遺品整理3DK・3LDKのリアル|費用の内訳を知り納得の整理を

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お片づけの窓口<br>編集長
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私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!

こんな人におすすめ

  • 3DK・3LDKの実家の片付け見積もりを見て、「高すぎる…」と絶句した方
  • 「週末に家族で集まって片付ければ、お金はかからない」と考えている方
  • 悪徳業者に法外な追加料金を請求されないか、不安でたまらない方

この記事でわかること

  • 3DK・3LDKのリアルな料金相場と、その金額になる「正当な根拠」
  • 自力作業で地獄を見ないための、「プロ依頼の損益分岐点(ボーダーライン)」
  • 権利書や現金を絶対に見逃さない、「信頼できる優良業者の見分け方」
目次

第1章 【料金相場】3DK・3LDKの遺品整理にかかるリアルな費用

正直に申し上げます。3DKや3LDKの実家を整理しようとしたとき、最初に見積もりを見て膝から崩れ落ちそうになる方は少なくありません。

私自身、祖母が住んでいた築40年の3DK団地を片付けた際、最初に提示された金額を見て「えっ、車の中古が買えるじゃないか…」と絶句した経験があります。

しかし、その金額にはすべて「理由」があります。この章では、業者の言い値に振り回されないための、リアルな相場と内訳を包み隠さずお伝えします。

3DK・3LDKの間取り別料金表(最安値〜最高値)

まずは、業界の標準的な価格帯を見てみましょう。幅が広いのは、部屋の状況(ゴミ屋敷状態か、整理されているか)によって大きく異なるからです。

間取り料金相場(目安)作業人数所要時間トラック量
3DK150,000円 〜 400,000円3〜5名1〜2日2t車 2〜3台
3LDK180,000円 〜 600,000円4〜6名1〜3日2t車 3〜5台

これを見て「うちは荷物が少ないから最安値でいけるはず」と即断するのは危険です。

3DK以上の家には、「魔窟」と呼ばれる収納スペース(押し入れの天袋、納戸、外の物置)が存在し、ここから想像を絶する量の不用品が出てくることがほとんどだからです。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

見積もりを見る際は、総額だけでなく「トラックの台数」に着目してください。「3DKなら一律〇〇円」というパック料金よりも、「2トントラック〇台分で〇〇円」という算出方法のほうが、後々の追加請求トラブルが少ないですよ。

見積もりが「倍」変わる要因とは?

同じ3LDKでも、20万円で済む家と50万円超える家があります。その差を生むのは「搬出の難易度」です。

業者が現場に来てチェックしているのは、荷物の量だけではありません。以下の条件に当てはまる場合、作業員の負担が増えるため料金が加算されます。

  • エレベーターがない(階段作業費が発生)
  • トラックを敷地内に停められない(横持ち作業といって、トラックまで荷物を手で運ぶ距離が長い)
  • 解体が必要な家具が多い(大型の婚礼タンスや二段ベッドなど)

特に注意が必要なのは、マンションの規約です。「養生(壁や床の保護)をエントランスからエレベーター内まで完全にしないと作業不可」という厳しいマンションの場合、養生費だけで数万円かかることもあります。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を業者に依頼した際、当初の想定より金額が高くなった経験がある男女280名に「見積もりが高くなった、または追加料金が発生した最大の要因」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  1. エレベーターなし・階段作業費が発生した(45%)
  2. エアコンや給湯器の取り外し工賃が含まれていなかった(30%)
  3. 庭やベランダの残置物が予想以上に多かった(15%)
  4. その他(10%)

※調査期間:2023年8月〜10月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

高額になりやすい「処分費」の正体

見積書を見ると、人件費と同じくらい、あるいはそれ以上に高いのが「廃棄処分費」です。

「なんで捨てるだけでこんなにお金がかかるの?」と思いますよね。

しかし、ここで格安すぎる業者を選ぶと、あなたの荷物が山林に不法投棄されるリスクがあります。

家庭から出る不用品(一般廃棄物)を処理するには、自治体の処理施設に持ち込むか、許可を持った業者に委託する必要があります。この処理コストは年々上がっています。

環境省も注意喚起していますが、「無料回収」や「極端な格安」を謳う業者は、無許可の可能性が高いため避けてください。適正な処分費を払うことは、故人の名誉を守ることにも繋がります。

参照リンク:環境省_廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!

