終活やることリスト|何から始める?家族を困らせない手続きと整理術

遺品整理
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お片づけの窓口
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私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!

この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。

こんな人におすすめ

  • 「終活」といっても何から手をつけたらいいか全くわからず、漠然とした不安がある人
  • 自分にもしものことがあった時、「家族に迷惑や負担をかけたくない」と強く願っている人
  • 家の中にモノが溢れており、「どこから片付ければいいか」の正解を知りたい人
  • スマホのロックやネット銀行など、「デジタル遺品」の扱いに不安を感じている人
  • 終活を「死に支度」としてではなく、これからの人生をより良く生きるための「前向きな準備」として始めたい人

この記事わかること

  • 5W1Hで深掘りした、抜け漏れのない「終活やることリスト」の決定版
  • 遺品整理のプロが教える、挫折しない「モノの片付け(断捨離)」の具体的基準
  • 家族を相続トラブルから守るための、資産・契約・IDパスワードの賢い管理法
  • 延命治療や葬儀など、いざという時に自分の尊厳を守るための意思表示テクニック
  • リスト作成を通じて心のモヤモヤを晴らし、マズローの自己実現(理想の人生)へ向かうためのステップ
目次

1. はじめに:なぜ今「やることリスト」を作るのか

「終活」という言葉が頭をよぎったとき、最初に感じるのは漠然とした焦りではないでしょうか。「何から手をつければいいのかわからない」「もし明日、自分に何かが起きたら家族はどうなるのか」。

この第1章では、ノウハウに入る前に、なぜリスト化という作業があなたの人生における最強の保険となるのか、その本質的な理由をお伝えします。これは単なる事務作業ではありません。あなたの人生の「棚卸し」を行い、これからの時間をより軽やかに生きるためのファーストステップです。

残された家族の負担を「9割」減らす可視化の効果

人が亡くなった後、残された家族が行わなければならない手続きは大小合わせて100種類以上あると言われています。

銀行口座の凍結解除、公共料金の名義変更、デジタル遺品の処理、そして遺品整理。これらを「故人の意思がわからない状態」で進めるのは、精神的に疲弊している遺族にとって暴力的なほどの負担となります。

リストがあるだけで、家族は「探す時間」と「迷う時間」から解放されます。つまり、やることリストを作ることは、家族への愛そのものなのです。

【お片づけの窓口独自アンケート】

親の遺品整理や死後手続きを行った男女420名に「もし親が生前にリストを残してくれていたら、最も助かったと思うこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 銀行口座や保険証券などの「資産のありか」がすぐに分かったはず(58%)
  • スマホやPCのパスワード解除に数十万円の業者費用を払わずに済んだ(22%)
  • 葬儀に呼ぶべき友人・知人の連絡先を探す手間が省けた(13%)
  • その他(7%)

※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

この結果からも分かる通り、資産情報の所在デジタル情報の解除は、リスト化されていないと遺族にとって金銭的・時間的な大打撃となります。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

最初から完璧なリストを作ろうと身構える必要はありませんよ。まずは「ここを見れば重要書類がある」という場所を1箇所決めるだけでも、ご家族にとっては大きな救いになります。100点を目指さず、まずは「家族を路頭に迷わせないこと」をゴールに始めましょう。


「死に支度」ではなく、これからの人生を輝かせるための「棚卸し」

多くの方が誤解していますが、終活やることリストは「死ぬための準備」ではありません。むしろ、残りの人生を最高に楽しむための「生きるための準備」です。

家の中にある不要なモノ、使っていない銀行口座、惰性で続けているサブスクリプション契約。これらは、あなたの物理的なスペースだけでなく、心のスペースも占領しています。

リストを作る過程でこれらを整理(断捨離)すると、以下のような変化が訪れます。

  • 経済的な余裕が生まれる: 不要な固定費や年会費が浮き彫りになる。
  • 判断がクリアになる: 「自分にとって本当に大切なもの」が再確認できる。
  • 不安が消える: 「いつ何が起きても大丈夫」という自信が、日々の活動を積極的なものに変える。

マズローの欲求段階説で言えば、リスト作成による不安の解消は「安全の欲求」を満たし、さらに自分らしい人生を再定義することは最上位の「自己実現の欲求」へとつながります。

公的機関も推奨する「情報の整理」

実は国や行政も、トラブル防止の観点からエンディングノートや財産目録の作成を強く推奨しています。

特に近年は、相続登記の義務化や、所有者不明土地問題など、法的なルールも厳格化しています。自分自身の情報を整理しておくことは、法律トラブルから家族を守る防波堤にもなります。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

最近増えているのが「ネット銀行」や「仮想通貨」などの通帳のない資産が見つからずに放置されてしまうケースです。これらは紙の書類が家に届かないため、リストに書かれていなければ、文字通り「永遠に闇に葬られる資産」になってしまいます。この点については、後の章で詳しく解説しますね。


第1章のまとめ

  • やることリストは、家族を「探す・迷う」苦しみから救う唯一の地図である。
  • アンケート結果の通り、特に「資産」と「デジタル」の情報不足が遺族を苦しめる。
  • リスト作成は、あなたの人生の「不要なノイズ」を取り除き、これからを豊かに生きるための儀式である。

不安の正体は「見えないこと」です。 次章からは、いよいよ具体的に「モノの整理(断捨離)」から着手し、目に見える形でお家と心をスッキリさせていきましょう。

2. ステップ1:【モノの整理】残す・捨てる・譲るの仕分けリスト

「終活」と聞いて多くの人が最初にぶつかる壁、それが「大量のモノ」です。

長年暮らした家には、思い出とともに驚くほどの物品が眠っています。「いつか使うかも」と溜め込んだモノたちは、あなたがいなくなった瞬間、ご家族にとって「処分にお金と手間がかかる巨大な負債」へと変わる可能性があります。

この章では、感情的な負担を減らしつつ、合理的かつスムーズにモノを減らすための「仕分けの極意」を解説します。これは単なる片付けではなく、あなたの人生の優先順位を決める作業です。

