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EPISODE 04

第4話 ゴミ屋敷の宝物

第4話 1ページ目|お片づけの窓口の事務所。所長が書類を手に依頼を告げる。「近隣トラブルで、行政代執行寸前らしいの。急ぎでお願い」
第4話 2ページ目|トラックで現場へ向かう権田と灰谷カイ。権田「またゴミ屋敷か。……この手の現場は、力任せじゃ片づかねえんだよなぁ」
第4話 3ページ目|古い一軒家の前に着く二人。門の内側は玄関からあふれ出したゴミ袋の山。中に入ると、天井近くまで積み上がったゴミが二人を呑み込む。
第4話 4ページ目|門前に、懐中時計を手にしたスーツの男・白鷺レンが立っていた。「奇遇ですね。大家さんが相見積もりを取っていたようで」。余裕の笑みで金の懐中時計を見せる。
第4話 5ページ目|レン「僕のチームなら2日で更地のように綺麗にできますが?」「“読み”だけが取り柄の回収屋さんには難しいでしょう?」。カイの心の声「……初対面のはずだが」
第4話 6ページ目|カイの目のアップ。心の声「なぜ、俺の“遺品読み”を知ってる……?」
第4話 7ページ目|家の奥から、やつれた男が飛び出してくる。「触るな!!全部宝物なんだよ!!」。怒声に息を呑むレンと、静かに見つめ返すカイ。
第4話 8ページ目|レンは笑顔で引き下がる。「今日のところは失礼します」。残ったカイはひとり家に向き直り、玄関で靴を脱いで揃える。
第4話 9ページ目|涙と汗にまみれ、怯えた目でカイを見る家主。カイは玄関先で深く頭を下げる。
第4話 10ページ目|ゴミの山を見渡すカイ。上層=最近の弁当ガラ・包装類、中層=数ヶ月前の紙類・衣類、下層=古い家具・家電・書類。カイ「ゴミの層に地層がある」
第4話 11ページ目|カイが層の境目を指さす。「5年前を境に、弁当ガラの層が始まってる。それより下は、綺麗な生活の跡だ」「5年前、何があったんですか」
第4話 12ページ目|肉球柄の古い毛布、フードの残った犬用の食器、階段下の光が差し込む小さな空きスペース。セリフのない3コマ。
第4話 13ページ目|カイが静かに言う。「片づけられないんじゃない。……この部屋ごと、時間を止めたかったんだな。愛犬が死んだ、5年前から」
第4話 14ページ目|泣く家主の傍らにしゃがみ込むカイ。「全部は捨てない。残すモノを選ぶ片づけをしよう」「選ぶのは、あんただ」
第4話 15ページ目|涙を拭う家主。二人で床に座り込み、一つひとつ手に取って仕分けていく。夕方には犬の写真を飾った棚と、整理された箱だけが残る。
第4話 16ページ目|片づけの最中、いつの間にか室内にいたレンが懐中時計を開いている。それを見た権田の顔色が変わる。「……その時計、どこで」
第4話 17ページ目|レン「父の形見ですが、何か?」。権田は目を伏せて言葉を濁す。「……いや、何でもない」。二人のやり取りを横目で見るカイ。
第4話 18ページ目|片づいた部屋の一角に、愛犬ハチの写真・首輪・食器を並べた小さな祭壇。「ハチ之霊位」と「ありがとう 大好きだよ」の木札。家主は涙を浮かべて笑う。「アイツ、こんな狭いとこで寝てたのか。バカだなあ」
第4話 19ページ目|見違えるように片づいた居間で並ぶカイ・レン・権田。カイが静かにうなずき、レンは肩をすくめる。「まあ、悪くない仕事でしたね」
第4話 20ページ目|後日。三隅ヒナが家主と契約書を交わす。「また散らかったら、また呼んでください」「何回でも来ますから」
第4話 21ページ目|玄関先で見送る家主が空を見上げてつぶやく。「5年前つったら、この町も色々あったなぁ」「駅前の互助会が潰れたのも、あの頃か」
第4話 22ページ目|「互助会」の言葉にカイが足を止め、振り返る。青空の下、遠くを見つめるカイの横顔。
第4話 23ページ目|夜の高速道路。黒塗りの車を運転しながら、レンがスマホで誰かに報告する。「ええ、例の男を間近で見ました」
第4話 24ページ目|口元だけを歪めて笑うレン。「——想像以上ですよ、あの目は」。スマホの画面には「非通知」の文字。通話を終える指。
第4話 25ページ目|車内で懐中時計を開くレン。蓋の裏側には「贈 灰谷」の刻印。
第4話 26ページ目|懐中時計をそっと閉じるレンの手。夜景を映す窓ガラスに、無表情なレンの顔が映る。
第4話 27ページ目|夜の街を走り去る黒塗りの車。三日月の下、川面に映るビルの灯り。「第4話・完/つづく」

同じ思いをする前に。

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— 第4話 おわり —

第4話 巻末コラム

「ゴミ屋敷」は、
だらしなさが原因ではありません

「全部宝物なんだよ」

ゴミ屋敷と呼ばれる現場で、私たちが実際に耳にする言葉です。
外から見ればただのゴミの山でも、ご本人にとっては、大切な時間ごと積み上がった「思い出の山」であることが少なくありません。

きっかけは、たった一つの喪失

ペットや大切な方との死別、離職、病気――。
ある日を境に片づけができなくなるケースの多くは、心の整理がつかない出来事から始まっています。第4話の家主のように、「部屋ごと時間を止めたかった」という方は、決して特別ではありません。

力任せの撤去は、必ず再発します

本人の同意なくすべてを運び出せば、家は一日で片づくかもしれません。
ですが、心の整理を置き去りにした片づけは、数ヶ月後には元通り――というのが現場の実感です。放置が続けば、自治体による行政代執行(強制撤去)に至り、費用がご本人に請求されることもあります。

どうすればよいのか

  1. ①
    「全部捨てる」から始めない 捨てるモノではなく「残すモノ」を選ぶことから始めると、ご本人の気持ちが動き出します。
  2. ②
    選ぶのは、ご本人 ご家族が勝手に処分するのは逆効果です。周囲は「選ぶ場」を整えることに徹してください。
  3. ③
    行政から通知が来たら、すぐ相談 指導や勧告の段階であれば、まだ間に合います。期限のある書類を放置しないでください。

片づけとは、モノを捨てることではなく、
止まった時間をもう一度動かすことです。

ご自身のことでも、ご家族やご近所のことでも構いません。迷われたら、ぜひお片づけの窓口にご相談ください。

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