【編集長からのワンポイントアドバイス】

見積書に「リサイクル料金(家電4品目)」が明記されているか確認しましょう。冷蔵庫やテレビは法律で処分方法が決まっています。「全部コミコミで処分します」といって、この項目を曖昧にする業者は少し警戒したほうが良いですね。

買取査定で相殺できる家具・家電の金額目安

少しでも費用を抑えるために期待したいのが「買取」です。

しかし、3DKの実家にありがちな「立派な婚礼タンス」や「黒塗りの座卓」は、残念ながら値段がつかない(逆に処分費がかかる)ケースが9割です。

現在の住宅事情では大型家具の需要が激減しているからです。

逆に、費用相殺の助けになるのは以下のアイテムです。

  • 製造5年以内の家電(冷蔵庫・洗濯機・大型液晶テレビ)
  • 趣味の品(釣り具、楽器、オーディオ機器、カメラ)
  • 貴金属・骨董品(壊れたアクセサリーでも金・プラチナなら値がつく)

私が担当したお客様でも、ゴミだと思っていたボロボロの箱に入った茶器が数万円になり、作業費の足しになった事例があります。

第2章 【作業負担】「広さ」と「物量」から見る作業時間の目安

3DKの実家に入った瞬間、多くの人が感じるのは「懐かしさ」よりも「圧倒的なモノの量に対する絶望感」ではないでしょうか。

私自身、実家の整理をした際、最初は「週末に通って3ヶ月くらいで終わるだろう」と高をくくっていました。しかし、実際に始めてみると、タンス一竿の中身を空にするだけで半日が終わりました。写真を見つけて手が止まり、食器を新聞紙に包むだけで日が暮れる。あの時の、終わりの見えないトンネルを歩くような感覚は、二度と味わいたくありません。

プロが作業した場合の日数(1日で終わる条件・2日以上かかる条件)

プロの遺品整理業者が介入した場合、3DK・3LDKの整理は驚くべきスピードで進みます。しかし、魔法を使うわけではありません。物理的な限界は存在します。

標準的な3LDK(荷物量:2トントラック4台分)を想定した場合、作業日数の目安は以下の通りです。

1日で完了するケース

  • スタッフを6名以上投入できる。
  • トラックを玄関横に横付けでき、搬出動線が短い。
  • 細かい生活雑貨(衣類・食器・本など)がある程度、遺族の手で仕分け済みである。
  • エレベーターがある、または1階である。

2日〜3日かかるケース

  • エレベーターなしの階段作業(3階以上など)。
  • トラックの駐車位置まで距離がある。
  • 「仕分け」と「搬出」を同時に行う場合(これが最も一般的)。
  • 孤独死などで特殊清掃や消臭作業が必要な場合。

多くのご依頼者は「1日で終わらせてほしい」と希望されますが、丁寧な仕分け(権利書や思い出の品の探索)を希望される場合、プロであっても2日は必要だと考えてください。急かせば急かすほど、大切なものがゴミとして処分されるリスクが高まります。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

賃貸物件の退去日が迫っている場合は、見積もりの段階で必ず「予備日」を設けてもらいましょう。雨天時の搬出や、想定外の荷物量で作業が押した場合、退去に間に合わないという最悪の事態を防ぐためです。

部屋数が多い家の落とし穴:押し入れ・天袋・外物置の荷物量

「うちは部屋数はあるけど、普段使っていない部屋ばかりだから荷物は少ないはず」 そう仰るお客様の家ほど、開けてビックリするような量の荷物が眠っています。

3DK以上の家には、魔物が住む場所が3つあります。 それは、天袋(押し入れの上)、床下収納、そして外物置です。

特に昭和世代の親御さんは「もったいない」精神が強く、空き箱、紙袋、包装紙、そしていつか使うかもしれない贈答品のタオルなどを、これらのスペースに隙間なく詰め込んでいます。これらは外からは見えませんが、いざ引っ張り出すと部屋中が埋め尽くされるほどの量になります。

