。使途不明金扱いされるリスクがあります。
- 作業前・作業後(ビフォーアフター)の写真を撮る
- 「本当にこれだけの費用をかける必要があったのか?」と後で文句を言われないよう、ゴミの量や部屋の惨状を証拠として残しておきましょう。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理にかかった費用をめぐり、親族間でトラブルになった経験がある男女320名に「揉めた原因」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 事前の相談なく高額な業者を利用したため、支払いを拒否された(42%)
- どんぶり勘定で領収書を残しておらず、精算額を信用してもらえなかった(28%)
- 実家から出てきた現金(タンス預金)を、片付けた人が着服したと疑われた(18%)
- その他(12%)
※調査期間:2024年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた、費用精算トラブルを経験された方

汗をかいた人は報われる?「寄与分」の厳しい現実
「私は業者を使わず、毎日通って自分の手で片付けた。その分、遺産を多くもらう権利があるはずだ!」
こう主張したくなる気持ちは痛いほど分かります。これを法律用語で「寄与分」と言います。 しかし、残念ながら遺品整理の労力が法的な「寄与分」として認められるハードルは極めて高いのが現実です。
寄与分が認められるのは、通常「被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした場合(例:親の介護を長年行い、介護施設費用を浮かせた等)」に限られます。 死後の片付け行為は、これに含まれないと判断されることが多いのです。
では、どうすれば報われるのか?
法的な寄与分を主張して裁判をするよりも、遺産分割協議の話し合い(交渉)で解決するのが現実的です。
- 交渉の切り出し方例: 「業者に頼めば30万円かかるところを、私が1ヶ月かけて片付けたので0円で済んだ。浮いた30万円分とは言わないが、私の労力として10万円ほど考慮して遺産分割をさせてほしい」
このように「業者に頼んだ場合の相場(浮いたコスト)」を具体的に提示することで、他の相続人も納得しやすくなります。
第3章のまとめ
遺品整理のお金は、「証拠(領収書・同意書)」がないと、後で必ず不信感の火種になります。 「家族だから分かってくれるはず」という甘えは捨て、他人とビジネスをする時以上にきっちりと数字で管理しましょう。
さて、法律と費用のルールは分かりましたが、一番の難関は「理屈が通じない相手」です。 「俺は忙しい」「そんな金はない」と逃げ回る兄弟姉妹をどう動かすか? 次章では、そんな厄介な親族トラブルを回避するための「交渉術と合意形成のテクニック」を伝授します。
第4章 【トラブル回避】不公平感ともめ事を防ぐ「合意形成」と交渉術

「兄は『仕事が忙しい』と言って一度も顔を出さない」 「妹は『あれも欲しい、これも欲しい』と言うだけで、片付けの手は動かさない」
遺品整理の現場において、ゴミの量以上に遺族を苦しめるのが「人間関係のストレス」です。 特に、作業負担が特定の誰かに偏っている時の不公平感は、その後の親族関係を絶縁させるほどの破壊力を持っています。
この章では、協力的でない親族を動かし、無用なトラブルを回避するための「交渉術」と「自衛策」をお伝えします。
「手伝わない兄弟」を動かすには、選択肢を2つに絞る
「手伝ってよ!」と感情的に訴えても、「忙しい」「遠い」という言い訳が返ってくるだけです。 相手を動かすには、「労働」か「お金」か、どちらかで責任を果たしてもらうという交渉に持ち込むのが鉄則です。
相手に突きつけるべき選択肢は以下の2つだけです。
- 現地に来て、一緒に汗を流して作業する(労働参加)
- 現地に来られないなら、業者費用の見積もりの〇割を負担する(金銭参加)
これを、以下のように具体的な数字(業者の見積もり)を使って伝えます。
【効果的なLINE・メールの文面例】
「実家の片付けについて相談です。 今週末、業者に見積もりを取ったところ、全部片付けるのに35万円かかると言われました。
案①: 来月〇日と〇日に、みんなで集まって自分たちで片付ける(そうすれば費用はゴミ処理代の5万円程度で済む)。
案②: 業者に依頼して35万円を支払う(この場合、私の立替ではなく、実家の預金から出すか、兄弟で折半したい)。
私は体力的に①は厳しいので②が良いと思うけれど、どう思う?」
このように「具体的な金額」という現実を突きつけられると、相手も「無視する」という選択肢を取りづらくなります。「お金を払いたくないから、手伝いに行く」あるいは「面倒だから金で解決する」のどちらかを選ばざるを得なくなるのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