まずはここから:衣類・書籍・日用品の断捨離基準

いきなり思い出の深い写真や手紙から手をつけ始めてはいけません。手が止まってしまうからです。まずは感情の入りにくい、機能的なモノから始めましょう。

判断基準を明確に設けることで、驚くほどスムーズに進みます。

  • 「1年間」のルール: 過去1年間で一度も袖を通さなかった服、読み返さなかった本は、今後も出番はありません。潔く手放しましょう。
  • 「数」のルール: タオルは10枚、来客用布団は1組など、持つ「上限数」を決めます。それ以上はすべて処分対象です。
  • 「今」のルール: 「痩せたら着る服」「いつか使う食器」は手放し、「今の自分」が快適に使えるモノだけを残します。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

自治体のゴミ出しルールは年々厳しくなっています。特にスプレー缶やライター、土やブロックなどは、いざ捨てようとすると回収日が限定されていたり、有料だったりと大変です。今のうちに少しずつ自治体の回収に出しておくのが、最も賢い節約術ですよ。


処分に困るもの(写真・趣味のコレクション)のルール決め

遺品整理の現場で、ご遺族が最も頭を抱えるのが「故人の趣味の品」と「大量の写真」です。あなたにとっては宝物でも、興味のない家族にとっては価値判断ができないため、「捨てたらバチが当たるかも」と心理的な重荷になります。

これらには明確な「出口戦略」を用意しましょう。

  • 写真は「ベスト版」を作る: 何千枚ものアルバムを残すのではなく、人生の節目ごとの「最高の一枚」を選び、1冊のアルバム(またはデジタルデータ)にまとめます。残りは思い切って処分します。
  • コレクションは「譲り先」を決める: 専門性が高いコレクション(骨董、フィギュア、切手など)は、価値のわかる買取業者や、引き取ってくれるコレクター仲間をリストアップしておきます。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を依頼された男女380名に「処分するかどうか判断に迷い、精神的に辛かったモノ」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 大量のアルバム・バラの写真(45%)
  • 故人が大切にしていた趣味のコレクション・作品(32%)
  • 日記・手帳・手紙などの私的な記録(15%)
  • その他(8%)

※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

この結果が示す通り、写真と趣味の品は、残された人には「捨てられない呪い」になりかねません。自分の手で厳選することこそが優しさです。

形見分けリスト:誰に何を譲るか特定しておく

高価な貴金属や着物だけでなく、「この時計は孫の〇〇へ」「この万年筆は友人の△△へ」といった小さな形見も、リスト化しておくことでトラブルを防げます。

口約束はトラブルの元です。以下の項目を必ずリスト(またはエンディングノート)に記載してください。

  1. 品物の詳細: (例:祖母から受け継いだパールのネックレス)
  2. 保管場所: (例:寝室のタンスの一番上の引き出し)
  3. 渡したい相手: 氏名と連絡先
  4. その理由: なぜその人に渡したいかというメッセージが一言あると、受け取る側の喜びもひとしおです。

【注意点】元気なうちに処分しておかないと費用がかさむ粗大ゴミ一覧

「まだ使えるから」と残している大型家具や家電。これらは、いざ業者が処分するとなると高額な処理費用が発生します。体力があるうちに、あるいは自治体の粗大ゴミ収集(比較的安価)を利用して減らしておくことが、経済的な負担軽減に直結します。

特に以下のアイテムは、早めの処分を検討してください。

  • 大型の婚礼タンス・本棚: 現代の住宅事情に合わず、引き取り手も少ないため、解体・搬出費用が高額になります。
  • マッサージチェア: 重量があり、搬出には特殊な作業が必要になるケースが多いです。
  • 金庫: 自治体では回収不可の場合が多く、専門業者への依頼が必要で高コストです。
  • 消火器・タイヤ・コンクリートブロック: これらも適正処理困難物に指定されていることが多く、処分ルートの確保が必要です。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「片付け」と聞くと一気にやろうとしがちですが、それは挫折のもとです。「今日は靴箱の1段目だけ」「明日は洗面所の下だけ」と、場所を区切って1日15分進めるのがコツです。積み重ねれば、1ヶ月で家は見違えるほど軽くなりますよ。


第2章のまとめ

  • モノの整理は「過去1年使ったか」を基準に、事務的に進めるのがコツ。
  • 写真やコレクションは遺族の最大の悩み。自分で「厳選」するか「譲り先」を決める。
  • 大型家具や特殊なゴミは、元気なうちに自治体回収を利用して捨てることが最大の節約。

家の中の「目に見えるモノ」が片付いてくると、不思議と頭の中もクリアになってきます。 次章では、さらに重要度の高い「資産の棚卸し」に入ります。通帳や不動産など、お金にまつわる情報をどう整理すべきか、徹底解説します。

3. ステップ2:【資産の棚卸し】財産目録と保管場所リスト

モノの片付けがある程度進んだら、次は「お金と権利」の整理です。

ここは終活の中で最も重要、かつ家族間のトラブルに直結する部分です。「うちは資産家じゃないから関係ない」と思っている方ほど危険です。なぜなら、わずかな預金や、分けられない不動産(実家)こそが、残された家族を揉めさせる最大の火種になるからです。

この章では、あなたの資産を「プラス」「マイナス」「隠れ資産」の3つに分けて、漏れなくリスト化する方法を解説します。

プラスの財産リスト(預貯金・不動産・有価証券)

まずは、家族にとって利益となる「プラスの財産」を洗い出します。

銀行口座は「メインバンク」だけでなく、学生時代や独身時代に作った休眠口座も忘れずにチェックしてください。通帳が見つからない場合でも、銀行から届いたハガキやティッシュなどの粗品が記憶の手がかりになります。

以下の項目をリスト(財産目録)に記載しましょう。

  • 預貯金: 銀行名、支店名、口座種別、口座番号(※暗証番号は書かない、または別紙にするのが鉄則です)。
  • 不動産: 自宅の土地・建物のほか、先祖代々の山林や原野、投資用マンションなど。固定資産税の納税通知書が確認の近道です。
  • 有価証券: 株式、投資信託、国債など。利用している証券会社名。
  • 保険: 生命保険、個人年金保険など。証券番号と受取人名。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