この「見えない荷物」こそが、自力整理を挫折させる最大の原因であり、プロの作業時間を左右する要因です。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を経験した男女310名に「想定よりも片付けに時間がかかり、苦戦した場所」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  1. 押し入れ・天袋・納戸(42%)
    • 「奥から40年前の布団や教科書が出てきて、分別だけで数日かかった」
  2. キッチン・台所(28%)
    • 「中身の入った調味料や瓶詰めの処分方法に困り、手が止まった」
  3. 庭の物置・ベランダ(18%)
    • 「錆びついた道具や土、ブロックなど、捨て方がわからないものが大量にあった」
  4. その他(12%)

※調査期間:2023年5月〜7月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

エアコン取り外し・畳の撤去など、特殊作業の工数

荷物を運び出すだけが遺品整理ではありません。特に古い公団住宅や戸建ての場合、原状回復のために必要な「付帯作業」が発生します。

  • エアコンの取り外し
    • プロなら1台あたり15分〜30分程度ですが、素人が行うにはフロンガスの回収など専門知識が必要で危険です。家電リサイクル法に基づいた適正な処分も必要となります。
  • 風呂釜・給湯器の撤去
    • 古い団地(バランス釜など)の場合、退去時に撤去を求められることがあります。ガス工事の資格が必要です。
  • 仏壇・神棚の供養と処分
    • 単に捨てるわけにはいきません。「魂抜き(閉眼供養)」の手配から、お焚き上げまでを行うとなると、これだけで別日を設ける必要があります。

これらの作業は、単なる力仕事ではなく「技術職」の領域です。自力でやろうとして壁に穴を開けたり、怪我をしたりしては元も子もありません。プロに依頼する際は、これらが「基本料金」に含まれているか、オプションなのかを必ず確認してください。

参照リンク:経済産業省_家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

第3章 【判断基準】自力で片付けるか、業者に依頼するかの境界線

私が以前、叔母の住んでいた3LDKのマンションを従兄弟たちと片付けようとした時の話です。「男手が3人もいるし、トラックをレンタルすれば余裕だろう」と高をくくっていました。

しかし、開始2時間でその自信は粉々に砕けました。エレベーターに乗らない巨大なソファ、運び出しても運び出しても減らない食器の山、そして何より、思い出の品が出るたびに止まる手…。結局、半年かけても終わらず、最後は全員が疲弊して険悪なムードになり、プロに依頼しました。

「最初から頼んでおけば、あの週末の楽しい時間を潰さずに済んだのに」と、今でも後悔しています。

週末利用で半年かかる?家族だけで3DKを整理する際の時間的コスト

3DK以上の家にある家財道具の量は、平均して4トン〜6トンと言われています。これをゴミ袋(45リットル)に換算すると、およそ200袋〜300袋分にもなります。

もし、週末(土日)だけを使って自分たちで整理する場合、単純計算で以下のようになります。

  • 作業ペース: 1回の週末で20袋分の分別と搬出(かなりハードです)
  • 必要期間: 10週間〜15週間(約3ヶ月〜4ヶ月)

これはあくまで「順調にいけば」の話です。実際には、自治体のゴミ収集日に合わせて平日に出しに行ったり、雨天で中止になったりします。 賃貸物件の場合、この期間中も家賃は発生し続けます。家賃が月10万円だとして、半年かかれば60万円。これなら、最初から30万円で業者に頼んだ方が、結果的に安上がりになる計算です。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理を「自分たちだけでやろう」と試みたものの、途中で断念して業者に依頼した経験がある男女330名に「自力を諦めた(ギブアップした)最大の理由」を聞いたところ、以下の結果となりました。

  1. 体力的・精神的に限界が来た(48%)
    • 「毎週末の片付けで腰を痛め、仕事に支障が出始めたため」
  2. 期限(退去日・売却日)に間に合わなくなった(25%)
    • 「半年経っても終わらず、不動産屋に急かされた」
  3. 親族間で作業量の不公平感が出て揉めた(17%)
    • 「手伝いに来ない兄弟への不満が爆発した」
  4. その他(10%)

