
編集長
私自身、過去に何度も不用品回収サービスに助けられた
元・ヘビーユーザーです。
その実体験から、いざという時に頼れる『利用者目線の情報』をお届けするという
理念を掲げ、実体験に基づいた情報をお届けします!
この記事を監修した人

監修者:中嶋大貴
5年前に遺品整理事業を立ち上げ、現在は全国18拠点の事業者を対象にコンサルティングを行う。
遺品整理、ゴミ屋敷清掃、不用品回収の現場経験が豊富で、各地域の実情に合わせた運営改善・業務効率化の指導に精通している。
現場の実務から業界動向まで幅広く把握しており、専門性を生かした正確で信頼性の高い情報提供を行っている。
こんな人におすすめ
- 親がマンションや団地に住んでいて、これから遺品整理を始める方
- 「エレベーターなし」や「高層階」での作業で、高額な追加料金を請求されないか不安な方
- 管理組合への申請や、近隣住民との騒音・搬出トラブルを絶対に避けたい方
- 賃貸の「退去期限」や、分譲マンションの「売却・権利関係」で金銭的に損をしたくない方
この記事でわかること
- 一戸建てとは全く違う!マンション特有の「事前申請」と「ルールの鉄則」
- 見積もりが倍になることも?「階数・養生・搬出経路」による料金変動の仕組み
- 近隣トラブルをゼロにする「挨拶回り」と「共有部(エレベーター等)の守り方」
- 【賃貸編】無駄な家賃発生を止める「最短スケジュール」と原状回復の知識
- 【分譲編】資産価値を守り高く売るための「重要書類」と「空き家リスク」対策
第1章 【準備編】一戸建てとはここが違う!管理とルールの確認

「実家の整理なんて、業者を呼んで鍵を渡せば終わりだろう」
もしあなたがそう考えているなら、少しだけ立ち止まってください。マンションという「集合住宅」での遺品整理は、一戸建てとは全く異なる「独自のルール」が存在します。このルールを無視して進めると、作業当日に管理人に追い返されたり、最悪の場合、近隣住民との関係が決裂し、その後の売却活動に支障をきたすことさえあります。
この章では、マンション遺品整理で絶対に失敗しないための「初動の段取り」を徹底解説します。業者に電話をする前に、まずはこのチェックリストを確認してください。
1. トラブルの火種を消す「管理組合・管理人への事前申請」
マンションの廊下、エントランス、エレベーターは、あなたの所有物ではなく「共有財産」です。そのため、遺品整理のような大規模な搬出作業を行う際は、必ず管理組合や管理会社への事前申請が必要になります。
「業者に任せておけばいい」と油断していると、当日にトラックを停める場所がなく、路駐を繰り返して警察沙汰になるケースも珍しくありません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
マンションでの遺品整理経験者300名に「作業当日に最もヒヤリとしたトラブル」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 管理人への事前連絡がなく、トラックの駐車許可が下りなかった(45%)
- オートロックの開放方法がわからず、搬出に倍の時間がかかった(30%)
- 作業員の出入りが多く、近隣住民から不審者通報された(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年5月〜8月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

このように、半数近くの方が「駐車場所と許可」で躓いています。申請は通常、作業の1週間〜2週間前までに行う必要があります。
【必ず確認すべき申請項目リスト】
- 「作業届(搬入出届)」の提出要否と締切
- 2トン以上のトラックが入れる駐車スペースの有無
- オートロックの一時開放ルール(管理人立ち会いが必要か)
- 台車使用時の「タイヤの汚れ」に関する規定
【編集長からのワンポイントアドバイス】