ネット銀行やネット証券を利用されている方は要注意です。これらは「通帳」が存在せず、郵送物も来ない設定にしていることが多いため、家族がその存在に気づくのは至難の業です。銀行名だけでなく、ログインに必要なID情報(パスワードは厳重管理)の在り処を示すことが必須ですよ。


マイナスの財産リスト(ローン・借入金・連帯保証)

ここが最も重要です。借金や未払金といった「マイナスの財産」も、相続の対象になります。

もし、マイナスの財産がプラスの財産を上回っている場合、ご家族は「相続放棄」(遺産を一切受け取らない手続き)を検討する必要があります。しかし、この手続きは「死後3ヶ月以内」という厳しい期限があります。

家族が借金の存在を知らずに3ヶ月を過ぎてしまい、巨額の借金を背負わされる……そんな悲劇を防ぐために、勇気を持って全て書き出してください。

  • 借入金: 住宅ローン、自動車ローン、カードローン、教育ローン。
  • 未払金: クレジットカードの未払い分、家賃の滞納、医療費の未払い。
  • 連帯保証: 誰かの保証人になっていないか。これは契約書がないと思い出しにくいですが、非常に重い責任を伴います。

【お片づけの窓口独自アンケート】

親の遺品整理後に「想定外の金銭トラブル」に見舞われた男女320名に「最も困った・焦ったこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 消費者金融やカードローンの督促状が後から届いた(48%)
  • 知らない銀行口座が見つかり、手続きのために遺産分割協議をやり直した(25%)
  • 月額課金(サブスク)の引き落としが半年以上止まらず払い続けた(18%)
  • その他(9%)

※調査期間:2023年10月〜12月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

アンケートの半数近くが、死後に借金やローンの存在を知っています。隠したい気持ちは分かりますが、隠すことが家族への最大の裏切りになりかねません。

見落としがちな「隠れ資産」リスト(ポイント・還付金)

現金そのものではありませんが、お金と同等の価値を持つものも見落とせません。

  • クレジットカードのポイント・マイル: 航空会社のマイルなどは、所定の手続きで相続できる場合があります。
  • 電子マネー: 交通系ICカードやPayPayなどの残高。
  • ゴルフ会員権・リゾート会員権: 売却すれば資産になりますが、持ち続けると年会費がかかる負債にもなります。
  • 貸金庫: 中に何が入っているか、鍵はどこか。

重要書類(権利書・通帳・印鑑・保険証券)の保管場所マップ

リストを作っても、その根拠となる「現物」が見つからなければ手続きは難航します。

「大事なものだから」と、泥棒対策で仏壇の奥や床下に隠していませんか? あなたしか知らない場所は、あなたが話せなくなった瞬間に「行方不明」になります。

詳細な場所まではリストに書かなくても構いませんが、「重要書類セット」として一箇所にまとめるか、信頼できる一人にだけは保管場所を伝えておきましょう。

  • 権利証(登記識別情報): 不動産の売却や相続登記に必要。
  • 実印・印鑑登録カード: 各種解約手続きの必須アイテム。
  • 年金手帳・マイナンバーカード: 公的な手続きの基本となります。

  • 参考リンク:法務局:法定相続情報証明制度について
    ※相続手続きにおいて、戸籍謄本の束を何度も出し直す手間を省ける便利な制度です。こうした制度の利用に必要な書類も整理しておきましょう。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

最近は「デジタル遺品」の中に、仮想通貨(暗号資産)が含まれているケースも増えています。これは秘密鍵(アクセスコード)が分からないと、世界中の誰も取り出すことができません。数百万円単位の資産がPCの中に眠ったまま……とならないよう、デジタルの資産管理は特に注意が必要です。


第3章のまとめ

  • 資産リストは、プラスだけでなく「マイナスの財産(借金)」こそ正直に書く。
  • 借金を隠すと、家族が「相続放棄」の判断を誤り、借金を背負うリスクがある。
  • ネット銀行やポイントなど、通帳のない「見えない資産」の明記を忘れない。

お金の整理は、家族の生活を守る「安全の欲求」に直結します。 ここまでで、モノとお金の整理が見えてきました。次章では、さらに面倒な「契約・手続き」の解約リストについて解説します。死後にどんな手続きが待っているのか、先回りして潰しておきましょう。

4. ステップ3:【契約・手続き】死後に発生する解約・変更リスト

資産の整理ができたら、次は「契約」の解除です。

人は生きているだけで、驚くほど多くの契約を結んでいます。電気、ガス、水道といったライフラインから、スマホ、クレジットカード、家賃、そして新聞やスポーツジムまで。

これらは、あなたが亡くなったからといって、自動的にストップするわけではありません。 誰かが「解約手続き」をしない限り、契約は続き、基本料金や会費は発生し続けます。

この章では、無駄な出費を食い止め、家族の手間を最小限にするための「解約リスト」の作り方を解説します。

公共料金(電気・ガス・水道・NHK)の契約情報一覧

生活インフラの解約は、空き家になった実家を管理する上で非常にデリケートな問題です。「すぐに解約すればいい」というわけではありません。片付けのために電気や水道が必要になるからです。

家族がスムーズに判断できるよう、以下の情報をリスト化します。

  • 契約事業者名・お客様番号: 検針票(Web明細ならログインID)を手元に置いて書き写します。
  • 引き落とし口座: どの口座から引かれているか。口座が凍結されると、コンビニ払込票が届くようになり、管理が煩雑になります。
  • 停止のタイミング: 「死後すぐに止めて良い」のか「片付けが終わるまで契約しておくべき」なのか、あなたの希望を書き添えておきましょう。

解約しないと課金され続ける「サブスク・定期購入」の罠

現代の終活で最も厄介なのが、サブスクリプション(定額課金)と定期購入です。

動画配信サービス、アプリの月額会員、健康食品の定期便……。これらは通帳に「〇〇サービス」と記載されず、「カード決済」としてまとめて引き落とされることが多いため、家族は何の契約か特定できません。

