EPISODE 01
— 第1話 おわり —
住宅街をゆっくりと流れる、あの音楽。
「ご家庭でいらなくなった品物、無料で回収しまーす」
聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
もしかすると、最近あなたのご自宅の前も通ったかもしれません。
ですが、少しだけお待ちください。
「無料」で成り立つ商売など、
この世にそう多くはありません。
トラックのガソリン代。人件費。作業員の方々の生活。
すべてが本当にタダで済むはずがないのです。
それでも「無料」を掲げられる理由――それは、回収した後の別の場所で、しっかりと元を取っているからにほかなりません。
「全部無料っすよ〜」と愛想よく積み込んだ直後、荷台が満杯になった途端に態度が一変します。
「積んだ後のキャンセルはできない決まりでして」
「作業費・運搬費・処分費で、○万円になります」
第1話に登場したやり口が、まさにこれです。
「無料」なのは、あくまで“回収そのもの”だけ。積む前と積んだ後で、ルールが変わってしまう――これが最も多いご相談のパターンです。
一度トラックに積み込まれてしまうと、「もう自分のモノではない」と錯覚させられ、渋々高額な請求に応じてしまう方が後を絶ちません。
無料回収トラックが積んでいった、ご家庭の家具や家電。
「リサイクルするので無料なんです」というご説明を耳にされたことはないでしょうか。
そんな時こそ、こう尋ねてみてください。
「では、それはどちらの工場に
持っていかれるのですか?」
この質問に、きちんとお答えいただける業者は驚くほど少ないのが実情です。
答えられないということは――行き先は工場ではなく、人目につかない山中や空き地である可能性があるということです。回収した品を、そのまま不法投棄してしまう。それも、あなたのお名前やご住所が記されたままの状態で、です。
無料回収トラックが多く出没するのは、引っ越しシーズンや大掃除の時期です。
つまり、「今すぐ、少しでも安く片づけたい」と焦っていらっしゃる方のもとに、あえて現れます。
冷静にお考えいただく時間を与えないスピード感。
「今すぐ決めないと損」という空気作り。
これは偶然ではなく、明確な手口です。
難しいことではございません。ぜひ3つだけ、覚えてお帰りください。
モノは、嘘をつきません。
ですが、人は嘘をつきます。
主人公・灰谷カイの口癖は「モノは、嘘をつかない」です。
ですが、この言葉には続きがあります。
モノは嘘をつきません。だからこそ、そのモノを扱う人が信頼できるかどうか――そこがすべてを決めるのです。
もし今日、あなたのご自宅の前にも、あの音楽が流れてきたら。
呼び止める前に、少しだけ思い出してみてください。
「その無料は、いったい誰が
払っているのだろう?」と。