※調査期間:2023年11月〜2024年1月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

大型家具の搬出可否で決める「自力の限界ライン」

3DK・3LDKの整理における最大のボスキャラは、衣類や雑誌などの「小物」ではありません。「大型家具」です。

特に、昭和の婚礼タンス(3点セット)、本革のソファ、マッサージチェア、ピアノ。これらは、素人が運ぼうとすると壁や床を傷つけるだけでなく、大怪我に繋がります。

【自力か業者か、判断のチェックリスト】

一つでも「NO」がある場合、無理せずプロに相談することをお勧めします。

  • 男性2名以上を、丸一日確保できるか?
  • 階段や廊下の幅が、一番大きな家具よりも広いか?
  • 2トントラックを運転し、処分場まで往復できる運転手がいるか?
  • 重さ50kg以上の家具を、腰を痛めずに持ち上げる自信があるか?

特に注意すべきは「解体」が必要な家具です。部屋の中で組み立てられた大型家具は、部屋の中で解体しないとドアを通過できません。工具の扱いに慣れていない場合、この作業だけで1日が終わってしまいます。

参照リンク:国民生活センター_不用品回収サービスのトラブル-市区町村から許可を受けた事業者への依頼が基本です-

遠方在住者が陥りやすい「交通費」と「滞在費」の盲点

実家が遠方(片道2時間以上)にある場合、自力整理は「経済的合理性」がほぼありません。

例えば、東京在住で大阪の実家(3LDK)を整理するとします。 新幹線代(往復約3万円)×夫婦2人=6万円。これに宿泊費や食事代を加えると、1回の帰省で10万円近くかかります。 これを月に2回、半年続ければ…それだけで100万円以上が消えていきます。

これだけの予算があれば、フルサービスの遺品整理業者に依頼し、鍵を預けてすべてお任せすることだって可能です。

「自分たちでやる=タダ(無料)」ではありません。 「自分たちの時間単価」と「移動コスト」を計算に入れた時、多くのケースでプロに頼む方が「安い」という逆転現象が起きます。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

遠方の実家を整理する場合、最も賢い方法は「重要なものの捜索と形見分け」だけを自分たちで行い(1回だけ帰省)、残りの不用品処分は地元の業者に鍵を預けて一任することです。これなら、交通費を最小限に抑えつつ、気持ちの整理もつけられますよ。

第4章 【業者選定】多室・大量の家財を任せるためのチェックポイント

これは私の友人の実話です。 彼は実家の整理を、ポストに入っていたチラシの「格安・積み放題」という業者に依頼しました。電話口の対応も良く、安心して鍵を預けたそうです。 しかし、作業終了後に見に行くと、必要な書類まで全て捨てられ、壁には搬出時についたと思われる大きな擦り傷が。さらに後日、近隣住民から「作業員の怒鳴り声がうるさかった」「タバコの吸い殻が落ちていた」とクレームが殺到しました。

彼は「安さ」と引き換えに、「ご近所からの信用」と「故人の尊厳」を失ってしまったのです。こんな悲劇を避けるために、確認すべきポイントは明確です。

重要書類・現金の「捜索」を徹底してくれるか

3DK・3LDKの家には、必ずと言っていいほど「隠し財産」があります。 タンスの奥の封筒に入った現金、本の間に挟まったへそくり、そして権利書や株券などの重要書類。

ただの不用品回収業者は、これらを「ゴミ」としてトラックに放り投げます。 一方、優良な遺品整理業者は、すべての引き出し、ポケット、本のページをめくり、これらを「捜索」する技術を持っています。

見積もりの際、担当者にこう聞いてみてください。 「権利書や現金が出てくるかもしれないんですが、どのように仕分けますか?」

この質問に対し、「出てきたらお渡ししますよ」と軽く答える業者は危険です。 「作業員全員にポケットのない制服を着せています」「見つけた貴重品はリスト化して、作業終了時に必ず確認していただきます」と、具体的な管理体制を答える業者が本物です。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

「遺品整理士」という資格をご存知でしょうか?この資格を持っている業者は、単なる廃棄ではなく「供養」や「法令順守」の精神を叩き込まれています。業者選びの一つの大きな指標になりますので、資格証の有無をチェックしてみてくださいね。