管理人の機嫌を損ねると、当日の作業効率が劇的に下がります。申請書類を出す際は、事務的に郵送するのではなく、一度現地に足を運び、「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」と菓子折りを持って挨拶に行くと良いでしょう。管理人が味方になれば、当日のエレベーター確保や駐車誘導など、強力なサポートをしてくれることが多いですよ。
2. 「土日禁止」もあり得る?作業日時の制限
「仕事が休みの土日に片付けたい」と考えるのが普通ですが、分譲マンションの管理規約によっては「日曜・祝日の引越し・搬出作業禁止」と定めている場合があります。
これは、休日にゆっくり過ごしたい住民への配慮ですが、知らずに業者を手配してしまうと、当日門前払いを食らい、業者のキャンセル料(当日は100%が相場)だけが発生するという大惨事になりかねません。
【チェックすべき規約のポイント】
- 曜日制限: 土日祝の作業可否
- 時間制限: 「9:00〜17:00まで」など厳密な時間枠があるか
- 繁忙期規制: 3月〜4月の引越しシーズンに制限があるか
特にタワーマンションや高級マンションでは、このルールが非常に厳格です。ご自身の手元に管理規約がない場合は、必ず管理会社へ電話で問い合わせてください。
参考リンク:マンション標準管理規約(単棟型) – 国土交通省 ※国土交通省が定める標準的なルールを確認できますが、最終的には各マンションの独自ルールが優先されます。
3. エレベーターが使えない!?搬出ルートの現地調査
部屋の中にある家具が、そのままエレベーターに乗るとは限りません。特に昭和に建てられた団地やマンションでは、エレベーターが狭く、ベッドマットやタンスが乗らないことがあります。
もしエレベーターに乗らなければ、階段での手運びとなり、作業時間が倍増するだけでなく、高額な追加料金が発生します。
【見積もり前に見ておくべき「3つの幅」】
- エレベーターの間口と奥行き: 長尺の家具が入るか
- 玄関ドアの開口幅: 大型冷蔵庫が出せるか
- 廊下の曲がり角: 台車が旋回できるスペースがあるか
これらを事前に把握し、業者に伝えておくことで、当日の「追加料金トラブル」を未然に防ぐことができます。もし不安な場合は、必ず訪問見積もりを依頼し、プロの目で搬出ルートを確認してもらいましょう。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

エレベーターが1基しかないマンションの場合、朝の通勤時間帯(8:00〜9:00)に作業用でエレベーターを独占すると、住民からのクレームが殺到します。賢い消費者は、あえて開始時間を「10:00」にずらすなどして、住民の生活動線に配慮します。こうした気遣いができるかどうかが、円満な遺品整理の鍵ですよ。
第2章 【費用編】マンション特有の料金変動要因

「3LDKなら20万円くらいだろう」
ネットで相場を調べて予算を組んでいたのに、いざ見積もりをとったら倍以上の金額を提示された——。これはマンションの遺品整理において、決して珍しい話ではありません。
一戸建てと違い、マンションには「作業の手間」を増大させる物理的な障壁がいくつも存在します。業者はその手間を「リスク」として見積もりに反映させます。なぜ料金が変動するのか、そのロジックを知っておけば、不当な高額請求を見抜き、正当な交渉ができるようになります。
この章では、見積書を見る際に絶対にチェックすべき「マンション特有の3つのコスト要因」を解説します。
1. 階数とエレベーター有無による「階段作業費」
最も料金に直結するのが、部屋の階数とエレベーターの有無です。
当然ながら、エレベーターがない団地の4階・5階からの搬出は、すべて人力での往復作業となります。これを業界用語で「階段作業」と呼び、階数が上がるごとに料金が加算される仕組みが一般的です。
しかし、注意が必要なのは「エレベーターがある場合」でも追加料金が発生するケースです。タワーマンションなどの高層階では、エレベーターの待ち時間が長く、搬出に通常の倍以上の時間がかかるため、作業員拘束時間としてコストが上乗せされることがあります。
【お片づけの窓口独自アンケート】
マンション遺品整理で「当初の想定より見積もりが高くなった」と回答した280名に、その主な原因を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 階段作業による追加人件費が発生した(58%)
- トラックまでの移動距離が長く「横持ち料金」がかかった(25%)
- 管理組合指定の養生(保護)範囲が広く、資材費がかさんだ(12%)
- その他(5%)
※調査期間:2023年9月〜11月 対象:弊社へご相談いただいたマンション遺品整理検討者

過半数が階段作業によるコスト増を痛感しています。見積もりの際は「エレベーターがあるから安心」ではなく、「そのエレベーターに大きな家具(タンスやベッドマット)が乗るか」まで確認しないと、当日になって階段作業に切り替わり、追加請求されるリスクがあります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