交渉のコツは、あなたが「お願い」をする立場にならないことです。 あくまで「遺産という共有財産の管理について、共同所有者としてどうするか決めましょう」という事務的なスタンスを崩さないでください。 感情を抜いて「数字」と「ルール」で話すほうが、相手も冷静になります。
「口だけ出す親族」と「勝手に持ち去る親族」への対策
作業はしないのに「あそこのタンスはまだ捨てるな」「母さんの指輪は私がもらう」と、権利だけを主張する親族も厄介です。
1. 勝手に遺品を持ち去る(形見分けトラブル)
「形見分け」と称して、勝手に高価な貴金属や骨董品を持ち出そうとする行為は、他の相続人からすれば「横領」や「窃盗」に見えます。 これを防ぐには、「遺産分割協議が終わるまでは、一切の持ち出し禁止」というルールを最初に宣言することです。
もし強引に持ち帰ろうとする場合は、「持ち出した品目を全てリスト化し、写真を撮り、全員の署名をもらう」ことを徹底してください。「後で遺産総額から、その時価分を差し引きますよ」という牽制になります。
2. 「捨てるな」とストップをかける
遠方の親族が「思い出の品だから捨てないで」と電話で指示してくるケースです。 これに対しては、「保管期限」と「引き取り条件」を設定します。
- 「残したいなら、〇月〇日までに着払いで送るから住所を教えて」
- 「その日までに連絡がなければ、保管場所がないので処分します」
相手に「保管のコスト」や「引き取る手間」を意識させることで、無責任な「残して」を減らすことができます。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理中に親族の言動で「最もイラッとしたこと・許せなかったこと」を経験者365名に聞いたところ、以下の結果となりました。
- 手伝いに来ないのに、「あれは捨てちゃダメだ」と遠隔で指示だけしてきた(38%)
- 作業日当日にドタキャンされ、結局自分一人でやる羽目になった(24%)
- 高価そうな貴金属や着物だけを「形見分け」と称して勝手に持ち帰った(20%)
- 業者に頼もうとしたら「無駄遣いだ」と反対されたが、代案は出さなかった(12%)
- その他(6%)
※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいた、親族間トラブル経験者

参考リンク:遺産分割における使途不明金問題 | 日本弁護士連合会 ※トップページへのリンクとなりますが、各弁護士会で相談窓口が設けられています。
どうしても話がまとまらない時の「第三者」
親族間での話し合いが罵り合いになってしまった場合、当事者だけで解決するのは不可能です。 その場合は、迷わず第三者(弁護士や司法書士、あるいは信頼できる遺品整理業者)を間に入れましょう。
特に遺品整理業者は、「この家財量だと、一般の方が分別するのは〇日かかります」「このまま放置すると行政指導のリスクがあります」といった専門家としての客観的な意見を言ってくれます。 親族以外の「プロの声」が入ることで、頑固な親族が急に納得するというケースは非常によくあります。
第4章のまとめ
- 手伝わない相手には「労働」か「お金」かの二択を迫る。
- 「形見分け」はルールを決めないと、ただの早い者勝ちになる。
- 感情的になったら、プロ(第三者)の客観的意見を利用する。
ここまで、前向きに(あるいは義務感で)遺品整理に取り組むための方法を解説してきました。 しかし、中には「もう親族とは関わりたくない」「一切の責任を負いたくない」という方もいるでしょう。
最終章となる第5章では、最後の手段である「相続放棄」と、それでも残る「管理責任」という逃げ道の真実について、包み隠さず解説します。
第5章 【拒絶】「絶対に関わりたくない」場合の逃げ道と、残る責任の真実