結果として、「亡くなった後も半年以上、誰も見ていない動画サイトの会費を払い続けていた」というケースが後を絶ちません。

  • Webサービス: サイト名、ID、パスワード、月額料金。
  • 定期配送: 健康食品、雑誌、水(ウォーターサーバー)。解約の連絡先電話番号。
  • 年会費系: クレジットカードの年会費、同窓会費、ファンクラブ会費。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女350名に「整理のタイミングで最も金銭的に損をしたと感じたこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 解約予告が遅れて余分な家賃が発生した(62%)
  • 急いで業者を手配したため割高な料金になった(21%)
  • 解約した後に必要な書類が見つかり再発行手数料がかかった(10%)
  • その他(7%)

※調査期間:2024年1月〜3月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

このアンケート結果が示す通り、「賃貸契約の解約遅れ」は数十万円単位の損失につながります。賃貸にお住まいの方は、契約書にある「退去予告の期限(1ヶ月前・2ヶ月前など)」と「管理会社の連絡先」を、リストの最重要項目として目立つように記載してください。

運転免許証・パスポートなどの公的証明書の返納リスト

身分証明書は、悪用されるリスクがあるため、死後は速やかに自治体や警察に返納する必要があります。これもリスト化しておかないと、「どこにあるか分からない」と家族が探し回ることになります。

  • 運転免許証: 警察署または運転免許センターへ返納。
  • パスポート: パスポートセンター(旅券事務所)へ返納し、失効処理を受ける。
  • マイナンバーカード: 市区町村役場へ返納。
  • シルバーパス・老人福祉手帳: 発行元の自治体へ返納。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

クレジットカードの解約には「順番」があります。公共料金や携帯代の支払いにカードを設定している場合、先にカードを解約してしまうと、未払い通知が次々と届き、ご家族がパニックになってしまいます。リストには「カード解約の前に、引き落とし項目の変更が必要」と一筆添えてあげてください。これぞプロの気遣いです。


第4章のまとめ

  • 契約は自動では止まらない。リストがないと「無駄な会費」が垂れ流しになる。
  • 賃貸契約の解約遅れは、数十万円の損失になることも。管理会社の連絡先は必須。
  • 身分証明書は悪用防止のため、保管場所を明記し、速やかな返納を促す。

これで、事務的な「守り」の準備はかなり整いました。 次章では、現代人ならではの悩みである「デジタル終活」に切り込みます。スマホの中にある、家族に見られたくないデータ……どう処理すればいいのか、その裏技も含めて解説します。

5. ステップ4:【デジタル終活】見られたくないデータとID管理リスト

前章までの「紙の契約」は、郵便物などの証拠が残るため、時間はかかっても家族がたどり着くことができます。

しかし、現代の終活において最大のブラックボックスとなるのが、スマートフォンやパソコンの中に閉じ込められた「デジタル遺品」です。

ここには、「家族に引き継ぐべき大切な資産」と、「墓場まで持って行きたい秘密」が混在しています。もしパスワードがわからなければ、家族は遺影用の写真一枚すら取り出せません。逆に、ロックを解除した瞬間に、あなたの見られたくないプライバシーが白日の下に晒されるリスクもあります。

この章では、セキュリティ(秘密)を守りつつ、必要な情報だけを確実に家族へ渡すための「デジタル終活」の技術を伝授します。

スマホ・PCのロック解除パスワード(共有方法の工夫)

デジタル終活の第一歩は、「入り口の鍵」を開けられるようにすることです。

どんなに詳細な資産リストを作っても、スマホのロックが解除できなければ、その中のネット銀行アプリや連絡先にはアクセスできません。しかし、セキュリティ上、パスワードを紙に書いてスマホの裏に貼るわけにはいきません。

以下の方法で、セキュリティと利便性を両立させましょう。

  • エンディングノートの別紙に書く: 普段は見られない場所に保管し、「緊急時のみ開封」と封をする。
  • パスワードマネージャーを使う: デジタル上の金庫アプリを使い、その「マスターパスワード」1つだけを家族に伝える。
  • スペアキー(合鍵)を作る: iPhoneやAndroidには、信頼できる家族を「デジタル遺産管理連絡先(故人アカウント管理連絡先)」に設定できる機能があります。これを設定しておけば、死後に家族が正規の手順でデータにアクセスできます。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

スマホのロック解除を業者に依頼すると、数十万円の費用がかかる上に、成功率は100%ではありません。たった6桁の数字を残しておくだけで、ご家族はその大金を遺産として受け取ることができるのです。「パスワードを残すこと」は、現金を残すことと同じ価値があるんですよ。


ネット銀行・証券・仮想通貨口座のID・パスワード管理

第3章で触れた「資産」の中でも、特にデジタル資産は「IDとパスワード」が命綱です。

通帳がないため、銀行名さえわかれば窓口でなんとかなる……というわけにはいきません。特に仮想通貨(暗号資産)の場合、秘密鍵を紛失すると資産は永遠に凍結されます。

以下のリストを作成し、厳重に保管してください。

  • 金融機関名・支店名:
  • ログインID / ユーザーネーム:
  • パスワード: (※直接書くのが不安な場合は、「自分と家族だけがわかるヒント」を書くか、分割して保管する)
  • トークン・認証アプリ: 二段階認証に使っているスマホ自体がロック解除できないと詰みます。スマホのロック解除コードが最優先であることを忘れないでください。

SNS・メールアカウントの「追悼設定」または「削除依頼」

Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE。あなたの死後、これらのアカウントはどうなってほしいですか?