古い団地によくある「スキップフロア型(エレベーターが1・4・7階にしか停まらないタイプ)」には要注意です。ご実家が「停まらない階」にある場合、エレベーターがあっても実質的には階段作業扱いになります。見積もり依頼時には「エレベーターはありますが、部屋の階には停まりません」と正直に伝えることが、正確な見積もりをもらうコツですよ。
2. トラックが横付けできない?恐怖の「横持ち料金」
一戸建てなら玄関の目の前にトラックを停められますが、マンションではそうはいきません。エントランスからトラックを停める場所まで距離がある場合、その移動距離に応じて「横持ち料金」が発生します。
例えば、敷地内へのトラック進入が禁止されており、50メートル離れた公道やコインパーキングに停めなければならない場合、作業員は重い荷物を持ってその距離を何十往復もすることになります。
【横持ち料金が発生しやすいケース】
- マンション敷地内の駐車スペースが高さ制限で使えない
- エントランス前の道路が狭すぎて2トントラックが入れない
- 管理組合のルールのより、離れた裏口からの搬出を義務付けられている
このコストを削るためには、現地の駐車事情を熟知している業者を選ぶか、事前に管理人と交渉して、作業中のみエントランス付近への駐車許可をもらう(警察署への道路使用許可申請が必要な場合も含む)などの対策が必要です。
3. 廊下も床もフルカバー!「養生(保護)費用」の実態
マンション遺品整理において、決して削ってはいけないのが「養生」の費用です。養生とは、搬出時に壁や床を傷つけないよう、プラスチックダンボールや保護マットで覆う作業のことです。
「安く済ませたいから養生はいらない」と考える方もいますが、多くのマンションでは管理規約で「共用部の養生」が義務付けられています。もし養生をケチってエントランスのタイルを割ってしまったり、エレベーターの内壁に傷をつけてしまえば、管理組合から数十万円単位の損害賠償を請求されることになります。
【一般的な養生範囲とチェックポイント】
- エントランス: 自動ドア付近からエレベーターまでの動線
- エレベーター: 床だけでなく、壁面や操作パネル周りも保護するか
- 廊下: 部屋の玄関からエレベーターまでの床面
格安業者の中には、この養生費用を見積もりに含まず、当日は簡易的な保護だけで済ませようとするところがあります。見積書に「養生費」が明記されているか、または基本料金に含まれているかを必ず確認してください。
参考リンク:引越しのトラブルに注意! – 国民生活センター ※引越しと同様、遺品整理でも見積もりや作業内容(養生含む)に関するトラブルが増えています。契約前の確認が重要です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

タワーマンションや高級マンションの場合、管理会社が「指定する養生業者」や「指定の養生資材」を使わないと作業許可が下りないことがあります。この場合、一般的な養生費よりも割高になります。ご自身で管理会社に「搬出作業時の養生ルール(図面提出が必要かなど)」を事前に聞いておくと、業者との話がスムーズに進みますよ。
第3章 【作業編】近隣トラブルを防ぐ「共有部」対策

一戸建ての遺品整理とマンションの決定的な違い、それは「自分以外の生活空間を通らなければ、荷物をひとつも外に出せない」という点です。
廊下、エレベーター、エントランス。これら共有部での振る舞いを間違えると、あなたは「迷惑な住人の親族」として後ろ指を指されることになります。さらに恐ろしいのは、退去後に管理組合から損害賠償を請求されるケースです。
この章では、法的・道義的リスクを回避し、スマートに作業を完了させるための「共有部対策」と「近隣配慮」の鉄則を解説します。
1. 養生(保護)は建物を守るだけでなく「あなたの品格」を守る
第2章で費用の観点から養生について触れましたが、作業現場における養生にはもう一つ、非常に重要な意味があります。それは「近隣住民へのアピール」です。
しっかりと壁や床が保護され、清潔なユニフォームを着たスタッフがきびきびと動いている現場を見ると、住人は「しっかりした業者が入っているな」と安心します。逆に、養生なしで汚れた服装の作業員がウロウロしていると、それだけで「不審だ」「建物に傷をつけられるのではないか」という警戒心を抱かれ、些細な音でもクレームに繋がりやすくなります。
【トラブルを防ぐ養生の基準】
- 視覚的な安心感: エレベーターの扉やカゴ内、エントランスの床など、住民の目に触れる場所こそ徹底的に覆う。
- 撤去時の清掃: 養生を剥がした後、埃ひとつ残さず簡易清掃を行ってくれる業者を選ぶ。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