「親とは何十年も絶縁状態だった」 「借金まみれの遺産なんて、1円もいらないし関わりたくない」
これまでの章では「どうやって片付けるか」を解説してきましたが、あなたには「片付けない(関わらない)」という法的な権利も存在します。それが「相続放棄」です。
しかし、ここには多くの人が誤解している恐ろしい落とし穴があります。「放棄したから、もう私は無関係!」と鍵を捨てて逃げ出すと、後で法的な責任を問われる可能性があるのです。
最終章では、「完全に逃げ切るための正しい手順」と、放棄しても残ってしまう「管理責任」のリアルについて解説します。
「相続放棄」をすれば、遺品整理は一切しなくていい?
法律上の原則として、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きが受理されれば、あなたは「初めから相続人ではなかった」ことになります。 したがって、亡くなった親の借金を返す義務もなければ、遺品(他人の財産)を整理する義務も原則としてなくなります。
しかし、ここで絶対に守らなければならない「鉄の掟」があります。
【鉄の掟】放棄するなら、箸一本動かしてはいけない
第1章でも触れましたが、相続放棄の手続き前(あるいは手続き中)に、あなたが遺品を整理したり、持ち帰ったり、売ったりすると、その時点で「相続する意思がある(単純承認)」とみなされ、相続放棄が認められなくなるリスクがあります。
「関わりたくない」のであれば、中途半端に片付けようとせず、「一切触らない(現状維持)」を徹底してください。
参考リンク:相続の放棄の申述 | 裁判所
放棄しても逃げられない?「管理責任」という法の罠
「相続放棄をしたから、実家がゴミ屋敷のままでも私は知らない」 以前はこれが通用しにくい法的なグレーゾーンがありましたが、2023年4月の民法改正によりルールが明確化されました。
ポイントは、「現にその家や遺品を占有している(管理している)かどうか」です。
- あなたが実家に同居していた場合(占有している): 相続放棄をしても、次の管理者(他の相続人や相続財産清算人)が決まるまでは、「自分の財産と同じように大切に管理する義務(保存義務)」が残ります。勝手に放置して近隣に迷惑(悪臭や倒壊の危険など)をかけた場合、損害賠償を請求される可能性があります。
- あなたが別居していて、鍵も持っていない場合(占有していない): 改正民法により、金銭的な価値のない遺品や、占有していない不動産については、管理義務を負わない方向で解釈が整理されました。
つまり、「遠方に住んでいて疎遠だった人」は逃げ切りやすくなりましたが、「同居していた人」や「鍵を預かって管理していた人」は、放棄しても「引き継ぎ」までは責任が残るのです。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

賃貸物件の場合、大家さんから「相続放棄してもいいけど、部屋は片付けて明け渡してよ」と詰め寄られるケースが多発しています。 しかし、これに応じて部屋を空にしてしまうと、あなたの「単純承認」になります。 正解は、「相続放棄しました。これが鍵です。中にある荷物は法律上私が勝手に処分できないので、大家さんの方で法的手続き(競売や処分)をお願いします」と、鍵だけ返して立ち去ることです。冷たく感じるかもしれませんが、これが自分を守る唯一の方法です。
全員が放棄したら、ゴミ屋敷は誰が片付けるのか
「兄弟全員が相続放棄をした。じゃあ、あの実家はどうなるの?」
相続人が誰もいなくなった財産は、最終的に「国庫」に帰属します。しかし、国が自動的に片付けてくれるわけではありません。 利害関係者(大家さんや債権者など)が家庭裁判所に申し立てて、「相続財産清算人」を選任してもらい、その清算人が遺品を売却・処分して借金を返し、残りを国に納めるという手続きになります。
注意点: もし、あなたが「管理責任」を免れるために自分から「相続財産清算人」を選任しようとすると、裁判所に納める予納金(数十万円〜100万円程度)を負担しなければならない場合があります。 「逃げるためにお金を払う」という矛盾した状況になるため、通常は大家さんや債権者が動くのを待つのが一般的です。
【お片づけの窓口独自アンケート】
相続放棄を選択した、または検討した男女350名に「放棄に関連して最も困った・不安だったこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 大家や管理会社から「放棄しても残置物は撤去して」と強く迫られた(58%)
- 放棄の手続き中に、どこまで遺品に触れていいか分からず怯えていた(22%)
- 親戚から「借金はともかく、家の片付けくらいしろ」と責められた(12%)
- 裁判所の手続きが複雑で専門家費用がかかった(8%)
※調査期間:2023年10月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた、相続放棄検討者および実施者