「友達が思い出を語り合う場(追悼アカウント)」として残したいのか、それとも「跡形もなく消去」してほしいのか。サービスごとに設定やルールが異なります。

  • Facebook/Instagram: 生前に「追悼アカウント管理人」を指定できます。
  • Google: 「アカウント無効化管理ツール」を使い、一定期間ログインがない場合に自動的にデータを削除したり、信頼できる人にデータを託したりする設定が可能です。
  • LINE: 基本的に本人のスマホがないと引き継ぎや削除が困難です。「家族に見られたくないトーク」がある場合は、リスト化の前に削除しておくのが賢明です。

【重要】家族に絶対に見られたくないデータの隠し場所と完全削除設定

ここが本章の裏テーマです。人間誰しも、家族にさえ見られたくない「秘密」の一つや二つはあるものです。

それらを死後に見られてしまい、あなたの尊厳(あるいは家族との美しい思い出)が傷つくのは避けたいところ。これを防ぐには「見せない工夫」が必要です。

【お片づけの窓口独自アンケート】

20代〜60代の男女400名に「自分の死後、スマホやPCの中身で家族に絶対に見られたくないもの」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • Webサイトの閲覧履歴・ブックマーク・検索履歴(45%)
  • 特定の人物とのLINEやメールのやりとり(28%)
  • 個人的な趣味の写真・動画フォルダ(18%)
  • 借金や内緒の買い物の履歴(9%)

※調査期間:2023年6月〜9月 対象:Webアンケート調査

この結果からわかるように、多くの人が「履歴」と「会話」を恐れています。

対策
  1. 見られたくないデータは「隔離」する: スマホのアルバム全体を見られるのを防ぐため、秘密の写真は鍵付きの「セキュリティフォルダ」や、クラウド上の別アカウントに移す。
  2. 自動削除設定: Googleの閲覧履歴などは「3ヶ月で自動削除」などの設定が可能です。
  3. 「見なくてもいい」と書き残す: リストに「PCの『work』フォルダ以外は全て削除してください。仕事上の機密が入っています」と、もっともらしい理由をつけて削除を依頼するのも一つの手です。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

残酷なようですが、デジタルデータは「死んだら自動的に消える」魔法のような機能はまだ普及していません。一番確実なのは、元気なうちに定期的に「デジタル断捨離」をすること。見られて困るものは、今のうちに消去ボタンを押す勇気が、未来のあなたの名誉を守りますよ。


第5章のまとめ

  • デジタル終活の最優先事項は「スマホのロック解除コード」を家族に伝える手段を残すこと。
  • ネット銀行や仮想通貨は、ID・パスワードがないと資産価値がゼロになるリスクがある。
  • 見られたくないデータ(履歴・趣味)は、生前のうちに「自動削除」や「隔離」をして自衛する。

デジタル情報は、便利ですが「実体がない」ため、準備不足が致命的な結果を招きます。 ここまでで、物理的・金銭的・デジタル的な整理が終わりました。 次章では、いよいよあなた自身の「医療・介護・葬儀」に対する意思表示について深掘りします。自分が話せなくなった時、誰に判断を委ねるか。命に関わる重要なリストです。

6. ステップ5:【医療・介護・葬儀】もしもの時の意思表示リスト

資産やモノの整理は「家族のため」の側面が強いですが、この章で扱うテーマは、あなた自身の「尊厳(Dignity)」を守るための最も重要なリストです。

病気や事故で意識がなくなった時、認知症で判断ができなくなった時、あなたの体と最期をどう扱うか。その決定権を、家族は持ちたくありません。「延命治療をするか、止めるか」という重すぎる決断を、愛する家族に背負わせないために、元気な今のうちにあなたの意思を「チェックリスト」として残しておきましょう。

告知・延命治療(尊厳死)に対する希望チェックシート

「管につながれてまで生きたくない」と口では言っていても、いざ病院で医師から「人工呼吸器をつけますか?」と問われた時、家族は「いいえ」とは言えません。それが命を縮める行為に感じるからです。

法的効力のある書類(公正証書など)がベストですが、まずはリストやエンディングノートに以下の意思を明確に記すことから始めましょう。

  • 病名の告知: ガンなどの場合、本人に本当のことを伝えてほしいか。
  • 延命治療: 心肺蘇生、人工呼吸器、胃ろう(人工的な栄養補給)を希望するか、拒否するか。
  • 緩和ケア: 痛みの緩和を最優先にする処置(鎮静)を希望するか。
  • 臓器提供・献体: 健康保険証や運転免許証の裏面にも記載できますが、リストにも改めて明記します。

  • 参考リンク:厚生労働省:人生会議(ACP)について
    ※「人生会議」とは、もしものときのために、自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療ケアチームと共有する取り組みのことです。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

「延命治療は拒否する」と一言書くだけでは不十分な場合があります。ご家族が迷わないよう、「植物状態になり、回復の見込みがないと医師が判断した場合は、自然な最期を迎えたい」といったように、「どんな状態になったら」という条件を添えてあげると、ご家族の心の負担がグッと軽くなりますよ。


介護が必要になった時の希望施設・費用の捻出元

「誰に面倒を見てもらうか」は、親子関係の崩壊を招きかねないデリケートな問題です。

「家族に迷惑をかけたくない」と思うなら、「お金の出どころ」をセットで提示する必要があります。

  • 希望する場所: 自宅介護、有料老人ホーム、グループホームなど。
  • 費用の捻出: 年金の範囲内で賄ってほしいのか、預貯金を取り崩して良いのか、自宅を売却して費用に充てて良いのか。
  • キーパーソン: 介護の方針を決める際、家族の中で誰(長男、長女など)に判断を委ねるか。

葬儀の形式(家族葬・一般葬)と遺影写真の指定

葬儀は、あなたが亡くなった直後、家族が最も混乱している中で手配しなければなりません。

近年増えている「家族葬」ですが、定義が曖昧なため、「どこまでの範囲を呼ぶのか」でトラブルになりがちです。

  • 形式: 直葬(火葬のみ)、家族葬、一般葬、社葬など。
  • 宗教・宗派: 無宗教で行うのか、菩提寺(付き合いのあるお寺)があるのか。
  • 遺影写真: これが最も重要です。慌てて免許証の写真を拡大してボケボケの遺影になる……というのはよくある話です。「この写真を使ってほしい」と、お気に入りのデータ(画質の良いもの)を指定しておきましょう。

【お片づけの窓口独自アンケート】

喪主を務めた経験のある男女360名に「葬儀の準備で一番後悔したこと・困ったこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  1. 故人の交友関係が分からず、誰に連絡すべきか迷った(42%)
  2. 遺影に使えそうな良い写真が見つからず、納得のいかない写真になった(25%)
  3. お寺へのお布施や葬儀費用の相場が分からず、言われるがまま払った(20%)
  4. その他(13%)