管理人が常駐しているマンションの場合、作業開始前に「これから養生を開始しますので、一度ご確認いただけますか?」と声をかけるのがプロの技です。管理人のOKをもらってから作業を始めれば、後から「傷がついた」と言いがかりをつけられるリスクをほぼゼロにできます。第三者の承認をプロセスに組み込むことが、最強の自衛策ですよ。
2. 近隣挨拶と「エレベーター占有」のマナー
マンション作業で最も住民をイラつかせ、トラブルの元凶となるのが「エレベーターが来ない問題」です。
遺品整理では大量の荷物を搬出するため、どうしてもエレベーターの使用頻度が高くなります。しかし、通勤時間や夕方の帰宅時間にエレベーターを独占してしまうと、住民の怒りは爆発します。
【お片づけの窓口独自アンケート】
マンションにお住まいで、同じ建物内での引越しや整理作業に遭遇したことがある男女400名に「作業中に最も不快に感じたこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- エレベーターが長時間使用中で、階段を使わざるを得なかった(55%)
- 作業員の話し声や足音がうるさかった(20%)
- 共有廊下に荷物が仮置きされ、通りにくかった(15%)
- その他(10%)
※調査期間:2023年2月〜4月 対象:弊社独自インターネット調査

半数以上がエレベーター問題にストレスを感じています。これを防ぐためには、「ラッシュ時を避ける(9時〜17時の間で行う)」だけでなく、「住民が乗ってきたら作業を中断して譲る」という徹底した教育を受けた業者を選ぶ必要があります。
【挨拶回りの範囲とタイミング】
- 範囲: 「両隣」と「真下の部屋(足音が響くため)」は必須。
- タイミング: 作業の1週間前〜3日前がベスト。当日は不在の可能性が高いため避ける。
- 伝えること: 「○月○日の○時〜○時に、遺品整理で作業員が出入りします。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」というメモと、500円程度の粗品(洗剤やタオルなど消え物)を渡す。
3. 「ゴミ捨て場」は絶対不可侵の領域
「少しずつなら、マンションのゴミ置き場に出してもバレないだろう」
この考えは今すぐ捨ててください。これはマンション遺品整理における最大のタブーです。
多くのマンションでは、ゴミ置き場の使用は「日常生活で発生するゴミ」に限られています。退去や遺品整理に伴う「一時多量ゴミ」を無断で出すことは、管理規約違反であるだけでなく、廃棄物処理法違反(不法投棄)に問われる可能性すらあります。
【なぜゴミ置き場を使ってはいけないのか】
- 容量オーバー: マンションのゴミ収集契約は、住人数に応じた量で契約されています。大量の遺品が出されると収集車が持って行ってくれず、ゴミが溢れかえります。
- 分別の不徹底: 遺品には可燃・不燃・資源が混在しており、素人の分別では自治体の回収基準を満たさないことが多々あります。
- 特定されるリスク: 郵便物や特徴的な家財から、どの部屋が出したかはすぐに特定されます。後日、管理組合から撤去費用と違約金を請求される事例が後を絶ちません。
プロの遺品整理業者は、一般廃棄物収集運搬許可を持つ業者と提携し、トラックですべての不用品を持ち帰ります。マンションの敷地内にゴミを残さないことが、立つ鳥跡を濁さないための鉄則です。
参考リンク:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 – e-Gov法令検索 ※第16条で「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められており、違反時の罰則規定もあります。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

「市町村の粗大ゴミ回収なら安いのでは?」と考える方もいますが、マンションの場合、指定された回収場所(多くは1階屋外)まで、自分たちで大型家具を降ろさなければなりません。エレベーター養生や搬出の手間を考えると、結局は業者に一括で依頼した方が、トータルの労力とコストは見合うことが多いですね。自分でやるなら「腰痛」と「壁への激突」覚悟が必要です。
第4章 【出口戦略A:賃貸の方】退去期限と原状回復
持ち家のマンションであれば、資産として「いつ売るか」をじっくり考える猶予があります。しかし、賃貸物件における遺品整理は、まさに「時間との戦い」です。
故人が亡くなったその瞬間も、部屋には家賃が発生し続けています。悲しみに暮れている間にも、契約上の期限は刻一刻と迫ってきます。対応が数日遅れるだけで、数万円から数十万円の「無駄な家賃」を支払う羽目になるのです。
この章では、賃貸マンション特有の「解約スケジュール」と、退去時に敷金を不当に減額されないための「原状回復」の知識を伝授します。
1. 家賃発生を止める「解約予告」のタイムリミット
賃貸契約において最も重要なのは、「解約予告期間」の確認です。多くの賃貸契約書には、「退去の1ヶ月前(または2ヶ月前)までに申し出ること」という条項があります。
例えば、「1ヶ月前予告」の物件で、親御さんが10月25日に亡くなったとします。 すぐに管理会社へ連絡し、10月末に解約を申し出れば、11月末までの家賃支払いで済みます。しかし、葬儀などでバタバタし、連絡が11月2日になってしまったらどうなるでしょうか?
たった2日の遅れですが、解約日は12月2日以降となり、多くの契約では「12月分まるごと(または日割り)」の家賃支払い義務が発生してしまいます。
【損をしないための最短アクション】
- 契約書の確認: 「解約予告期間」が1ヶ月前か2ヶ月前かを確認する。
- 即時連絡: 遺品整理の目処が立っていなくても、まずは管理会社へ「退去する意思」と「契約者の逝去」を伝える。
- 整理日程の逆算: 退去立会い日(鍵の返却日)までに部屋を空っぽにするため、業者手配を急ぐ。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