近隣トラブル回避:トラック複数台の駐車と搬出ルート

3LDKの荷物を運び出すには、2トントラックが4〜5台必要になることもあります。 想像してみてください。静かな住宅街に突然トラックの大群が押し寄せ、一日中作業をしたらどうなるか。

下手な業者は、平気で隣の家の前に路駐したり、エレベーターを長時間占拠したりして、住民の怒りを買います。

見積もり時のチェック項目
  • 「当日はトラックをどこに停めますか?」と具体的に聞く。
  • マンションの場合、管理組合への事前の挨拶や、共用部の養生(保護)をどこまでやるか確認する。

「まあ、当日はなんとかなりますよ」という業者はNGです。「管理会社様には1週間前に届け出を出します」「トラックはピストン輸送にして、常時1台しか停めないように配慮します」といったロジカルな計画を持っている業者を選びましょう。

【お片づけの窓口独自アンケート】

遺品整理業者を利用した際に「業者に対して不満や不信感を感じたこと」がある男女360名に調査を行ったところ、以下の結果となりました。

  1. 家財の扱いが雑だった・放り投げられた(38%)
  2. 近隣への配慮不足で苦情が来た(駐車・騒音)(25%)
  3. 作業スタッフの身だしなみや言葉遣いが悪かった(20%)
  4. その他(17%)

※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

仏壇・神棚・人形など、供養が必要な品物の取り扱い

3DK以上の実家には、立派な仏壇や神棚、あるいは日本人形や遺影などが残されているケースが多いです。これらは自治体のゴミ回収には出しづらく、精神的なハードルが高い品目です。

優良業者は、これらを「合同供養」という形でお焚き上げするルートを持っています。 「仏壇も回収できますか?」と聞いた際、「ああ、粗大ゴミとして処分しますね」と言う業者は、遺族の気持ちに寄り添っているとは言えません。

「提携している寺院で閉眼供養(魂抜き)を行った後、お焚き上げをして、後日供養証明書を郵送します」 ここまで提案してくれる業者であれば、安心して任せることができます。

「立ち会い不要」サービスの有無と作業報告の仕組み

遠方に住んでいて、作業当日に立ち会えない場合もあるでしょう。 その際、「終わったら電話します」だけの業者はリスクが高すぎます(不法投棄されても確認できません)。

信頼できる業者は、以下のフローを徹底しています。

  1. 作業前: ビデオ通話や写真で、残すもの・捨てるものの最終確認。
  2. 作業中: 貴重品が見つかったら即座に報告。
  3. 作業後: 空になった部屋の写真(全角度)と、簡易清掃後の状態を報告書として提出。

鍵を預けるというのは、実家の全財産を預けるのと同じです。 その重みを理解し、「可視化してくれる業者を選んでください。

参照リンク:独立行政法人国民生活センター_遺品整理サービス(各種相談の件数や傾向)

第5章 【家じまい】整理後の「空き家」対策と不動産価値

「とりあえず荷物だけ出して、あとはゆっくり考えよう」 これが最も危険な思考です。

人が住まなくなった家は、驚くほどのスピードで傷みます。換気がされないと湿気がこもり、畳はカビ、水道管は錆びつきます。 遺品整理は、単なる掃除ではなく、その不動産を「売る」「貸す」「住む」「壊す」のいずれかにするための準備工事だと捉えてください。

賃貸退去の場合:原状回復とハウスクリーニングの範囲

実家が賃貸(公団やマンション)の場合、ゴールは「敷金を可能な限り取り戻すこと」です。 ここでよくある失敗が、「過剰な掃除」「撤去忘れ」です。

  • 過剰な掃除は不要
    • 退去後、貸主側で必ず専門のクリーニング(特約で借主負担になっていることが多い)が入ります。あなたが一生懸命、壁のシミを激落ちくんで擦ったり、ワックスをかけたりする必要はありません。空っぽにするだけで十分です。
  • 「撤去忘れ」に注意
    • 一方で、意外と忘れがちなのが「入居後に自分たちで取り付けたもの」です。
      • カーテン、カーテンレール(元々なかった場合)
      • 後付けのウォシュレット
      • 鴨居につけたフックや画鋲
      • 照明器具(元からあったものか、持ち込んだものか確認必須)