孤独死と行政代執行
身寄りがなく、相続人全員が放棄し、さらに近隣に重大な危害(強烈な悪臭や害虫、家屋倒壊の恐れ)が及んでいる場合、最終手段として自治体が「行政代執行」で片付けることがあります。
しかし、これは「税金で片付けてもらえるラッキーな制度」ではありません。 かかった費用は、たとえ相続放棄をしていても、場合によっては「原因を作った関係者」として請求されるリスクがゼロとは言い切れません(極めて稀ですが)。 何より、近隣住民や自治体との関係が最悪の形で終わることになります。
第5章のまとめ
- 相続放棄は強力な「逃げ道」だが、「現状維持(触らない)」が絶対条件。
- 同居していた場合、次の管理者が決まるまでは管理責任が残る。
- 賃貸の場合、部屋を片付けずに「鍵だけ返す」のが法的な正解。
記事の総まとめ:あなたが今、一番最初にやるべきこと
全5章にわたり、「遺品整理は誰がやるべきか」という問いについて、法律、費用、人間関係の側面から解説してきました。
最後に、今のあなたが取るべきアクションをまとめます。
- まず「遺言書」を探す
- あればそれに従うだけです。
- 次に「資産と借金」を調査する
- 借金が多そうなら、絶対に片付けに着手せず、3ヶ月以内に「相続放棄」を検討してください。
- やるなら「合意形成」が先、作業は後
- 誰が費用を出すか決まっていないのに、業者を呼んではいけません。
- 自分たちで無理なら、迷わず「プロ」を頼る
- お金で「時間」と「心の平穏」を買うことは、決して悪いことではありません。
遺品整理は、故人の人生の幕引きであると同時に、残されたあなたが「新しい日常」を取り戻すための第一歩です。 「誰がやるか」で揉めて、あなたの人生という貴重な時間をすり減らさないでください。 法律というルールと、プロというリソースを賢く使い、一日も早くあなたが笑顔になれる日が来ることを願っています。
参考リンク:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し | 法務省
よくある質問(Q&A):遺品整理の「困った」を即解決

ここでは、遺品整理の現場で実際に弊社「お片づけの窓口」へ寄せられる相談の中から、特に多い4つの疑問に専門家視点で回答します。
Q1. 兄弟が「お前が勝手に業者に頼んだんだから、費用はお前が出せ」と言って払ってくれません。法的に請求できますか?
A. 事前の合意がないと、全額請求は難しい場合がありますが、「管理費用」として主張は可能です。
法律上、契約書にサインした人(依頼主)が支払い義務を負います。兄弟からの委任状や同意書がない場合、業者への支払い義務はあなた個人に発生します。 ただし、その遺品整理が「遺産の価値を維持するために不可欠だった(例:放置するとゴミ屋敷化して家が売れなくなる等)」と証明できれば、「遺産の管理費用」として、遺産分割協議の際に清算を求めることは可能です。 泣き寝入りせず、領収書とビフォーアフターの写真を提示し、「これは共有財産を守るために必要な出費だった」と粘り強く交渉しましょう。
Q2. 賃貸アパートに住んでいた親が亡くなりました。大家さんから「今月中に片付けて」と言われていますが、まだ相続人が確定していません。どうすればいいですか?
A. 大家さんの要求より、「単純承認」のリスク回避を優先してください。
相続人が確定していない、あるいは相続放棄を検討している段階で部屋を片付けてしまうと、借金も含めて相続した(単純承認)とみなされる危険があります。 大家さんには正直に「現在、相続について調査中であり、法的な問題があるためすぐには動かせません」と伝えましょう。 その間の家賃については、日割りや月割りで支払う必要がありますが、これもあなたの財布からではなく、可能な限り「故人の遺産」から支払う、あるいは「立て替え」として記録しておくのが鉄則です。
Q3. 自分は遠方に住んでいて片付けに行けません。近くに住む姉に全て任せても大丈夫ですか?
A. 「丸投げ」はトラブルの元です。最低限「捨てる基準」の共有と「金銭的配慮」を行ってください。
任せること自体は問題ありませんが、後になって「あれは捨ててほしくなかった」と文句を言うのはマナー違反です。 トラブルを防ぐために、以下の2点を徹底してください。
- 判断基準の共有: 「現金、通帳、貴金属、写真以外は処分してOK」など、LINEで明確な指示を送る。
- 労力への対価: お姉さんの負担(時間・体力)に対し、業者費用の全額をこちらが持つ、あるいは遺産分割で数万円~数十万円上乗せするなど、目に見える感謝を示す。
Q4. 相続放棄をしました。実家の鍵を持っていますが、どうすればいいですか?
A. 自分で部屋に入らず、次の管理者に鍵を渡してください。
相続放棄をした時点で、あなたは「初めから関係なかった人」になります。 しかし、鍵を持っているということは「管理できる状態」にあるため、適切な相手に引き渡すまでは責任が残ります。
- 他に相続人がいる場合: その相続人に鍵を渡す(郵送可、記録を残すこと)。
- 全員放棄した場合(賃貸): 大家さんや管理会社に鍵を返す。
- 全員放棄した場合(持ち家): 裁判所が選任した「相続財産清算人」に渡すまで保管する(勝手に入室しない)。
注意: 「ついでに掃除しておこう」と部屋に入り、掃除機をかけたりゴミを捨てたりすると、放棄が無効になるリスクがあります。「鍵を渡すだけ」に留めてください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理について「専門家に相談して初めて知って驚いたこと」を男女310名に聞いたところ、以下の結果となりました。
- 相続放棄をしても、家の管理責任が残るケースがあること(45%)
- 遺品整理費用は、相続税の控除対象(葬式費用扱い)にならないこと(30%)
- デジタル遺品(スマホのロック解除など)の処理が予想以上に困難だったこと(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2024年1月〜3月 対象:弊社無料相談利用者