解約の連絡は、必ず「証拠」を残してください。電話だけで済ませると、「言った・言わない」のトラブルになり、「連絡を受けていないから来月分も払え」と言われるリスクがあります。電話の後に、解約通知書を郵送するか、管理会社の問い合わせフォームからメールを送り、送信履歴を保存しておくのが鉄則です。
2. どこまで負担する?「原状回復」と敷金の真実
遺品を全て搬出し、部屋を空っぽにした後、次に待ち受けるのが「原状回復費用」の精算です。ここで多くの遺族が、管理会社から高額なリフォーム費用を請求され、トラブルになっています。
原則として、借主(故人)が負担すべきは「故意・過失による損傷」のみです。普通に生活していてできた壁紙の日焼けや、家具の設置跡(経年劣化・通常損耗)まで負担する必要はありません。
【お片づけの窓口独自アンケート】
賃貸物件の遺品整理・退去手続きを経験した男女350名に「退去精算時に最も納得がいかなかった費用請求」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 入居前からあった傷や汚れの修繕費を請求された(38%)
- 高額な「特約」ハウスクリーニング代を一律で引かれた(29%)
- 経年劣化と思われる畳や壁紙の全交換費用を請求された(18%)
- その他(15%)
※調査期間:2023年6月〜9月 対象:弊社へご相談いただいた賃貸退去経験者

アンケート結果からも分かるように、本来払う必要のない費用まで請求されるケースが後を絶ちません。遺品整理業者の中には、搬出後に簡易清掃(掃き掃除・拭き掃除)まで行ってくれるところもあります。部屋をきれいに引き渡すことで、管理会社への心証を良くし、不当なクリーニング代請求を牽制する効果も期待できます。
参考リンク:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン – 国土交通省 ※このガイドラインは、不当な請求に対抗するための「最強の武器」です。目を通しておくだけで交渉力が変わります。
3. 孤独死・発見遅れの場合の「特殊対応」
もし故人がお部屋で亡くなり、発見まで時間が経過してしまった場合(孤独死など)、通常の遺品整理だけでは退去できません。体液や腐敗臭が部屋に染み付いていると、「特殊清掃」と「完全な消臭」が必要になります。
この場合、通常の原状回復義務を超えて、汚染箇所の床材撤去やオゾン脱臭など、専門的な施工が求められます。
【注意すべきポイント】
- 連帯保証人の責任: 原則として、連帯保証人が原状回復費用を支払う義務を負います。
- 業者の選定: 一般的な不用品回収業者では、体液の処理や強烈な死臭の消臭は不可能です。「特殊清掃士」などの資格を持ち、消臭技術に長けた専門業者を選ぶ必要があります。
- スピード: 臭いは時間とともに建材の奥深くまで浸透します。コンクリートまで染み込むと、解体工事レベルの費用がかかるため、発見次第、一刻も早く特殊清掃を入れることが、最終的なコストを抑える唯一の方法です。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

孤独死物件の退去費用は高額になりがちですが、故人が「孤独死保険(少額短期保険)」や「家財保険の特約」に加入していないか、必ず証券を確認してください。保険が適用されれば、清掃費用や家主への見舞金がカバーされ、遺族の経済的負担がゼロになるケースもあります。書類整理の際は、保険証券を最優先で探しましょう。
第5章 【出口戦略B:分譲の方】資産価値と売却準備