※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理・特殊清掃のご依頼者様

アンケート1位の「連絡先」問題。これを解決するのが次のリストです。

呼んでほしい人・呼んでほしくない人の連絡先リスト

スマホのアドレス帳に何百件登録があっても、家族には「誰が親しい友人か」は分かりません。

  • 連絡してほしい人リスト: 名前、関係性(高校の友人、会社の同僚)、連絡先。
  • 訃報を伝えないでほしい人: 意外と重要です。過去のトラブル相手など、葬儀に来てほしくない人がいれば、その旨をはっきり書き残します。
  • SNSでの告知: 自分のSNSで死亡告知をしてほしいか、黙っていてほしいか。

お墓・納骨・散骨に関する希望

「先祖代々のお墓に入る」のが当たり前の時代は終わりました。

  • 今あるお墓: 継承するのか、墓じまい(永代供養)をするのか。
  • 新しい形: 樹木葬、海洋散骨、手元供養など。

お墓の問題は、維持管理費がかかるため、残された子供や孫の代まで影響します。「自分はどうしたいか」だけでなく、「子供たちに負担をかけないか」という視点で話し合っておくことが大切です。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺影写真は、わざわざ写真館で撮ったお見合い写真のようなものである必要はありません。旅行先で満面の笑みを浮かべているスナップ写真や、趣味に没頭している横顔など、「あなたらしさが溢れている一枚」を選んでおくと、参列された方々もあなたの人生を温かく思い出すことができますよ。スマホの中に眠っていませんか?今のうちに「お気に入り」マークをつけておきましょう。


第6章のまとめ

  • 延命治療の拒否は、家族の「決める苦しみ」を取り除くための優しさである。
  • 介護費用は「どこから出すか」まで指定しないと、現実的な計画にならない。
  • 葬儀の連絡先リストがないと、家族は故人のスマホを見て片っ端から電話することになる。

自分の意思をリスト化することは、最期まで自分らしく在るための「尊厳の確立」です。 ここまでで、実務的なリストはほぼ完成しました。 次章は最終ステップ、「心の整理」です。人生を振り返り、残りの時間を最高のものにするためのポジティブなワークに入りましょう。

7. ステップ6:【心の整理】メッセージと「これからやりたいこと」リスト

これまでの章で、モノ・お金・契約といった「事務的な不安」はあらかた片付きました。肩の荷が少し降りたのではないでしょうか?

最後の仕上げとなる第7章は、あなたの人生そのものにフォーカスします。 これまでのリストが「残された家族のため」のものだとしたら、このリストは「あなた自身が、残りの人生を最高に輝かせるため」のものです。

事務処理だけで人生を終わらせないために。ここからは少しワクワクしながら、ペンを走らせてみましょう。

死ぬまでにやりたいことリスト(バケットリスト)の作成

「終活」と聞くと、店じまいをするような寂しさを感じるかもしれませんが、それは間違いです。終わりを意識することで、「今の時間の尊さ」が鮮烈に浮かび上がってきます。

映画『最高の人生の見つけ方』で有名になった「バケットリスト(死ぬまでにしたいことリスト)」。これを書くことで、漫然と過ぎていた日常が、目標のある日々に変わります。

書く時のコツは「制限を外す」こと
  • 行きたい場所: (例:もう一度ハワイの海を見たい、孫とディズニーランドに行きたい)
  • 食べたいもの: (例:回らない寿司をお腹いっぱい食べる、母の味だった肉じゃがを再現する)
  • 会いたい人: (例:喧嘩別れした友人に謝りたい、初恋の人を一目見たい)
  • 挑戦したいこと: (例:ピアノを一曲弾けるようになる、自分史を書き上げる)

いきなり大きな夢でなくても構いません。「庭の草むしりを完璧にする」といった小さな目標でも、達成した時の喜びは生きる活力になります。

大切な人へのメッセージ(手紙・ビデオレター)

法的な「遺言書」には、財産の分け方は書けますが、「なぜそうしたのか」という想いや、「ありがとう」という感情までは十分に書ききれません。

だからこそ、エンディングノートや手紙で、家族一人ひとりへのメッセージを残すのです。これは、残された家族が悲しみを乗り越え、前を向くための「心の御守り」になります。

  • 配偶者へ: 長年連れ添ってくれた感謝と、苦労をかけた詫び。
  • 子供たちへ: 生まれてきてくれた時の喜び、それぞれの長所、これからの幸せを願う言葉。
  • 友人・知人へ: 共に過ごした時間の楽しさへの感謝。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

文章を書くのが苦手、あるいは手が震えて書きにくいという方は、「スマホで動画を撮る」のも素晴らしい方法です。元気なあなたの声、表情、話し方そのものが、ご家族にとってはかけがえのない遺産になります。「恥ずかしいから死ぬまで見ないでね」とパスワードをかけて残しておけば大丈夫ですよ。

ペットの今後:誰に託すか、飼育費用の準備

ペットは法的には「モノ」として扱われますが、飼い主にとっては愛する家族です。 しかし、飼い主が亡くなった後、行き場を失ったペットが保健所に持ち込まれるケースは後を絶ちません。

「自分が死んだら、この子はどうなるのか?」 この問いに明確な答えを用意しておくことは、飼い主としての最後の責任です。

  • 引き取り手の確保: 親族、友人、または「老犬ホーム」や「ペット信託」などのサービスを利用する。事前に約束を取り付け、リストに明記します。
  • 飼育費用の準備: 新しい飼い主の負担にならないよう、餌代や医療費として「ペットのための遺産」を分けておく。
  • ペットの情報: かかりつけ医、既往歴、好きなフード、性格、散歩のルートなどを「ペットの履歴書」として残す。

【お片づけの窓口独自アンケート】

親を見送った経験のある40代〜60代の男女380名に「もっと親と生前にしておけば良かったと後悔していること」を聞いたところ、圧倒的な差で以下の結果となりました。

  • これまでの感謝や、何気ない会話をもっとしたかった(68%)
  • 一緒にもっと旅行や食事に行けばよかった(20%)
  • 親の好物や、行きたがっていた場所を聞いておけばよかった(8%)
  • その他(4%)