これらが残っていると、処分手数料として敷金から引かれます。遺品整理業者には、「残置物は一切なし、照明も外してください」と明確に指示しましょう。

持ち家売却の場合:解体前提なら「どこまで残していいか」

持ち家の場合、多くの人が「家が古いから解体して更地に売ろう」と考えます。 しかし、ここで私の失敗談をお話しさせてください。

実家の庭には、父が大切にしていた大きな庭石や立派な松の木がありました。私は「更地にするならこれらも撤去しなきゃ」と思い、遺品整理業者に追加料金(数十万円)を払って庭を更地にしました。 しかし、その後の売却活動で、買い手から「あの日本庭園が素敵だったのに、なんで潰しちゃったんですか…」と言われてしまったのです。

「解体前提」でも、焦って解体してはいけません。

  1. 「古家付き土地」として売る: 買い手がリノベーションしたい場合、建物は残っていたほうが価値があります。
  2. 固定資産税の罠: 1月1日時点で建物が建っていない(更地)だと、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。

まずは家の中を空っぽにし、「内見」ができる状態にして不動産屋に見てもらう。解体するかどうかは、その後に決めても遅くありません。

【編集長からのワンポイントアドバイス】

「空き家譲渡所得の3,000万円特別控除」という制度をご存知ですか?相続した空き家を売却した際、利益から3,000万円まで税金を引いてくれる特例です。これを受けるには「昭和56年5月31日以前に建築された家」などの条件があります。整理前に税理士や不動産会社に相談しておかないと、数百万円の損をする可能性がありますよ。

参照リンク:国土交通省_空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)

不動産会社や解体業者との連携サポートについて

3DK・3LDKの整理を得意とする大手遺品整理業者は、単にゴミを捨てるだけでなく、その後の不動産活用までワンストップで相談に乗ってくれることが多いです。

  • 不動産会社との提携: 「このエリアなら、更地にするよりリフォームして貸し出した方が利回りが良いですよ」といったアドバイスをくれる業者を紹介してくれます。
  • 解体工事のセット割引: 残置物撤去と家屋解体を同じ系列の会社で行うことで、トータルコストを10〜20%下げられる場合があります。

自分で「遺品整理業者」「不動産屋」「解体業者」「司法書士(相続登記)」を別々に探すと、連絡コストだけで疲弊してしまいます。 最初の業者選びの段階で、「整理後の不動産売却も相談できますか?」と聞いてみてください。ここで良い返事が返ってくる業者は、ネットワークを持った優良企業の証です。

【お片づけの窓口独自アンケート】

実家の遺品整理を終えた後、「不動産や資産の扱い」で最も後悔したことを、持ち家を相続した男女340名に聞いたところ、以下の結果となりました。

  1. 空き家のまま長期間放置してしまい、建物が劣化して売れなくなった(55%)
  2. 解体するタイミングを間違え、高い固定資産税を払うことになった(22%)
  3. 急いで売却したが、もっと高く売れる可能性があったと後で知った(15%)
  4. その他(8%)

※調査期間:2023年12月〜2024年2月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者


シリーズ完結にあたって

ここまで全5章にわたり、3DK・3LDKの遺品整理について解説してきました。

最初は「大量の荷物」と「高額な費用」に圧倒され、恐怖を感じていたかもしれません。 しかし今、あなたは以下の武器を持っています。

  • 適正相場を知る目(不当な請求にNOと言える)
  • 自力の限界ライン(無理をして体を壊さない判断力)
  • 優良業者の見極め方(大切な実家を安心して任せられる)
  • 出口戦略の知識(負動産にせず、資産として引き継ぐ知恵)

遺品整理は、過去を清算するだけの作業ではありません。 ご先祖様やご両親が紡いできた歴史に感謝し、あなた自身のこれからの人生を、身軽で晴れやかなものにするための「未来への投資」です。

あなたが納得のいく形で家じまいを終え、新しい一歩を踏み出せることを、心より応援しています。

目次
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