賃貸と違い、分譲マンションの遺品整理は「退去して終わり」ではありません。それは、あなた自身が「マンションオーナーとしての責任」を引き継ぐことを意味します。
「とりあえず荷物を片付けて、落ち着いたら売ればいい」
そう考えて空き家のまま放置するのは危険です。人が住まないマンションは急速に老朽化し、毎月の管理費と修繕積立金は、あなたの口座から容赦なく引き落とされ続けます。いわゆる「負動産」化を防ぐためには、遺品整理を単なる「片付け」ではなく、「資産(物件)を最高値で売るための商品化プロセス」と捉える戦略的視点が必要です。
この章では、資産価値を守り、スムーズな売却や継承につなげるための重要なステップを解説します。
1. 資産を証明する「重要書類」の捜索ミッション
遺品整理の現場で最も神経を使うのが、不動産の権利に関わる書類の捜索です。これらは、後の相続登記や売却手続きで必ず必要になります。
もしこれらを誤って廃棄してしまうと、手続きに司法書士の追加費用(本人確認情報の作成など)がかかったり、売却スケジュールが大幅に遅れたりする原因となります。
【お片づけの窓口独自アンケート】
分譲マンションを相続・売却した経験者320名に「手続きの際に最も困った書類・物品のトラブル」を聞いたところ、以下の結果となりました。
- 権利証(登記識別情報)がどうしても見つからなかった(40%)
- 故人が管理費や修繕積立金を滞納しており、売却時に発覚した(25%)
- トランクルームや集合ポストの鍵・暗証番号が分からなかった(20%)
- その他(15%)
※調査期間:2023年10月〜12月 対象:弊社へご相談いただいた不動産相続経験者

【必ず確保すべき「資産直結」アイテム】
- 登記済権利証(または登記識別情報通知): 金庫や仏壇の引き出しだけでなく、タンスの奥の「着物の間」などから出てくることもあります。
- 管理規約・使用細則: 売却時に購入検討者が確認したがる重要資料です。
- 総会議事録: 直近のものがあれば、マンションの修繕計画や管理状況を把握できます。
- 鍵類: 住戸の鍵だけでなく、ディンプルキーの複製用カード、宅配ボックスの磁気カード、トランクルームの鍵もセットで探します。
プロの遺品整理業者は、こうした書類の重要性を理解しているため、紙切れ一枚もおろそかにせず、封筒やクリアファイルの中身を全て確認して選別します。
2. 「空き家」にするリスクとランニングコスト
「思い出の詰まった家だから、すぐには売りたくない」という気持ちは痛いほど分かります。しかし、分譲マンションを空き家のまま維持するには、相応のコストとリスクが伴います。
一戸建てと違い、マンションは「管理費」「修繕積立金」という固定費が毎月必ず発生します。これに「固定資産税」を加えると、都心部のファミリータイプであれば、誰も住んでいなくても年間30万〜50万円以上の現金が出ていく計算になります。
【放置することで発生するリスク】
- 特定空家リスク: 窓を開けての換気が行われないため、湿気がこもり、カビや悪臭が発生します。これが配管を通じて隣家に影響を与えると、管理組合から是正勧告を受ける可能性があります。
- 漏水事故: 給排水管の劣化に気づかず、階下への水漏れ事故を起こした場合、居住していなくても所有者(相続人)の管理責任が問われ、多額の賠償金を請求される恐れがあります。
- 資産価値の低下: 「人が住んでいない期間」が長い物件は、設備機器の動作不良が起きやすく、不動産市場では「訳あり物件」として安く買い叩かれる傾向があります。
参考リンク:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省 ※空き家の適正管理は法律でも求められています。マンションの場合、区分所有法に基づく管理組合のルールも重なります。
3. 売却・査定を見据えた「残置物撤去」
不動産会社に売却査定を依頼するタイミングはいつが良いでしょうか? 答えは「遺品整理が完了し、部屋が空っぽになった直後」です。
生活感あふれる荷物が残った状態(残置物がある状態)で内覧を行っても、購入希望者は部屋の広さやポテンシャルをイメージしにくく、成約率は下がります。逆に、遺品整理業者によって家具がなくなり、簡易清掃が行われた「すっぴんの状態」であれば、部屋が広く見え、リフォームのイメージもしやすくなるため、早期の高値売却が期待できます。
【「売れる部屋」にするための整理ポイント】
- 照明器具は残す: 内覧時に部屋が暗いと印象が悪くなるため、シーリングライトなどの照明は撤去せず、あえて残しておくのがセオリーです。
- エアコンの扱い: 製造から5年以内の新しい機種なら「付加価値」として残し、古い機種なら撤去する。この判断も遺品整理業者と相談して決めます。
- カーテンの扱い: 防犯上、および室内の日焼け防止のため、売却が決まるまではカーテンを残しておくことをお勧めします。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