※調査期間:2023年7月〜9月 対象:弊社独自Webアンケート調査

この結果が示す通り、お金やモノのことよりも、多くの人は「心の交流」が足りなかったことを悔やんでいます。あなたの言葉を残すことは、家族の後悔を消すことにもつながるのです。

第7章のまとめ

  • 「やりたいことリスト」は、残りの人生を濃密にするための起爆剤。
  • 遺言書には書けない「感謝」や「愛」は、手紙や動画で必ず残す。
  • ペットの行く末を決めておくことは、飼い主としての最後の愛情表現。

これで、あなたの「終活やることリスト」に必要な要素は全て出揃いました。 モノ、金、手続き、デジタル、医療、そして心。これらを網羅したリストは、もはや単なるメモではなく、あなたの人生の集大成(設計図)と言えます。

次章は、作成したリストを「絵に描いた餅」にしないための、保管と更新、そして法的効力についての総まとめです。作りっぱなしが一番危険です。最後まで気を抜かずにいきましょう。

8. リストを作った後の重要アクション

お疲れ様でした。ここまで読み進め、リストを作成したあなたは、すでに日本の人口の数%しか到達していない「真の安心」を手に入れています。

しかし、ここで安心してはいけません。「作っただけ」のリストは、時にゴミ同然になってしまうことがあります。

なぜなら、いざという時に「家族に見つけてもらえない」、あるいは「情報が古くて使えない」という事態が頻発しているからです。

この第8章では、あなたの努力を無駄にしないために、リストに「魂(実行力)」を吹き込むための3つのルールを解説します。

法的効力を持たせるべき項目(遺言書の作成が必要なケース)

まず残酷な現実をお伝えします。あなたが一生懸命書いた「終活やることリスト」や「エンディングノート」には、法的な効力は一切ありません。

「長男に家を継がせる」「預金は妻に渡す」とノートに書いても、それに法的な強制力はないため、他の親族が「納得できない!」と言い出せば、遺産分割協議は泥沼化します。

以下の希望がある場合は、必ず「遺言書」を別途作成してください
  • 法定相続分とは違う割合で遺産を分けたい。
  • 家族以外(内縁の妻、息子の嫁、孫、介護してくれた人)に財産を渡したい。
  • 特定の相続人に財産を渡したくない(廃除)。
  • 認知していない子供がいる。

リストは「事務的な案内図」、遺言書は「法的な命令書」です。この2つを使い分けることが、家族を守る鉄則です。

  • 参考リンク:法務省:自筆証書遺言書保管制度
    ※自分で書いた遺言書を法務局が預かってくれる制度です。紛失や改ざんのリスクがなく、費用も安いため、近年利用者が急増しています。

リストの保管場所と、信頼できる人への伝え方

「泥棒に入られたら困るから」と、リストを金庫の奥底や、本棚の裏側に隠していませんか?

あなたが倒れた時、家族はパニック状態で家探しをします。そんな時に、巧妙に隠されたリストを見つける余裕はありません。結果として、全ての手続きが終わった後にリストが出てきて、「もっと早く知りたかった……」と家族が泣き崩れるケースが後を絶ちません。

推奨される保管方法
  1. 「重要書類ボックス」を作る: 100円ショップのファイルボックスで構いません。「これさえ持ち出せばなんとかなる」という箱を一つ作り、リビングや書斎の分かりやすい場所に置きます。
  2. 信頼できる1人にだけ場所を伝える: 全員に言う必要はありません。「何かあったら、書斎の青いファイルを必ず見て」と、配偶者や最も信頼できる子供1人にだけ伝えておきます。

【お片づけの窓口独自アンケート】

親の死後、遺品整理を行った男女330名に「遺言書やエンディングノート(終活リスト)の発見に関するトラブル」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 全ての手続きが終わった後に発見され、内容が無駄になった(52%)
  • 発見されたが、内容が5年以上前のもので情報が役に立たなかった(28%)
  • どこにあるか分からず、家中の本や書類をひっくり返すのが大変だった(15%)
  • その他(5%)

※調査期間:2023年11月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

この数字は衝撃的です。半数以上が「見つけるのが遅すぎた」のです。リストは「宝の地図」ではありません。見つけてもらわなければ意味がない「避難経路図」なのです。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

どうしても自宅に置くのが不安な場合や、お一人様で託す相手がいない場合は、「死後事務委任契約」を結んだ専門家(司法書士や行政書士)に預けるのも一つの手です。彼らはあなたが亡くなった連絡を受けると、直ちに指定した通りに動いてくれます。「プロに預ける安心」をお金で買うのも、立派な終活ですよ。


情報の鮮度を保つための「更新」タイミング

リストを作って満足し、そのまま5年放置したらどうなるでしょうか?

  • 銀行のパスワードが変わっている。
  • 加入しているサブスクが変わっている。
  • 仲の良かった友人と疎遠になっている。
  • 「延命治療」に対する自分の考えが変わっている。

古い情報は、時に家族を混乱させます。リストは生き物です。定期的なメンテナンスが必要です。

更新のベストタイミング:
  • 誕生日: 1年に1回、自分へのプレゼントとしてリストを見直す。
  • お正月: 家族が集まるタイミングで、変更点がないか確認する。
  • ライフイベント: 孫が生まれた、入院した、配偶者が亡くなった等のタイミング。

全部書き直す必要はありません。修正ペンで消して書き直すか、付箋を貼るだけで十分です。「更新されている」という事実が、情報の信頼性を高めます。

第8章のまとめ

  • 「リスト」に法的効力はない。財産分けを強制したいなら「遺言書」が必須。
  • 最高の隠し場所は「見つからない場所」ではなく、「信頼できる人だけが知っている場所」。
  • アカウント情報や心境は変化する。年に1回の「更新」がリストの鮮度を保つ。

これで、本編の解説はすべて終了です。 長い道のりでしたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

最後に、これまでの内容に対する「よくある質問(Q&A)」をまとめました。多くの読者が抱く「これってどうなの?」という疑問を解消して、完璧な状態で終活をスタートさせましょう。