【編集長からのワンポイントアドバイス】

「ネットで調べた知識」と「実際の現場」では、状況が異なることが多々あります。 特に相続放棄や借金が絡むケースでは、自己判断で動くと取り返しがつかないことになります。 迷ったら、作業を始める前に必ず弁護士や司法書士、あるいは法知識のある遺品整理業者に「現状」を見てもらうことを強くお勧めします。その「一回の相談」が、あなたを数百万の借金から救うこともありますよ。
[参照リンク]
- 法テラス(日本司法支援センター) – 法的トラブルの総合案内所
- 国民生活センター – 消費生活トラブルの相談
最後に:遺品整理は、故人のためではなく「あなたのこれから」のためにある
ここまで、法律、費用、親族トラブル、そして逃げ道に至るまで、「遺品整理のリアル」を包み隠さずお伝えしてきました。 記事を読み進める中で、もしかすると「こんなに大変なのか」と気が重くなってしまった方もいるかもしれません。
しかし、これだけは覚えておいてください。 遺品整理とは、亡くなった方のために行うものではありません。 残されたあなたが、過去の重荷を下ろし、これからの人生を軽やかに生きていくための「儀式」なのです。
誰がやるかで揉める時間も、一人で抱え込んで苦しむ時間も、あなたの人生においては「もったいない時間」です。 法律というルールを知り、プロという選択肢を持った今のあなたなら、きっと最短ルートでこの大仕事を乗り越えられるはずです。
一人で抱え込まず、プロに頼るという「賢い選択」
「家族のことは家族でやらなきゃ」 そんな呪縛に囚われて、心や体を壊してしまっては本末転倒です。 私たち「お片づけの窓口」は、単にゴミを捨てる業者ではありません。あなたの肩に乗った「法的責任」や「親族間の板挟み」という重荷を、一緒に背負い、解決するパートナーです。
【お片づけの窓口独自アンケート】
遺品整理を完了させた男女400名に「全ての片付けを終えた瞬間の正直な気持ち」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 肩の荷が下りて、ようやく悲しむ余裕や自分の生活が戻ってきた(52%)
- 実家がきれいになったことで、親族関係も良好になった(25%)
- もっと早くプロや周囲に頼ればよかったと後悔した(15%)
- 寂しさがこみ上げてきた(8%)
※調査期間:2024年1月〜3月 対象:弊社にて遺品整理を完了されたお客様

【編集長からのワンポイントアドバイス】

親御さんが一番望んでいるのは、立派に片付けをすることでも、遺産を一円単位で守ることでもありません。 「残された子供たちが、仲良く、笑顔で健康に暮らしてくれること」。これこそが、親が遺したかった本当の願いはずです。 もし作業がつらいと感じたら、無理せず私たちのような専門家を頼ってください。「お金で時間を買う」ことは、決して手抜きではなく、あなたの生活を守るための立派な親孝行ですよ。
もし、「誰がやるか」で迷ったり、トラブルになりそうだと感じたら。 まずは一度、お片づけの窓口にご相談ください。 法的な視点と、数多くの現場を見てきた経験から、あなたにとって「損がなく、最も心が楽になる方法」をご提案させていただきます。
あなたの新しい一歩を、私たちは全力で応援しています。