遺品整理業者の中には、不動産業者と提携しているところも多いですが、最も賢い方法は「遺品整理は整理のプロ」へ、「売却は地元の有力な不動産屋」へと、分けて依頼することです。 紹介マージンが発生する「丸投げ」パックよりも、それぞれの専門家に直接依頼した方が、結果的に整理費用は安く済み、売却額は高くなるケースが多いですよ。まずは「部屋を空にする」ことに集中しましょう。
第6章 マンション遺品整理 Q&Aセクション

ここまで、マンション遺品整理における「準備」「費用」「作業」「出口戦略」について解説してきました。しかし、個別の事情や現場の状況によって、まだまだ不安な点は尽きないはずです。
この最終章では、弊社「お片づけの窓口」に寄せられる相談の中でも、特にマンション居住者の方から頻繁にいただく質問を厳選し、一問一答形式で回答します。あなたの疑問を解消する最後のピースとしてお役立てください。
Q1. エレベーターがない団地の4階ですが、依頼を受けてもらえますか?
A. はい、可能です。ただし「階段作業費」と「人員体制」に注意が必要です。
多くの遺品整理業者は、エレベーターなしの団地(いわゆる階段室型住棟)の作業にも対応しています。しかし、作業員が家具やダンボールを抱えて階段を数百往復することになるため、以下の点が通常のマンションとは異なります。
- 階段作業費の加算: 1階層上がるごとに数千円〜の追加料金が設定されるのが一般的です。
- 作業時間の増加: 搬出スピードが落ちるため、通常より時間がかかります。1日で終わらせるために作業員を増員する場合、その分の人件費も見積もりに反映されます。
安さだけで業者を選び、当日に少人数で来て作業が終わらない……という事態を避けるため、見積もり時に「エレベーターなしの4階であること」を明確に伝え、十分な人員を確保してもらいましょう。
Q2. タワーマンションならではの注意点はありますか?
A. 「防災センター」への申請と、非常に厳しい「養生ルール」があります。
タワーマンションや大規模マンションの遺品整理は、一般のマンションとは別次元の厳格さが求められます。
- 防災センターへの届出: 作業の数週間前に、搬入出計画書や車両情報の提出が必要です。
- 専用エレベーターの予約: 住民用エレベーターの使用は禁止され、非常用(搬入出用)エレベーターを時間指定で予約しなければならないケースがほとんどです。
- 養生のグレード: 「床だけでなく壁面も天井までプラダンで覆うこと」「台車のタイヤは新品を使用すること」など、ハイレベルな養生規定があります。
タワマン実績のない業者に依頼すると、当日防災センターで入館を拒否されるリスクがあります。必ず「タワーマンションでの作業実績」がある業者を選んでください。
【お片づけの窓口独自アンケート】
マンションでの遺品整理業者選びにおいて「後になって最も重要だと痛感したポイント」を経験者350名に聞いたところ、以下の結果となりました。
- マンション・団地での搬出作業の実績が豊富か(42%)
- 見積もり時に「追加料金が発生しない条件」を明記してくれたか(28%)
- 近隣住民や管理人への対応が丁寧か(20%)
- その他(10%)
※調査期間:2024年2月〜4月 対象:弊社へご相談いただいた遺品整理経験者