9. よくある質問(Q&A)

ここまで、終活やることリストの全貌を解説してきました。しかし、いざ自分がペンを執ろうとすると、「自分の場合はどうなんだろう?」「本当にこれでいいのかな?」という疑問が湧いてくるものです。

ここでは、当メディアに寄せられる読者の皆様からの「リアルな悩み」にお答えします。あなたが抱えている迷いは、みんなが通る道です。ここで疑問を解消して、最初の一歩を踏み出しましょう。

Q. 終活やることリストは何歳から作り始めるのが正解ですか?

A. 「思い立った今日」がベストなタイミングです。

一般的には定年退職を迎える60代や、70代から始める方が多いですが、早すぎるということは決してありません。 なぜなら、事故や急病は年齢に関係なく訪れるからです。また、30代〜50代の現役世代こそ、住宅ローンや教育費、デジタル資産など、管理すべき情報が複雑です。

「死ぬ準備」と捉えると早く感じますが、「人生のリスク管理(備え)」と考えれば、若いうちから取り組むメリットは計り知れません。

【お片づけの窓口独自アンケート】

親を見送った経験のある男女450名に「親の終活について、もっと早く始めてほしかった理由」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  • 元気なうちに始めてくれないと、認知症になってからでは意思確認ができなかった(55%)
  • 急な入院や死別で、心の準備も物の整理もまったく間に合わなかった(25%)
  • 親の体力が落ちてからでは、実家の片付け作業自体が困難だった(15%)
  • その他(5%)

※調査期間:2023年8月〜10月 対象:弊社へご相談いただいたご遺族様

この結果が示す通り、「認知症」と「体力低下」がタイムリミットになります。頭も体も元気な今こそが、書き始める唯一の正解です。

Q. 独身で身寄りがない場合、リストを作った後は誰に託せばいいですか?

A. 「死後事務委任契約」を結べる専門家に託しましょう。

頼れる親族がいない「おひとり様」の場合、リストを作っても実行してくれる人がいなければ意味がありません。 司法書士や行政書士、またはNPO法人などと「死後事務委任契約」を結ぶことで、あなたの死後の手続き(葬儀、納骨、家財処分、行政手続き)を代行してもらえます。

リストはその専門家への「指示書」として機能します。公的な第三者に託すことで、確実性はむしろ高まります。

Q. 「エンディングノート」と「遺言書」では、リストの扱いにどんな違いがありますか?

A. 「想い」を伝えるか、「法的強制力」を持たせるかの違いです。

  • エンディングノート(リスト): 形式は自由。法的効力はない。介護の希望や葬儀の形式、感謝のメッセージなど、「想い」や「事務連絡」を書くのに適しています。
  • 遺言書: 民法で定められた厳格な形式が必要。法的効力がある。不動産や預貯金を「誰に・どれだけ」渡すかという「財産分与」を指定するのに必須です。

理想は「両方作成すること」です。遺言書で財産トラブルを防ぎ、ノートで心のケアをする。これが最強の布陣です。

Q. 借金がある場合も全てリストに書くべきですか?家族に隠しておきたいのですが。

A. 家族を守るために、必ず正直に書いてください。

お気持ちは痛いほど分かりますが、隠すことが最悪の結果を招きます。 借金も相続の対象です。もし家族が借金の存在を知らずに相続してしまうと、あなたの死後、家族がその借金を返済しなければならなくなります。

リストに借金が明記されていれば、家族は「相続放棄(借金も財産も一切受け取らない)」という手段を、期限内(3ヶ月以内)に選ぶことができます。恥ずかしさよりも、家族の生活を守ることを優先してください。

Q. 認知症になってからでは、このリストを作るのは手遅れですか?

A. 完全に手遅れではありませんが、ハードルは非常に高くなります。

認知症の診断を受けると、遺言書の作成能力がないと判断されたり、銀行口座の解約などの契約行為ができなくなったりします。 この場合、「成年後見制度」を利用することになりますが、家庭裁判所の監督下に入るため、柔軟な財産管理や処分の自由度は下がります。

まだ軽度であれば、意思能力があると認められる間に公正証書を作成するなどの対策は可能です。しかし、やはり「判断能力がはっきりしているうち」に済ませておくのが、あなたと家族双方にとっての幸せです。

Q. デジタル遺品(スマホの中身)を家族に見られずに、死後確実に消去する方法はありますか?

A. 「死後自動削除ツール」を利用するか、信頼できる「管理人」を指定することです。

現在、PC内のデータを死後に自動削除するフリーソフトなどもありますが、スマホの場合はOSのセキュリティが高く、自動削除は難しいのが現状です。 現実的な解としては、第5章で紹介したように「見られたくないデータはクラウドの深い階層や別フォルダに隔離」し、その場所だけは誰にも教えない(あるいは削除依頼だけをリストに残す)という方法が最も確実です。


【編集長からのワンポイントアドバイス】

「終活」という言葉が重たく感じるなら、「人生の棚卸しリスト」や「未来設計図」と呼び名を変えてみてはいかがでしょうか? 言葉一つで気分は変わります。これは死ぬための作業ではなく、これからの人生を、荷物を降ろして身軽に楽しむための「作戦会議」なんですから。


10. おわりに:今日から始める「小さな一歩」

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。 膨大な量の「やること」に圧倒されてしまった方もいるかもしれません。

でも、どうか焦らないでください。 このリスト全てを、今週末の2日間で埋める必要はありません。

今日は「着ていない服を1枚捨てる」だけでもいい。 明日は「銀行口座を一つ書き出す」だけでもいい。

その小さな一つ一つの行動が、確実に「不安」を「安心」へと変えていきます。

この「終活やることリスト」が完成した時、あなたは気づくはずです。 死への恐怖が薄れ、代わりに「いつ人生の幕が降りても、自分は精一杯生きたし、あとは大丈夫」という、深く静かな自信が満ちてくることに。

さあ、まずは手近なペンの用意から始めましょう。 あなたの、そしてご家族の笑顔のために。

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