やはり、4割以上の方が「マンション慣れしている業者かどうか」を重視すべきだったと感じています。戸建てとは勝手が違うことを、経験者ほど実感している証拠です。
Q3. ブランド家具や家電など、買取で費用を相殺できますか?
A. 可能です。マンションは搬出費がかさむ分、買取によるコストダウンは非常に有効です。
特に、搬出に手間がかかる大型のブランド家具(カッシーナ、アルフレックス等)や、製造5年以内の家電(冷蔵庫、洗濯機)は、買取対象になれば「処分費の削減」と「買取金」のダブルでお得になります。
ただし、「搬出困難な大型家具」の場合、買取価格よりも搬出の人件費(解体・吊り下げ作業など)が上回ってしまうと、買取不可となるケースもあります。訪問見積もりの際に、「これは値段がつきますか? それとも処分費がかかりますか?」と一点ずつ確認するのが確実です。
Q4. マンションのゴミ捨て場に、少しずつ遺品を捨ててもいいですか?
A. 絶対にNGです。管理規約違反かつ近隣トラブルの最大要因になります。
第3章でも触れましたが、これは最も避けるべき行為です。 「バレないだろう」と思って夜中に捨てても、防犯カメラやゴミの内容物から特定されるのは時間の問題です。特定された場合、管理組合から厳重注意を受けるだけでなく、ゴミの撤去費用を実費で請求されたり、住民会議で議題に挙げられたりと、社会的信用を失うことになります。
遺品整理で出る大量の不用品は「産業廃棄物」や「一時多量ゴミ」として扱い、業者のトラックですべて持ち帰ってもらうのが唯一の正解です。
参考リンク:正しいごみの出し方・分け方 – 環境省 ※各自治体のルールに従うのが基本ですが、集合住宅にはさらに厳しい独自ルールがあることを忘れないでください。
Q5. 作業当日は、ずっと立ち会いが必要ですか?
A. 必須ではありませんが、「最初」と「最後」の立ち会いは推奨します。
マンションの場合、オートロックの開け閉めや管理人の対応があるため、戸建てよりも連携が必要です。しかし、丸一日拘束される必要はありません。
- 作業開始時: 鍵を開け、業者と一緒に「残すもの・処分するもの」の最終確認を行う。また、管理人への挨拶を済ませる。
- 作業中: 貴重品を持って外出(カフェや自宅待機など)。業者は管理人と連携して搬出を進めます。
- 作業終了時: 戻ってきて、部屋が空になったこと、共有部に傷がないか(養生撤去後の確認)をチェックし、精算して鍵を閉める。
この「中抜け」スタイルが一般的です。遠方にお住まいでどうしても立ち会えない場合は、鍵を郵送しての「完全非対面作業」に対応している業者もありますが、その際はビデオ通話などで作業後の状況を必ず確認してください。
【編集長からのワンポイントアドバイス】

最後までお読みいただき、ありがとうございます。マンションでの遺品整理は、物理的な「片付け」だけでなく、管理組合や近隣住民との「人間関係の整理」でもあります。 今回ご紹介したポイントを一つずつクリアしていけば、決して怖いものではありません。あなたが故人の部屋をきれいにし、次の誰かにバトンタッチできるよう、私たちも全力でサポートします。まずは、信頼できる業者への見積もり依頼から、最初の一歩を踏み出してみてください。
記事のまとめ:マンション遺品整理を成功させる3つの鉄則
ここまで、マンション特有の遺品整理について、準備から費用、そして出口戦略までを網羅的に解説してきました。情報量が多く、少し圧倒されてしまったかもしれません。
最後に、この記事で最もお伝えしたかった「成功の鍵」を3つに凝縮して振り返ります。この3点だけは、絶対に忘れないでください。
1. 「共有部」こそが最大の難所である
部屋の中を片付ける前に、エレベーター、廊下、ゴミ捨て場のルールを制してください。管理組合や管理人を味方につけ、完璧な養生と挨拶を行うことが、トラブルゼロへの最短ルートです。
2. 「見積もりの安さ」より「マンション実績」
階段作業、横持ち、養生費。マンションには隠れたコスト要因が多数あります。
表面上の安さで業者を選ばず、
「タワマンや団地での搬出経験が豊富か」
「追加料金のリスクを説明してくれるか」
を基準にパートナーを選んでください。
3. 片付けの先にある「資産価値」を見据える
賃貸なら「無駄な家賃のカット」、分譲なら「高値売却への準備」。遺品整理は単なるゴミ処理ではなく、あなたの資産を守るための投資です。権利書一枚、鍵一本の確保が、数百万円の価値に直結することを意識しましょう。
マンションでの遺品整理は、一筋縄ではいきません。しかし、正しい知識と信頼できる業者がいれば、必ず円満に完了させることができます。
「お片づけの窓口」では、マンション・団地での豊富な作業実績を持つプロフェッショナルが、管理組合への申請代行から、近隣への配慮、そして資産価値を守る丁寧な作業まで、トータルでサポートいたします。
まずは、お部屋の状況をお聞かせください。あなたが抱える不安を、一つずつ安心に変えていくことをお約束します。








